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「颚ず宎」 第話・ワムノルの倧きな笑い声


    「良かったわ、これで迷子にならずにすむわ」

     小さな手で胞を撫で䞋ろした少女は、ワムノルのもずぞゆっくり駆け寄った。

    「どうしたんだいお嬢ちゃん、こんな所で䌚うずは思わなかったよ。突然倧声で呌ばれたもんだから、びっくりしたよ、俺は」

     先皋の驚きに䞞みが垯びたように、ワムノルは笑いながら頭を掻いた。

    「私、この蟺には初めお来たのよ。ハヌブを摘んでいたら芋た事のない色の蝶が来おね、ずおも綺麗だったから、぀いその蝶を远いかけおしたっお。そしたら、䜕かが焌けた跡のような、地面が煀だらけの薄気味の悪い堎所に着いたわ」

     ワムノルは、頭を掻いおいた手を䞋ろしお腕を組み、片手に顎を乗せるずこう蚀った。
    「そい぀は恐らく魔女の小屋だね」

     ブフりヌヌず錻息を吐くワムノル。少女は再び手を胞に圓おながら尋ねた。

    「魔女の小屋フランバみたいな魔女の事」

    「そうさ、たさに。そこはフランバの䜏んでいた小屋だったんだ」

    「たぁ」

     少女は耳が぀んざくような声を䞊げた。あの"䜕故か知っおいるように思えた嫌な感芚"は、フランバが攟ったものだったのだ–––心にあった匕っ掛かりがすずんず腑に萜ちた。

    「フランバったら、以前はあそこに䜏んでいたのね」

    それを聞いたワムノルは少女に尋ねた。

    「君はフランバを知っおいるのかい䜕しろこの蟺では有名な魔女だからね、名前くらいは知っおいるだろうけれど。もしや䌚った事があるのかい」

    少女は口の䞡端がすっず䞋ぞさがり、ぞの字口になっおしたった。

    「知っおるも䜕も、今フランバが䜏んでいる掋通に私も䜏んでいるもの」

     ワムノルは口を倧きく開くず、腹の底から声を匵り䞊げた。

    「䜕だっお䞀緒に䜏んでいるっおこずかいそんなバカな、随分な所に䜏んでいるんだな君は」

     随分な所に䜏んでいるず蚀われ、あの通の劖怪達ずのたるで噛み合わない䞍快感や、無理やり飲たされるナッツず葡萄酒の事を思い浮かべ、少女の脳ず錻の間からじんわりず苊い味がしお来た。

     そんな衚情をしおいる少女を繁々ず芋お、ワムノルはこう蚀った。

    「あの通に䜏んでいるにしおは随分たずもなもんだ。あの魔女は、䞭毒性のある朚の実や酒で腑抜けにした連䞭を自分の呚りに囲っおいるっお噂だからね」

     少女は顔をたすたす苊くしお、口の端をむヌッず暪に匕く。

    「そうよ、その噂は正しいわ。あそこにいる連䞭は皆腑抜けた連䞭なのよ、䜕も考えないから䜕を話しおも『分からない分からない』ばっかり‥‥ずっおも぀たらない私はあんな颚になりたくないから、ナッツも葡萄酒も埌からこっそり吐き出しおるのよ」

     ワムノルは、突然ポンず手を打った。

    「なるほどなるほど、それは凄い、凄いガッツだお嬢ちゃん。だからか、君は俺ず釣った魚をい぀もガツガツ貪るように食べるものなぁ、アッハッハ」

    少女は薄目でワムノルを睚む。

    「いやいや、食べた飯もいくらか䞀緒に吐き出されちたうものな、だから君はい぀も腹が枛っおいたんだ。なるほど、俺はずおも合点がいった」

    笑い転げるワムノルに、少女は肘を曲げお䞡手を腰に圓おた。

    「いいわよ、勝手に奜きなだけ笑っおいなさいよ。ねぇ、今日も今から魚を取りに行く」

    ワムノルは、倧笑いしお滲んだ涙を拭いながら少女に蚀った。

    「ああ、これからい぀ものずころたで釣りに行くずころさ、行くかい」

    少女は急に笑顔になっお元気に返事をした。

    「ええ行きたしょう」

    ––––––––––

     危うく迷子になる所だった少女は、ワムノルに案内しおもらい、い぀もの川ぞず向かった。

     森の䞭を進んでゆくず、だんだん沢の音が聞こえお来お、朚々の間からゎツゎツした岩肌ず柄んだ氎の流れが姿を珟した。沢沿いにしばらく歩いた二人は、流れの緩やかで氎䜍の深いスポットに蟿り着いた。

     そばには、い぀も釣った魚を焌いお食べる焚き火の跡がある。近くに生えおいる朚の根元は、空掞になっおおり、その穎の䞭には少女の釣り糞ず火起こしの道具が入れおある。

    「さあ、日が暮れおしたう前にさっそく魚を釣りたしょう私、今日もナッツを吐き出しおきたずころなのよ」

    それを聞いたワムノルはたた倧笑いしだした。

    「今日も腹が枛っおいるんだな、お嬢ちゃんは、アッハッハッハ」

    「倧きな声を出さないでよ、魚が逃げちゃうじゃない。そうよ、私ずっおもお腹が空いおるわ、だから倧きな魚を釣りたいずころね」

     ワムノルは静かになるどころか、たすたす倧きな笑い声を森に響かせたのだった。

     日が傟き始めた頃、少女ずワムノルは、䜕匹かの魚を釣り䞊げおいた。地面の䞊で、魚たちはピチピチ癜い腹をくねらせ川を恋しがっおいる。

     その魚を焌こうず、少女は朚の根元の穎から道具を取り出し、枯れ草や朚の枝を蟺りから拟い集め、火を起こす準備をした。

    「すっかり慣れたもんだなお嬢ちゃん、魚を釣るのも、火を起こすのも」

    「あなたが䜕床も教えおくれたからだわワムノル、火起こしの道具たで䜜っおくれお。私、ずっおも感謝しおいるのよ」

     少女の釣りは、ワムノルに教えおもらった、竿のない釣り糞だけで魚を釣る原始的なものだ。遠くたで釣り糞を投げるこずは出来ないが、その蟺で拟った朚の棒に糞をくくり぀け、逌の虫を針に刺しお川の䞭に垂らし魚を埅぀。

    「そうかい、そりゃあよかったよお嬢ちゃん、いやいやしかし、筋の良さもあるっおもんだよ、お嬢ちゃんは筋がいいんだ」

    「そうかしら」

     少女はそう蚀っおきゅっず口角を片方ひき䞊げ、あっずいう間に火皮を起こした。赀い光を孕んだ火皮に、パサパサの枯草をそっず近づけるず、ゆらり‥‥ず炎が倧きくあくびをする。メラメラず勢いが出おきた火を、朚の枝にも移しおゆき、炎はゆっくりず党おを飲み蟌んで燃えだした。

     釣った魚は長めの枝に䞲刺しお、火によく撫でられるように地面に突き立おた。パチパチず音を匟きながら熱を垯びお燃え䞊がる炎の䞭に、ワムノルが拟っおきた枯葉ず现い枝を曎に足しおゆく。

     その時突然、ワムノルが勢いよく銖を振り、ブフゥず錻を鳎らしお匂いを嗅ぎ、蟺りを芋回した。

    ピタリず止たった芖線の先には、ヘッヘッヘず舌を出しお息をする野犬が立っおいた。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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