2021/09/29
【10/2(土) 締切】食品 農薬
「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(農薬等(MCPA等48目)の残留基準の改正及びゲンチアナバイオレット試験法の設定)に関する御意見の募集についてhttps://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210202&Mode=0
〇解説
48品目もまとめて出されても、読み切れないですね。
うち40品目は「はちみつ」の項でさらっと記述されています。その中に悪名高い「グリホサート」が入っています。このADIは別のところで決められたものですが、グリホサートの基準値の緩さにはあきれますね。欧米では禁じられている成分なのに。
はちみつ内の基準値としては他の成分と同様、0.05ppmですが、40品目すべてで上限値ギリギリまで残留していても大丈夫なんでしょうか?
多くの成分で、基準が緩められているのは相変わらずですが、今回、「動物用医薬品ゲンチアナバイオレット」については、珍しく「食品安全委員会は、GVについて遺伝毒性を示す可能性を否定できず、発がん性が示唆されたことから、ADIを設定すべきでないと判断した。」ということで、「ゲンチアナバイオレットについては、食品に含有されるものであってはならないとする食品規格を設定することが妥当である。」とされています。こういう判断をどんどんすべきですね。
〇コメント例
<共通>
・承認農薬の成分数だけで1,842種、添加物829種、遺伝子組換食品380種、飼料100種、抗生物質、ホルモン剤、ゲノム編集成分など、全部合わせれば驚くべき数字。
そのような状況にも関わらず、審査の段階では単品の成分で影響を確認するにとどまっている。複合効果を検証しろと意見を出しても「複数の化合物への暴露については、現段階では国際的にも、評価手法として確立したものはなく、検討段階にあることから、現段階では総合的な評価は困難であると考えている。FAO/WHOでは、JMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)やJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)において、複数の化合物への暴露に対するリスク評価手法について検討することとされていることから、引き続き、最新の情報収集に努めてまいります。」という「先送り」状態。
複合影響の検証方法が確立されるまで、新規の承認を停止、残留基準はゼロとするか、既存の基準値の安全係数を1,842(承認農薬の成分数)に設定して基準を見直すべき。
【1】農薬MCPA
・長期暴露評価において、幼小児のEDI/ADI(%)は77.5と非常に高い数値となっている。ちょっとしたことで100を超えかねない数字なので、ADI基準を厳しくすべき。
・食品別の基準値案は機械的に算出し、厳しくなるものあり、緩くなるものありとなっているが、EDI/ADI比が高いことを勘案し、すべての食品で基準を厳しくするように見直すべき。
【2】農薬MCPB
ほとんどの食品で基準値が厳しくなっているのは評価できるが、みかん等の果物で緩くしているのは納得できない。果物を大量に摂る人は、慣行農法の果物は食べちゃいけないということですね。
【13】動物用医薬品ゲンチアナバイオレット
「食品安全委員会は、GVについて遺伝毒性を示す可能性を否定できず、発がん性が示唆されたことから、ADIを設定すべきでないと判断した。」ということで、「ゲンチアナバイオレットについては、食品に含有されるものであってはならないとする食品規格を設定することが妥当である。」としていることに賛成です。本成分は、「遺伝毒性が否定できない」ということで、こういう結論に至っていますが、さらに踏み込んで、遺伝毒性云々の前に、発がん性が確認されれば、即食品に含有されてはならないという結論に導くべきです。わが国民の健康を真っ当に考えているなら、そうなるはずです。
【17】農薬2,4-ジクロロフェノキシ酢酸
・長期暴露評価において、幼小児のEDI/ADI(%)は37.0と比較的高い数値となっている。食習慣によっては100を超えかねない数字なので、ADI基準を厳しくすべき。
・「オーキシン作用により植物の分裂組織を異常に活性化して奇形を生じ、さらに呼吸の異常増進等によって生理機能を撹乱させることにより、除草効果を示す」という怖い農薬で、発がん性を示す試験結果があるのですから、残留は禁止すべきです。食品別基準値案で、麦や果物等で基準値が緩められているのは、論外です。
【21】農薬ジメテナミド
・ほとんどの食品で基準値を0.01ppmにしている点はいいのですが、小豆類で 0.05にゆるめられていたり、てんさい、かぶ類の葉、ホップで0.01を超えたままなのは、是正すべきです。すべて0.01ppmにしてくだい。
【22】農薬スピネトラム
・長期暴露評価において、幼小児のEDI/ADI(%)は45.2と高い数値となっている。食習慣によっては100を超えかねない数字なので、ADI基準を厳しくすべき。
・ADIが高いせいか、全体的に基準値が緩くなっている。なかには、だいこん類の葉、こまつな、チンゲンザイのように二桁のままのものもあり、このまま放置すべできない。
【39】農薬ベンゾビンジフルピル
・「ミトコンドリアの電子伝達系複合体II(コハク酸脱水素酵素)を阻害することで、菌の発芽管伸長阻害、胞子発芽阻害、菌糸生育阻害を引き起こし、殺菌作用を示す」危険な殺菌剤で、かつ発がん性を示す試験結果があるのですから、残留は禁止すべきです。そんな中で、食品別基準値案で、大豆、らっかせい、さとうきび等で基準値が緩められているのは、論外です。
【41】農薬ホスチアゼート
・有機リン酸系の非常に危険な物質で、長期暴露評価において、幼小児のEDI/ADI(%)は61.3と非常に高い数値となっている。ちょっとしたことで100を超えかねない数字なので、ADI基準を厳しくすべき。
・食品別基準値は、多くで厳しくなっているのは良しとしても、本来全面禁止すべきレベルであるにもかかわらず、一部(かぶ類の葉、こまつな、ちんげんさい、レタス、ねぎ等)で基準値を緩めるのは、もってのほか。
【45】農薬メタフルミゾン
・長期暴露評価において、幼小児のEDI/ADI(%)は34.9と比較的高い数値となっている。食習慣によっては100を超えかねない数字なので、ADI基準を厳しくすべき。
・「昆虫の神経細胞のナトリウムチャネルに作用し、神経系の情報伝達を阻害することにより殺虫効果を示す」という怖い農薬で、発がん性を示す試験結果があるのですから、残留は禁止すべきです。
・食品別基準値案で、一部で緩くされているのみならず、かぶ類の葉では60,ケール、こまつな40,レタス80,などの数値を見ると、国民の健康はないがしろにされている感を強く持ちます。
