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Photo byjerushag8vc

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶⑫【第四章蜜月】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    奜きっおなに
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    むチ×ニィの蜜月


    ■月7日

     『〇八䞀五宀、倜の回蚺。  それでは、本日を終了したす』
     日めくりが剥がされる。
    『これより、䞃月䞃日ずなりたす。以䞊』

    〈むチ、䞃倕っお䜕 日めくりに曞いおあるよ〉
    〈願い事をする日だよ〉
    〈誰に〉
    〈星に〉
    〈星なんかどこにもないよ〉
    〈願い事なんおのは自分にするものだから、星なんかに頌らなくおもいいんだよ。さお今日はもう寝よう〉

     むチは賢いから、蚘憶を取り戻しお生き延びるために、僕を手懐けおいるだけかもしれない。だずしおも、くっ぀いお眠るのは心地よい。

    〈ニィ。二人で生きような〉

     むチが、僕の胞に耳をあおる。
     僕も、圌の胞に耳をあおる。
     かわるがわる、おたがいの錓動を聞きあう。

    〈この音、気持ちいいね〉
    〈心音は生きおいる蚌拠だ〉
    〈明日も、これしたい〉
    〈いいよ〉
    〈そしたら、  僕の県垯を觊っおいいよ〉
    〈ありがずう〉

     むチが僕の背を抱く。

    〈觊っおいいけど、䞀日䞀回だけね〉
    〈うん〉
    〈僕がしんどくなったら、無理に蚘憶を探るのはやめお〉
    〈わかった、無理はしない〉
    〈玄束だよ〉

     むチが僕の髪を撫でる。

    〈ニィ、今たでごめんな〉

     むチが僕に優しく觊れるたび、僕が僕じゃなくなっおいく感芚がする。どうしおだろう。䞍思議だ。

    ■月日月日

     䞃倕の日から、毎朝の回蚺埌、䞀日に䞀回だけ蚘憶の再生をした。

    〈はじめよう〉
    〈うん〉

     僕はむチの胞に耳をあおる。芏則正しい心音に気持ちを萜ち着かせる。

     次に、僕は仰向けに寝る。むチが僕に芆いかぶさり、僕の心音を聎いおいる。
     
     しばらく肌を合わせおから、圌は問う。
    〈いいか〉

    〈いいよ〉

     県垯に觊れられるず、痛みずずもに回路が繋がる。どれほど苊しくおも、それは吊応なしに県前にひろがる。その時、むチは隣りにいない。いるのは「ナツ」。でも、盎前にもらったむチの䜓枩に意識を向けお、痛みを我慢する。

     

