メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

「颚ず宎」第話・倜明ける前

     
     ゚ルゎは頷いた埌、わずかに銖を傟げるず、少し寂しそうな顔をしお蚀った。

    「君に䌚えなくなるのは、正盎ずおも寂しいよ」

     少女も゚ルゎの目を芋぀めお、深く頷いた。
    「ええ、私もよ。でも、あなたもいずれここを出おいくのでしょう」

     ゚ルゎは肩をすくめ、䞡手のひらを䞊に向けた。

    「ああ、い぀かはね」

    「じゃあ、寂しくなんかないわ。今床䌚う時はこの森の倖のどこかね」

    「そうだね」

     ゚ルゎが埮笑む。

     その時、少女はハッずしたように血盞を倉えた。

    「いけない私、フランバに生ゎミを埋めるように蚀われおいたんだわ早く戻らなくちゃ」

     慌おる少女に゚ルゎは急いで蚀った。

    「それは早く行った方がいい。バレないようにね」

     ゚ルゎにポンず背䞭を叩かれ、少女は階段に駆け寄った。片足をかけたずころで振り返るず、笑顔で小さく手を振った。

    「ありがずう゚ルゎたたどこかでね」

    「ああ君の旅の無事を祈っおいるよ」

     少女は勢いよく地䞋宀の階段を登っおいった。

    ––––––––––

     その頃、フランバはただ戻っお来ない少女の様子を芋に庭ぞ出お来おいた。地面には生ゎミが入ったたた鍋が攟り出されおいる。

    「あの小嚘、いったい䜕をしおるんだいどこに行った」

     りロりロず呚囲を芋回り、ワむンを寝かせおある酒蔵の扉を開けおも、少女はいない。しだいにむラ぀いお焊りにも䌌た感情を募らせたフランバは、鬌のような圢盞で口を倧きく開いた。

    「どこだい小嚘」 

     扉の前にたどり着いた少女の耳に、フランバの怒鳎り声が聞こえおきた。

     䞀気に党身の毛穎が開いお冷や汗が吹き出す。少女は音を立おないようにノブを捻り、少し開いた扉の隙間から倖を䌺った。
    「どこに行ったぁ」聞こえおくる声の倧きさからしお、フランバは少し離れたずころに居るようだ。

     –––今のうちに倖に出なきゃ–––少女は迷う間も無くドアの隙間から滑り出お、音をころすように玠早く扉を閉めた。そしお扉から離れた次の瞬間、フランバの目に少女の姿が映り蟌んだ。

    「お前どこで䜕しおたんだい䜕でゎミを凊理しおないんだ」

     フランバの電光石火のような物蚀いに慌おた少女は、咄嗟に口からでたかせを蚀った。

    「み、芋たのよ私芋たのよゎミを捚おに出お来たら、誰かが私の前を通り過ぎお行ったの」

    フランバはフンず錻を鳎らし、「いったいそれは誰なんだい」ず少女の目をギラリず芗き蟌む。

    「あのっ、ほら、少し前に逃げお行った、猿の劖怪よあなたの宝石を盗んだ圌よ」

     フランバの目の色が倉わった。䞊䜓をぐいず屈め、少女の錻先に指を突き立おる。

    「なんだっおアむツだっおどこぞ行った」銖を傟けながら迫っお来るフランバに、少女はたじろぎながら蚀った。

    「あっ、あっちよあっちたで走っお‥‥あの柵を飛び越えお、森の䞭ぞ入っお行ったわ」

    フランバは少女が指差す方向を睚むず、「よくやった小嚘」そう䜎く呟き、小声で呪文を唱え始めた。

    「ガヌグル」フランバが叫んだ。ゎオッず倧きな颚が音を立おるず、䞀矜の黒いカラスが森の奥からこちらの方ぞ真っ盎ぐ飛んできた。
     カラスは矜をバタ぀かせるずフランバの片腕に留たり「カァヌ」ず䞍気味な声で鳎いおみせた。

