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「×」むチずニィ、圌らの蚘憶⑊【第二章認知】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    戻りはじめる蚘憶
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    むチ×ニィの運呜は


     しかたなく、キヌボヌドに指を眮く。むチも、向かいあっおキヌボヌドを叩きはじめた。圌は圌の文章を打ち蟌みながら、噚甚にも、僕に僕専甚の文章を聞かせる。圌の口からゆっくりず吐き出される蚀葉を、文字に倉換しおいく。
     思いださなくおいいず蚀われおも、蚀葉の意味を知っおいる以䞊、さっきの映像が頭のなかで再珟される。するず巊県は痛む。

     ヒナはナツず背䞭を合わせお、窓際に座っおいる。
     郚屋は薄暗い。
     ヒナは手のひらの䞊の怍物の皮をながめおいる。埌ろで、ナツが本を真剣に読んでいる。
    「ナツ。この皮っお、怍えたらひたわり咲くの」
    「どうしたんだ、それ」
    「垰り道に拟ったんだよ」
    「怍えお䞖話すりゃ咲くずは思うけど。どこに怍える気」
    「うヌん  。アパヌトの前だず怒られる 毎日氎をあげたいから、孊校だず䌑みの日は入れないし。公園っお、勝手に怍えおいいの」
    「さあな」
    「ねえ、ナツっおば」
    「なんだよ」
    「ナツは本ばっかり読んで、いっ぀も僕の話を聞いおくれない。だいたい、字、芋えおるの」
    「この䜍眮に座ったら、ちょうどペヌゞに街灯の光があたるんだ。ほら」
     ナツが、本の衚玙ず䞭身を、すこしだけ芋せおくる。
    「それ、おもしろい 『ドメスティックバむオレンスを考える』 䜕、ドメス  ティ  」
    「おたえは知らなくおいいんだよ」
    「はヌあ。ナツは最近そうやっお、自分でどんどん新しいこずを独り占めするよね。前は党郚䞀緒だったのに」
    「人間は成長する生き物だから、倉化するのは圓たり前だ」

    蚘憶 䞃月五日

     巊県が痛い。右県から涙が出おくる。僕に連動しお、正面に座るむチの巊県からも涙が流れおいる。それでも圌は、朗読をやめない。
     僕は痛みを忘れるために、入力に集䞭した。

    「そうやっお五幎、十幎経ったら、僕たちはもう仲良くないのかなあ。十幎埌は二十歳か、倧人だね。倧人になったらもう、党然別の人になっおるのかもしれないね」
     埌ろで、ナツが本を閉じる音がした。くっ぀けおいた背䞭が離れる。正面から向きあった。
    「ヒナ。タむムカプセル぀くろうか。明日、裏の公園に埋めお、十幎埌に芋に行こう」
    「タむムカプセル」
    「十幎埌、俺たちどうなっおるだろうな」
    「楜しみ ナツ、ありがずう」
     ヒナはナツに抱き぀いた。

    蚘憶 䞃月五日

    〈そういえば、さっきの映像。最埌に街灯の光が『ナツ』の顔にあたったんだけど〉
    〈うん〉
    〈芋間違いかもしれないけど、『ナツ』の顔がむチだったんだよね〉
    〈ふうん〉
    〈むチは芖なかったの〉
    〈うヌん、どうだったかなあ〉
    〈やっぱり芋間違いかな〉
    〈もう䞀床、確かめおみるか。䜕かわかるかも〉
    〈痛っ〉
     䜕の合図もなく、むチがたた県垯に觊れた。

     ぀いさっきずはちがう堎面の映像だ。
     やっぱり、映像のなかにはむチずそっくりの『ナツ』がいる。
     『ヒナ』は『ナツ』ず䞀緒に、公園で土に手玙を埋める。
     それから手を掗うためにトむレに行っお、掗面台で䞊んで鏡に映る――
    〈えっ  〉

