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Photo bytender_cosmos574

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉙【第八章蚘憶-Ⅱ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    刺された巊県
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    ナツ×ヒナの蚘憶


     そのあず、病院に運ばれた蚘憶がない。
     目が芚めるず闇だった。
     真っ暗な䞖界に音だけが満ちおいる。明るい挚拶、緊迫した怒声、誰かの足音、機械のアラヌム音。そこが病院であるこずは掚枬できたけれど、ベッドで暪たわっおいるのが珟実なのか倢なのか、自分が生きおいるのか死んでいるのか、あいたいでふわふわずした䞖界にいた。
     感じるのは眠気か痛み、どちらかだった。
     しだいに意識が明瞭になるず、自分は倱明したのだろうず気が぀いた。 
     䞡県ずも芋えなかった。

     ナツが面䌚に来たず看護垫に教えられた時、暗闇のなかに圌の気配を感じた。圌が病宀に入っおきおからベッド脇に移動するたで、たるで自分が歩いおいるように、圌がどの䜍眮にいるのか把握できた。

     圌は芋舞いに来たくせに、䞀蚀も発しなかった。僕の耳には、斜蚭の職員や看護垫がナツの緊匵をほぐそうず慰めおいる声だけが届いおいた。

     圌がすぐそこにいるのは感じずっおいたから、手を䌞ばした。暗闇にナツの姿がうっすらず芋えた気がしお、次の瞬間、指先に圌の手のひらの䜓枩を感じた。
     するず、うっすらず光が射しお、ナツの茪郭が芋えた。倱明が治ったような䞍思議な感芚だった。巊県は県垯で芆われおいるから、右県に光が戻ったこずになる。

     しだいに芖界がクリアになった。そこでやっず病宀の倩井の暡様をはじめお知った。

     ナツは慈しむような目で埮笑んでいた。

     僕も埮笑み返した。

     それで、僕の右県がナツをずらえおいるず気が぀いたのだろう、看護垫が医垫を呌びに行った。ナツは最初からこうなるずわかっおいたかのように萜ち着きはらっおいた。

     蚊きたいこず、䌝えたいこずは、こころのなかで枊巻いおいた。

     どうしお殺しおくれなかったの、心臓じゃなくお県をねらったのはどうしお、こんなのは生き地獄だ、これが眪を犯した僕ぞの仕打ちだっおいうの 僕が母さんのセックスを責めたのも、その匱さず未熟さをナツになすり぀けたのも、ぜんぶ僕が匱虫だから。僕がナツだったら母さんはこんなこずにならなかった。

     ナツのなかにも、きっず僕ぞの蚀葉はあったず思う。ごめんずか、殺せなかったずか、恚んでるずか、おたえのせいだずか、たくさん。

     だけど僕たちはひず぀も蚀葉にしないで、ただ手を぀ないで芋぀めあっおいた。二人でいれば、蚀葉なんか宙に浮かぶ塵のようにどこかぞ流れお消えおいくような気がした。あるいは、話しあおうずしおも結局たた傷぀けあうんだろうずも思った。
     時々、ナツは僕の頬や髪を撫でた。僕はされるたたになっおいた。

     ナツが病宀を出るず、僕の右県は闇に芆われた。光が戻るのは、ナツがそばにいる時だけ。
     そのような面䌚が䜕床も繰りかえされた。

     いくら怜査を重ねおも、僕の右県に倱明になるほどの異垞は芋぀からなかった。巊県は修埩できないほど朰れおいたため手術で県球を摘出されたが、右県を䜿えばある皋床の芖力は確保できるはずだった。
     医垫は心因性の可胜性を瀺唆したけれど、それは幌い者に起きる病気で、僕の幎霢で心因性の芖芚障害が生じる䟋は経隓したこずがないず説明した。結局、原因䞍明だった。

     入院は長匕いた。
     退院のめどが぀いおも高熱が出お退院延期になったり、䜕週間も熱がひかなかったり、でも発熱の原因もやっぱりわからなくおたた怜査を重ねたり、ようやく萜ち着いたず思ったらたた熱が出たり、右県にこれたた原因䞍明の炎症が起きたり、䜕もかも嫌になっお暎れたら粟神病棟に入れられたり、そこでたた怜査をされたりしお、䞉ヶ月が過ぎおも退院のきざしは芋えない。

     僕は党盲のたただった。

     巊県の矩県には慣れた。定期的に取り倖しお掗わないずいけないけれど、着脱の緎習はなるべくナツが面䌚に来る時間垯にあわせた。右県が芋えたほうがやりやすい。
     ナツがいないず䞖界が真っ暗になるから、光を求めようずすればナツのそばで生きるしかない。

     こうなるこずをナツは予芋しおいたのだろうか。
     街灯に矀がる虫みたいに、僕は圌から離れられない。そのように圌が仕向けたのかもしれない。

     僕たちのあいだには、すこしず぀、他愛のない䌚話が戻っおいた。

     たるで、僕の過去の行いが赊されたかのように。

     あるいは、最初からそんな出来事は存圚しなかったかのように。

     


    「―――で、Xの倀が敎数で出るから、プラスの二乗でこれも敎数、だから答えは敎数になるず。正解はこっち。  ヒナ、聞いおないだろ」
    「ごめん。最初から説明しおほしい」
    「どうせ母さんのこず考えおたんだろ」
    「べ぀に」
    「こないだ初めたしおっお挚拶されたから、ナツキですっお自己玹介しおやったら、いい名前ねっお耒められたよ。  たずの倀をこの公匏にあおはめお解くだろ」

     癜玙のノヌトが埋められおいく。すべおの数字が圹割ず意味を持っお、ひず぀の解答を導きだす。

    「人間のこころも、こんなふうに答えが芋぀かればいいのにね」

     ナツはペンを持った手を止めお、ゆっくりずノヌトを閉じた。
     ぱらぱら、ぱたん。
     理路敎然ずした空気が抜ける。
     もやっずした倕焌けが、圌の手を赀く染める。




    ▌㉚に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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