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【9/9(月) 締切】弐の柱_安心できる生活づくり 厚労省研究

令和7年度厚生労働科学研究に対する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495240119&Mode=0
〇解説
分量多いですが、次の事業は、要チェックです。
・がん対策推進総合研究事業
・生活習慣病・難治性疾患等総合研究事業
・免疫アレルギー疾患政策研究事業
・新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
・食品の安全確保推進研究事業
・医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
・化学物質リスク研究事業

〇概要
● 厚生労働科学研究の交付対象となる研究課題を設定するに当たっては、厚生科学審議会科学技術部会において、「取り組むべき課題について、パブリック・コメントを実施し、広く意見を聴取する」こととされています。
● このため、令和7年度厚生労働科学研究について、広く皆様からの御意見を募集します。
1 厚生労働科学研究とは
(1)目的
厚生労働科学研究は、「厚生労働科学研究の振興を促し、もって、国民の保健、医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に関し、行政施策の科学的な推進を確保し、技術水準の向上を図ること」を目的とし、毎年度、e-Rad(府省共通研究開発管理システム)、厚生労働省ホームページ等を通じて、研究課題の募集を行っています。
(2)特徴
厚生労働科学研究は、行政政策研究分野、疾病・障害対策研究分野、健康安全確保総合研究分野の3分野から構成されています。
外部の専門家の御意見や行政上の必要性等を踏まえ、研究事業ごとに、国民の保健医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等の課題を解決する「目的志向型の研究課題設定」を行い、その上で、原則として公募により研究課題及び研究班を募集し、評価委員会の評価を経て、採択を決定します。一年の流れ及び評価の仕組みについては、以下の HP を参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkyuujigyou/pdf/rf-one-year-flow.pdf

2 厚生労働科学研究及び AMED 研究の位置付け
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)が平成27 年4月1日に設立され、平成 27 年度以降、健康・医療分野の「研究開発」に係るものについては、AMED が公募を行っています。
一方、食品衛生、労働安全衛生、化学物質対策、危機管理等の国民の安全確保のために必要な研究や、厚生労働省の施策の科学的知見に基づく推進のため必要な研究については、引き続き厚生労働省が公募等を実施しています。

3 厚生労働科学研究についての御意見募集
厚生労働科学研究については、厚生科学審議会科学技術部会において、毎年度、概算要求前の評価、成果に関する評価等を実施し、これまでも研究事業の適正な実施に努めてきたところです。
平成 22 年 10 月 13 日の第 60 回厚生科学審議会科学技術部会において、今後の厚生労働科学研究について議論がなされ、「取り組むべき課題について、パブリック・コメントを実施し、広く意見を聴取する。」とされています。このため、別添の厚生労働省が実施する令和7年度厚生労働科学研究の概要について、広く皆様からの御意見を募集します。
今後の手続きにつきましては、いただきました御意見を参考として公募要項を作成し、厚生科学審議会科学技術部会の審議を経て、公募を行う予定としております。
●令和7年度厚生労働科学研究の概要(106ページ)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000277992
目次
【行政政策研究分野】
政策科学総合研究事業
政策科学推進研究事業 ・・・・・ 1
統計情報総合研究事業 ・・・・・ 4
臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業 ・・・・・ 7
倫理的法的社会的課題研究事業 ・・・・・ 10
地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究事業 ・・・・・ 13
厚生労働科学特別研究事業 ・・・・・ 18
【疾病・障害対策研究分野】
がん対策推進総合研究事業
がん政策研究事業
・・・・・ 20
生活習慣病・難治性疾患等総合研究事業
循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業
・・・・・ 25
女性の健康の包括的支援政策研究事業 ・・・・・ 29
難治性疾患政策研究事業 ・・・・・ 32
腎疾患政策研究事業 ・・・・・ 35
免疫アレルギー疾患政策研究事業 ・・・・・ 38
移植医療基盤整備研究事業 ・・・・・ 42
慢性の痛み政策研究事業 ・・・・・ 46
長寿・障害総合研究事業
長寿科学政策研究事業 ・・・・・ 49
認知症政策研究事業 ・・・・・ 52
障害者政策総合研究事業 ・・・・・ 56
感染症対策総合研究事業
新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
・・・・・ 63
エイズ対策政策研究事業 ・・・・・ 68
肝炎等克服政策研究事業 ・・・・・ 72
【健康安全確保総合研究分野】
地域医療基盤開発推進研究事業
地域医療基盤開発推進研究事業 ・・・・・ 76
労働安全衛生総合研究事業
労働安全衛生総合研究事業 ・・・・・ 82
食品医薬品等リスク分析研究事業
食品の安全確保推進研究事業
・・・・・ 86
カネミ油症に関する研究事業 ・・・・・ 90
医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業 ・・・・・ 93
化学物質リスク研究事業 ・・・・・ 96
健康安全・危機管理対策総合研究事業
健康安全・危機管理対策総合研究事業 ・・・・・101


研究事業名 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業
1 研究事業の概要
(1)研究事業の目的・目標
【背景】
WHO の報告では、がん、循環器疾患、糖尿病、COPD などの生活習慣病による死亡者数は、世界の全死亡者数の約6割を占めている。わが国においても、生活習慣病は医療費の約3割、死亡者数の約5割を占めており、急速に進む高齢化への対応や社会保障制度の持続のためにも、生活習慣病の発症予防や重症化予防について、早急な対策が求められている。
がん以外の代表的な生活習慣病である循環器疾患や糖尿病は、若年期を含めた様々なライフステージの中で、不適切な生活習慣等が発症に影響し、重症化していくことが特徴である。特に循環器疾患に関しては、わが国の主要な死亡原因であるとともに、要介護状態に至る重大な原因の一つでもある。そのため、人生 100 年時代を見据えると、国民の健康寿命の延伸や健康格差の縮小、および生涯にわたる生活の質の維持・向上に向けて、包括的かつ計画的な対応が求められている。
生活習慣病の発症予防・重症化予防には、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康といった、各ライフステージにおける個人の生活習慣の改善や健康づくりに加えて、ライフコースアプローチを踏まえた包括的な健康づくりが重要である。同時に、健診・保健指導(1次・2次予防)の利用の推進、生活習慣病の病態解明や治療法の確立、生活習慣病患者の治療の均てん化等(2次・3次予防)を進めることで、国民の健康寿命の延伸が可能になる。
令和6年度開始の健康日本21(第三次)の推進に向けて、各分野におけるさらなるエビデンスの創出が喫緊の課題である。
循環器病については、令和元年 12 月に施行された「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に基づき、令和5年3月に閣議決定された第2期循環器病対策推進基本計画に則って研究をさらに推進していく必要がある。
【事業目標】
がん以外の代表的な生活習慣病対策について、疫学研究、臨床研究、臨床への橋渡し研究を推進し、保健・医療の現場や行政施策に寄与するエビデンスの創出を目指す。
【研究のスコープ】
・「健康づくり分野(健康寿命の延伸と健康格差の縮小、栄養・身体活動等の生活習慣の改善、健康づくりのための社会環境整備等に関する研究)」においては、個人の生活習慣の改善や社会環境の整備等による健康寿命の延伸・健康格差の縮小に資する政策の評価や、政策の根拠となるエビデンスの創出を目指す。
・「健診・保健指導分野(健診や保健指導に関する研究)」においては、効果的・効率的な健診や保健指導の実施(質の向上、提供体制の検討、結果の有効利用等)を目指す。