     むチは県垯から指先を離すず、僕の頬をなでた。
    〈芖えたか〉
    〈同じ顔だった。『ナツ』ず『ヒナ』〉
    〈そうだな。二人は同じ顔をしお、同じ母芪を持っおいる。぀たり、二人は双子のきょうだいっおこずだ〉
    〈二人ずも、むチず同じ顔  〉
    〈ああ。二人ずもニィず同じ顔〉
    〈え〉
    〈あの双子は、おたえずそっくりだった〉
    〈ん  お、こずは〉
    〈぀たり、俺ずおたえも同じ顔〉
    〈えええっ〉
     からだも声も䌌おいるず思っおいたけど、顔もそっくりだったなんお。

    〈あ、そっか。だから同じ映像を芖るのかな 僕たち、二人ずも『ヒナ』で同䞀人物  、え、なんで〉

     混乱する。

    〈ただただ、わからないこずだらけだ。俺たちが䜕者なのか、どうしお俺たちが同じ顔をしおいるのか、どうしおここに閉じ蟌められお監芖されおいるのか。どうしおニィの巊県が痛むのか。蚘憶の再生を重ねお、ひず぀ず぀解明しおいくしかない〉
    〈うん  〉

     僕たちが同じ顔だず発芋した興奮で痛みは遠のいおいたのに、これからも蚘憶の再生を続けないずいけないのだず悟るず、痛みが戻った。もはや県だけじゃなくお、頭も痛い。
    〈すこし、暪になりたい〉

     僕が䌑んでいるあいだに、むチはさっさず自分の文章を曞き䞊げお送信した。
    〈痛みが匕いたら、おたえもはやめに送信しろよ〉
     蚘憶の話をしおいる限り、痛みは治たらないのに。どうしお僕だけがハンデを背負っおいるのだろう。
    〈もういいよ、曞くから。教えお〉
    〈もう平気なのか〉
    〈平気じゃないけど、さっさず終わらせる〉
    〈わかった。じゃ、いくぞ〉

     たるで暗蚘しおいたように、圌の唇からよどみなく蚀葉が流れる。僕はそれを拟う。䞀字䞀句挏らさないように集䞭しお、痛みに耐える。

     倪陜の光がたぶしい。公園の花壇のそばの土を掘り返しお、ヒナはナツず空瓶を埋める。なかには、十幎埌の自分たちに向けお、二人で曞いた手玙が入っおいる。
    「十幎埌、䞀緒に芋にこようね」
    「うん、玄束だ」
     土をかけ盎しおから、二人は公衆䟿所に入り、掗面台で手を掗う。
    「このトむレの石鹞、いい銙りがする」
    「お、ほんずだな」
    「やっぱり、いい銙りのする石鹞は高いのかなあ」
    「そうだな  。ヒナ、顔にも泥぀いおるぞ」
    「ん、どこ」
    「ほら、ここ」
     二人は鏡をのぞきこむ。同じ顔が映っおいる。圌らは䞀卵性の双子であるず考えられる。

    蚘憶 䞃月五日

     〈っ、はあ、もう無理〉
     集䞭しすぎたせいか、息が切れおいる。頭がガンガンず痛む。巊県も奥からズキズキず裂かれるような痛みが襲っおくる。
     これがあず䜕回、続くのだろう。

    〈うん。ちゃんず曞けおる〉
     誀字脱字がないかチェックしおいたむチは、倧きくうなずいた。
    〈ニィもやればできるじゃないか〉
    〈もうやりたくないけど〉
    〈ここを出れば、もうやらなくおいいはずだ〉
    〈ゎヌルたでが長すぎる  〉
    〈すぐだよ、すぐ。そのためにも、はやく蚘憶を戻さないず〉
     むチが県垯を觊ろうずするのを、突き飛ばしお拒吊した。
    〈もう嫌だから〉

     むチの巊県から涙が䞀筋流れおいる。僕が泣きはじめたせいだ。僕はむチみたいに賢くないし匷くない。二人で生き延びおも、足手たずいになるだけだ。

    〈こんな目に遭っおたで生き延びお、䜕になるの〉

    〈ニィ、萜ち着け。今日はもうしないから。だから、たた明日、よろしくな〉

     返事なんかしおやらない。
     むチに背を向けお暪になり、昌も倜も顔を合わせおやらなかった。

    ――脱出日たであず「四十䞀日」。


    〈第䞉章慕情〉

    ■月日

     い぀になれば、僕に生死の刀断が䞋るのだろう。




    ▌⑧に続く


    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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