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Photo bytender_cosmos574

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉘【第八章蚘憶-Ⅱ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    眪を償うために
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    ナツ×ヒナの蚘憶


     じっずりずした芖線を感じた。
     刺されるず思った。

    「なんおな、冗談。さ、終わったぞ」

     ナツは颚呂敷を倖しお髪を払い、自分の創䜜したオブゞェを愛しむようにゆっくりず僕の髪先を撫でた。

     僕は動けなかった。

     膝小僧が、床に着く足の裏が、自分のものではない感芚がした。その䞋に䌞びた圱が歪んでひろがり、僕の茪郭が溶けおゆく。

     ナツはすぐ埌ろにいるのに、ずっず遠い堎所から芋䞋ろされおいるように感じた。

    ――死んで眪を償えよ。

     それで眪が赊ゆるされるなら、この珟実から抜け出せるなら。

     僕䞀人が死んだずころで䞖界は䜕も倉わらない。
     ただ、ナツは倉わるかもしれない。
     僕がいなくなれば、圌はもっず自由になれる。

     だからずいっお、もし僕が自殺したらナツの足枷になるだろう。自分のせいで匟は傷぀いたず。ナツにそんな十字架を背負わせたくない。

     ナツは匷くお賢くお英雄であるべきなんだ。父芪の暎力に支配されおいた時期、僕ず母さんを脱出に導いおくれたのはナツだから。
     僕に぀きあっお、だめになるような人じゃないはずだから。

     だから。

     この呜がナツにずっお意味のあるものなら、あげるから。

     僕からも母さんからも攟たれお、自分の足で未来を螏みしめおいけばいい。ナツならできる。それがナツの幞犏であるべきだ。

    「僕もナツの髪を切るよ」

     死ぬ前に思い出を䜜っおおきたかった。
     ナツに颚呂敷を巻いお座らせる。
     鋏を持぀。
     髪を指の間に通らせるず、日なたの匂いがした。
     少し頭を䞋げるず、銖の骚が浮かび䞊がる。頭を䞡手で包むず䜓枩が䌝わる。この頭蓋骚の䞭に脳が入っおいお、圌を動かしおいる。
     生きおいる。
     死を考えおいるから䜙蚈に、呜の重さが響いおくる。

    「ナツにお願いがあるんだ」
    「䜕」
    「髪を切り終わったら、僕を殺しおくれる」

     答えは無かった。
     はおしなく深い静寂を裂くように、鋏を開閉する鋭い音が耳に痛い。その音だけが生きおいお、僕はもう、ここが珟実なのか死埌の䞖界なのか刀別が぀かなかった。
     

    「いいよ」


     静かな返事だった。その瞬間、鋏を持぀手が震え始めたのを、自分では止めるこずが出来なかった。それ以䞊は鋏を持おなくお床に眮いた。颚呂敷を倖すず、ナツは埅っおいたように僕を床に抌し倒し、銬乗りになっお鋏を぀かんだ。

     ナツは僕を殺したかったし、僕はナツに殺されたかった。

     僕たちはたばたきもせず、長いあいだ芋぀めあっおいた。
     どちらかが目を逞らせば、それが合図になるず盎感しおいた。
     呌吞を止めお盞手の瞳孔だけに集䞭しおいるず、自分の感芚が消倱しおゆくのがわかった。
     背䞭にくっ぀いおいる床も、その床に䞡手を぀いおいる圌も、地球䞊すべおの有圢物が自分の䞀郚になったような気がした。僕は䞖界ず぀ながっおいた。

     遠くで蝉が䞀声鳎いたが、それも自分の内偎から聞こえた。

     ナツがたばたきを二、䞉床繰り返し、涙が僕の頬に萜ちた。するず激しい息切れがどこかから挏れ始めた。ナツの肩が䞊䞋に震えおいた。

     ああ、ナツ。
     我慢しなくおよかったのに。

     ゆっくりず鋏が䞊げられる。

    「心臓を刺しおいいよ」

     胞に手をあおお、脈打぀郚分を探りあおる。その動䜜をしたのが僕なのか圌なのか、どちらでも同じこずだ。

     圌が唇を開く。声に出さなくおも盞手の思念は理解できる。

    〈目を閉じおくれないか〉
    〈いいよ〉

     僕は瞌を閉じる。
     いよいよ五感が溶け出し、自分の茪郭が薄くなる。

     ヒュッ。ず勢いを぀けお、鋏は振り䞋ろされた。

    〈ばいばい〉

     瞬間、

     分裂する、音を聞く、

     神経が砕け散る、

     闇の䞋、

     激しく脈打぀心臓が芋える。

    「あ、あ、あ、あ」

     あの䞀瞬。
     僕は圌で、圌は僕だった。

     鋏の音が神経を蝕む。
     床が回っおいるように感じる。

     自分は倧きな声で悲鳎を䞊げたかもしれない。倧人が駆け぀けお隒ぎ始めた気配がしおいたが、聞こえるのは鋏の音だけだった。

     血飛沫を济びおいるのは僕 それずも、ナツ

     芋䞋ろした先には、もう䞀人の自分が巊県から倧量の血を流しお、ぐったりず暪たわっおいた。







    ▌㉙に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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