・「生活習慣病管理分野(脳卒中を含む循環器疾患や糖尿病等の対策に関する研究)」においては、生活習慣病の病態解明やその解決策となる政策提言により、治療の均てん化、生活習慣病を有する者の生活の質の維持・向上等を目指す。
【期待されるアウトプット】
以下に各分野の代表的なものを挙げる。
○健康づくり分野:
予防・健康づくりの推進や自然に健康になれる環境づくりに資するエビデンスの創出
・ 栄養)栄養・食生活関連のエビデンスの創出
・ 運動)身体活動・運動推進のためのエビデンスの創出
・ 睡眠)適切な睡眠・休養取得のための介入方法を含めたエビデンスの創出
・ 喫煙)受動喫煙対策による社会的インパクト評価
○健診・保健指導分野:
・ 健康診査・保健指導における健診項目等の必要性、妥当性の検証
・ PHR(Personal Health Record)を扱う事業者等が健康情報等を提供するモデルの提示
・ 地域・職域連携の推進状況の評価や課題の整理、健康指標の改善に向けた地域・職域連携推進事業の活用方法の提示
○生活習慣病管理分野
・ 循環器病領域における、情報提供・相談支援プログラムや、各都道府県で使用できる有用な目標指標の作成
・ NDB データや患者調査を用いた糖尿病対策の課題の把握と、医療体制整備や予防・健康づくりにおける対応策の提示
【期待されるアウトカム】
健康日本21(第三次)を推進する上で必要なエビデンスの創出によって、施策を効果的に推進することができ、健康寿命の更なる延伸につながる。
また、特定健診等を含めた健診や保健指導の定期的な見直しに寄与する。
さらに、循環器病については、第2期循環器病対策推進基本計画に基づいた研究を推進することにより、健康寿命の延伸や循環器病の年齢調整死亡率の減少を目指す。
(2)これまでの研究成果の概要、及び政策等への活用又は実用化に向けた取組
○健康づくり分野
【課題名】「適切な睡眠・休養促進に寄与する「新・健康づくりのための睡眠指針」と連動した行動・習慣改善ツール開発及び環境整備」(令和3~5年度)
【概要】睡眠に係る最新のシステマティックレビュー等に基づいて、健康づくりのための睡眠指針 2014 の改訂案を作成した。
【成果の活用】令和5年度に開催した「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」の資料として提出され、「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」として公表となった。
○健診・保健指導分野
【課題名】「特定健康診査および特定保健指導における問診項目の妥当性検証と新たな問診項目の開発研究」(令和3~5年度)
【概要】健康診査・保健指導の問診項目の妥当性評価についてとりまとめた。
【成果の活用】第4期特定健診・特定保健指導等の見直しや「標準的な健診・保健指導プログラム」の改訂に貢献した。
○生活習慣病管理分野
【課題名】「循環器病の慢性期・維持期におけるリハビリテーションの有効性の検証のための研究」(令和4~5年度)
【概要】循環器病患者を対象とした慢性期・維持期(生活期)のリハビリの実態調査に基づいた問題点の把握、科学的根拠の収集を行うとともに、維持期・生活期リハビリを実践するためのガイドブックを作成した。
【成果の活用】循環器病患者に対する維持期・生活期リハビリの普及と、質の高いリハビリ実践のために活用される予定である。
2 令和7年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進する研究課題(増額要求等する課題)の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
○健康づくり分野
【課題名】「骨粗鬆症検診実施率・受診率向上に資する検診実施体制の見直しのための研究」
【概要】健康増進事業の一環として自治体が行っている骨粗鬆症検診について、令和6年度開始の健康日本 21(第三次)の目標指標として、「骨粗鬆症検診受診率の向上」が設定されたことを踏まえ、自治体の参考となるような、より効果的・効率的な検診の判定基準や検診実施体制の検討、好事例の収集を行う。
【成果の活用】令和6年度開始の健康日本21(第三次)の目標指標である、骨粗鬆症検診受診率や、実施率の向上に資するエビデンスの創出を行う。
○健診・保健指導分野
【課題名】「特定健康診査における問診・検査項目の必要性・妥当性の検証、及び新たな項目の検討のための研究」
【概要】令和6年度より特定健診・特定保健指導の第4期実施期間が開始となり、健診項目や保健指導の方法の一部が変更されたことによる、実施状況等への影響を踏まえ、第5期特定健診等実施計画の策定に向け、問診・検査項目の妥当性、新規項目の必要性等の検討を行う。
【成果の活用】次期特定健康診査・特定保健指導において健康診査の項目や実施体制等の見直しに資するエビデンスを構築する。
○生活習慣病管理分野
【課題名】「成人先天性心疾患に罹患した成人の社会参加に係る支援体制の充実に資する研究」
【概要】成人先天性心疾患(ACHD)の患者が抱える社会・経済的な実情・課題を踏まえた生活・就労支援に関するニーズ等の調査を実施するとともに、ACHD の患者に対する社会・経済的な支援内容の周知や、生活・就労支援の実践に向けた支援モデルの開発と試行運用等を行い、支援ツールの作成と発信等を行う。
【成果の活用】今後の成人先天性心疾患の移行期における社会生活・就労支援の支援体制を検討するための基礎資料とする。第2期循環器病対策推進基本計画(令和5年3月閣議決定)において、先天性心疾患や心筋症等の患者が社会に受け入れられ、自身の病状に応じて治療を継続し、疾患と付き合いながら就業できるよう、治療と仕事の両立支援に取り組むことが記載されており、対策を進めるための必要な支援ツールとして活用する。
(2)新規研究課題として優先的に推進する研究課題の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
○健康づくり分野
【課題名】「身体活動・運動の適切な評価及び個人差を踏まえた介入方法に関する研究」
【概要】質問紙に加えて、歩数計やウェアラブルデバイスを介して収集した PHR 情報等を用いて、自身の身体活動・運動及び座位行動に関する評価について検証し、それらを踏まえた個人の生活習慣等に応じた適切な身体活動・運動の取組を検討する。
【成果の活用】健康日本21(第三次)の身体活動・運動分野の取組の推進にあたり、ICT も活用しつつ、個人の特性を踏まえた介入手法を提案する。
○健診・保健指導分野
【課題名】「特定保健指導の効果的な実施のための研究」
【概要】効果的な保健指導の手法について、国内の複数の保険者等の保健指導実施機関を対象として実証研究を行い、特定健診・特定保健指導の階層化基準、保健指導対象者の優先順位付けにおいて必要な要素を整理し、ICT の効果的な活用を含めた特定保健指導のモデル案を作成する。
【成果の活用】第5期特定健診・特定保健指導における特定保健指導の実施方法の検討のために、本研究のエビデンスを活用する。
○生活習慣病管理分野
【課題名】「第3期循環器病対策推進基本計画における臨床指標の確立に資する研究」
【概要】第3期循環器病対策推進基本計画において指標として策定すべき臨床項目を整理したうえで、第3期循環器病対策推進基本計画で使用すべき臨床指標を提案し、指標収集のためのプロセスを明らかにする。
【成果の活用】第3期循環器対策推進基本計画で活用する臨床指標の提案。
研究事業名 免疫アレルギー疾患政策研究事業
1 研究事業の概要
(1)研究事業の目的・目標
【背景】
<アレルギー疾患>
国民の2人に1人が何らかのアレルギー疾患を有するという社会問題化している現状を踏まえ、平成 27 年に「アレルギー疾患対策基本法」が施行され、それに基づき、平成 29 年3月に「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」(以下「基本指針」という。)が告示され、令和4年3月に一部改正された。厚生労働省では改正後の基本指針に基づき、総合的なアレルギー疾患対策をさらに推進し、アレルギー疾患の診療連携体制の整備・疫学や基礎研究・臨床研究の推進を実施し、世界に先駆けた革新的なアレルギー疾患の予防・診断及び治療方法の開発等を行うとともに、これらに資するアレルギー疾患の病態の解明等に向けた研究を推進するように努めているところである。
<リウマチ性疾患>
平成 30 年 11 月に報告された「リウマチ等対策委員会報告書」の中で、今後のリウマチ対策の全体目標として「リウマチ患者の疾患活動性を適切な治療によりコントロールし、長期的な QOL を最大限まで改善し、継続的に職業生活や学校生活を含む様々な社会生活への参加を可能とする」とされている。この目標を達成するために、「医療の提供等」、「情報提供・相談体制」、「研究開発の推進」について方向性を示し、報告書に基づいた今後の課題に対して取り組んでいるところである。
<免疫アレルギー疾患研究 10 か年戦略>