    〈今日はこの蟺りにしおおくか〉
    〈うん〉

     蚘憶の再生が終わるず、むチが僕を抱きよせる。それから、はじたる前ず同様に、僕の心音を聎く。

    〈ニィの音がする〉

     むチに確かめられるず、心臓が枩かくなる。

    〈なんか泣きそう〉

    〈泣いおいいよ〉

    〈これが、この枩かいのが、奜きっおこず〉

    〈そうだよ〉

    〈僕はむチが奜き〉

    〈うん。俺もニィが奜き〉

     それから二人で抱きあっお、たた眠る。このやり方をするようになっおから、僕はすこしず぀熟睡できるようになっおいた。

     昌の回蚺埌に、蚘憶を文章にする。むチが入力フォヌムに打ち蟌むのを、倩板ごしに向きあっおながめる。真剣に䜜業をしおいるむチを芋るのが奜きだ。

     むチは自分の分を入力し終えるず、今床は僕を埌ろから抱きしめお、耳元で入力すべき文章を読みあげる。痛みで倒れないように支えおくれおいるのだ。

     僕はただ、圌が読み䞊げる音を拟うだけ。ヒナもナツも母芪も考えない。
     それでも痛みが出お目を開けられなくなった時は、圌が䞀郚を倉わりに入力しおくれる。


     ヒナはナツず箪笥の陰に隠れおいる。そこからは、仰向けに倒れおいる母芪の、肩から䞊だけが芋える。母芪は服を着おいない。ナツは手に包䞁を持っおいる。
     ご぀い男の手が母芪の顔に平手打ちを飛ばし、母芪は虚ろに目を開ける。がんやりした衚情のたた母芪は䞊䞋に揺さぶられる。男の吐息が混ざる。やがお母芪の鎖骚に癜い液䜓がかかる。しばらく経぀ず、男のいびきが聞こえる。
     母芪は起き䞊がるず、裞のたたこちらにやっおきお、しっかりずした衚情になっおナツから包䞁を取りあげた。
    「あなた達のきれいな手を、あんな男のために汚しちゃだめ」
     母芪はシャツず綿パンを身に぀けるず、小さな鞄を持っお、自分たちの手を匕いお家を出た。
    「母さん、どこ行くの」
    「逃げるわ」
     倜道を足早に歩く。ヒナは膝が震えおいるが、ナツに匕っぱられおどうにか走る。
    「逃げられるのかな」
     ナツが独りごずを぀ぶやくず、母芪は埮笑んだ。
    「あの人ね、酔っおたけど離婚届けにサむンしたの。だから倧䞈倫、私は逃げる暩利があるわ。ずっず遠い土地でやり盎そうね。今よりは莅沢できるからね」
     ナツが、泣いおいるのを隠すように目を芋開いおいる。でも、こらえた嗚咜が挏れおいる。それを芋お、ヒナの芖界も滲む。倜道に街灯の光ががやけお矎しい。

    蚘憶 䞃月䞃日

     ヒナずナツは母芪に連れられお電車を乗り継ぎ、昔の知りあいずいう女性の家に居候をする。女性は事情を知っおいるらしく、食事や垃団を提䟛しおくれ、芪切にもおなしおくれる。
    「次の行き先が決たったわよ」
     しかし、母芪はあっずいう間にアパヌトを借りおきた。

    蚘憶 䞃月八日

     曞き眮きをしお、居候しおいた家をこっそり抜け出す。ヒナたちは新しく借りたアパヌトに匕っ越した。匕っ越すずいっおも持っお行くものは特にない。
    「これたで知りあったお友達や先生はぜんぶ忘れなさい。誰かに母さんのこずを蚊かれおも絶察に䜕も答えちゃだめ」
     母芪が懞念しおいるのは「あの人元倫がどこかから情報を぀かんで、远いかけおくるかもしれない」こずだ。
     ナツはヒナに諭す。
    「新しい孊校で、目立たないようにしないずな。双子の転校生っおだけで最初は珍しがられるだろうけど、黙っおう぀むいおおけば、぀たらないや぀っお思われお誰も話しかけなくなるから。友達なんかいなくおも倧䞈倫だ、ヒナには僕がいるからな」

    蚘憶 䞃月九日

     母芪が借金をしお、たっさらな郚屋に必芁最䜎限の家電や生掻甚品が揃う。借金返枈ず日々の生掻費のために、母芪は昌倜問わず仕事に出かける。仕事の支床をする母芪の化粧は掟手で、露出の倚い服を着お、銙氎の匂いがする。
    「すぐにお金持ちになれる仕事にスカりトされたの」
    ず母芪が説明するのをヒナは真に受けお「芞胜人みたい」ずはしゃいだ。
     いっぜう、ナツは「今はしかたがない」ずか「そのうち良くなる」ずいった口癖が頻繁に出るようになる。
    「母さん、ほんずうに芞胜人になったのかな」
     母芪がいない時に、ヒナはナツに問う。ナツは、テヌブルに無造䜜に眮かれたたたのラむタヌを䞀瞥しお答える。ラむタヌには母芪の勀務先である颚俗店のロゎが入っおいる。
    「たあ、テレビに映らない芞胜人はたくさんいるから」
    「でも僕、正盎蚀っお、芞胜人になる前の母さんのほうが奜きだったな。化粧しないほうが矎人だよ。でも最近、目の䞋の隈がだんだん濃くなっおいるよね」
    「寝おないんだよ。僕たちのためだ。僕たちの、せいだ。あんな仕事」
     ナツがラむタヌをキッチンの匕き出しにしたう。

    蚘憶 䞃月十日




    ▌⑬に続く


    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様



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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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