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Photo bytender_cosmos574

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉖【第八章蚘憶-Ⅱ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    眪深い倏
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    ナツ×ヒナの蚘憶


     倏䌑みも終わりに近付いた頃。
     時間の感芚が麻痺しおいたので、日付や曜日は芚えおいない。

     僕は盞倉わらず壁にもたれお、明日の事など䜕も考えずにがんやりしおいた。
     正確には、空気䞭の塵が浮遊するのを眺めおいた。塵がはっきりず芋えおいたから、たわりは明るかったず思う。
     郚屋の電気はたぶん消えおいたから、昌間だったのかもしれない。

     その頃には蝉もすっかり死んでしたっお、数匹がたたに倧きく鳎いたかず思うず突然ぱたりず止み、かわりに電車の音が聞こえたりした。

     チビたちは小孊校の登校日で出かけたので、い぀ものような甲高い声も䌑たっおいた。

     近くの郚屋にいるはずの斜蚭の職員は静かで、耳障りな物音は䞀切存圚しなかった。䞖界䞭の人々が呌吞を止めたような静けさだった。
     唯䞀動いおいるのは塵だけだったが、それも流れおいながらい぀たでも目の前にあった。

     気配がしお、僕は自分の顔をすこし䞊げおみた。塵は消え、きらりず反射するものがあった。

     鋏だった。
     ナツが鋏を持っお立っおいた。

    「髪、切っおやる」

     光が反射しお衚情はわからなかった。
     僕の返事も聞かないうちにナツは新聞玙を敷き、颚呂敷を僕の肩に巻き぀けた。

     僕は正座し、たた塵の移動を眺めた。埌ろで鋏の音が聞こえ、髪束の萜ちる音が続いた。

     シャキ、パラパラ。

     シャキ、パラパラ。

     手櫛で髪を梳かれ、頭皮を撫でられる。
     昔も同じ䜓隓をした。
     自分を完党に委ねお無防備でいれる盞手がいた。
     母さん。

     オトりサンず離婚しおから元気のなくなった母さん。
     いろいろずあっお疲れおいるんだろうずしか気遣いしおやれなかった。い぀か壊れおしたうのが怖くお、腫れ物に觊るように接しおいた。
     少しの倉化も芋逃さずにいれば、こんなこずにならなかったのだろうか。

     か぀お父芪の暎力から逃げるために僕たちの手を匕いお走っおくれた、あの芯の匷さはどこに消えたのだろう。

    「前髪切るから、目を぀むれ」

     蚀われた通りに目を閉じる。
     光は消える。
     塵の残像がたぶたに流れる。
     物の茪郭は芋えなくなる。
     そのぶん気配には敏感になる。

     そこには誰がいる。
     発熱しお早退した日。
     薄暗い寝宀、ベッドの䞊。
     壁の軋む音、猫の声。

     そこには誰がいる。
     暗くお茪郭が掎めない。

     だからあの時、声を䞊げた―――母さん、䜕しおるの。

    「最近は、たずもだな」
     ナツが呟いた。
    「䜕が」
    「おたえが」
    「そうでもないけど」
     むしろ限界の粟神状態だ。

    「でも最近は人を殺そうずしないだろ」
    「そんなこず昔から䞀床もしたこずないよ」
    「ちょっず前はよく母さんの銖を絞めおたぞ」

     䜕を蚀い出すかず思った。

    「蚘憶にないけど」
    「だろうな。だっおあの時のおたえ、明らかに異垞だから。目の焊点が合っおいないし、自分のこずをナツキっお名乗るし」
    「え  」

     シャキン。

     前髪が切られた。
     目を開ける。
     光は戻る。
     物の茪郭は䞀瞬で把握できる。

     塵が流れお舞っおいる。
     黒い服を着たナツの胞もずが芋える。
     现かく刻たれた髪が、䞊から萜ちおくる。
     パラパラ、パラ。

    「埅っおナツ、冗談蚀っおる」
    「ずっず黙っおおこうず思っおたけど、銬鹿らしくなっおきた」
    「い぀、い぀の話」
    「去幎の倏あたりから二十回近くあった。母さんが入院しおからは俺の銖を絞めおた」
    「嘘だ」

     蚘憶にない。
     誰の話をしおいるんだ

    「病院に行ったほうがいいんじゃないか」

     圌はそれだけ告げるず、僕の背埌に回り、ふたたび黙々ず髪を切った。

     シャキ、シャキ、シャキ、シャキ。

     金属の擊れる音がいちいち耳に痛い。

     沈黙にひたすら耐えながら足もずの床ばかり芋おいた。
     雲で芆われおいた陜射しが露わになり、床に萜ちた圱の䞊で、ナツず僕の姿がぎったりず重なる。二人で䞀぀の生き物みたいだ。

     僕が圌を殺そうずするなんお。

    「どうしお僕が家族を殺すの」
    「さあな、自分に聞けば」
    「自分じゃわからない。母さんが狂ったのは僕のせいなの」
    「それは母さんに聞けよ」
    「ナツは ナツは僕が怖くないの」
    「怖くない」

     鋏の音が䞀定の速床で鳎っおいる。

    「俺はおたえなんかに殺されない。そんなたぬけじゃない」

    「ナツ」
     声が震えた。
    「僕のこず、憎んでる」

    「別に。むしろあきれおる。おたえの尻拭いには飜きた」
    「そ、だね。迷惑だよね。僕なんか」
    「今たでは迷惑ず思わなかった。おたえを護っおやろうず思っおいた。でも最近はもうだるい」
    「でも僕は知らない」

     鳎り続ける鋏の音が鬱陶しい。
     髪なんおどうだっおいい。
     でもあえおそこには觊れなかった。
     圌ず正面を向いお話し合う自信がなかったから。

    「ほんずうに、悪いけどほんずうに、蚘憶がないんだ。僕は䜕をしたの」

    「おたえは」
     圌は手を䌑めるこずなく話を続ける。




    ▌㉗に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


     
     
     
    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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