免疫アレルギー疾患の総合的な研究の推進のために、平成 31 年1月に「免疫アレルギー疾患研究 10 か年戦略」(以下「10 か年戦略」という。)を発出した。戦略の目指すビジョンとして、産学官民の連携と患者の参画に基づいて、免疫アレルギー疾患に対して「発症予防・重症化予防による QOL 改善」と「防ぎ得る死の根絶」のために、「疾患活動性や生活満足度の見える化」や「病態の見える化に基づく層別化医療及び予防的・先制的医療の実現」を通じて、ライフステージに応じて、安心して生活できる社会を構築することを掲げており、3つの大きな戦略として、「本態解明(先制的医療等を目指す免疫アレルギーの本態解明に関する基盤研究)」「社会の構築(免疫アレルギー研究の効果的な推進と社会の構築に関する横断研究)」「疾患特性(ライフステージ等免疫アレルギー疾患の特性に注目した重点研究)」を掲げている。
【事業目標】
「アレルギー疾患対策基本法」や「リウマチ等対策委員会報告書」に基づく総合的な免疫アレルギー疾患対策を推進するために必要な科学的基盤を構築する。10 か年戦略のうち、当事業では特に戦略2「社会の構築」において、免疫アレルギー疾患領域における研究の現状を正確に把握し、研究者間の密接な連携体制を構築しながら、疫学研究、臨床研究等を長期的かつ戦略的に推進する。
【研究のスコープ】
<アレルギー分野>
基本指針及び 10 か年戦略に基づき、アレルギー疾患の最新のエビデンスに基づく診療ガイドラインの策定、医療連携体制の整備に資する研究、疫学研究等を推進する。
<リウマチ分野>
「リウマチ等対策委員会報告書」に基づき、リウマチ疾患分野の最新のエビデンスに基づく診療ガイドラインの策定、アンメットニーズの把握と解決に向けた研究、NDB(レセプト情報・特定健診等情報)を用いた疫学研究等を推進する。
【期待されるアウトプット】
・医療連携体制の評価・構築に関する研究によって、各都道府県の医療連携体制を評価するシステムを構築し、各地域で PDCA サイクルを回す体制の整備を行う。
・最新のエビデンスに基づいた免疫アレルギー疾患の診療・治療ガイドライン等の作成・普及によって、適正・効率的な医療の均てん化を図る。
・疫学研究を推進し、関節リウマチ並びにアレルギー疾患等の有病率等を永続的に把握する体制の確立を構築する。
・メディカルスタッフへの e-ラーニング資材開発や学校・保育所等における生活管理指導表の運用・管理体制の向上に関する研究を行い、エビデンスに基づく効率的な医療・管理体制を普及させる。
【期待されるアウトカム】
・アレルギー疾患対策基本法に基づいたアレルギー疾患の医療連携体制が整備され、すべての地域で標準的な医療が受けられる社会が構築される。
・層別化及び予防的・先制的医療の実現による有病率の低下や疾患活動性のコントロー
ルによる QOL の改善等、免疫アレルギー疾患の効率的な管理・治療が可能となる。
・疫学調査等により客観的指標を明確にし、各地域で確実な PDCA サイクルを回すことによって、免疫アレルギー疾患の診療連携や医療の質が向上する。
・エビデンスに基づく e-ラーニング資材の普及や生活管理指導表の効率的な作成ツール開発等を通じて、すべての地域で標準的なアレルギー疾患医療が受けられる体制が構築される。
(2)これまでの研究成果の概要、及び政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】アレルギー疾患患者(乳幼児~成人)のアンメットニーズとその解決法の可視化に関する研究(令和2~4年度)
【概要】自治体への調査により、「小児のアレルギー疾患保健指導の手引き」の効果判定及び調査結果に基づいた改訂版が作成され、令和5年3月に厚生労働省と日本アレルギー学会で運営しているウェブサイトである「アレルギーポータル」に公開された。
【成果の活用】本成果物は、両親学級や乳幼児健康診査等の保健指導の際に活用され、総合的なアレルギー疾患対策の推進に寄与した。
【課題名】アレルギー疾患の多様性、生活実態を把握するための疫学研究(令和2~4年度)
【概要】全都道府県に1か所以上の都道府県拠点病院が設置されて以後、初めて、拠点病院を対象とした疫学調査を実施し、主要なアレルギー疾患の有病率に関する調査結果が得られた。同結果は、令和5年度に「アレルギーポータル」に公開された。
【成果の活用】わが国のアレルギー疾患の有病率を国民向けに公開することで、アレル
ギー疾患の実態の正しい理解を促すとともに、今後の経年変化を評価する基礎資料とする。
【課題名】関節リウマチ診療ガイドライン改訂による医療水準の向上に関する研究(令和4~5年度)
【概要】関節リウマチの診療に関する最新のエビデンスを集積し、現状の診療の問題点を踏まえた関節リウマチ診療ガイドライン 2024 改訂版が作成された。日本リウマチ学会の承認を得て、令和6年4月に発行された。
【成果の活用】全国の関節リウマチに関わる医療者がガイドラインを活用することで医療水準の向上および均てん化に寄与する。
2 令和7年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進する研究課題(増額要求等する課題)の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】季節性アレルギー性鼻炎の診療実態と経済的影響等の解明のための研究
【概要】季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)はアレルギー疾患の中で最も有病率が高く、国民に与える影響が大きい疾患であり、花粉症に関する関係閣僚会議において、厚生労働省としてはアレルゲン免疫療法の普及および、正しい治療法等知識に関する周知啓発を進めているところであるが、アレルゲン免疫療法の普及推進により得られる治療効果や医療経済的効果等の情報は依然不十分である。そのために本研究では、アレルゲン免疫療法による医療費への影響も含めた経済的影響等の実態の調査および解明、及び現在の診療実態と併せて花粉症医療の評価を重点的に行う必要がある。
【成果の活用】花粉症に関する関係閣僚会議等での厚生労働省の花粉症対策の施策内容の妥当性や今後の方針を検討する上での基礎資料とする。
【課題名】介護・福祉・在宅医療現場における関節リウマチ患者支援に関する研究
【概要】高齢の関節リウマチ患者において、疾患活動性やフレイルリスク等の疾患特性についての研究が進んだことで、治療戦略等のアップデートは進んできている。他方では、介護、在宅医療現場において、高齢関節リウマチ患者に必要とされる患者支援が何か、十分調査検討がなされていない。医師、看護師、薬剤師、リハビリテーションスタッフ、社会福祉士、ケアマネージャー、患者が協同した、多職種連携による支援を充実させるために、職種毎の課題の調査検討を行うなどによって、従来の診療ガイドラインではカバーできない患者支援の充実をめざす。
【成果の活用】知見の社会実装を推進できるように患者支援ガイドの完成と普及啓発活動につなげる。
【課題名】アレルギー疾患の層別化解析、生活環境が与える影響の解明に向けた疫学研究
【概要】都道府県拠点病院を活用した全国アレルギー疾患疫学調査ネットワークの体制強化と、疫学調査の妥当性の検証を行いながら、全国のアレルギー疾患と環境や生活の質との関連を評価しながら疫学データの経年変化を調査検討する。令和6年度までに調査方法の妥当性の検討などを行い、令和7年度は3年ぶりに全国疫学調査を行うため、大規模アンケート調査を実施するために研究費増額が必要である。
【成果の活用】妥当性の担保された疫学調査に充実させ、解釈の難しいアレルギー疾患発症に関わる環境因子についての知見も蓄積させる。
(2)新規研究課題として優先的に推進する研究課題の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】診療科連携による食物アレルギー診療の確立に資する研究
【概要】食物アレルギー診療に関する知見と医療提供が不十分な、移行期・成人期の食物アレルギー患者の診療に必要な調査、および医療提供体制の整備の検討を行い、これまで小児の知見が中心だったガイドライン等の記載内容を成人患者にも対応できるようにアップデートを進める。
【成果の活用】移行期・成人期食物アレルギー患者に対する医療提供体制の確立を推進する。
【課題名】関節リウマチの診療の質の向上に資する研究
【概要】近年の厚生労働科学研究で明らかになった関節リウマチ診療のアンメットメディカルニーズや研究の成果物が、臨床や相談の現場で活用されているかどうかは把握されていない。本研究では、令和6年改訂の関節リウマチ診療ガイドライン 2024 がリウマチ診療の内容の変化を与えたかどうかも含め、研究成果が十分活用されているかどうかについて調査、検討する。
【成果の活用】臨床現場および情報提供・相談の場に研究成果を効果的に還元する方法の確立に寄与する。
【課題名】アナフィラキシー発症予防および初動対応の質向上に資する研究
【概要】アナフィラキシーの発症は、病院内外を問わずどこでも起こりうる。アナフィラキシー対策を推進することは、免疫アレルギー疾患研究 10 か年戦略で掲げた、「防ぎ得る死の根絶」を目指す上で必要不可欠である。そのためには、本疾患の発症の判断および初期対応として有効なアドレナリン筋肉注射を適切に使用できているか、実態調査と共に普及啓発を推進していく必要がある。本研究では、調査から普及啓発までをシームレスに実行するための仕組みを構築する。
