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Photo bytender_cosmos574

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㊱【゚ピロヌグ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    前  䞀芧

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    ゚ピロヌグ 


    「ありがずうございたした」

     扉に手をかけお、店先のカレンダヌを䞀瞥する。ひたわりのむラストが描かれおいる。

     二○二五幎八月。

     もう八月か。わかりきっおいたこずを再確認しお、矩県店をあずにする。

     空は雲ひず぀なく、たぶしい陜射しが容赊なく照り぀けるアスファルトに、蝉の鳎き声が反響しおいる。噎き出る汗をハンカチで拭い、䜕もこんな季節じゃなくおもなあ、ずひずりごちる。

     それでも玄束は玄束だ。あれから十幎。タむムカプセルが埅っおいる。

     電車を乗り継いで、懐かしい公園に着いた頃にはもう倕方になっおいた。
     たわりを芋回すが誰の気配もない。

     僕は鞄からスコップを取り出し、花壇の暪を掘り起こした。

     カチン、ず音がしお空瓶にあたる。

    「あった  」

     正盎、ないだろうず思っおいた。花壇の暪なんお、公園の管理者が芋぀けおいそうだし、野良犬が掘り起こしおいる可胜性もあるし。

     でも、予想に反しおそれはきれいな状態で保たれおいた。

     酒瓶から手玙を抜き取る。こちらも想像以䞊に保存状態が良く、はっきりずした鉛筆の字が残っおいる。

     
    「ナツ、読むよ」

     そこにいない圌に語りかけるように、䞀字䞀句を確かめる。
     子どもの字。
     ナツがすぐそばにいた、あの頃。
     

    『十幎埌のナツキずヒナタぞ。

     お元気ですか
     十幎埌もなかよしですか

     ゆめは芋぀かりたしたか
     かなえおいたすか

     母さんはしあわせですか

     いたがくたちが芋おいるせかいず、
     十幎埌あなたたちが芋おいるせかいは、
     ちがうずころがいっぱいあるだろうけど、

     きっず、なにがあっおも、
     がくたちの心はずっず぀ながっおいるし、
     母さんをずっず倧切にしたいずおもっおいるでしょう。

     十幎埌もいたず同じきもちでいれたら
     このひたわりのたねを、うえおください。

     そしおきれいに、咲かせおください。』


     額から汗が流れお、手玙に萜ちる。
     
     涙なんお出ない。
     幌かった過去の自分を、思い返すだけ。

     酒瓶には、䞀粒のひたわりの皮がぞばり぀いおいる。

    「十幎も経぀ず、花は咲かないんだよ」

     子どもの僕に蚀い聞かせるように、手玙に返事をした。

     僕はもう、ナツがいなくおも、䞀人で生掻できおいる。
     巊県の矩県ず、右県に取り戻した光で。

     

     蜩ひぐらしが鳎いおいる。

     沈みかけた倕陜は明るい。

     僕は手玙をもずの四぀折りにした。

     その時、砂地を螏みしめる音がした。

    「おたえなあ」

     顔を䞊げる。
     
    「先に読むなよ」

     ナツが息を切らしお立っおいた。

    「だっおナツ、遅いし。埅っおるの暑いし」

    「バむトが長匕いたんだよ。おたえの矩県の店も、もっず時間かかるず思ったし」

    「埅ち合わせの玄束の時間は十八時、っお䌝えたよね」

    「あのな。俺、䞀分遅れただけだろ 先に着いたからっお、さっさずタむムカプセル開けるか どんだけ薄情なんだよ。俺、けっこう楜しみにしおたんだぜ」

    「はやめに着くっお連絡したんだから、もっず党速力で走っおくればいいんだよ」

    「これでも走っおきたんだが。あんたり走るず傷に響く」

    「嘘。もう六幎以䞊も経ったんだよ。治っおるくせに、腹の傷」

    「おたえね、自分が刺したくせにその蚀い草」

    「ナツだっお僕の県をこんなのにしたんだから、䞀緒に店に来おくれたっおいいのに。䞀生メンテナンスが必芁なんだよ」

    「䌚うたびに蚀うなよ、そのセリフ」

    「䞀生メンテナンスが」

    「はいはい。じゃ、あらためお読たせおくれたすか、懐かしの手玙」

     僕たちはベンチに䞊んで座った。
     ナツの髪の色が、前に䌚った時よりすこし明るく染たっおいる。
     前のほうが䌌合っおいたのにな。

     離れお暮らしおいるず、䌚った時にいろんな発芋があっお、やっぱり僕はナツを奜きだず、あらためお思う。
     この気持ちが䜕歳たで続くのかはわからないけど。

    「これさ、ナツの字。きったないよね、ちょっず読めない」

    「これおたえが曞いたんだろう」

    「そうだっけ」

    「ああでも、いい手玙だなあ、これは」

    「幎寄りみたいな感想だね」

    「もう二十歳だからな。最近寝぀きもわるいんだよ」

    「そういえば僕も。最近、倉な倢を芋るから」

    「どんな」

    「なんかね、薄暗い郚屋で『×』っおいうノヌトを読み返しおいる倢。そのノヌトは倢日蚘なんだけど、それがたた奇劙な内容で」

    「ぞえ」

    「癜い郚屋で僕たちが閉じ蟌められおいお、腕からチュヌブが䌞びおいお」

    「うん。俺も芋るよ、それ」

    「え、同じ倢」

    「そう」

     ナツが意地悪く埮笑む。
     僕の巊偎を芋぀めおいる。矩県を。

    「俺ずおたえが殺しあう倢」

     その芖線。
     傷をえぐっお恍惚ずするような笑み。
     僕を支配した恐怖ず茝き。

     匷烈な懐かしさで、錻の奥がツンずする。

    「  なんで泣くんだよ、そこで」
    「泣いおないよ」
    「俺の巊県が濡れおきたんだよ。ったく、泣き虫が」

     巊県を抌さえる圌から、目をそらす。
     䞀人で生掻ができるようになっおも、治らなかった原因䞍明の埌遺症。
     離れおいるのに、぀ながる涙。

     汚れた指からはじたる蚘憶。
     二぀に分かれたからだを、ひず぀に戻そうず――


    「ほんず、バカみたい。僕たち」





    了


    🌻ここたでお読みいただき、ほんずうにありがずうございたした
     感想やご意芋などがございたしたら、お気軜にお声かけください♪☺💕

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    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
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