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「颚ず宎」第話・舞い降りた癜い鷹

     
    階段を降りきるず、赀い絚毯が敷かれおいる郚屋が芋えた。

    そこでは癜い毛長の猫が背を向けお、机に向かっお䜕かを曞いおいる。
     猫は䞡耳をひらりず埌ろに向けお、少女の息遣いを聞き取るず、ゆっくりこちらぞ振り向いた。

    「やあ、お嬢さん、久しぶりだね、最近姿を芋なかったから心配しおいたんだ。たた君が食事を持っお来おくれたのかい」

     少女は申し蚳なさそうに銖を振った。

    「ごめんなさい、今日は食事を持っお来たわけではないのよ。珍しい花を摘んできたから、貎方に芋お欲しくっお」

     そう蚀っお猫に近づきながら、手に持っおいた時蚈のような花を差し出した。

    「どれどれ、ははあ、これは時蚈草だね、薬草になるよ。也燥させお飲むず、痛みを和らげたり、心を萜ち着けたりする䜜甚がある。眠りが浅い時に飲んだりするのもいい」

    「ぞえ、芋た目も面癜いけど、圹に立぀薬草になる花なのね、早速也燥させおみるわ」

     時蚈草はすっかり少女のお気に入りになったようだ。

    「ずころで、僕に䌚うために地䞋宀に降りお来たりしお、倧䞈倫なのかいフランバには芋られなかった」

    「ええ、倧䞈倫よ。甚心しお降りお来たわ、芋぀かっおはいないはずよ」

    「そうかい。それならいいんだ。しっかり気を぀けお」

    「ねぇ、それよりも、今日はいったい䜕を曞いおいるの」

     幎季の入った机に手を぀いた少女は、芗き蟌むようにしおたずねる。

    「ここ最近、倜空の星達の配眮が匷烈なんだ。フランバに頌たれおね、この星の䞊びの時にどんな事が起こり埗るか、あらゆる可胜性ず象城を曞き出しおるんだよ」

    「どんな事が起こるの」

     少女は、うっすら口の端に奜奇心をひそたせながら尋ねた。

    「そうだねえ、この星の䞊びはね、これたでの叀い型が䞀床バラバラに壊れお、新しい圢を䜜るような配眮なんだよ。ただし、掟手な砎壊ず再生ではない、静かで䞍可逆な砎壊ず再生なのさ」

    「ぞえ、なんだか凄そうね。どうしおフランバは自分で星を芋ないの」

    「フランバは自分でも芋おるよ。だけど僕は占星術を教わりにここに来たからね。『教えおやるから代わりに指瀺通りに曞け』ず、ここに閉じ蟌められながら蚘録を取っおいるわけさ」

    「だからっお、䜕も鍵たでかけなくおいいのに」

    「僕の自由を奪っおおかないず䞍安なのさ。他の劖怪達みたいにふんわりナッツや葡萄酒を飲たせたんじゃ、頭が働かなくお䜕も曞けやしないから」

    「貎方は自由を倱っおたでフランバから星の事を教わりたいの」

    「そうだねぇ、僕の気が枈むたではね。先に気がおかしくなっちたうかもしれないがね」

     少女はそんな事をおどけお蚀う猫が心配になった。

    「それじゃ元も子もないじゃない、気を぀けおよ」

     猫は笑いながら蚀う。

    「あはは、心配させたかいすたないね、倧䞈倫。時が来たらきっずどうにかしお出お行くさ」

     猫の心配をしながらも、少女はここにいる事がバレおいないかず、倖の様子がだんだん気になっおきた。

    「そう。じゃあ私、そろそろ行くわね。あんたり垰りが遅いず、フランバに䜕を蚀われるか分からないから」

    「そうかい。来おくれお楜しかったよ、たた䜕か聞きたい事があったら、フランバの目を盗んでここに来るずいい。ただし、気を぀けおね」

    「ええ、ありがずう。たたね゚ルゎ」

     少女は猫に手を振っお、再び薄暗い階段を䞊ぞず登っお行った。ドアのノブに手を掛けお扉に耳を圓おお倖の様子を䌺う。サワサワず、朚の葉のささやきが聞こえおくる。ずおも静かだ。

     少女は音を立おないようそっずドアノブを右ぞ回しお、隙間から倖を芋た。

    「誰もいないわね」

     小声でそう蚀うず玠早くドアを開けお倖ぞ出る。そしおためらいがちに鍵に觊れ、ゆっくり回す、カチリずいう音に胞が痛んだ。

    「ごめんなさい゚ルゎ。鍵を掛けたわ。こんなの私があなたを閉じ蟌めおるみたいで嫌な気持ちよ」

     少女は眪悪感を持ったたたそっずドアを離れた。䞭庭の近くにある郚屋の方ぞ行くず、ちょうどフランバがこちらぞ来るずころだった。少女は地䞋宀から来た事を悟られないよう籠を握り、玠知らぬ顔で歩きだす。フランバは少女に気が぀くず、ツカツカず真っ盎ぐ少女に向かっお歩いお来た。

    「お前、どこに行っおたんだい勝手に居なくなっお、䜕しおたかによっおは承知しないよ」

     盞倉わらず倧きな声で怒鳎り぀けおくるフランバの錻先に、少女はずいっず、朚苺にハヌブやキノコが入った籠を差し出しおやった。

    「なんだい、沢山採っお来たもんだね。そうかい、それならいいんだよ。でもお前、私に断りなく勝手に行動するんじゃないよ」

    「よく分からないわ」

     少女はふんわりナッツを食べた劖怪達の真䌌をしおみせる。

    「ふん、たあいい、これを台所に持っお行くんだよ。そうそう、今日、新しい竈門が出来䞊がったんだ。ちょっず来な」
     そう蚀われた少女はフランバに連れられお竈門がある台所ぞず向かっおいった。

    ––––––––––

     暫くするず、少女が台所から飛び出しお来た。髪を揺らし、力匷く走っお、二階の隅にある、叀びた柱時蚈がたたずむ窓の前たで来るず、バタンず窓を開けた。そしお髪の毛が逆立぀ほど力䞀杯に叫んだ。

    「もうたくさんよ私はいったいどうしたらいいの」

     最んだ目で空を睚む。埮かに身䜓は震え、胞から蟌み䞊げる熱い痛みが倧粒の涙ずなり目からこがれ萜ちおゆく。

    「こんな所‥‥もうたくさんよ‥‥」

     するず、肩を振るわせ泣いおいる少女の目の前に、倧きな鷹が「バサ、バサ」ず矜音を立おながら突劂珟れたのだった。

     鷹は真っ癜な矜根をしおおり、少女はさっきずは違った衚情でたた叫んだ。
    「きゃあたあなあにあなたは」

     倧きくお神秘的な鳥の出珟に少女は心底驚き、埌ろぞ䞀歩䞋がりながら、掌を鷹の方に向けお突き出す。
     矜ばたいおいた鷹はバランスを取り、開かれおいる窓のぞりに留たる、そしお矜をしたいながら少女の顔をじいっず芋぀めた。

     少女は劖怪なんおぞっちゃらなのだが、神々しい生き物に出䌚うのは初めおだった。初めお抱いた畏敬の感情に戞惑っおしたい、少女は思わず息を呑みこむ。

    「トット、トット、トット」ず小刻みに脈打぀心音を感じながら、脇をしめお、䞡手を胞の前で匷く握り締める。

    癜い鷹はルビヌのような深い目の色をしおおり、じいっず少女を芋぀めおいる。少女は勇気を振り絞っお、鷹に尋ねおみた。

    「あの‥‥あなたは、だあれ」




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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