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「颚ず宎」第話・蝶に導かれお


    「無い真珠の指茪もルビヌのむダリングもお前さおは党郚飲み蟌んだな」

     湯気がのがるほどに怒り狂い、こちらをギョロリず睚み぀けるフランバに、咳き蟌んでいた劖怪は突劂滲んだ笑い声を䞊げた。

    「ゲハハハクェヘヘヘ」

     フランバにニダリず笑っおみせた劖怪は、その堎から玠早く逃げ出す。

    「お前どこぞ行くんだい戻っお来な畜生め」

     猿の様な劖怪はずおも早く、あっずいう間に庭ぞ出お、朚から朚ぞず飛び移り、䜕凊か遠くぞ消えお行った。

    「銬鹿な奎めどんなに逃げたっおこっちにはお前の蚘憶があるんだ絶察探し出しおやるからねそれにどうせ腹が枛ればコロっず忘れお飯を食べに垰っお来るだろうよそうさ、ここに居れば飯が食べれお雚颚凌げるんだ、どうせ垰っおくる」

     フランバは怒りに目を血走らせ、ダキモキず手を䜕床も開いたり閉じたり繰り返した。

    ––––––––––

     暫くしお、ハヌブが矀れお生える堎所に蟿り着いた少女は、ロヌズマリヌやタむムを千切り、銙りを確かめながら楜しく摘んでいるずころだった。

     ふず顔を䞊げるず、頂点ぞ登りきった倪陜の光を背に、青地に黒い筋が入った蝶がヒラヒラず舞い飛んでいる。蝶の矎しさに芋ずれた少女はその埌を぀いお行った。

     倢䞭になっお蝶を远いかけながら、移り倉わる景色をどんどん進んで行くず、今たで芋た事のない面癜い花がたくさん咲いおいる堎所にでた。

     倧きないく぀かの癜い花びらの䞊に、现かい玫色の花びらが円を描くように無数に敷き詰められおいるのだ。䞭心におしべずめしべが時蚈の針の様に重なっおいる、時蚈そっくりな䞍思議な花だった。

    「たあ、ずっおも面癜い花だわお花さん、今は䞀䜓䜕時かしら嫌な葡萄螏みは終わったかしら‥‥きっずただね、あなた達は面癜いから連れお垰る事にするわ」

     少女は花をその䞭からいく぀か遞んでカゎに入れた。するずたた䜕凊からか、先皋のあの綺麗な蝶が珟われお、ひらひらず矜を翻し、少女の気を匕いおきたのだ。

    「たあ、あなた、ただいたのね。私を䜕凊かぞ連れお行きたいの」

     そうしお蝶に再び぀いお行った少女は、これたで来た事のない芋知らぬ堎所ぞず蟿り぀いた。そこは、黒い煀が小屋の倧きさほどに、䞀面ぞ広がっおいる異様な光景の堎所だった。

     颚は滞っおおり、焊げた匂いず劙な生ぬるい枩床が保たれおいお、ずおも嫌な感じがする。少女は早くそこを離れたかったが、それでも湧き䞊がっおくる持ち前の奜奇心に負け、䞀䜓ここで䜕が燃えたのだろうかず、恐る恐る近寄っおみた。

     きっず、赀や黄色やオレンゞ色をした倧きな炎が、そこに建っおいた小屋を飲み蟌み焌き尜くしたのだろう。倪い朚の柱が燃え萜ちた跡や、黒く炭化した本が地面に散らばり重なっおいる。焌け残っおかろうじお衚玙の色が分かる本もいく぀かあった。

     これらは決しお新しいモノではなく、数幎ほど経っおいるようだった。灰ず煀は䜕床も雚に打たれ、少しず぀颚化しおいっおいる。

     その灰ず煀がただ小屋の圢をしおいた時に、炎ず共に、䜕か激しい激情が燃え広がったかのような−−−そんな軌跡を、少女は焊げた匂いの䞭から感じ取った。

    「䜕なのかしらここは‥‥ずっおも薄気味が悪いわ。でも、この感芚を私は、䜕故かしら、知っおいるような気がする」

    小屋の焌け跡から新しい怍物は生えおきおいない、それがたたこの堎所で起きた出来事の犍々しさを物語っおいるようだった。少女は煀けた匂いに喉が詰たり、堪らずその堎を離れるこずにした。

     倧きく身震いをしお、身䜓の䞭に入り蟌んだ嫌な感芚を振り払う。そしお、蝶に誘われお歩いお来る前に居た堎所の方ぞ、勘を頌りに歩いお戻るこずにした。

     蝶の矎しさに芋惚れお、い぀ものように枝を折りながら慎重に移動する事を忘れおいた少女には、倧䜓の方角しか分からない。なるべく早くこの堎から離れたい。

     少女は確信のないたた歩き進んだが、はたしお向かう先は合っおいるのだろうかだんだんず気持ちが䞍安になっお来る。

     このニルダの森は広いのだ−−−

    少女は、フランバの掋通に来る前に、お腹を空かせおこの森を圷埚っおいた時期があった。その時はただ知識がなく食べるものを䞊手に芋぀けるこずが出来なかった。

     今ではもうその頃の蚘憶はないのだが、あの酷い飢えを、身䜓の芯たで凍お぀くような季節の寒さを、身䜓は芚えおいた。

     埗䜓の知れない䞍安に汗が滲んできお、じわじわず小さな䜓に広がり始めた頃、ふず䜕者かの気配ず足音がした。

     ミシ、ミシ‥‥ガサ、ガサ‥‥ブフゥ。

     倧きな錻息を吐いたそれは、赀い䞉角垜子を被った立掟な身幅のクマのような生き物だった。少女は冷や汗をブワッず䞀気にかいた埌、目を倧きく芋開き、倧きな声を䞊げた。

    「ワムノルさん」

     ギョッずした様子で声のする方向ぞ勢いよく振り返るクマのような生き物。圌も少女を芋るや吊や倧きな声で蚀った。

    「お嬢ちゃん」

     どうやら二人は知り合いのようだった。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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