【成果の活用】アナフィラキシーの実態調査から明らかとなる診断と治療に関する最新の知識の普及啓発、および令和8年度に実施予定の、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針の改正に係る検討に際して、アナフィラキシー対策の内容の妥当性を評価する基礎資料とする。
【課題名】アレルギー疾患医療都道府県拠点病院における診療体制の最適化に資する研究
【概要】アレルギー疾患医療都道府県拠点病院の機能の評価に関しては、病院の地域間格差により一律の評価基準を設定することができず、拠点病院の都道府県内での役割や、求められる機能を提起することが困難であった。本研究では、各拠点病院が担っている診療行為と、病院内のアレルギー診療チームを構成する職種・経験年数等に着目して、医療スタッフの特性と、医療提供内容の関係性の調査、検討を行う。
【成果の活用】拠点病院の維持運営に必要なスタッフ構成に関して、職種、経験年数などの特性が明らかになることで、各拠点病院でどのようなスタッフの過不足が生じているかを検討することが可能になり、医療提供体制の維持管理の質が向上する。
【課題名】アレルギー疾患対策に関する行政施策の評価に資する研究
【概要】令和8年度には「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の改正内容について検討される予定である。本研究では、前回の改正以後、行政課題の設定やそれに対する施策や研究の内容について成果等の評価を行う。特に、免疫アレルギー疾患研究 10 か年戦略に基づいた研究成果と行政施策との関係性や都道府県拠点病院
と都道府県が連携した取組に対する評価を行う。
【成果の活用】基本指針の改正の議論の質を向上させる。また、厚労科研研究成果が行政課題に対し有効かどうか評価することを目指す。そして今後の行政施策の質向上につなげる。

研究事業名 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
1 研究事業の概要
(1)研究事業の目的・目標
【背景】
新興感染症・再興感染症は、その発生のたびに治療薬の発達や予防接種の普及によって制御されてきたが、未知・既知の感染症は今後も再び猛威をふるう可能性を有している。インフルエンザや溶連菌感染症等これまで一定の流行動向をとっていた感染症が季節を問わず流行し、世界各地に拡大しているエムポックスが日本国内でも継続して確認されている。また、国際渡航の再開や社会活動の増加等により、感染症の輸入事例の増加も懸念される。
特にワクチンについては、麻疹等の VPD(Vaccine Preventable Diseases)の流行等が懸念されることを踏まえ、ワクチンの安全性や有効性を検証する質の高い疫学研究や、ワクチンの安全性等のモニタリング等に資する全国の接種記録等のデータベースを用いた研究の実施等、効果的かつ効率的な評価体制の構築等が求められている。
このような状況の中、平時における感染症危機管理機能の強化、迅速かつ正確な病原体診断を全国規模で実施できるラボネットワークの整備、感染症指定医療機関の機能の充実、感染症発生時に備えた水際対策の充実、安全性及び有効性を踏まえた費用対効果の高い予防接種体制の構築等が必要である。本事業では次の感染症危機に備えるべく、必要な行政対応の科学的根拠を示し、感染症から国民の健康を守るための研究を実施する。
【事業目標】
① 国内での発生が危惧される新興・再興感染症に対して、科学的なエビデンスに基づいた政策を立案・推進するための研究を行う。
② 次の感染症危機に備え、感染症危機対応医薬品の利用可能性確保等の感染症危機管理機能の強化に資する研究を行う。
③ 適正かつ継続的な予防接種政策を行うため、ワクチンの有効性・安全性及び費用対効果に関する評価を行うとともに、データベースを活用した効果的かつ効率的なワクチンの評価のための基盤構築や、国民等に対する情報提供に関する研究を行う。
【研究のスコープ】
① 感染症に関する危機管理機能の強化に資する研究
新たに設立される国立健康危機管理研究機構において、外国で発生している感染症や国内外で発見された新たな病原体等について情報集約を行い、情報収集・分析・発信体制の強化に資する感染症のインテリジェンスに関する研究、基礎から臨床研究にわたる感染症危機対応医薬品等の研究開発・備蓄等の包括的な危機管理能力の向上に資する研究を行う。我が国への侵入リスクや動物-ヒト間やヒト-ヒト間の伝播リスク等を評価・分析するとともに、我が国への病原体の侵入を阻止する水際対策、国内流行を早期に抑える封じ込め対策、流行のピークを抑える感染拡大防止対策、様々な状況に応じた体系的な感染予防・管理手法の検討、ナッジを用いた効果的な感染症対策の検討を行う。
② 感染症法に基づく感染症予防基本指針の改定、特定感染症予防指針の策定・改訂及び感染症対策の総合的な推進に資する研究
感染症法第 10 条に基づき、厚生労働大臣が感染症の予防の総合的な推進を図るために定めた基本指針の改訂や、同法 11 条に基づき、同大臣が特に総合対策を推進する必要があると指定した疾患について定めた特定感染症予防指針について、策定及び改訂に資する研究を行う。
③ 感染症サーベイランス機能の強化に資する研究
感染症法第 15 条に基づく感染症の発生動向の把握(サーベイランス)について、手法の開発、標準化、質の向上等を図るための調査研究を行う。
④ 予防接種施策の推進及びワクチンの評価に資する研究
予防接種法に基づいて接種されるワクチンについて、安全性や有効性(入院予防効果、発症予防効果、重症化予防効果等)に関する疫学研究や、ワクチンの費用対効果等の多角的な検討を行う。また、新たな予防接種の導入や接種方法の見直し、生産・流通及び研究開発を促進するための施策等の見直しに必要な科学的知見を創出するための研究を行う。
⑤ ワクチンの有効性等を効果的かつ効率的に評価するための体制構築に資する研究
予防接種法に基づいて、予防接種台帳における接種記録、副反応疑い報告等の情報を匿名で収集したデータベースを整備し、レセプト情報等との連結解析を行うことによって、全国規模でのワクチンの安全性等のモニタリングが可能となることが見込まれる。こうしたデータベースを用いたワクチンの安全性等の評価を実装することを目指し、解析手法その他の諸課題について、国内外の知見を踏まえた検討を行うことや、ワクチンの有効性等を評価するための疫学研究にかかる体制の整備等、効果的かつ効率的なワクチンの評価のための基盤構築に資する研究を行う。
⑥ 感染症指定医療機関等における感染症患者に対する医療体制の確保及び質の向上に資する研究
国際的に脅威となる感染症の発生に備え、感染症指定医療機関の体制や、同医療機関における診療の標準化、診療マニュアルの整備等により、感染症医療体制の構築及び整備を行う。
⑦ AMR 対策に資する研究
「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」に基づいて対策を推進するとともに、得られた科学的知見の集積や評価・分析を行う。
【期待されるアウトプット】
次の感染症危機に備え、国民の健康に大きな影響を与えうる海外の感染症に対する監視、危機管理能力を向上し、感染症インテリジェンス能力を向上するための科学的アプローチを改善するとともに、科学的根拠に基づく水際対策、国内における早期検知と封じ込め、国内流行時における医療へのインパクトを抑制するための感染症・予防接種政策を検討する上で基盤となる科学的根拠を構築する。また、パンデミックに対応する人材の育成や感染症に対する医薬品等の研究開発を行う体制の構築に必要な知見を得る。
さらに、感染症予防基本指針、特定感染症予防指針の改訂、予防接種に関する基本的な計画に関する検討のための基礎的な知見を得る。
【期待されるアウトカム】
感染症インテリジェンスの構築と機能強化、リスクアセスメント能力の向上、感染症危機発生時の診療体制や公衆衛生施策、パンデミック発生時の臨床研究体制の構築、研究開発施策、予防接種の推進、データベースを用いたワクチンの安全性等の評価体制の構築等の効果的かつ効率的なワクチンの評価のための基盤構築など、感染症の予防、準備、検知、対応に係る感染症対策の総合的な対策を推進することで、国民の健康を守る。
また、感染症予防基本指針、特定感染症予防指針及び予防接種に関する基本的な計画の改正・策定のための科学的根拠を提供することによって健康安全保障体制の構築に貢献する。
(2)これまでの研究成果の概要、及び政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】感染症危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保の方針検討に資する研究(令和4~5年度)
【概要】今後流行しうる既知の感染症や未知の新興感染症の対抗手段となる感染症危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保について、確保目標量算出のステップや被害想定を算出するモデルの検討を行った。
