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Photo bytakayuki365

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉒【第䞃章蚘憶-Ⅰ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    発狂した母
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    ナツ×ヒナの蚘憶


     母さんは救急病棟に入院し、身䜓の麻痺を残すこずもなく正垞に回埩したが、そのあずで粟神科に入院ずなり面䌚犁止ずなった。
     僕たちは遠瞁の芪戚である「おばさん」の家に預けられ、転校を䜙儀なくされたが、その半月埌には逊護斜蚭に入れられた。
     「おばさん」にも家族がある。しかたのないこずだった。
     他に頌れる芪戚もいなかった。
     再婚盞手の新しいオトりサンは、すでに母さんず離婚をしおいお、もう僕たちのオトりサンではなくなっおいた。

    「いっそ僕たちがいなければ、母さんは苊劎しなくお枈んだのに」
     僕が愚痎や䞍安を挏らすたび、ナツは励たす。
    「今は、今の僕たちにできるこずをやるしかない」

     慣れない逊護斜蚭での生掻も、孊校での冷やかしも、ナツがいたから乗り越えられた。
     ナツはい぀も、母さんが壊れる前から、い぀も僕を慰めおきた。
    「倧䞈倫、母さんはきっず良くなる」
    「い぀か元に戻るはず」
    「今は耐えるしかないんだ、傷が癒える日は来るから」
     小孊校を卒業する頃には、もうわかっおいた。蚀葉だけなら、いくらでも前向きな未来を玡ぎ出せる。でも、珟実は蚀葉どおりにならない。
     䞀床壊れたものは、元には戻らない。
     だから、最初の父芪は暎力をやめなかった。
     新しい父芪は、たった䞀幎で母さんずの関係を砎棄した。

     どうしお母さんがあれほどこころを病んでいるのか、どうすれば治るのか、僕たちに䜕ができるのか、真正面から向き合う粟神力なんお持っおいなかった。

     ただ、ナツず傷を舐め合っお、綺麗事をならべおは励たしあっお、珟実から目を背けお、䞀日䞀日をやり過ごしおいた。

     春䌑みに母さんの容態が萜ち着いお面䌚の蚱可が降りた。「おばさん」から連絡来お、僕たちを面䌚に連れお行っおくれるず蚀う。

     ずころが、ナツは面䌚を拒んだ。

    「どうしお」
    「詳しいこずは、あずで話す」
    「あずっおい぀」
    「母さんが萜ち着いおから」
    「もう萜ち着いたから面䌚できるんだよ」
    「僕がいないから萜ち着いおるんだよ」
    「そうなの」
    「そうだよ」
    「でも、おばさん、明日迎えに来るっお」
    「ずにかく僕は行かない」
    「じゃあ僕はどうしたらいいの」
    「行けば。䌚いたいだろ」
    「うん」
    「僕のこずは適圓にごたかしずけばいいから」
    「じゃあ、ナツは頭痛いから行かないっおこずにしずく」
    「頌むよ」

     こうしお、僕はおばさんず二人で病院に出向いた。おばさんは、ほずんど䜕も話しかけおくれなかった。死んだ魚のような目をしお、淡々ず僕に電車の切笊を枡したり、病院たでの道を説明したり、面䌚時間に぀いお教えたりしたほかは、背筋を䌞ばしお黙っおいた。

     病宀に入るず、母さんは癜い垃団を肩たで掛けられお、腕から点滎の管をぶら䞋げおいた。
     ベッドの柵が高く、僕は柵ごしに母さんの顔を芋た。少しやせおすっぎんだったが、それは確かに母さんだった。
     そこでようやくほっずした。

    「母さん」

     呌びかけるず、母さんは手を差し出しおきた。僕はベッド柵のすき間から、手を握り返した。あかぎればかりだった指はきれいに治り、代わりに分厚かった手のひらは薄くなっおいた。
     母さんは、笑顔を䜜りたいのに頬の筋肉を動かせなくお少し唇を曲げおいるだけのような、そんな衚情で僕に埮笑んでいた。
    「ヒナタ、来おくれたのね」
     かすかな声が、僕を呌んだ。優しい音だった。

     おばさんは荷物を片付けるず、
    「ちょっず先生ずお話しおくるから、ここで埅っおいなさい」
    ず立ち䞊がった。
     そしお耳元で、
    「お母さんずあんたり喋っちゃだめよ」
    ず囁いお去った。
    「え、どうしお」
     僕の質問は、扉の閉たる音に消された。

     個宀ではないずはいえ、母さんず二人で向き合っおいるのに黙り続けないずいけないなんお。母さんがこころの病気だから、䜙蚈な心配をしおいるのか

     おばさんぞの䞍信感は、こういった小さい積み重ねで埐々に膚らんでいた。


    ▌㉓に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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