<はちみつ>
・長期暴露評価にて、1日当たりの推定摂取量の ADI に対する比は、いずれも0.05%未満としているが、全く摂らない人とが平均値に含まれてしまうので、はちみつ好きの人間は場合によってはその比率が100を超える場合もありうる。よって、ADIは厳しめに読み替えるべき。
・従来の基準値は実質的に0.01ppmであったものが、今回の算出法では、保温殿成分が0.05ppmに緩和されている。はちみつ好きの人間あてに「大量摂取する場合は、有機のはちみつを摂取してください。農薬含有のはちみつには健康リスクがあります」という広報・表示を必須としてください。
・欧米諸国で使用(残留)が禁じられているグリホサートの基準が0.05となっています。ゼロないしは0.01にしてください。
○概要
1.改正の趣旨
厚生労働大臣は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第13条第1項の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品の製造等の方法の基準又は成分の規格(以下「規格基準」という。)を定めることができ、規格基準が定められたものについては、同条第2項の規定により、規格基準に合わなければ販売等を行ってはならないこととされているところ、規格基準は食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)において定められている。
告示において、食品中に含有される農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下「農薬等」という。)の成分である物質につき、食品ごとにその許容される量の限度(以下「残留基準」という。)が定められている。
今般、内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価が行われた農薬等について、当該評価結果を踏まえ、国際基準、国内外での使用等を考慮した残留基準の改正を行う。
なお、当該残留基準案は、農薬等により人の健康を損なうおそれのないよう規格基準を定めるものであり、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会(令和2年12月4日、令和3年5月18日及び7月7日)の審議において了承されている。
2.改正の概要
(1)農薬等
食品中の以下の農薬等の残留基準を改正する(詳細は別紙1参照)。
【1】農薬MCPA 【2】農薬MCPB
【3】農薬アシノナピル 【4】農薬アミスルブロム
【5】農薬アメトクトラジン 【6】農薬イマザピル
【7】農薬及び動物用医薬品エトキサゾール 【8】農薬オキサチアピプロリン
【9】農薬カスガマイシン 【10】農薬グリホサート
【11】農薬クロラントラニリプロール 【12】農薬クロルフルアズロン
【13】動物用医薬品ゲンチアナバイオレット 【14】農薬シアゾファミド
【15】農薬シエノピラフェン 【16】農薬シクラニリプロール
【17】農薬2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 【18】農薬シフルフェナミド
【19】農薬及び動物用医薬品ジフルベンズロン 【20】農薬シフルメトフェン
【21】農薬ジメテナミド 【22】農薬スピネトラム
【23】農薬及び動物用医薬品スピノサド 【24】農薬ゾキサミド
【25】農薬テトラニリプロール 【26】農薬ピカルブトラゾクス
【27】農薬ピラジフルミド 【28】農薬ピリオフェノン
【29】農薬ピロキサスルホン 【30】農薬フェンピコキサミド
【31】農薬フェンヘキサミド 【32】農薬フルオキサストロビン
【33】農薬フルキサメタミド 【34】農薬フルチアニル
【35】農薬フルトラニル 【36】農薬ブロフラニリド
【37】農薬プロヘキサジオンカルシウム塩 【38】農薬ヘキシチアゾクス
【39】農薬ベンゾビンジフルピル 【40】農薬ベンチアバリカルブイソプロピル
【41】農薬ホスチアゼート 【42】農薬マンジプロパミド
【43】農薬マンデストロビン 【44】農薬メソトリオン
【45】農薬メタフルミゾン 【46】農薬メチルテトラプロール
【47】農薬メトラフェノン 【48】農薬メフェントリフルコナゾール
(2)試験法
ゲンチアナバイオレット試験法を新たに設定する(詳細は別紙2参照)。
3.根拠条項
食品衛生法第13条第1項
4.適用期日等
告示日:令和3年12月中旬(予定)
適用期日:告示日
ただし、一部の新たに設定した品目及び規制の強化に当たる品目については、告示の日から起算して1年を経過した日から適用する。
●食品別基準値案(30ページ)
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000224251
●参考資料
【1】農薬MCPA
今般の残留基準の検討については、魚介類への基準値設定依頼が農林水産省からなされたこと及び海外機関から「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づく残留基準の設定要請がなされたことに伴い、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値(いわゆる暫定基準)の見直しについて、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:MCPA[ MCPA (ISO) ]
以下の塩、エステル体を含む。
MCPAナトリウム塩[ MCPA-sodium salt (ISO) ]注)
MCPAエチル[ MCPA-ethyl (ISO) ]注)
MCPAジメチルアミン塩[ MCPA-dimethylammonium (ISO) ]
MCPA 2-エチルヘキシルエステル[ MCPA-etexyl (ISO) ]
注)国内で農薬登録のある有効成分。
(2)用 途:
除草剤
フェノキシ系の除草剤である。オーキシン様作用により植物の細胞分裂を活性化して異常成長を発生させ、除草効果を示すと考えられている。
2.適用の範囲及び使用方法
本剤の適用の範囲及び使用方法は以下のとおり。
また、茶に係る残留基準設定についてインポートトレランス申請がなされている。
本剤は、MCPB(塩及びエステル体を含む。)の使用由来で残留が認められるが、MCPBの適用の範囲及び使用方法はMCPBの報告書を参照。
7.ADI及びARfDの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号及び第2項の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたMCPAに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:0.19 mg/kg 体重/day