【成果の活用】研究の成果を厚生労働審議会感染症部会に設置された危機対応医薬品等に関する小委員会に提供し、今後の感染症危機対応医薬品の利用可能性確保の向上に必要な知見を提供した。
【課題名】新規新型コロナワクチンを含むコホート調査並びに副反応シグナル全国調査(令和5年度)
【概要】新型コロナワクチンの有効性を評価するために、国内多施設における発熱外来受診者等を対象に、症例対照研究を実施し、実社会におけるワクチンの発症予防効果等の検討を行った。
【成果の活用】国内におけるワクチン有効性に関するエビデンスとして厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会等に示されるなど、新型コロナワクチンに関する科学的知見を提供することで、我が国における新型コロナワクチンの接種方針の議論に貢献した。
【課題名】薬剤耐性(AMR)アクションプランの実行に関する研究(令和5~7年度)
【概要】医療関連感染症のサーベイランス、抗菌薬使用量・適正使用のサーベイランス、地域での AMR 対策、市民と専門家の教育啓発、経済的影響の検討を行い、日本の AMR対策への提言を行った。
【成果の活用】介護老人保健施設の抗菌薬使用状況や感染症による疾病負荷推定、抗菌薬使用量の集計結果を公開し、AMR アクションプラン(2023-2027 年度)の目標達成状況を可視化することで、今後の AMR 対策に資する知見を提供した。
2 令和7年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進する研究課題(増額要求等する課題)の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】環境中における薬剤耐性微生物及び抗微生物剤の調査法等の確立のための研究(令和5~7年度)
【概要】薬剤耐性(AMR)対策アクションプランでは、ヒト、動物等の垣根を超えた世界規模での取組(ワンヘルス・アプローチ)の視野に立ち対策を行うこととされている。
その対策を実行するために、ヒト、動物、環境それぞれで適切なサーベイランスを行うことが必要であるが、環境中における薬剤耐性菌や抗微生物薬のサーベイランス手法は未だに確立されていないため、早急に研究を進める必要がある。
【成果の活用】環境中における薬剤耐性微生物や薬剤耐性遺伝子・残留抗微生物剤がヒトや動物に与える影響を評価する調査法や研究手法を検討し、提案することを目指す。
【課題名】予防接種施策の推進及びワクチンの評価に資する研究(令和5~7年度)
【概要】新型コロナワクチンについては、令和6年度からの定期接種化の状況も踏まえて、ワクチンの有効性・安全性に関する国内の知見を継続的に収集する必要がある。
また、その他の定期の予防接種や、定期接種化を検討するワクチン(百日せきワクチン、インフルエンザワクチン、HPV ワクチン、RS ウイルスワクチン等)については、審議会における議論に対応するために、流行株予測やサーベイランスの強化、適切な接種の促進に資する評価・分析等を追加的に行う必要がある。
【成果の活用】ワクチンの有効性及び安全性に関する知見は、科学的根拠に基づく接種プログラムの設計に資するとともに、適正なワクチン接種の実施や接種後の副反応を疑う症状の実態把握や効果的な対応方法の検討等に貢献することで、我が国における予防接種の推進を実現することが期待される。
【課題名】医療デジタルトランスフォーメーション時代の重層的な感染症サーベイランス体制の整備に向けた研究(令和5~7年度)
【概要】複数の指標を用いた重層的な感染症サーベイランスシステムの整備と活用を推進するために、電子カルテに記載されている情報を発生届に適切に交換できる規格を開発している。次の感染症危機に備えて、早急に開発を進める必要がある。
【成果の活用】自治体や保健所でのサーベイランスや積極的疫学調査の迅速なデータ解析が可能となり、それぞれで科学的知見に基づいたリスクアセスメントが可能となる。また自治体で届出情報と医療レセプト情報を個人レベルで連結することにより、技術的な課題、集計・統計分析上の課題などを明らかにし、将来的な国全体の大規模データ連結・分析を円滑化できる。さらに自治体や医療機関の入力の負担を軽減できる。
【課題名】バイオテロ及び生物学的脅威に対する我が国の危機対応能力及びバイオディフェンス戦略の基盤強化に資する研究(令和5~7年度)
【概要】一類感染症やバイオテロ等に備え国際的な組織との連携を図る。また国内のBSL-4施設の運用や連携の強化を目的とし、情報共有・連携体制の強化、人材育成を行う。さらに一類感染症やバイオテロを対象とした検査体制の構築を行うとともに、バイオテロ病原体となりうる個別の疾患について、予防や診断、治療に関して研究を行い、有事に備えた対策の整備に貢献する。
【成果の活用】一類感染症やバイオテロを想定した感染症危機対応能力と、それらを運用する体制の強化が期待される。また、バイオテロ関連病原体を対象とする検査体制の基盤整備や、個別疾患へのリスク評価や疾患研究を基にした、将来の危機に対する対策の整備が期待される。
(2)新規研究課題として優先的に推進する研究課題の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】感染症対策に資する行動経済学的研究
【概要】感染症対策において、行動変容を促すための情報提供の方法について検討し、その効果検証を行う。
【成果の活用】ナッジを用いた感染症対策について検討し、近年感染者数が増加している梅毒等について、より効果的な感染症対策の手法に関する知見を提供する。
【課題名】感染症発生時の解剖体制の構築に資する研究
【概要】感染症の病態解明においては当該感染症で亡くなったご遺体の解剖の安全な実施や解析結果の迅速な集約が必要である。本研究では、全国の解剖実施施設で行われる感染症で亡くなったご遺体の解剖症例について、症例情報や検体の集約を行う。また、パンデミック発生時に感染症症例の解剖に適した設備や施設の要件を整理する。
【成果の活用】本研究で得られた成果を踏まえて、感染症発生時に病態解明や公衆衛生施策に還元できる体制を構築する。
【課題名】感染症対策分野における医療 DX 推進に関する研究
【概要】感染症サーベイランスシステムや電子カルテシステムの連携方法、検査結果情報の効率的な収集等について検討を行う。
【成果の活用】感染症に関する検査結果や届け出情報と種々のデータベースやシステムの連携方法を検討し、効率的な情報の収集方法について提案する。研究成果は国の感染症対策に資する情報基盤の構築および科学的根拠の創出に貢献する。
【課題名】生物テロ等を含む感染症危機管理機能に資する研究
【概要】国際的な人や物の往来が活発化している現代、グローバルな感染症の脅威に対する更なる対策強化が求められおり、我が国の感染症インテリジェンスを構築・強化することを目的として、実態調査等や関係組織の連携強化を行う。自然発生的な感染症に限らず、生物テロ等人為的な発生によるアウトブレイクも考慮した危機管理体制の構築に貢献する。
【成果の活用】国及び都道府県等における行政対応マニュアル、初期対応の感染症対策の手引き、行動計画、訓練実施要領等の策定および改訂等に活用し、感染症危機管理体制の整備、機能強化を図る
研究事業名 食品の安全確保推進研究事業
1 研究事業の概要
(1)研究事業の目的・目標
【背景】
食品の安全性確保については、国民の健康を守るために極めて重要であり、多くの国民が高い関心をもっている。また、腸管出血性大腸菌等による食中毒は国民の健康へ直接的に影響を及ぼすことから、科学的根拠に基づき適切に対応する必要がある。厚生労働省は、食品のリスク分析(リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーション)の考え方に基づいて食品のリスク管理機関として位置づけられており、行政課題として以下が挙げられる。
・食品等の効果的・効率的な監視・検査体制(輸入食品、食中毒対策、遺伝子組換え食品、ホルモン剤等)の整備
・食品等を介する健康被害の拡大・未然防止に係る危機管理体制の整備・充実
・国際的に認められた食品の安全性確保の衛生管理手法である Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP)の普及・定着の推進
・食品安全施策に係る効果的なリスクコミュニケーションの実施
本事業では、改正食品衛生法の施行を背景とする新しい食品衛生施策も含め、食品行政のうち、食品監視行政を中心として、科学的な根拠に基づいて推進するための研究を実施する必要がある。特に、食品等による健康被害情報を効率的に収集・分析し、迅速な拡大防止等の実施に資する研究を行う必要がある。また、研究事業を通じて、若手研究者の育成を図る必要がある。
【事業目標】
① 食品の監視指導等に資する研究などから得られた成果を、科学的根拠に基づく食品安全行政施策の企画立案・評価を含めて日本国内で活用することによって、食品安全施策の基本的な枠組みを強化する。
② 食品等を介する健康被害への対応に関し、危機管理体制を充実する。
③ 研究成果を外交交渉や、国際機関への提供などを含めた国際貢献等に活用する。
④ 若手研究者の育成により、食品衛生に係る研究の裾野を拡げる。
