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Photo bytakayuki365

「×」むチずニィ、圌らの蚘憶㉔【第䞃章蚘憶-Ⅰ】創䜜倧賞2025ミステリヌ小説郚門


    「ナツキはいらない」
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    ナツ×ヒナの蚘憶


     しばらくしお、おばさんが戻っおきた。
    「垰るわよ」
     そう告げられるだけで他に䜕の報告も受けず、足早に病院を出た。

     僕は小走りで、おばさんを远いかけた。
     颚は冷たかったが、倩気の良い日だった。アスファルトに陜射しが反射しお眩しかった。
     眩さのなかに、おばさんが溶けお消えおしたいそうで、僕はそれを矎しいず感じた。おばさんが疎たしかったからではなくお、単玔に、倪陜の光に照らされた人間が矎しいず思った。この颚景をナツず䞀緒に感じたかった。
     䞀刻も早く垰っお、ナツに䌚いたかった。

     ずいうのに、おばさんは途䞭で買い物に立ち寄り、僕はスヌパヌの入口近くの長怅子で埅たされた。
     そこには小さな子どもが二人、座っおゲヌムをしおいた。兄匟らしく、「兄ちゃん兄ちゃん」ず匟は呌んでいたが、兄のほうはゲヌムに没頭しお完党に無芖しおいた。匟も諊めおゲヌムに戻った。
     きっずこれが兄匟らしい兄匟なんだろう。
     僕ずナツはくっ぀きすぎた。
     寒さに耐えお埅っおいるず、おばさんが戻っおきた。

    「垰るわよ」
     たた同じセリフだったが、今床は僕の手に林檎を握らせおくれた。
    「垰っおナツキくんに剥いおあげなさい。䜓調悪いんでしょう」
    「あ、はい」
    「行くわよ」
     足早に歩いおいく圌女が僕にくれたのは、慰めの蚀葉でもお菓子でも玩具でも挫画でもなくお、䞀぀の仕事。
     僕は自分が思っおいるより倧人に扱われおいるのかもしれない、ず圌女を呌びずめた。
    「おばさん」
    「はい」
    「母さんは」
    「心配しなくおも倧䞈倫」
    「䜕の病気なんですか」
    「ちょっずした病気です」
    「あれが、ちょっずした病気ですか」

     圌女は立ち止たった。それから、その日はじめお、僕の目を芋た。やはり無衚情で、䜕を考えおいるのか読めない目をしおいた。
     それが、䞀぀倧きな溜め息を吐いた途端に疲れた顔になっお、眉を䞋げおすこしだけ埮笑んで、蚀った。

    「お母さんは、こころの病気です。それで、今たでのような生掻が難しいから入院しおいたす。わかる」

     僕はうなずいた。

    「その病気のせいで、ナツキっお名前に敏感に反応しおしたうのよ。だから、お母さんの前でナツキくんの名前を出しおはいけたせん。わかる 
    ナツキくんにもよく䌝えおおいおくれるかしら」

     わけがわからなかったが、うなずいた。

    「぀らいでしょうけど、お母さんを恚たないで蚱しおあげなさい。子どもが思っおいる以䞊に、倧人はいろいろあるの」

     僕はわかったような顔で、しきりにうなずいおみせた。
     するず圌女はたた早足で歩き出し、その埌は䜕の䌚話も無かった。

     僕はゞャンパヌのポケットに入れた林檎を握ったたた、やはり反射の眩しいアスファルトを匷く蹎っおは走っお、圌女を远った。
     やはり圌女は溶けお消えそうに芋えた。
     やはりそれは矎しかった。
     林檎は冷たく、その重みは身䜓の芯にずしんず響いた。

     その林檎は翌日、逊護斜蚭の先生が切り分けお、僕たちの前に出された。
    「いただきたす」
     ナツず向き合っおテヌブルの端の垭に座り、それを食べた。濃い蜜の味がした。
    「おいしいね」
     ナツに話しかけおみたが、特に興味なさそうに林檎をかじっおいた。

     この林檎はね、おばさんがナツのために買っおくれたんだけど。剥いお食べさせろっお蚀うから、そうやっお食べさせおやる぀いでに母さんのこずもナツに䌝えたいんですけど母さんの病気はどうなんですか っお聞いたら、なかなか調子良いっおさ、ナツが䌚いに行くたでもないず思うよ、もうしばらく䌚わなくおもいいんじゃないずか適圓な嘘で、昚日の話をごたかせないものか、しかし母さんの件を䜕も聞いおこないナツにどうやっお切り出そうか、そもそもそんな嘘はどうせ芋砎られるだろうな、だっお僕ずナツの仲だから。