(動物種) イヌ
(投与方法) 混餌
(試験の種類)慢性毒性試験
(期間) 1年間
安全係数:100
ADI:0.0019 mg/kg 体重/day
(2)ARfD
無毒性量:32.0 mg/kg 体重/day
(動物種) マウス
(投与方法) 混餌
(試験の種類)発生毒性試験
(投与期間) 妊娠6~15日
安全係数:100
ARfD:0.32 mg/kg 体重
8.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われ、2012年にADI及びARfDが設定されている。国際基準は豆類、小麦等に設定
されている。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国において小麦、えんどう等に、カナダにおいて小麦、豆類等に、EUにおいて小麦、豆類等に基準値が設定
されている。
9.基準値案
(4)暴露評価
① 長期暴露評価
1日当たり摂取する農薬等の量のADIに対する比は、以下のとおりである。詳細な暴露評価は別紙3参照。
EDI/ADI(%)注)
国民全体(1歳以上) 26.2
幼小児(1~6歳) 77.5
妊婦 29.5
高齢者(65歳以上) 24.7
注)各食品の平均摂取量は、平成17~19年度の食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書による。
EDI試算法:作物残留試験成績の平均値×各食品の平均摂取量
【2】農薬MCPB
今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたことに伴い、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値(いわゆる暫定基準)の見直しについて、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:MCPB[ MCPB (ISO) ]
以下の塩、エステル体を含む。
MCPBナトリウム塩[ MCPB-sodium (ISO) ]
MCPBエチル[ MCPB-ethyl (ISO) ]注)
注)国内で農薬登録のある有効成分
(2)
用 途:除草剤/植物成長調整剤
フェノキシ系の除草剤である。オーキシン様作用により植物の細胞分裂を活性化して異常成長を発生させ、除草効果を示すと考えられている。また、植物成長調整剤として、かんきつの冬期落葉防止等の目的で使用されている。
5.ADI及びARfDの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号及び第2項の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたMCPBエチル及びMCPAに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
①
MCPBエチル
無毒性量:1.24 mg/kg 体重/day
(動物種) 雌ラット
(投与方法) 混餌
(試験の種類)2世代繁殖試験
(期間) 2世代
安全係数:100
ADI:0.012 mg/kg 体重/day
②
MCPA(代謝物 C)
無毒性量:0.19 mg/kg 体重/day
(動物種) イヌ
(投与方法) 混餌
(試験の種類)慢性毒性試験
(期間) 1年間
安全係数:100
ADI:0.0019 mg/kg 体重/day
(2)
ARfD
①
MCPBエチル
無毒性量:20 mg/kg 体重/day
(動物種) ウサギ
(投与方法) 強制経口
(試験の種類)発生毒性試験
(投与期間) 妊娠6~18日
安全係数:100
ARfD:0.2 mg/kg 体重
②
MCPA(代謝物 C)
無毒性量:32.0 mg/kg 体重/day
(動物種) マウス
(投与方法) 混餌
(試験の種類)発生毒性試験
(投与期間) 妊娠6~15日
安全係数:100
ARfD:0.32 mg/kg 体重
6.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われておらず、国際基準は設定されていない。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
EUにおいて小麦、豆類等にMCPA及びMCPBとして基準値が設定
されている。
◆はちみつ
1.概要
ミツバチが蜜や花粉を収集する際には、農薬等に直接的又は間接的に暴露されることがあり、農薬等がはちみつに微量に含まれる可能性がある。欧州委員会では、はちみつについて、消費者に対して安全な基準値を設定するため、必要なデータと適切な基準値を設定する方法に関するガイドラインが公表された。これも踏まえ、我が国においても、「食品中の農薬の残留基準値設定の基本原則について」を一部改訂し、「はちみつ中の農薬等の基準設定の方法について」(令和3年3月 11 日農薬・動物用医薬品部会)(別紙 1。以下「設定方針」という。)をとりまとめた。
今般、設定方針のとりまとめを踏まえ、2.のとおり、はちみつ中の農薬等の残留基準を設定する。
2.今般の残留基準設定の内容
以下の考え方に基づき、農薬等 40 品目について、別紙 2 のとおり、はちみつ中の残留基準を設定する。
・ 蜜を生成する主な食用作物(果実類、ナッツ類等)において、「食品、添加物等の規格基準」(昭和 34 年厚生省告示第 370 号)第 1 食品の部A 食品一般の成分規格の 6(1)で、個別に残留基準値が設定されている農薬等を対象とする。
・ また、今般の規格基準設定の対象となる農薬等は、いずれも、過去に食品安全委員会で食品健康影響評価が行われ、許容一日摂取量(ADI)及び急性参照用量(ARfD)の評価結果が通知されており、直近の評価結果において ARfD が「設定の必要なし」とされている。
・ 設定方針の 1(2)①に基づき、はちみつを対象とする公示試験法の有無等を踏まえ、既定値(0.05 ppm)又は定量限界値(LOQ)を残留基準値として設定する。
なお、今般設定するはちみつ中の残留基準における残留の規制対象物質は、畜産物の規制対象物質が定められている農薬等は畜産物の規制対象物質と同じとし、定められていない農薬等は農産物の規制対象物質と同じとする。
3.ADI 及び ARfD の評価
今般の残留基準設定の対象となる農薬等に関して、食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号及び第2項の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めた過去の直近の食品健康影響評価において、ADI は別紙3のとおり、ARfD はいずれも設定の必要なしと評価されている。