【研究のスコープ】
以下の5つの視点に基づいた研究を推進していく。
※各研究については視点をまたぐものもある。
○改正食品衛生法に基づく新たな食品安全施策の推進
・ 新たな食品衛生管理方法の導入に基づく検証手法の確立、並びにさらなる高度化に向けたデータ及び知見の収集に関する研究
○食品等を介する健康被害の拡大・未然防止に係る危機管理体制の整備充実
・食品等による健康被害情報を効率的に収集・分析し、迅速な危機管理の実施に資する研究
○食品の輸出拡大に向けた衛生管理の強化等、国際化対応
・ 我が国からの食品輸出促進のための、食品の衛生管理手法の国際調和及びその推進に関する研究
・ 最近の国際的動向を踏まえた、食品安全行政における国際調和と科学的根拠に裏付けされる施策の推進に資する研究
○多様化・高度化する食品技術等への対応
・ 最新の科学的知見に基づいた、国内外に流通する食品等の安全性確保のための効果的かつ効率的な監視・検査等の方法(AI 等のデジタル技術の活用を含む)並びに各種試験方法の改良・開発に資する研究
・ 国民や事業者等に対して効果的にリスクコミュニケーションを行うための手法等の開発に関する研究
○若手枠の推進による新規参入の促進
・ 食品安全行政の推進に資する研究分野における若手育成のための研究
【期待されるアウトプット】
・ 国内流通食品等における、食品衛生上の問題発生時における原因究明手法の確立、及び原因究明の迅速化を図る。
・ 食品の監視指導や安全性確保に関し、実態に即したデータを収集、整理、解析し、食品監視に関する審議会等の審議資料等を作成する。また、AI 技術等を用いてより効率的な監視・検査等を行う。
・ 食品安全に関連する科学的知見や考察をとりまとめ、コーデックス、SPS(Sanitary and Phytosanitary Measures;衛生と植物防疫のための措置)、EPA(Economic Partnership Agreement;経済連携協定)等の国際会議における外交交渉等に活用できる資料を作成する。
・ 国際会議における HACCP 等の食品衛生管理、監視指導等に関し、日本政府の対応・貢献に対する専門的助言を行う。
【期待されるアウトカム】
・ 得られた研究成果を自治体等における監視指導等の施策に反映することにより、危機管理を含む食品の安全対策が一層強化され、食中毒等による健康被害の未然防止が図られることにより、発生件数及び患者数の低下等が期待される。
・審議会等における議論を踏まえ、科学技術の進展に伴って必要となる、食品衛生に関する法令改正等に繋げることが可能となり、改正等の結果、自治体等の現場におけるより科学的な監視指導の実施、効率化等に寄与することが期待される。また、効率的にと畜検査等が行えることにより、公務員獣医師の不足解消の一端を担うことができる。
・ 国際機関への情報提供などを通じて、食品安全の向上に関する国際貢献においてわが国が高い評価を得ることが期待される。また、食品の衛生管理手法の国際調和及びその推進を行うことにより、輸出入時における食品衛生上の障壁を取り除くこととなり、農林水産物・食品の輸出額の増加につながることが期待される。
・ 効果的なリスクコミュニケーションの手法の開発、実施等を通じて、消費者、食品事業者、行政等の関係者が相互に信頼できる食品安全施策となることが期待される。
(2)これまでの研究成果の概要、及び政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】野生鳥獣由来食肉の食中毒発生防止と衛生管理ガイドラインの改良に資する研究(令和3年度~5年度)
【概要】シカ、イノシシ等の野生鳥獣の病原体保有状況を調査し、食肉処理に際してのリスクを明らかにするとともに、処理に当たっての衛生管理手法の確立、狩猟者、処理者等に対する情報提供等を行った。
【成果の活用】病原体等の汚染実態調査の結果を踏まえ、野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)を改訂したほか、ジビエハンター研修や日本学術会議の公開シンポジウムにおいて研究成果を発表・周知するなど、狩猟者や国民等への情報提供・啓発を行った。
【課題名】広域食中毒発生時の早期探知のための調査の迅速化及びゲノム解析技術を利用した調査法の確立に資する研究(令和6年度継続中)
【概要】食品・臨床等由来菌株のゲノム情報を収集・解析し、全ゲノムシークエンス DB の拡充を行い、次世代の食中毒早期アラートシステムの構築を行った。また、MLVA 法( 菌株の遺伝的同一性を調べる分子疫学解析手法の一つ)の精度管理を行った。
【成果の活用】次世代食中毒アラートの構築により、食中毒の早期検知、疫学調査の迅速化等のほか、原因を究明することで、食中毒の未然防止に資することが期待できる。
また、精度管理によって、地方衛研等の検査精度が向上した。
【課題名】動物性食品輸出の規制対策の強化に資する研究(令和6年度継続)
【概要】EU や米国等における規制に対応すべく、動物性食品中のスチルベン類等の残留物質等の分析法開発を行い、妥当性評価も行った。また、わが国におけると畜場 HACCPを科学的に支援するための研究を行ったほか、都道府県等における検査員等に対する研修支援を行った。
【成果の活用】輸出先国から求められる国内でのモニタリング検査を行うための検査法を確立し、輸出認定と畜場等の衛生管理を向上させること等により、食肉等の動物性食品の輸出拡大に繋がることが期待できる。
2 令和7年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進する研究課題(増額要求等する課題)の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】食品中の自然毒等のリスク管理のための研究
【概要】温暖化に伴い、ふぐ等の毒魚の漁獲海域の変化や、貝類の毒化等がみられるようになった。食品へのこれらの混入対策も含め、最新の実態・知見等を踏まえた効果的な対策等が求められている。また、有毒植物等による食中毒が毎年後を絶たず、消費者に対する正確な情報提供も必要となっている。
【成果の活用】雑種ふぐの発生状況、貝類の毒化等の実態を把握し、そのリスクを評価することにより、しらす加工品への稚魚混入等に係る対策の検討が可能となる。また、
「自然毒等のリスクプロファイル」の更新により、健康被害が懸念される植物性自然毒の摂取に係る効果的な注意喚起が可能となる。
【課題名】ワンヘルス・アプローチに基づく食品由来薬剤耐性菌のサーベイランスと伝播機序解明のための研究
【概要】「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2023-2027」において、ヒト、動物(家畜含む)、農業、食品、及び環境の各分野において薬剤耐性菌の動向を把握し、薬剤耐性に係る施策を評価し、課題を明らかにすることが求められている。また、WHO は加盟国の特定の病原菌に関する AMR データを収集する Global Antimicrobial Resistance Surveillance and Use System (GLASS)を推進しており、研究班で得られたデータ提供への協力が求められている。
【成果の活用】サーベイランスを実施する各研究機関、大学等の専門家のネットワークを用いて実施体制の強化を行い、動物性食品の薬剤耐性菌の動向調査・薬剤耐性機序に関する研究を実施するとともに、薬剤耐性菌及びそのゲノム情報を国立感染症研究所薬剤耐性研究センター耐性菌バンクに集約するとともに、その知見を GLASS に提供する。
(2)新規研究課題として優先的に推進する研究課題の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】食品取扱現場における効果的なウイルス汚染対策の策定に関する研究
【概要】ノロウイルスによる食中毒被害の低減のためには、食品の製造工程や食品取り扱いの環境においてウイルスの不活化等の対策を取る必要がある。しかし、これまでノロウイルスの実用的な培養系が存在しなかったため、直接的なノロウイルスの不活化条件が提示できないことが課題となっている。本課題においては、ノロウイルスの検査法整備や食品製造施設等における対策の構築に資する知見の集積を行う。
【成果の活用】研究で得られる知見は、食品検査法の整備、食品取り扱い環境でのノロウイルス対策に大きく貢献することが期待できる。特に、食中毒の原因究明、汚染経路の特定は、食中毒未然防止のための知見となるほか、ノロウイルス対策の具体的条件の提示は HACCP に沿った衛生管理に資することが期待される。
【課題名】ウエルシュ菌による食品の汚染実態把握及び検査法開発による同菌食中毒の制御のための研究
【概要】近年ウエルシュ菌食中毒の減少傾向が見られない要因として、飲食店や大規模調理施設等における調理の管理が適切に行われているか実態が不明なこと、原因食品を特定できない事例が多いこと、エンテロトキシン産生菌の汚染源が明らかになっていないこと等が挙げられる。本課題においては、飲食店等における調理工程の管理に関する情報を収集するとともに、食品中のウエルシュ菌の検査法の開発を行い、食品における汚染状況の調査も行う。
