メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bytakayuki365

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉓【第䞃章蚘憶-Ⅰ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    母ず䌚わないナツ
    前  䞀芧  次
    ナツ×ヒナの蚘憶


     母さんは握った手を離さないたた、
    「寂しかったでしょう」
     ゆっくりしたテンポを厩さずに話しかけおくれた。

     僕は銖を倧きく暪に振り、
    「平気」
     返事しただけで涙が溢れそうになったので、目を倧きく開いおなるべく母さんの顔から目を逞らした。

    「母さんね」
    「うん」
    「難しい病気かもしれない」
    「  」
    「ごめんね」
    「ううん」
    「でもちゃんず治ったら、ヒナタを迎えに行くね」
    「ん、うん」
    「それたで我慢できる」
    「倧䞈倫」
    「そう、良かった」
    「うん」
    「ヒナタは我慢匷いもんね」

     我慢匷くなんかない、ただ逃げおいるだけなのに。ずは蚀えなくお、曖昧な返答ではにかみ笑いを芋せた。

     母さんはなおも埮笑んで、
    「いい子ね」
    ず手を撫でおくれる。
     頬に雫の萜ちる感觊がしお、自分が泣いおいたず気づく。
     僕をいい子ず耒めおくれる母さんの、必死の愛情めいたものに打ちのめされる。泣く甚意なんお出来おいなかったから、どうやっお感情を鎮めればいいのかわからない。

    「泣いちゃだめよ」
    「う、」
     返事しようずしお嗚咜が挏れた。
    「掟氎、ちゃんず拭いお」
     ベッドサむドに眮かれたティッシュを借りお、思いきり掟をかんだ。
     母さんは、そんな僕の䞀挙䞀動を目で远っおいた。芖線が痛くお、だけどその痛さを倧切に感じたくお、䜕床も掟をかんだ。

     涙が萜ち着いた頃、おばさんが病宀に戻っお来た。
    「これ蚺断曞もらっおおきたした。職堎に出しおおきたすからね」
    「ありがずうございたす」
    「足りおいないものは」
    「今のずころ、倧䞈倫です」
    「必芁なものは看護垫の蚱可をもらわないず届けられない仕組みだそうです。だから、欲しいものあったら看護垫に䌝えおおいおください」
    「いろいろずすみたせん。お䞖話をかけたすが、ヒナタをよろしく頌みたす」
    「ええ。できる範囲で協力したす」
     おばさんず母さんの䌚話はそれだけだった。
     看護垫が䜓枩を枬りに来お、おばさんは片付けの甚意を始めた。

    「い぀でも䌚いにきおいいのよ」
     母さんは名残惜しそうに僕の袖を぀かんだ。僕も、もうすこし長居したかったのだが、看護垫が忙しそうに仕事しおいるのを暪にしお垭を立った。

    「ごめんなさいね、面䌚時間はただ倧䞈倫ですから、気を぀かわないでくださいね」
     看護垫が声をかけた時、おばさんはすでに病宀の扉を開けようずしおいた。
    「母さん、行くね。早く元気になっおね」
    「ありがずう」
     母さんの笑顔に、もうすっかり倧䞈倫だ、ず思った。粟神的な病は治っおいる、もう少し䜓力が回埩すれば退院できるだろう。
    「今床は、ナツも䞀緒に来るからね」
    ずカヌテンを閉めお病宀を埌にした。
    その盎埌だった。

    「おおおああぁ」

     䜎い叫び声だった。獣の䜎い呻きに䌌おいた。

    「来るなあぁぁ」

     誰の声だか、病宀の患者が暎れ始めた。䜕かの倒れる物音がした。看護垫の制する声が響き、医垫が走っお来た。
     隒がしくなった病宀の扉は開け攟たれおいお、内郚の様子がわかった。
     䞉人がかりでベッドに抌さえ぀けられおいたのは、母さんだった。

    「ナツキはくるなぁぁぁ」

     䜎い䞍気味な声が右から巊ぞず通り抜け、わんわんず錓膜に゚コヌを残した。動き回る癜衣の残像が幟重にも重なり、たるで癜い光がぜわんぜわんず舞っおいるようだった。
     僕は目を閉じた。
     足もずが芚束なくお、宙に浮いおいる感芚がした。

    「ナツキはくるな」「ナツキはきえろ」「ナツキはだれだ」「そんなや぀いらない」「いらない」「いらない」「いらない」「いらない」「いらない」「いらない」

     しばらく埅たされた埌、おばさんだけが先生に呌ばれた。がらんずした廊䞋の怅子に、僕䞀人だけが残されおいた。

     時々、癜衣を着た倧人が僕の前を通過した。
     䜕人かは「寒くない」ずか「倧䞈倫」ずか声をかけおくれお、䜕人かは僕の存圚を無芖しお忙しそうに立ち去った。
     萜ち着かない堎所だった。
     ズボンのポケットに知恵の茪があった。ナツに「暇だったら遊べ」ず枡されおいた。それをいじっお、時を過ごした。

     ナツキは来るな。ず母さんは蚀った。
     僕は行かない。ずナツは蚀った。

     僕の知らない間に、母さんずナツの関係はどうなっおいたんだろう。
     母さんが家のなかをめちゃくちゃにした日、ナツが先に母さんの様子を芋に行った。あずから僕が珟れるたでの数十秒のあいだに、䜕かあったのだろうか。もし僕が先に芋に行っおいたら、ヒナタは来るなず蚀われたのだろうか

     それずも、もし僕が先に産たれおいお兄になっおいたら、もし僕がナツキず名付けられおいたら。
     そんな可胜性をどうしお今たで考えなかったんだろう。
     自分たちが双子であるこず、自分が匟であるこずを疑いもしなかった。たわりの誰も疑っおくれなかった。い぀でも二人でワンペアずしお扱われおいた。それが圓然だった。
     もし僕がナツキで、圌がヒナタだずしおも、小さい頃は倧差なかった。
     ずっず䞀緒だった、孊校からの垰り道も、友達も、宿題も。

     でも転校を繰り返すうち、クラスも別々になっお、違うものを芋お暮らすようになっおいる。

     これから䞭孊生を卒業しお、高校生になっお、倧人になっおいくうちに、違う孊校に行き、違う進路を遞び、違う仕事をし、違う女の人ず付き合い、違う子どもを䜜るんだ。違う䞖界を芋おいかなくちゃ、成長できないんだ。

     人間は生たれる時も死ぬ時も䞀人だず聞いたこずがあるけれど、僕たちは二人で生たれお来た。だけど今、ここにこうしおいる僕は、ひずりがっち。

     知恵の茪は倖れない。




    ▌㉔に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

    あなたぞのおすすめ