4.暴露評価
① 長期暴露評価
1日当たり摂取する農薬等の量の ADI に対する比は、別紙4のとおり。推定摂取量の試算は、はちみつについては設定方針の2に基づき基準値案を用いて行い、その他の食品については過去の直近の本部会報告における暴露評価に基づき行った。はちみつからの各農薬等の1日当たりの推定摂取量の ADI に対する比は、いずれも0.05%未満であった。
5.食品安全委員会への意見聴取
今般の残留基準の設定にあたり、食品安全基本法第24条第1項第1号の規定に基づき、食品安全委員会あて食品健康影響評価について意見を求めたところ、今般の残留基準の設定の対象となる農薬等については、いずれも既に食品健康影響評価結果を通知したところであり、当該農薬等のはちみつ中の残留基準を設定することは、当該評価結果及びばく露評価結果から人の健康に悪影響を及ぼすおそれは認められないため、食品安全基本法第 11 条第 1 項第 2 号の人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当すると認められる旨の回答があった。
<はちみつ中の農薬等の基準設定の方法について>
ミツバチが蜜や花粉を収集する際に、農薬等に直接的又は間接的に暴露されることがあり、農薬等がはちみつに含まれる可能性がある。欧州委員会では、はちみつについて、消費者に対して安全な基準値を設定するため、必要なデータと適切な基準値を設定する方法に関するガイドラインiを公表した。
はちみつは、動物由来の食品であり、一般的な原則として、家畜であるミツバチによる農薬等の摂取・吸収には次の 3 種類がある。
① 動物への直接的な薬品の投与による摂取・吸収
② 家畜の収容施設に使用した結果としての摂取・吸収
③ ミツバチのえさ等の残留物を介した摂取・吸収
上記①及び②は、動物用医薬品としての使用や養蜂箱の処置による残留を考慮し基準値が設定される。③については、農薬が処理された作物や、その近隣に生育する植物が開花している間に、そこでミツバチが蜜や花粉を収集し摂取した場合である。
1 基準設定の基本的な考え方
(1)残留物の定義
農薬等の基準設定にあたり、残留物の定義を決定する際には、OECD ガイドライン等で示された基本原則のほか以下を考慮する。
・ 作物等で決定された規制対象物質の定義は適切か
・ 規制の目的のために使用される公示試験法等は、はちみつの残留物の定義に含まれる物質を網羅するか
・ 分析用の標準物質が入手可能か
(2)基準値案の設定方法
① 公示試験法がある場合には、定量限界値(LOQ)を設定する。公示試験法として、はちみつ固有の LOQ が検討されていない場合は、既定値として 0.05ppmiiを設定する。
② シロップ給餌試験のほか、モニタリングデータなど具体的なデータを基にした基準値の設定が可能である。
モニタリングデータに基づき基準値を設定する場合は、食品中の汚染物質の基準値作成と同様な考え方に基づき、ALARA の原則(As Low As Reasonably Achievable;合理的に達成可能な最も低い濃度)を適用して、統計的な手法等により基準値を設定することが適当である。ただし、この場合に許容される違反率を何%に設定するかについては、国際的に合意された値はなく、リスク管理機関の判断に委ねられている。基準の設定に当たっては、その基準が貿易において不当な制限となってはならず、また、食品が十分に消費者に供給されなければならない。ALARA の原則に基づき、国際的な状況を踏まえ、許容される違反率を設定する。その際、定量下限値未満のデータ(定量下限と同濃度含有しているものとして扱う。以下同じ。)も含めた場合の当該違反率におけるパーセンタイル値に基づき基準値案を設定する。
i TECHNICAL GUIDELINES「Technical guidelines for determining the magnitude of pesticide residues in honey and
setting Maximum Residue Levels in honey」SANTE/11956/2016 rev.9(14 September 2018)
ii カルボフランの急性参照用量(ARfD)1.5×10-4mg/kg 体重を最小の急性参照用量と仮定して、はちみつの摂食者における摂
取量の 97.5%タイル値(国民全体 40g/日、幼小児 23.6g/日、女性(14~50 歳)42g/日)(H17~19 年度食品摂取頻度・摂取量調査結果から算出)から、はちみつ中の最大汚染濃度は、0.1 ppm まで設定可能。
「食品中の農薬の残留基準設定の基本原則について」
(令和元年7月 30 日(令和3年3月 11 日一部改訂))
(農薬・動物用医薬品部会)から一部抜粋
2 暴露評価
わが国における 1 人 1 日当たりのはちみつの摂取量の平均は、国民全体 0.773g/人/日、幼小児 0.471 g/人/日、妊婦 1.127 g/人/日、高齢者 1.058 g/人/日iiiであり、食事全体に占める割合は非常に小さい。
結果として、食事による長期暴露評価において、著しく影響するという結論には至らないものと考えられる。
1(2)①に基づき、基準値を設定する際には、当該食品からの摂取量は、LOQ又は 0.05 ppm を用いることとなるが、一般的に TMDI 試算では過大な暴露評価となる。また、1(2)②のモニタリングデータに基づき基準値を設定する場合は、全ての残留農薬等検査データ等が定量下限値未満となるケースでは、当該食品からの摂取量を 0 とすることもあるが、環境汚染物質の評価では、定量下限値の 1/2 を用いることがある。
このため、原則として、以下の①から③までの数値を用いて暴露評価を行うこととする。ただし、これに限らず、暴露評価対象の農薬の特性等を踏まえ、消費者の健康を保護できる範囲で、過大な暴露評価とならないよう適切な数値を選択することとする。
① 残留農薬等検査等で検体の 40%以上において、当該物質が検出された場合では、分析法の定量下限値未満のデータを含めた全データの中央値。
② 検体の 80%以上における残留濃度が定量下限値未満の場合、摂取量を 0 とする。
③ 検体の 60%以上 80%未満における残留濃度が定量下限値未満の場合、定量下限値の 1/2。
3 基準値の見直し
はちみつ中の農薬等の濃度は、輸出国等の地域差によって大きな差があることが想定されることから、輸出国が異なる食品の残留農薬等検査データ等の収集を継続して行うとともに、公示試験法の開発・評価を通じ、必要に応じて基準値の見直しを行う。
iii H17~19 年度の食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書より
(参考)蜜を生成する主な食用作物