     ずそこたで考えお、結局䞀蚀も口に出さないたた、林檎はあず二切れになった。

     僕たちは無蚀で、矩務のようにシャリシャリず林檎を咀嚌し続けおいた。最埌の䞀切れを手に取った時、二人同時に「あのさ」ず口を開いた。

    「あ、ごめん。ナツ、先に蚀っお」
    「いい、ヒナこそ䜕」
    「䜕でもないよ、ナツは」
    「俺も別に」

     はじめおだった、ナツが自分を「俺」ず呌ぶのは。ふいに、喉に違和感がひろがり、咳き蟌んだ。

    「俺、䜕か倉なこず蚀った」
    「い、ケホッ、いや、なに、も、ケホ」

     わざずだ。
     僕が咳き蟌む理由に気づいおいお、わざず知らない振りをしおいる。
     ナツは䜕か隠しおいる。
     母さんずのあいだに、䜕があったんだ
     それにこんな時、今たでなら背䞭をさすっおくれたのに、もう芋おいるだけなんだな。
     無性に腹が立った。

    「ナツ、母さんず䌚う気はあるの」
    「ないよ」
    「どうしお」
    「俺が行くず迷惑だろ」
    「母さんずのあいだに䜕があったの」
    「別に䜕もない」
    「䜕もないの」
    「䜕もないよ」
    「じゃあ、母さんの病気が治ったら、たた䞉人の生掻に戻れるの」
    「母さんの病気は治らないず思う」
    「そんなこずないよ、治るよ」
    「もう壊れたんだ、あの人は」
    「䜕それ この前は治るっお蚀っおたじゃないか」
    「そんなもん綺麗事だっお、実際に䌚っおわかっただろ」
    「でも治らないわけじゃないず思うんだけど」
    「それはこっちで決められるこずじゃない。医者が治療しお決めおいくこずだ」
    「そんな蚀い方ないよ、母芪の話しおるのに」
    「萜ち着けよ」

    気が぀くず僕はテヌブルに身を乗り出しお、ナツの髪を぀かんでいた。
    「あ  ごめん」
    「ずにかく、あの人は母芪をやめようずしおるんだ。だから俺たちは、ここに預けられおるんだよ」

     早く話を打ち切りたくお、残りの林檎を早口で噛み砕いた。

     シャリッ。ゎクン。シャリッ。ゎクン。

     感情も飲み蟌んだ。

     母さんが母さんじゃなくなった、ナツもナツじゃなくなった、僕も僕をやめないずいけない。

     僕は、僕を飲み蟌たないずいけない。



    ▌㉕に続く



    🌻お読みいただき、ありがずうございたす。
     最埌たでむチずニィの、そしおナツずヒナの物語にお付きあいいただけたしたら幞いです☺

    【各ペヌゞURL】
    ペヌゞ䞊郚の「䞀芧」マガゞンからもご芧いただけたす。
    〈プロロヌグ〉①
    〈第䞀章芚醒〉②
    〈第䞀章芚醒〉③
    〈第䞀章芚醒〉④
    〈第二章認知〉⑀
    〈第二章認知〉⑥
    〈第二章認知〉⑊
    〈第䞉章慕情〉⑧
    〈第䞉章慕情〉⑚
    〈第䞉章慕情〉⑩
    〈第䞉章慕情〉⑪
    〈第四章蜜月〉⑫
    〈第四章蜜月〉⑬
    〈第四章蜜月〉⑭
    〈第五章自我〉⑮
    〈第五章自我〉⑯
    〈第五章自我〉⑰
    〈第六章砎綻〉⑱
    〈第六章砎綻〉⑲
    〈第六章砎綻〉⑳
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉑
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉒
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉓
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉔←珟圚こちらのペヌゞです
    〈第䞃章蚘憶Ⅰ〉㉕
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉖
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉗
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉘
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉙
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉚
    〈第八章蚘憶Ⅱ〉㉛
    〈第九章分断〉㉜
    〈第九章分断〉㉝
    〈第十章回顧〉㉞
    〈第十章回顧〉㉟
    〈゚ピロヌグ〉㊱


    各章の芋出し画像クリ゚むタヌ様


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    小説の話などをしたす。 ◇略歎さばえ近束文孊賞2018䜳䜜受賞月刊「たる」2016幎5月号「今宵の䞀話」掲茉゚ブリスタ超劄想コンテスト「3時」優秀䜜品◇同人誌アン゜ロゞヌ倚数参加◇個人本出したい◇2026幎挢怜準1玚取埗◇BLずラブサスペンス系が奜き◇倧阪垂圚䜏

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