【成果の活用】飲食等においてウエルシュ菌食中毒予防のために適切な調理がどの程度行われているか、実態を把握できる。
食中毒の原因となるエンテロトキシンを産生するウエルシュ菌の検出が可能となることにより、大規模な食中毒対策等が可能となる。
【課題名】食品等を介する健康被害の拡大・未然防止に係る危機管理体制の整備・充実のための研究
【概要】令和 6 年に発生した紅麹製品による健康被害事案を発端に、いわゆる健康食品等に含有される化合物等に着目し、その危害等を洗い出すとともに、その物質の特性等を明らかにし、発生要因等を解明する。
【成果の活用】自治体等に危害の要因となる物質の特性、発生要因等を示すことにより、再発防止を図るとともに、同様の食品による健康被害の未然防止に繋げることができるため、国・自治体等の危機管理体制が充実する。
【課題名】食肉・食鳥肉の検査等を効率的・効果的に実施するためのデジタル技術を応用した手法の開発のための研究
【概要】人口減少に伴い、特に地方における公務員獣医師(と畜検査員等)が不足している。そのため、と畜検査員等が行う、と畜検査、食鳥検査の疾病判断において、AI等のデジタル技術の活用の可能性、実現性について検討するとともに、病理等の画像によるスクリーニング診断 DB の構築、当該研究モデルと畜場及び自治体における試行を行い、抽出された課題も踏まえ、検討する。
【成果の活用】成果に関しては、その後必要に応じて専門家等の意見を聞く場(検討会等)における検討も行い、最終的には、自治体に対し、DB を活用した効率的な検査法等に関する情報提供を行う。

研究事業名 化学物質リスク研究事業
1 研究事業の概要
(1)研究事業の目的・目標
【背景】
わが国において日常生活で使用される化学物質の種類は年々増加し、数万種に及ぶとされている。その用途も多様であり、様々な場面で国民生活に貢献している反面、化学物質のヒトへの暴露形態も多様化している。化学物質によるヒトへの健康影響は未然に防がなければならない一方で、どんな化学物質にいつ、どのように、どの程度暴露しているかといった情報をすべて把握することは不可能である。しかしながら、そのような状況でも可能な限り情報を収集して化学物質のリスク評価、リスク管理を行うことは重要である。
また、国際的には動物愛護の観点から代替試験法の開発が進められているほか、2023年には国連環境プログラムが事務局となる「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC:Global Framework on Chemicals)」が採択され、引き続き化学物質が健康や環境に及ぼす影響等のデータの収集・公開等により適正に管理していくことの必要性が再確認されている。今後、GFC に関する国内での取り組みを進めるべく、環境省を中心に国内実施計画を策定していく見込みである。さらに、国連の持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)におけるターゲットにおいても、化学物質対策に関連するものが掲げられており、SDGs アクションプラン 2023(令和5年3月 SDGs 推進本部決定)において、国際的な化学物質管理規制の協調等が掲げられている。これらの国際的な動向に対応し、さらにリードしていくには、科学的な裏付けが重要となっている。
【事業目標】
化学物質を利用する上でのヒトへの健康影響を最小限に抑え、また、国際的な動向に対応することを目的として、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下「化審法」という。)、「毒物及び劇物取締法」(以下「毒劇法」という。)、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(以下「家庭用品規制法」という。)の科学的な基盤を確立する。
【研究のスコープ】
・化学物質の有害性評価の迅速化・高度化(動物実験代替を含む)・標準化に関する研究
・先進マテリアルのヒト健康への影響評価に関する研究
・シックハウス(室内空気汚染)対策に関する研究
・家庭用品に含まれる化学物質の健康リスク評価に関する研究
・内分泌かく乱物質の影響評価に関する研究
【期待されるアウトプット】
本事業により各種化学物質の安全性評価法の確立や、確立した試験法の経済協力開発機構(OECD)テストガイドライン(TG)への反映が期待される。また、動物を用いない試験法(試験管内で実施可能なものや計算科学的なものなど)の確立も期待される。
【期待されるアウトカム】
本事業により確立された試験法や OECDTG などの評価法は、国民の日常生活で使用される化学物質の有用性を踏まえた上でのヒト健康影響を最小限に抑える種々の行政施策の科学的基盤となる。
また、本事業による OECD テストガイドラインの確立は国際的な化学物質管理の推進に貢献することが期待される。加えて、動物を用いない試験法の確立は、化学物質評価の迅速化・効率化にも寄与することが期待される。
さらに、これらを関係法令等に基づく各種施策へ活用することによって、国民生活の安全確保に寄与するとともに、産業界に対してもより合理的な化学物質対策の実施が可能となることが期待される。
(2)これまでの研究成果の概要、及び政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】OECD プロジェクトでの成果物を厚生労働行政に反映させるための研究(令和3~5年度)
【概要】化学物質やその混合物の安全性を評価するため、日本で開発された種々の試験法を国際的に公定化等するための対応を行った。具体的には、OECD テストガイドラインへの反映(皮膚感作性試験代替法重量法を含む TG442C 及び皮膚感作性試験代替法IL-8 Luc assay を含む TG442E の改定)や、免疫毒性の有害性発現経路(AOP)の修正(AOP No.30 として i-library に収載)等を行った。
【成果の活用】各種有害性発現経路の解明やテストガイドラインの開発によって、より精緻で簡便な試験法等が増え、欠失している毒性情報を補うことにより、化審法のリスク評価時への応用や今後新たな視座によるさらなる試験方法の開発が期待される。
また、TG442C 等の皮膚感作性試験については、家庭用品規制法における検討対象物質選定スキームへの活用も期待できる。
【課題名】室内空気汚染化学物質の標準試験法の開発・規格化および国際規制状況に関する研究(令和3~5年度)
【概要】シックハウス検討会が示す室内空気中化学物質の採取方法と測定方法について、サンプリング・分析機器等の技術進展に応じた測定方法のリバイスを行うとともに、開発した標準試験法について、国内規格化および国際規格化を行った。具体的な成果として、室内濃度指針値を設定している物質(DnBP 及び DEHP)について改定指針値に対応した固相吸着―加熱脱離法による標準試験法を策定したこと、また「ODS固相ディスクまたは SDB 共重合体カートリッジによるサンプリング方法と溶媒抽出・分析方法」が ISO 16000-33 の Annex B に追加された等がある。
【成果の活用】DnBP 及び DEHP の標準試験法については、2024 年の公表に向けて作業を進めているところであり、国内で統一化された試験法の利用が進むことにより、画一的なデータの取得が可能になることが期待される。
【課題名】In silico 予測手法の高度化と New Approach Methodology の活用に基づく化学物質の統合的ヒト健康リスク評価系の基盤構築に関する研究(令和3~5年度)
【概要】in silico 評価手法や代謝予測に基づく反復投与毒性リードアクロスモデルの高度化に向けた知見を蓄積した。また、ヒト毒性エンドポイント予測に関する機能の大きな改良が行われた QSAR Toolbox ver.4.5 において、本研究班から提供したデータにより、収録化合物数を拡張することができたこと、2021 年より開始された OECD QSAR Assessment Framework プロジェクトにおいてとりまとめたガイダンス文書(2023 年8月公開)の開発に助力したこと等国際的にも貢献をした。
※QSAR:Quantitative Structure-Activity Relationship の略語で、数理モデルを用いて化学構造を基に化学物質の有害性を推計する手法のこと
【成果の活用】本研究で得られた QSAR に関する知見や他の in silico/in vitro 試験法と組み合わせた新しいアプローチ方法論(NAM:New Approach Methodology)を化審法等で行うリスク評価に活用するとともに、動物を使用しない代替試験を実現することが期待される。
2 令和7年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進する研究課題(増額要求等する課題)の概要、及び期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】国内外で開発され OECD で公定化される NAM を活用した試験法の行政的な受け入れに対応するための研究