そば もも
しゅんぎく あんず(アプリコットを含む。)
ねぎ すもも
にら おうとう(チェリーを含む。)
みかん ぶどう
なつみかん かき
オレンジ(ネーブルオレンジを含む。) いちご
グレープフルーツ ラズベリー
レモン ブラックベリー
ライム ブルーベリー
その他のかんきつ類果実 ハックルベリー
ひまわり クランベリー
なたね その他のベリー類果実
くり バナナ
ペカン キウィー
アーモンド パパイヤ
くるみ アボガド
コーヒー パイナップル
その他のナッツ類 グアバ
りんご マンゴー
日本なし パッションフルーツ
西洋なし なつめやし
マルメロ その他の果実
びわ
◆直近の食品健康影響評価において設定されたADI (mg/kg体重/day)
アシノナピル 0.04
アミスルブロム 0.1
アメトクトラジン 2.7
イマザピル 2.8
エトキサゾール 0.04
オキサチアピプロリン 3.4
カスガマイシン 0.094
グリホサート 1
クロラントラニリプロール 1.5
クロルフルアズロン 0.033
シアゾファミド 0.17
シエノピラフェン 0.05
シクラニリプロール 0.012
シフルフェナミド 0.041
ジフルベンズロン 0.02
シフルメトフェン 0.092
スピネトラム 0.024
スピノサド 0.024
ゾキサミド 0.47
テトラニリプロール 0.88
ピカルブトラゾクス 0.023
ピラジフルミド 0.021
ピリオフェノン 0.091
ピロキサスルホン 0.02
フェンピコキサミド 0.32
フェンヘキサミド 0.17
フルオキサストロビン 0.015
フルキサメタミド 0.0085
フルチアニル 2.4
フルトラニル 0.087
ブロフラニリド 0.017
プロヘキサジオンカルシウム塩 0.2
ヘキシチアゾクス 0.028
ベンチアバリカルブイソプロピル 0.069
マンジプロパミド 0.05
マンデストロビン 0.19
メソトリオン 0.003
メチルテトラプロール 2.5
メトラフェノン 0.24
メフェントリフルコナゾール 0.035
以下の通り、
はちみつ中の農薬等の残留基準を設定
する。
品目名 残留基準値ppm
アシノナピル 0.05
アミスルブロム 0.05
アメトクトラジン 0.05
イマザピル 0.05
エトキサゾール 0.05
オキサチアピプロリン 0.05
カスガマイシン 0.05
グリホサート 0.05
クロラントラニリプロール 0.05
クロルフルアズロン 0.05
シアゾファミド 0.05
シエノピラフェン 0.05
シクラニリプロール 0.05
シフルフェナミド 0.05
ジフルベンズロン 0.01
シフルメトフェン 0.05
スピネトラム 0.05
スピノサド 0.01
ゾキサミド 0.05
テトラニリプロール 0.05
ピカルブトラゾクス 0.05
ピラジフルミド 0.05
ピリオフェノン 0.05
ピロキサスルホン 0.05
フェンピコキサミド 0.05
フェンヘキサミド 0.01
フルオキサストロビン 0.05
フルキサメタミド 0.05
フルチアニル 0.05
フルトラニル 0.05
ブロフラニリド 0.05
プロヘキサジオンカルシウム塩 0.05
ヘキシチアゾクス 0.05
ベンチアバリカルブイソプロピル 0.05
マンジプロパミド 0.05
マンデストロビン 0.05
メソトリオン 0.05
メチルテトラプロール 0.05
メトラフェノン 0.05
メフェントリフルコナゾール 0.05
【13】動物用医薬品ゲンチアナバイオレット
今般の残留基準の検討については、食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質として定めることについて、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:ゲンチアナバイオレット[ Gentian violet ]
(別名):クリスタルバイオレット[ Crystal violet ]
(2)
用 途:寄生虫駆除剤
トリフェニルメタン系色素であり、抗細菌性、抗真菌性及び駆虫作用を有する。
国内では、動物用医薬品及び医療用医薬品としての承認はない。
海外では、動物用医薬品(魚類の真菌症薬及び寄生虫駆除剤並びに家畜の皮膚及び眼の感染症治療薬)として用いている国もあるが、多くの国で使用されていない。
2.ADIの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたゲンチアナバイオレット(以下、GVという)に係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
ADI:設定すべきでない。
遺伝毒性試験の結果、in vitroではDNA損傷性及び突然変異誘発性を示し、そのin vivoにおける作用を否定する十分な報告がないことから、GVが生体にとって問題となる遺伝毒性を示す可能性を否定できないと判断した。ロイコゲンチアナバイオレット(以下、LGVという:GVの還元代謝物)についての遺伝毒性に関する情報は得られなかった。
マウス及びラットにGVを投与する24ヶ月間発がん性試験の結果から、マウス及びラットの肝臓等に対する発がん性が示唆された。LGVを投与する発がん性試験に関する情報は得られなかったが、薬物動態試験、上記の発がん性試験の結果等からLGVが発がん性を有する可能性を否定できないと判断した。
食品安全委員会は、GVについて遺伝毒性を示す可能性を否定できず、発がん性が示唆されたことから、ADIを設定すべきでないと判断した。
3.諸外国における状況
JECFAにおいて2014年に評価されているが、ADI及びMRL(Maximum Residue Limit)は設定できないと結論付けている。
(1)JECFAにおける評価
JECFAは、GVには遺伝毒性及び発がん性がみられたことから、ADIを設定することは適切でないとした。
GVは、動物用医薬品としてだけでなく様々な目的で広く使用されており、非承認での使用及び環境を経由して魚類に蓄積されると考えられることから、リスク管理のための更なる指針が必要であるとした。マウスの24か月試験の結果から、BMDL10注)は16.8 mg/kg体重/日と算定された。GV及びその代謝物で汚染された魚を毎日300 g摂取した場合、体重60 kgの成人の推定摂取量は0.0025~0.025 µg/kg 体重/日と算定された。以上から、ばく露マージン(MOE:Margin of Expose)は6.7×106~6.7×105と算出した。非意図的な汚染については、この程度のMOEがあればヒトの健康に対する影響は少ないものと考えられた。しかしながら、食糧生産動物又は環境における残留データが不十分であること、並びにGV及びその代謝物の残留比及び代謝物の発がん性に関する情報がほとんどないこと等、本リスク評価には多くの不確実性があるとしている。