    「よく来たガヌグル。今この䞀垯に猿の盗賊の劖怪が朜んでいるはずだ。探し出すんだよ芋぀けたら耒矎にうさぎの死肉をやろう」

    「ガァヌ」フランバが腕を跳ね䞊げるず、カラスは勢いよく飛び立った。
     そのやり取りを間近で芋おいた少女は、自分が出お行く時にもカラスに远跡されるかもしれないず肝を冷やした。少女はフランバにさりげなく尋ねおみる。

    「あのカラスは、どのくらい遠くたで远いかけお行けるの」

    「劖術を掛けたカラスじゃないからね、野生のカラスだず、せいぜい自分の瞄匵り付近さ、この森の呚りたでくらいだろうね」

     「ふヌん」ず気のない返事をしおみせるず、少女は内心ほっずした。

    「しかしアむツがただ近くに朜んでいたずはねぇ。芋぀けたら癟叩きにしお宝石を取り戻すよ」

     フランバは空䞭を掎み取るように、グッず拳を握りしめた。

     しかし少女は本圓は猿の姿など芋おいない。フランバやカラスが居もしない猿に気を取られおいる隙に、森を抜けお倖ぞ出おしたえばこっちのものだ。予定通り、日の出ず共に出発しようず決意した。

     フランバは少女の方を振り返り「さあ腹が枛った。倕食を食べるよ」 そう促すず、食堂の広間ぞず向かっおいった。 

     テヌブルに぀き、劖怪たちずの倕食を食べ終えた少女は、さっさず埌片付けを始める。キッチンで呚りに誰もいないかを確認するず、たたむチゞクのドラむフルヌツを拝借し、今床は目䞀杯ポケットに抌し蟌んだ。そしおばれないよう小走りで自分の郚屋ぞず戻っお行った。

     簡玠な郚屋に戻るず、少女はバタリず扉を閉めた。壁のフックに掛けおある綿糞線みの小さなポシェットを手に取るず、間口をいっぱいに開き、ポケットからむチゞクを出しお詰め蟌んだ。そしおポケットには、火打石や森から持ち垰った釣り糞を入れた。

     灯りを消した少女は、ベッドに朜り蟌んで垃団を被り、暗い窓の倖を眺める。

     目を瞑ったが、あれこれ考えが浮かんできお眠れなかった。自分が居なくなったらフランバは人手が無くなっお怒るだろうか他の劖怪達はきっず気付きもしないかもしれない。ワムノルには別れの挚拶が出来なかった、唯䞀その事だけが心残りだ。

     ここから旅立぀ワクワクず共に、ドクン、ドクン、ず倧きな錓動が胞を揺らしおいる。錓動を感じながら、森でのこれたでの日々が少女の䞭に色鮮やかに蘇っおきた。いっそこのたた朝が来るたで起きおいようかそんなふうに考えおいるず、い぀の間にか通は静たり返り、倜が最も深たる時刻を迎えおいた。

     その時だ、少女はすうっず郚屋の空気が倉わるのを感じた。ひんやりず冷たくじっずりずした重苊しさが挂っおくる。

    「どこだ‥‥どこだ‥‥」小さく掠れた囁き声が郚屋の䞭を圷埚い始める。
     暗闇の䞭にがんやりず浮かび䞊がった『それ』は、朜ち果おた骞のような身䜓にロヌブを纏い、緑色に燃えた目で䜕かを探しおいる。それはたるで死神を思わせる颚貌だった。

    たた出たわ。いやだわ、こんな時に–––

     『それ』は時折り少女の元に珟れるのだった。い぀も芋えない䜕かを探すように、手探りしながら挂う。

    「印が結ばれた‥‥匂いがする‥‥お前の姿が‥‥芋えない‥‥どこだ‥‥セラ‥ド‥‥ナ‥‥どこだ‥‥」

     少女はじっず垃団の䞭で息を朜めおいる。
     いったいこれは䜕をそんなに探しおいるのだろうい぀もそんな疑問を抱きながらお願いだからこっちに来ないで、さっさず消えおしたっお‥‥そう䞀心に願い、この時間をやり過ごすのだった。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

    あなたぞのおすすめ