【概要】本研究は、全身毒性の評価系として、発がん性、皮膚感作性あるいは、肝/腸管/腎毒性などを対象とした、in vitro/in silico の試験法や、複数臓器の連携による人体摸倣システム(MPS)を用いた試験法を開発あるいは改良すること、また、免疫毒性試験法、皮膚感作性試験法、非遺伝毒性発がん試験法(Bhas 42 形質転換試験)、in vitro 薬物動態試験等を順次テストガイドライン等に公定化していくことを目的とする。特に、OECD での NAM のテストガイドライン化の推進を踏まえ、多施設で共同かつ並行して開発を進めて、動物実験を代替する試験法の実現を早急に進める必要がある。
【成果の活用】腎毒性に係る動物実験代替法や皮膚感作性にかかる in silico の試験法等を開発し、その成果を OECD の試験法ガイドラインプログラム各国調整官作業グループ(WNT:Working of the National Coordinators of the Test GuidelinesProgramme)において、試験の実施と評価のための戦略的統合方式(IATA:IntegratedApproaches to Testing and Assessment)などの世界各国が必要とする NAM を用いたTG 等として公定化させ、それらを化審法や毒劇法などの我が国の厚生労働行政に活用していくことを想定している。
【課題名】化学物質による抗甲状腺作用および次世代影響の評価手法開発に関する総合研究
【概要】化学物質による妊娠期の甲状腺機能低下は、発達神経毒性等の次世代影響を誘発することから、OECD ガイドライン試験において甲状腺機能関連指標の検索が追加された。しかしながら、化学物質の抗甲状腺作用を評価するための統一的な手法はいまだ存在せず、次世代影響の発現機序および適切に評価するためのエンドポイントも不明である。そのため、既存試験を活用した抗甲状腺物質の効率的な検出および次世代影響の新規評価手法を確立するとともに、有害性発現メカニズムの解明ならびにその in vitro 評価系開発への応用を早急に進める必要がある。
【成果の活用】最も鋭敏または機序の特定に有用な指標を特定し、効率的な新規評価法を確立するとともに評価に寄与する新規バイオマーカーを明らかにし、既存試験を活用した、簡便かつ鋭敏な抗甲状腺物質検出法を提案することを想定している。また、甲状腺機能への影響を評価可能な in vitro スクリーニング試験法の開発等を想定している。
【課題名】発生毒性リスク評価に資するシグナル伝達かく乱作用を基にした NAMs の開発
【概要】化学物質による胚・胎児影響はヒトとの種差が大きいため、既存の動物を用いた発生毒性試験は、莫大なリソースが必要である。そのため in vitro 動物試験代替法の開発が進められているが、現時点において発生過程を網羅的に評価可能な実用に足る in vitro 試験系は存在しない。したがって、NAMs に基づくヒトへの外挿性が高くリスク評価が可能で、低コスト、高スループットな発生毒性試験法を早急に開発する必要がある。
【成果の活用】発生毒性評価法を有害性評価値の導出に寄与できる定量的な指標を得ることが可能な試験系として確立することで、化審法における化学物質におけるリスク評価(優先化学物質の選定や、第二種特定化学物質判定のための有害性評価値の設定等)への活用を想定している。
(2)新規研究課題として優先的に推進する研究課題の概要、及び期待される研究成果の政
策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】毒物又は劇物の指定等にかかる判定基準の策定に資する研究
【概要】毒物及び劇物取締法に基づき指定される毒劇物の判定基準については、欧州を中心とした動物愛護の議論を含め、適切な代替試験法の開発の必要性が薬事・食品衛生審議会等で指摘されている。また、吸入暴露による毒性データは、その重要性にもかかわらず、得られにくい状況になっている。そのため、毒劇物の判定、特に吸入暴露に対応する判定を適切に評価可能な in vivo 及び in vitro の代替法の開発を目的としている。
【成果の活用】動物を用いない代替試験法あるいは使用動物数の削減に資する試験法及び評価法を開発し、通知による公表等を想定している。
【課題名】Ames/QSAR の化審法新規審査への実装
【概要】2014 年に医薬品規制調和国際会議が作成した、品質・安全性・有効性の複数領域に関わるガイドライン ICH-M7 において、医薬品中不純物の変異原性評価に QSAR の利用が認められた。これを期に、世界各国の QSAR ベンダーは自社が開発した QSAR ツールの改良を重ね、高い感度で、Ames 試験で陽性となる物質の同定に成功している。
現在、化審法においては Ames/QSAR の結果は参考データとして供されているが、今後、増え続ける新規化学物質(特に低生産、少量新規)の変異原性評価の効率化と、QSARツールの進化を目的とする。
【成果の活用】QSAR 結果の偽陽性、偽陰性を減らすことにより QSAR による予測精度を85%にまでに改良し、実質、Ames 試験と同価となった QSAR ツールを化審法新規審査時に活用する。
【課題名】化学物質のリスク評価のための暴露情報の取得と利活用に関する研究
【概要】化学物質のリスク評価に基づく基準値の設定のためには、当該化学物質自体の有害性というハザード評価に加え、その化学物質の摂取時の各臓器における暴露濃度、血中濃度、代謝・排泄など体内動態に関する情報が必要である。ハザード評価がなされている化学物質は多いものの、リスク評価のために必要な暴露評価がなされたものは少なく、リスク管理という行政施策に生かすことができてていないことが大きな問題となっている。
【成果の活用】化審法、毒劇法、家庭用品規制法に関し、新規に規制対象候補となっている化合物(化審法における優先評価化学物質等)や基準値の見直しが行われる化学物質について評価を行うために必要な暴露関連データやその収集方法についての知見を得ることで、直接的に法規制に活用できる。
【課題名】変異原性評価に係るヒト iPS 細胞由来オルガノイドを用いた動物試験代替法の開発
【概要】化合物によるヒトへの変異原性の評価において、現状で最もヒトへの外挿性が高い試験法は遺伝子改変げっ歯類を用いた in vivo 試験であるが、世界的には動物試験を削減する方向にある。本研究では、動物福祉へ寄与し、in vivo 試験の費用・期間に対して 9 割以上のコストを削減することが期待されていることから、高精度か
つ、ヒトへの外挿性をもつ動物試験代替法を開発する。
【成果の活用】新規動物代替法は、がん原性にかかる証拠の重み付けに基づく評価を行う際に活用されるとともに、OECD で国際ガイドライン化されることも目指す。
【課題名】定量的化学物質発がん性予測へ向けたクロスプラットフォームに対応するゲノム恒常性評価の新規手法開発のための研究
【概要】化学物質の円滑なリスク評価のために、ゲノム・遺伝毒性評価結果を、発がん性定量定性評価を筆頭とした多様な毒性評価手法へ統合することを試みる。
【成果の活用】毒性試験の代替として、動物実験に関する 3R の原則、薬物代謝、組織特異性等を見据え開発した新規プラットフォーム毒性評価手法から得られる結果は、発がん性試験との相関解析等にも適用可能となり、基盤的な研究手法として活用することが見込まれる。


難易度分類(数字が低いほどコメントしやすい&すべきもの)
総合12 易
難易度2 ★★☆
生活影響度2 ★★☆
分量1 ★☆☆
専門性2 ★★☆
理科系知識1 ★☆☆
下調要否2 ★★☆
法令読込要否2 ★★☆


#60918  02.厚労省 ④その他

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平成平成プロフィール
・昭和38(1963)年生まれ
・岡山の田舎町(兼業農家)で育つ
・高校卒業後上京。S台予備校、大学の経済学部を経て某製造メーカーに入社
・2年目より当時の大蔵省に2年間出向
・20代終盤にはロンドンに2年間滞在
・40歳を機に外資系医薬メーカーに転職
・その後3度目の転職(内資系)を経て現在に至る

パブコメとの出会い
・2018年の運転免許証の西暦表示案件で初めてコメント送付。意見が反映されることを経験し、「今後もコメント出し続ける」ことを決意。年間百件以上、コメント送付。
・仲間のサポートにより、ブログ立ち上げ。
・当初は「自分一人だけでも出し続ける」という感じだったが、コメントの輪を拡げるべく、ブログ内容を鋭意改善中。

なぜこのブログをやってるか
・個々人の意見を行政や政府に気楽に出せる手段がパブコメです(パブコメ以外にも、首相官邸、衆参両議院でも意見受付しています)。
・SNSや飲み会で愚痴っているだけでは何も変わりません。
・ましてや「どうせ、なるようにしかならないから、何もしない」という態度は、その筋の思惑通りで、「家畜化」への道まっしぐらです。
・このままでは日本は本当にダメになってしまいます。行動あるのみ!

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