LGVについては、発がん性の判断に必要な情報は不十分であるものの、GVの構造がマラカイトグリーンに類似していること、及びロイコマラカイトグリーン(マラカイトグリーンの還元代謝物)の発がん性はマラカイトグリーンよりも強いことから、LGVの発がん性もGVよりも強いものである可能性が高いとしている。
注)BMDL10: ベンチマークドーズ信頼下限値10%
(2)FAOとWHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)によるリスク管理勧告
コーデックス委員会は、上記JECFAの評価から、許容可能なリスクを表す食品中のGV又はその代謝物の残留の安全レベルはないと判断し、関係当局は食糧生産動物にGVを使用しないことで残留を防止すべきとしている。
4.基準値案
食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質として定めること。規制対象物質は、GV及びLGVとする。
GVについて遺伝毒性を示す可能性を否定できず、発がん性が示唆されたこと、及びGVと類似構造を有するマラカイトグリーン及びロイコマラカイトグリーンも発がん性を有することから、LGVについても発がん性を有する可能性が否定できないため、規制対象はLGVも含め、GV及びLGVとする。
答申(案)
ゲンチアナバイオレットについては、食品に含有されるものであってはならないとする食品規格を設定することが妥当である。
【17】農薬2,4-ジクロロフェノキシ酢酸
今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたこと及び関連企業から「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づく残留基準の設定要請がなされたことに伴い、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値(いわゆる暫定基準)の見直しを含め、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:2,4-ジクロロフェノキシ酢酸[ 2,4-D (ISO) ]
以下の塩及びエステルを含む。
2,4-Dナトリウム塩[ 2,4-D-sodium monohydrate (ISO) ]
2,4-Dジメチルアミン塩[ 2,4-D-dimethylammonium (ISO) ]
2,4-Dエチル[ 2,4-D-ethyl (ISO) ]
2,4-Dイソプロピルアミン塩[ 2,4-D-isopropylammonium (ISO) ]
(2)
用 途:除草剤
フェノキシ系の除草剤である。
オーキシン作用により植物の分裂組織を異常に活性化して奇形を生じ、さらに呼吸の異常増進等によって生理機能を撹乱させることにより、除草効果を示す
と考えられている。
6.ADI及びARfDの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号及び第2項の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めた2,4-Dに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:0.99 mg/kg 体重/day(発がん性は認められなかった。)
(動物種) ラット
(投与方法) 混餌
(試験の種類)慢性毒性/発がん性併合試験
(期間) 2年間
安全係数:100
ADI:0.0099 mg/kg 体重/day
(参考)
評価に供された遺伝毒性試験のin vitro試験の一部で陽性の結果が得られたが、小核試験を始めin vivo試験では陰性の結果が得られたので、2,4-Dは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論
されている。
(2)ARfD
無毒性量:15 mg/kg 体重
(動物種) 雌ラット
(投与方法) 強制経口
(試験の種類)急性神経毒性試験
安全係数:100
ARfD:0.15 mg/kg 体重
7.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われ、1996年にADIが設定され、2001年にARfDは設定の必要なしと評価されている。国際基準は小麦、とうもろこし等に設定
されている。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国において小麦、綿実
等に、
カナダにおいて大豆、ばれいしょ
等に、
EUにおいて小麦、ばれいしょ
等に、
豪州においてばれいしょ、さとうきび
等に、
ニュージーランドにおいて柑橘類、核果類
等に基準値が設定されている。
8.基準値案
(4)暴露評価
①
長期暴露評価
1日当たり摂取する農薬等の量のADIに対する比は、以下のとおりである。詳細な暴露評価は別紙3参照。
EDI/ADI(%)注)
国民全体(1歳以上) 13.4
幼小児(1~6歳) 37.0
妊婦 14.5
高齢者(65歳以上) 12.7
注)各食品の平均摂取量は、平成17~19年度の食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書による。
EDI試算法:作物残留試験成績の平均値×各食品の平均摂取量
【21】農薬ジメテナミド
今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
ジメテナミドには、ラセミ体のジメテナミド及びS体のジメテナミドPを含めるものとする。
(1)品目名:ジメテナミド[ Dimethenamid (ISO) ]
ジメテナミドP[ Dimethenamid-P (ISO) ]
(2)
用 途:除草剤
チオフェン環を有する酸アミド系除草剤である。
雑草の幼芽部及び幼根部より吸収され、超長鎖脂肪酸の生合成を阻害することにより殺草作用を示す
と考えられている。
6.ADI及びARfDの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたジメテナミドに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:5.1 mg/kg 体重/day(発がん性は認められなかった。)
(動物種) 雄ラット
(投与方法) 混餌
(試験の種類)慢性毒性/発がん性併合試験(ラセミ体)
(期間) 2年間
安全係数:100
ADI:0.051 mg/kg 体重/day
(2)ARfD
無毒性量:50 mg/kg 体重/day
(動物種) ラット
(投与方法) 強制経口
(試験の種類)発生毒性試験(ラセミ体及びS体)の総合評価
