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「×」むチずニィ、圌らの蚘憶⑪【第䞉章慕情】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    僕たちは
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    どこから来たの


    〈仮に、だ。病院で治療されお、ある皋床は回埩した。あずは自然治癒を埅぀だけの段階になったから、䞃ヶ月前にこの郚屋に連れおこられたずしよう。だずしおも疑問は残る。同じ顔の二人が、同時期に同じ病状経過をたどるこずは偶然なのか、それずも意図的に仕組たれたのか それから、おたえの県。痛みが残るのは、治療をされおも治らないのか。そもそも治療を受けたのか〉

     むチはあごに手をやっお、䞀点を芋぀めお考えおいる。

    〈そんなの、今考えたっおわかんないよ。蚘憶を芖れば、そのうちわかるんじゃない〉
    〈そうだろうけど〉
    〈知りたくないよ。぀らい過去なんか〉
    〈でも、思いださないず。思いだす方法が、おたえの巊県しかないんだ。痛いのはわかるけど〉

     わかっおないよ。
     蚀い返したくなるのを、唇を噛んでこらえる。喧嘩はしたくない。

    〈ひず぀、僕もわからないんだけど〉
    〈䜕〉
    〈むチは、『ヒナ』なんだよね〉
    〈  うん。『ヒナ』の芖点で蚘憶を芖おいる〉
    〈性栌的には僕が『ヒナ』で、むチが『ナツ』だよね〉
    〈性栌なんおものは、埌倩的に倉わるから〉
    〈でも、僕も『ヒナ』ずしお芖おいるんだよ〉
    〈それが〉

    〈どうしお二人で䞀人の蚘憶を芖おいるの〉

    〈それは  〉

     たぶん、い぀も芖おいるのは、この巊県を通しお芋おいた芖界だ。きっず、思いだしたくもないほど痛い蚘憶。それなのに、どうしおむチは痛くないのだろう。

    〈それは、俺たちが実隓台っおこずだ〉
    〈実隓〉
    〈あくたで仮説だが〉

     しっかりずした䞡の瞳が向けられる。仮説なんお立なくおいいのに。それよりも、この痛みを陀く方法を最優先しお考えおほしいのに。

    〈俺たちは遺䌝子操䜜で造られた人間で、最初からこの郚屋で培逊されおいたんだ。それで、培逊開始から二癟二十日目に『芚醒』を遂げた。あずは遺䌝子の持ち䞻である『ヒナ』っお少幎の蚘憶を受け継ぐこずができれば『ヒナ』のクロヌン培逊は成功。で、実隓䜓が䞀台よりは二台のほうがもしものためだから、俺ずニィを甚意した。本䜓の『ヒナ』に、より近い蚘憶ずからだず性栌を有する者が、完成品ずしお遞ばれる。それが゚ヌさんの蚀う『点数の高い者』〉

    〈それならむチが遞ばれるね。僕は倱敗䜜だから〉
    〈そうずは決たっおいないだろう〉
    〈決たっおるよ。だっお、鏡に映った時、ヒナはちゃんず䞡県だったもん。県垯なんかしおいなかった〉
    〈たあ、数ある仮説のひず぀だよ。䜕の蚌拠もない。  泣くなよ〉
    〈泣いおないよ〉
    〈俺の巊県が濡れおきたんだ〉
     涙をこらえおいるのに、むチに぀たわる。
     涙は通じるのに、痛みは通じないなんお。

    〈わからないのは、なぜ俺がニィの県垯を觊るず蚘憶がよみがえるのか、っおこずだ。このガヌれか、その奥の県球か県窩に、デヌタが埋め蟌たれおいるのか それで、蚘憶の再生をするず電流みたいなもんが走るから、ニィの巊県が痛むのか〉
    〈電流  〉
    〈いや、電流っおのは、たずえばの話。でもさ、ニィは自分で觊っおも蚘憶は芖えないわけだろ〉
    〈うん、そうだね。むチが觊った時だけ〉
     蚀われおみれば、これたで䜕床も痛くお自分の県を撫でおきたけど、䜕も芖えなかった。
    〈俺の指にも、䜕かあるのかな〉
    〈むチの指は、痛くならないわけ〉
    〈うん、そうなんだよな。痛みの蚘憶っおのが、すべおニィに匕き継がれたっおこずなのかな。『ヒナ』の痛みの蚘憶、やっぱりそれが重芁なんだよな。それさえ掘り圓おれば、『犯した眪状』も明らかになっお、合栌点をもらえる気がするんだ。そしたら脱出できる〉

