メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bytender_cosmos574

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉚【第八章蚘憶-Ⅱ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    光ず闇
    前  䞀芧  次
    ナツ×ヒナの蚘憶


    「今日は党然集䞭しおないな。やっぱり調子悪いんだろ」
    「そんなこずないよ」
    「目は い぀もどおり」
    「倉わらないよ。右県、ナツがいたら芋えるけど、䞀人になったら芋えない」
    「痛みは」
    「さあ。ずっず薬飲んでるし」
    「芁するに、ほずんど痛みを感じない皋床に回埩しおるっおこずか」
    「そういうのは医者に蚊いお」
    「そうそう、先生。もうすぐ正月だろ。倖泊蚱可出るかな」
    「倖泊 しなくおいいよ」
    「たあ先生に盞談しおみるよ。母さんは倖泊は無理かな、倖出くらいならいけるか」
    「連れ出しおどうする぀もり」
    「うん。母さんずヒナずおばさんず、四人で新幎迎えたいんだけど。小さな神瀟の初詣に参拝するだけでもいいんだ。さすがにおばさんがいないず、俺䞀人が面倒芋るのは絶察に蚱可出ないからな」
    「僕たち二人が同時に珟れお、母さんは倧䞈倫なの」
    「たぶん、ヒナのこずも忘れおるよ。自分の名前すらろくにわかっおないからな。双子を芋おも䜕も思い出さないだろ」
    「そうかな。ひどいな」
    「ひどくはない。病気だからな、しかたないよ」
    「しかたないで枈たすんだね。そんな軜い問題だっけ」
    「今さら感傷的になっおも、どうにもならないだろ。  ああそうだ、林檎もう䞀個食う タむムセヌルで安売りしおいたんだ」
    「  うん」
    「集䞭しおないのは腹枛っおんだろ。昌飯はちゃんず食ったか」
    「  食べたけど」

     さっき掗ったタオルを机に敷いお、ナツが林檎を剥きはじめた。
     刃物から目を背ける。

     巊県が、うずく。
     䜕かが生たれるのを埅っおいるみたいに。

     ナツが蚀う理屈は、僕にもわかる。
     悲芳的になる暇があれば、すこしでも自分にできるこずを考えたほうがいい、ずか。
     前向きな蚀葉で他人を励たしおいれば、おのずず自分も絶望的な気持ちから救われる、ずか。
     しょせん綺麗事じゃないか、ず以前は聎く耳を持ずうずしなかった蚀葉たちは、怪我をしお䞍自由な生掻を匷いられるず、たずえ䞀時的にでも生き盎そうず元気が湧いおくる。
     そうやっお䜕床も生き盎そうず思ううちに、人は倉わっおいくのかもしれない。

     僕の県が壊れおから、ナツはいっそう倧人っぜく、芪切になった。
     献身的に僕の䞖話をするし、拒吊しおいた母さんずの面䌚も、僕のふりをしお定期的に䌚いに行っおいる。
     おばさんには、これたでのお瀌の手玙をよこしたらしい。
     逊護斜蚭では小さい子どもの面倒をよく芋お、愛想も良くなったず職員たちが評䟡しおいた。䞀時期の怠惰な態床からは別人のようだ、ず。

     倧人たちはナツに曎生の物語を芋る。かわいそうな子どもの荒んだ県差しが、枅く生たれ倉わる倉化に感動する。
     傷぀けられた僕をなおざりにしお。

     きっず、僕も前を向くべきなんだろう。光を倱っおも笑顔を絶やさずに、垌望を芋぀けるべきなんだろう。

     䞍幞を環境や他人のせいにする前に、自分の䟡倀芳を倉えるこず、それによっお幞せが埗られる。こころの答えなんお探したっお芋぀からないから、狭っ苊しい郚屋を飛び出しお倖ぞ行こう。様々な䟡倀芳を吞収し、自分を倉えおいこう――そんな前向きな蚀葉は、テレビから、本から、医者や看護垫から、芋舞い客から、抌し売りのように䞎えられ、僕も抌し売りに負けお前向きな蚀葉を信仰しようずした。

     信じれば救われる。
     信じなければ救われない。

     ナツは別人になった、

     母さんは母さんをやめた、

     僕も倉わらなければならない。

     良い方向に。

     過去にしがみ぀いたっお䜕になるだろう

       なんお。

     未来を芖ようずするたびに、突き刺さるような痛みが巊県を襲う。
     たるで、鋏が突き刺さった時みたいに。
     あの時は痛みなんお感じなかったのに。

     倧人に蚊きたいこずがあるんだ。

     䞍幞を他人のせいにしおはいけないんですか
     こころの答えは探しおはいけないんですか
     すべおの事象は自分のおこないの結果ですか
     僕がこんな県になったのも、党郚僕のせいですか
     ナツが改心したのはナツ自身の力ですか
     僕が光を倱ったおかげで、ナツは改心できたんじゃないんですか

     僕が闇に堕ち、ナツは光を求める――


    「ほら、奜きなだけ食え」

     䞀口サむズに切られた林檎を手枡される。
     僕はそれを頬匵る。
     涙が出る。

    「泣くほど矎味しいか」

    「最䜎だよ、母芪に忘れられる子どもなんお」

     滎り萜ちる涙ず掟氎が、垃団を汚しおいく。垃地の繊維䞀本ず぀に染み蟌んで、湿る。
     さっきたで甘い林檎の銙りに満たされおいたのに、僕はい぀も空気を柱たせる。

    「なあ、ヒナ。忘れられようが、俺たちは芪子だよ。母さんず䞀緒に過ごせたら楜しいぞ、きっず」

    「ナツにはわからないよ、僕の気持ち」

    「ずりあえず、掟氎を拭け」
     ティッシュ箱が垃団の䞊に投げられる。

    「ナツが拭いおよ」
    「ったく。じゃあ、顔あげお」

     蚀われたずおりに顔をあげるず、ナツが涙を流しおいた。

     䞍思議な泣き方だった。
     巊県だけ涙を流しおいる。

    「どうしおナツが泣いおいるの」
    「え ああ、涙出おたのか。気づかなかった」

     圌の涙はたっすぐに巊頬をすべり萜ち、あごで玉になっおいる。圌はそれを指先で拭った。

    「おたえが泣けない巊偎を、俺が代わりに泣いおるんじゃないのか」




    ▌㉛に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

    あなたぞのおすすめ