(投与期間) 妊娠6~15日
安全係数:100
ARfD:0.5 mg/kg 体重
7.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われ、2005年にADI及びARfDが設定されている。
国際基準は豆類、てんさい
等に設定されている。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国及びカナダにおいてとうもろこし、たまねぎ
等に基準値が設定されている。
【22】農薬スピネトラム
今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:スピネトラム[ Spinetoram (ISO) ]
(スピネトラムは、スピネトラム-J及びスピネトラム-Lの混合物で、原体中にはそれぞれ58.1及び8.4%以上(2成分の合計で83.0%以上)含まれる。)
(2)
用 途:殺虫剤
土壌放線菌(Saccharopolyspora spinosa)が産生する活性物質(スピノシン)に由来するマクロライド系殺虫剤であり、スピネトラム-J 及びスピネトラム-L の混合物である。
シナプス後膜に存在するアセチルコリン受容体及びγ-アミノ酪酸(GABA)受容体のイオンチャネルに作用し、神経活動に異常を引き起こすことにより殺虫効果を示す
と考えられている。
6.ADI 及び ARfD の評価
食品安全基本法 (平成15年法律第48号) 第24条第1項第1号の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたスピネトラムに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:2.49 mg/kg 体重/day
(動物種) 雌イヌ
(投与方法) 混餌
(試験の種類) 慢性毒性試験
(期間) 1年間
安全係数:100
ADI:0.024 mg/kg 体重/day
(2)ARfD 設定の必要なし
スピネトラムの単回経口投与等により生ずる可能性のある毒性影響に対する無毒性量のうち最小値はラットを用いた一般薬理試験の 600 mg/kg 体重であり、カットオフ値(500 mg/kg 体重)以上であったことから、急性参照用量(ARfD)は設定する必要がないと判断した。
7.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われ、2008年にADIが設定
され、ARfDは設定の必要なしと評価されている。
国際基準はレタス、トマト等に設定
されている。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国においてアスパラガス、バナナ
等に、
カナダにおいてブロッコリー、りんご
等に、
EUにおいてグレープフルーツ、なし
等に、
豪州においてりんご、すもも
等に、
ニュージーランドにおいてブロッコリー、りんご
等に基準値が設定されている。
8.基準値案
(1)残留の規制対象
(4)暴露評価
① 長期暴露評価
1 日当たり摂取する農薬等の量の ADI に対する比は、以下のとおりである。詳細な暴露評価は別紙 3 参照。暴露評価対象がスピネトラム-J、スピネトラム-L、代謝物 B 及び代謝物 D であることから、代謝物 B 及び代謝物 D も含めて暴露評価を実施した。
EDI/ADI(%)注)
国民全体(1 歳以上) 30.2
幼小児(1~6 歳) 45.2
妊婦 27.4
高齢者(65 歳以上) 38.0
注)各食品の平均摂取量は、平成 17~19 年度の食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書による。
EDI 試算法:作物残留試験成績の平均値×各食品の平均摂取量
【39】農薬ベンゾビンジフルピル
今般の残留基準の検討については、関連企業から「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づく残留基準の設定要請がなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:ベンゾビンジフルピル[ Benzovindiflupyr (ISO) ]
(2)
用 途:殺菌剤
ピラゾールカルボキサミド系殺菌剤である。
ミトコンドリアの電子伝達系複合体Ⅱ(コハク酸脱水素酵素)を阻害することで、菌の発芽管伸長阻害、胞子発芽阻害、菌糸生育阻害を引き起こし、殺菌作用を示す
と考えられている。
2.適用の範囲及び使用方法
本剤は、
国内では農薬登録がなされていない。
海外での適用の範囲及び使用方法は以下のとおり。
ブルーベリー、朝鮮人参等に係る残留基準の設定についてインポートトレランス申請
がなされている。
6.ADI 及び ARfD の評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたベンゾビンジフルピルに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:4.88 mg/kg 体重/day
(動物種) 雄ラット
(投与方法) 混餌
(試験の種類)慢性毒性/発がん性併合試験
(期間) 2年間
安全係数:100
ADI:0.048 mg/kg 体重/day
慢性毒性/発がん性併合試験において、雄ラットで甲状腺ろ胞細胞腺腫の発生数の増加が認められたが、腫瘍の発生機序は遺伝毒性メカニズムによるとは考え難く、評価に当たり閾値を設定することは可能であると考えられた。
(2)ARfD
無毒性量:10 mg/kg 体重
(動物種) 雌ラット
(投与方法) 強制経口
(試験の種類)急性神経毒性試験
安全係数:100
ARfD:0.1 mg/kg 体重
7.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われ、2013年にADI及びARfDが設定されている。
国際基準は大豆、コーヒー豆等に設定
されている。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国において小麦、ブルーベリー
等に、
カナダにおいて、とうもろこし、かんしょ
等に、
EUにおいてりんご、ブドウ
等に、
豪州において小麦、大麦
等に、
ニュージーランドにおいて小麦、畜産物
等に基準値が設定されている。
【41】農薬ホスチアゼート
