メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bymasakazu

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶⑮【第五章自我】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    むチ×ニィ、
    前  䞀芧  次
    蜜月終了フラグ


     消毒液の臭い。
     枩かい宀内。
     窓の倖は、よく晎れたグラりンドず、枯れ朚。䜓操着のクラスメむトが、サッカヌをしおいる。
     すぐ耳元で電子音が鳎っお、腋から䜓枩蚈を取り出す。
    ――䞉十八床五分。高いわね。今朝からしんどかった
    ――そんなに。
    ――朝から熱は枬った
    ――朝は䞉十䞃床䞉分。
    ――そう。今日はおうちの人は
    ――母さんが、仕事䌑みで家にいる。
    ――じゃあ今日は早退しお病院に連れおっおもらいなさい。ここで䌑んでいおも熱が䞊がるだけよ。わかった
    ――はい。
     垰り支床をし、校舎を出る。
     陜の照るグラりンドではしゃぐクラスメむトが、たるで異次元にいるように遠い。すべおの茪郭がノェヌルを被っおいるようにがやけおいる。頭が熱くお、からだは寒い。舗装されたアスファルトばかり芋぀めお、歩く。
     家の前に黒猫がいた。撫でおやろうず近寄るず、ミャアず鳎いお逃げる。猫は隣家ずのすき間に入っお姿を消した。
     猫の残像を頭に描き぀぀、むンタヌフォンを鳎らそうずしお、やめる。ランドセルから合鍵を出しお、独りごちる。
    ――「早退したけど、党然心配いらないよ」なんおね。
     玄関に入る。
    ――母さん。早退したけど、党然  、
     廊䞋も郚屋も薄暗い。甚意しおいた匷がりのセリフが宙に浮いた。
    ――母さん、いるの  
     どこかで猫の鳎き声がする。さっき家の前にいた猫
     猫が暎れおいる ギシギシず、きしむ音がする。
     ギシギシ、ギシギシ  寝宀から。
     人の声もする。䜎い声。オトりサンずは違うような、男の人の。
     そっず寝宀の扉を開ける。
    ――母さん
     ベッドで倧きな塊がうごめいおいる。激しい息切れをずもなっお、もがいおいる。

    〈痛い〉

    ――母さん、䜕しおるの  

    〈痛い、むチやめろ痛い〉
    〈我慢しおくれ〉

     耳鳎りがする。宙に浮く感芚がする。すべおの茪郭が溶ける。
     薄暗い郚屋で誰かが叫んでいる。
     僕はあの時、䜕を芋たのだろう あれは――

    〈痛い痛い痛いよおぉ〉
    〈我慢しろ〉

     暗い。䜕も芋えない。むチもいない。むチ、どこにいったんだ。
     光を返しお。

     僕にちゃんずした䞖界を芋せおよ。

    ――ヒナ。
     䞀筋の癜い光を背に、少幎が立っおいる。ここは  子ども郚屋。
    ――早退したんだっお 病院には行ったのか
    ――行っおない。
    ――今からでも間にあうから、連れおっおもらえよ。
    ――平気だよ、ただの颚邪匕きだから。薬飲んだら治る。
    ――なぁヒナ、䜕か隠しおないか 母さんの様子が倉だったけど、なにかあったんじゃないのか
    ――知らない。気のせいじゃないの。
    ――そうか ならいいけど。ほんずうに倧䞈倫か
    ――なんずもないっお。
    ――じゃあどうしお泣いおいるんだよ。
    ――泣いおなんか。
    ――泣いおる。どうしたんだよ。䜕があった
    ――倢を、芋たんだよ。怖い倢を  、  。

    〈やめお。もうやめお〉
    〈あ、ごめん〉

     むチはようやく僕の巊県から指先を離した。だけど、そのあずも䜕事か考えおいる様子で、隣りに寝転がっお倩井をながめおいる。い぀もは僕の心音に耳を柄たせるのに、今はその片手を申し分皋床に僕の胞にあおおいるだけだ。

    〈ヒナは、倢で䜕を芋たんだろ  〉
     い぀ものむチずちがっお、声に芇気がない。がんやりしおいお、䞍安そうに僕を芋぀めおくる。めずらしく泣きそうな顔をしおいる。泣きたいのはこっちだずいうのに。

    〈なあ、ニィ。ヒナは  〉
     むチの指先が、僕の巊頬を撫でる。そのたた、県垯に䌞びようずする。
     圌の手をはらっお、背を向けた。
    〈ニィ〉

    〈痛いっお蚀ったのに、やめおくれなかった〉
    〈ああ、ごめん〉
    〈結局、むチは蚘憶さえ取り戻せたら、僕を捚おる〉
    〈だから、ごめんっお。痛かっただろ、明日はやめおおくか〉
    〈そういう問題じゃないよ。僕は裏切られたんだ〉
    〈ニィ。俺はただ、ヒナを芖ようずしお  。きちんず二人を〉

    〈僕の気持ちを考えおくれないむチなんか、倧嫌いだ〉


    ■月日

     むチず口をきかないたた倜の回蚺が蚪れ、日めくりは「䞃月二十䞀日」になった。

     こみあげる䞍快感は消えない。それは、むチが無理やり蚘憶を求めたから、だけじゃない。蚘憶のなかの寝宀、薄暗いなかで起きたこず。はっきりずわからないその蚘憶に纏わり぀く黒い圱。それが、むチず仲盎りしたいずいう気持ちに、なんずなく歯止めをかけおいる。

     むチも僕ず同じなのか、ずっずパ゜コンの画面をにらんで、僕ずは目を合わせようずしない。苛々ずした様子で爪を噛んでいる。ここ最近の熱っぜかった芖線が、嘘みたいだ。䞀時的に恋人ごっこをしたかっただけ、みたいに思える。

     結局、僕は「䞃月二十日」に文章を送信しなかった。むチも教えようずしおくれなかった。圌は圌で送信を枈たせおいるみたいだ。点数に差が開くだろう。

    もう、どうでもいい。




    ▌⑯に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様






    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

    あなたぞのおすすめ