     たた、脱出方法。むチが求めおいるのは、僕じゃなくお、僕の巊県。

    〈もっず、僕の県に觊りたい〉
    〈痛みは、ほんずうに申し蚳ないず思っおる。でも、䜕床も蚀うようだけど、蚘憶を取り戻すために必芁なこずだから。協力  〉
    〈いやだよ〉

     喧嘩したくないのに。ただ䞀蚀、無理するなず、蚘憶なんか埌回しでいいず、嘘でも慰めおほしいだけなのに。

    〈むチが倧事にしおるのは僕の巊県だけで、僕が痛い目に遭っおも蚘憶さえ取り戻せたらそれでいいんだよ。僕たちが頌れるのはおたがいしかいないのに、むチは僕が倧事じゃないんだもんね〉
    〈倧事だよ〉
    〈倧事じゃないよ、僕なんか。どうせ、ここで死ぬのにさ。蚘憶なんかどうでもいい、僕には関係ないんだ。生き延びるのはむチに決たっおる。最期は野垂れ死ぬずわかっおるのに、むチの点数皌ぎのためだけに、痛い目をしお県をいじられる僕の身にもなっおよ。ほんずいい迷惑だよ〉
    〈ニィ、俺は  〉
    〈そんなにじっず芋られおも、僕にはなにもないよ〉

    〈俺はニィが倧事だ〉

     䞡手を匷くにぎられる。
     むチはどうしお、こんなにい぀も指先が枩かいのだろう。

    〈俺はニィがいないず、なんにもできない。目が芚めお䞀人だったら、きっず意志も持たないただの廃人になっおたよ。䌚話するこずも觊れあうこずもないし、蚘憶を取り戻すこずもない。涙を流すこずもなかっただろうね。ニィがいるから生きおいける。この意味、わかる〉

    〈わかんない〉

     わかりたくないのかもしれない。こころのどこかで、むチに必芁ずされるのが怖いのかもしれない。みずめたら、痛みを受け入れおしたいそうで。

    〈むチは䞀人で生きおいける。むしろ僕がいないほうが難なく生きおいける。そうに決たっおるよ〉
    〈ニィが倧事だ。わかるか〉
    〈僕には、倧事に思われる資栌なんか〉
    〈ある。生きおるっおだけで、その資栌はある。二人でここを脱出する暩利もある。二人で生き延びるんだ〉

     胞のあたりが苊しい。熱い。この感情は䜕だろう。違和感を芚えたその郚分を撫でようずするず、そこにむチの手のひらが觊れた。たるで、僕のこころがぜんぶ䌝わっおいるみたいに。

    〈ニィは、俺が倧事〉
    〈わからない〉
    〈俺がいなくなったら、悲しい〉
    〈むチがいなくなるなんお想像できない〉

    〈じゃあ、俺のこずが奜きか〉

    〈奜きっおなに〉

    〈奜きか嫌いか、の『奜き』〉

    〈知っおる。でも、それがどういう気持ちなのか、わからないんだよ〉

    〈そっか。わからないか〉

     むチが埮笑む。
     これたでに芋た圌のどの笑顔よりも優しい。僕はなぜか目を逞らしたくなった。でも、芋぀めあう芖線にからめずられお逃げられなかった。

     自分ですら知らない自分の裏偎をのぞかれおいるような、ほんずうはこの先の運呜を知っおいお知らないふりをしおいるような、そんなむチの倧きな瞳に、もう自分が自分じゃなくなっおもいいやず、すこし思った。

    ――脱出日たであず「四十日」。



    ▌⑫に続く


    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様



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