今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたこと及び関連企業から「国外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に関する指針について」に基づく残留基準の設定要請がなされたことに伴い、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値(いわゆる暫定基準)の見直しを含め、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:ホスチアゼート[ Fosthiazate (ISO) ]
(2)
用 途:殺虫剤
有機リン酸アミド系殺虫剤である。標的生物の神経系アセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することにより、運動性の麻痺や行動異常が生じ、殺虫活性を示
すと考えられている。
5.ADI及びARfDの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号及び第2項の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたホスチアゼートに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:0.205 mg/kg 体重/day
(動物種) 雌ラット
(投与方法) 混餌
(試験の種類)AChE
注1)活性阻害検討試験
(期間) 104週間
安全係数:100
ADI:0.002 mg/kg 体重/day
(2)ARfD
① 国民全体の集団
無毒性量:0.7 mg/kg 体重
(動物種) ラット
(投与方法) 強制経口
(試験の種類)ChE
注2)活性阻害に対する日齢別感受性検討試験
安全係数:100
ARfD:0.007 mg/kg 体重
②
妊婦又は妊娠している可能性のある女性
無毒性量:0.205 mg/kg 体重/day
(動物種) 雌ラット
(投与方法) 混餌
(試験の種類)AChE活性阻害検討試験
(投与期間) 104週間
安全係数:100
ARfD:0.002 mg/kg 体重
注 1)AChE:アセチルコリンエステラーゼ
注 2)ChE:コリンエステラーゼ
6.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていない。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国においてトマト、EUにおいてバナナ、綿実
等に基準値が設定されている。
7.基準値案
(4)暴露評価
① 長期暴露評価
1日当たり摂取する農薬等の量のADIに対する比は、以下のとおりである。詳細な
暴露評価は別紙3参照。
TMDI/ADI(%)
注)
国民全体(1歳以上) 37.3
幼小児(1~6歳) 61.5
妊婦 33.1
高齢者(65歳以上) 43.7
注)各食品の平均摂取量は、平成17~19年度の食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書による。
TMDI試算法:基準値案×各食品の平均摂取量
【45】農薬メタフルミゾン
今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定依頼及び畜産物への基準値設定依頼が農林水産省からなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、農薬・動物用医薬品部会において審議を行い、以下の報告を取りまとめるものである。
1.概要
(1)品目名:メタフルミゾン[ Metaflumizone (ISO) ]
(2)
用 途:殺虫剤
トリフルオロメトキシフェニル環を有する殺虫剤である。
昆虫の神経細胞のナトリウムチャネルに作用し、神経系の情報伝達を阻害することにより殺虫効果を示す
と考えられている。
7.ADI及びARfDの評価
食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号の規定に基づき、食品安全委員会あて意見を求めたメタフルミゾンに係る食品健康影響評価において、以下のとおり評価されている。
(1)ADI
無毒性量:12 mg/kg 体重/day
(動物種) イヌ
(投与方法) カプセル経口
(試験の種類)慢性毒性試験
(期間) 1年間
安全係数:100
ADI:0.12 mg/kg 体重/day
ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験の雄で肝細胞好塩基性化が認められた。この病変の発現要因は不明であるが、投与群において肝腫瘍等の増殖性変化を伴っていないことから、前がん病変とは関連しない変化と考えられた。
(参考)
評価に供された遺伝毒性試験のin vitro試験の一部で陽性の結果が得られたが、小核試験を始めin vivo試験では陰性の結果が得られたので、メタフルミゾンは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論されている。
(2)ARfD 設定の必要なし
メタフルミゾンの単回経口投与等により生ずる可能性のある毒性影響は認められなかったことから、急性参照用量(ARfD)は設定する必要がないと判断した。
8.諸外国における状況
JMPRにおける毒性評価が行われ、2009年にADIが設定
され、ARfDは設定の必要なしと評価されている。国際基準はばれいしょ、芽キャベツ等に設定されている。
米国、カナダ、EU、豪州及びニュージーランドについて調査した結果、
米国においてなす、かんきつ
類等に、
EUにおいてはくさい、畜産物
等に基準値が設定されている。
9.基準値案
(4)暴露評価
① 長期暴露評価
1日当たり摂取する農薬等の量のADIに対する比は、以下のとおりである。詳細な暴露評価は別紙3参照。農産物については、暴露評価対象がメタフルミゾン(E体及びZ体)及び代謝物Dであることから、代謝物Dも含めて暴露評価を実施した。
EDI/ADI(%)
注)
国民全体(1歳以上) 22.7
幼小児(1~6歳) 34.9
妊婦 21.3
高齢者(65歳以上) 27.7
注)各食品の平均摂取量は、平成17~19年度の食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書による。
EDI試算法:作物残留試験成績の平均値×各食品の平均摂取量
難易度分類(数字が低いほどコメントしやすい&すべきもの)
| 総合 | 17 難 |
| 難易度 | 3 ★★★ |
| 生活影響度 | 1 ★☆☆ |
| 分量 | 3 ★★★ |
| 専門性 | 3 ★★★ |
| 理科系知識 | 3 ★★★ |
| 下調要否 | 2 ★★☆ |
| 法令読込要否 | 2 ★★☆ |
#031004 01.食品(内閣府、厚労省、農水省、環境省) ②農薬


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