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Photo bytakayuki365

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉕【第䞃章蚘憶-Ⅰ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    あの頃には戻れない
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    ナツ×ヒナの蚘憶


     それから月に二回、僕だけがおばさんに連れられお母さんに䌚いに行った。

     ナツの話さえ出さなければ、母さんは母さんのたた優しい口調で萜ち着いおいた。顔色にも血の気が戻り、ベッドの䞊で座っお本を読んだり、化粧たでしおいた。
    「たたにはこんな䌑暇もいただかないずね、仕事ばかりだず頭もおかしくなるわよねえ」
    ず笑いながら薬を飲んでいた。
     衚情は明るく、垞にニコニコ笑っおいた。
     しかし僕が来ない日は、暎れたり塞ぎ蟌んだりしおいるらしい。
     䌚うたび混乱する。どこたでが本来の姿で、どこからが母芪ずしおの挔技なのか。

     そのうちにわかっおきた、母さんも昔は子どもだったずいうこずを。そしお今は䞀人の女性で、その䞀郚ずしお母芪圹を務めおいたにすぎないず。

     面䌚の蚱可が䞋りおから二か月埌、母さんの退院が決たった。退院先は自宅ではなく療逊所だった。瀟䌚埩垰が芋蟌たれるたで蚓緎が必芁なため、ずいう名目らしい。
     ナツの蚀う通り、元に戻らないずいう諊芳を受け入れるしかなかった。それならば息子ずしお、母芪を芋守る立堎を芚悟しないずいけない。
     でも芚悟なんかより、今の環境から逃げ出したい気持ちが先に立぀。

     母さんのように、圹割を終えるための突砎口が欲しかった。

     䞭孊に入孊した圓初は、小孊校ずちがっおクラスの数も倚くなり、たわりの掻気に背䞭を抌されお、すこしは新鮮な気分になった。クラブ掻動の勧誘も盛んだったが、䞀通り芋孊しただけで、どこにも所属しなかった。
     そのうち䞀孊期が過ぎ、倏䌑みに突入する頃にはもう孊校生掻に疲れ果おおいた。いじめや䜕かがあったわけじゃない。が、呚囲ず自分ずの間に、芋えない溝がはっきりず存圚しおいた。
     それはたぶん、環境の違いによるものだったず思う。
     同玚生のほずんどが、自分自身にかたっおいた。自分のために笑い、泣き、共感し、眵倒し、仲間を぀くったり離れたりしおいた。芪ずの関係に悩んで愚痎をこがしおいる声は教宀内で䜕床も聞いたが、芪の将来を深刻に考えなくおはならない䞭孊生は、すくなくずも僕の知るかぎりではいなかった。

     倏䌑み。
     暑さが暑さを呌び、猛暑が続く最䞭、僕たちのからだは十䞉歳を迎えた。

     朝、目が芚めるず蝉の鳎き声が聞こえ、小さな子どもが掗面所の取り合いをしおいるのを傍目にナツず幎䞊の人間らで朝飯の準備を手䌝い、食卓に䞊ぶ食材の圩りに吐き気をおさえ、昌も倜も同じこずを繰り返し、だるさを意識の倖に远いやり、先生の前では笑顔を䜜り、倜になるず暑苊しさに寝付けず、日䞭の空いた時間に睡眠をずった。翌日も、翌々日も同じ繰り返しだった。
     それはナツも同様だった。圌はもう僕を慰めようずもしなかった。
    「だるい」
     それが二人の口癖になっおいた。
     日に日に、䜕も感じなくなっおいく。
     あらゆる事象が、僕たちに爪痕を残さずにすり抜けおいく。

     すり抜けた事象の䞀぀に、こんなこずがあった。

     倏の盛り。連日の暑さで神経は擊り枛っおいた。
     それをさらに逆撫でする鬱陶しい女がいた。新しく入所しおきた同じ歳の女で、線の现い、目も现い、党䜓的に尖った感じのする奎だった。
     名前は忘れた。
     薄い生地でパンツが透けお芋える、短いスカヌトを穿いおいた。パンツの色はピンクだった。

     その䞋品な䞋半身が僕たちに近づいおきお、
    「隣り、座っおいい」
    ず蚀った。
     断るのも面倒だったので、顔も䞊げずに
    「いいよ」
    ず答えた。

     隣り、だず蚀ったくせに、女は僕たちのあいだに割り蟌んで座り、
    「䜕しおるの」
    ず聞いた。
    「別に」
    ず僕は目を合わせずに答えた。ナツは盞手にしなかった。
    「い぀芋おもがんやりしおるのね」
    「別に」
     苛立っお爪を噛んだ。女は僕を芳察するような目぀きで、
    「気が狂っおるの」
    ず聞いた。おもわず、そい぀の顔を芋た。焊点の合わない目で、口の端を歪たせお奇劙に笑っおいた。
     䞡腕には现かい傷跡が幟぀も刻たれおいた。
     「聞いたわ。あなたたちの母芪っお頭がおかしくなったそうね。あなたたちもい぀か、そうなるの」
     この女こそ、頭がおかしいんじゃないかず思った。
    「お母さんはどこにいるの 私、䌚っおみたい。」
    「面䌚に蚱可がいるから、おたえは無理」
     冷静を装っお答える。
    「䌚っおみたい。私より狂っおる人。芋おみたい」

    「自分は狂っおいる぀もりなのか 誰も同情しないよ」
     ナツがやっず口を開いた。
     女は、今床はナツのほうを芋お答えた。
    「どういう意味よ」
     ナツは無芖しおいる。
    「自分たちは狂っおるふりはしおたせんっお぀もりなわけ あっそう わざずがんやりしお珟実逃避しおるんじゃなかったの、ふヌんそう」
     しばらくの沈黙の埌、ナツが぀ぶやいた。
    「パンツ芋えおるよ」

     女は錻で笑った。
     ふたたび沈黙が続いた。

     突然、ゎツッずいう音がしおナツが倒れ蟌んだ。女が拳を振り䞊げおいた。僕は埌ろから女の肩を掎んだが、腹を蹎り飛ばされた。そうなるずもう反撃する気力も倱っお、そのたた倒れおいた。
     暪転した芖界で、女がふたたびナツの顔を打ずうずした。が、反しおナツが女を抌し倒し、もがく手足を抑え぀けお、スカヌトのなかに手を入れおパンツを降ろしたのを、芋た。

     瞬間、母さんが父さんに犯されおいた光景がフラッシュバックした。

     制する気は起きなかった。むしろナツを応揎しおいた。
     やっちたえ。そう思った。
     ひさしぶりの刺激的な光景だった。

     ナツのなかのどこに、あんな衝動が隠れおいたんだろう
     僕のなかのどこに、こんな情念が埋もれおいたのだろう

     結局、すぐに先生が駆け付けたのでナツは女を犯せなかった。女は「刑務所に連れおいけ」ず泣き叫んでいたが、どうやら粟神疟患を持っおいたらしく、翌日には別の斜蚭に送られた。

     僕たちはやはりワンペアずしお二人で先生に散々怒られ、心配もされたが、未遂だったのでお咎めだけで枈んだ。

     その翌日からはたた同じ日々の繰り返しだった。あの瞬間に感じた憎しみのような情熱は戻らなかった。
     自分のこころをいくら探っおも、ナツのからだのどこに觊れおも。肉䜓ずいう名の容噚は、どんどん空っぜになる。

    だけど、空っぜの日々をやっず突砎する事件が起きた。




    ▌㉖に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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