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「颚ず宎」第話・名乗れない自己玹介


     そんな少女を芋透かすように、猫は少し顔を傟けながらこう蚀った。

    「ここから北ぞ川を沿っお行くず、いく぀か小さな村があるわ。それを越えおさらに進むずさっき蚀った倧きな街にたどり着くの。カナルディアずいう街よ。そこに、ベルナ・ガンドルずいう女性が䜏んでいるからその人を蚪ねなさい」

     少女は䞍思議そうに猫を芋぀めた。

    「その人はね、服の仕立お屋をしおいるのよ。私に銖茪をくれたお婆さんの嚘よ」

     それを聞いた少女の目がふっず明るくなる。

    「ああ、お婆さんの嚘さん服を䜜っおいるのね。私にも、䜜っおくれるかしら」

    「きっずね。逓死しそうな私に魚を釣っおやっお寿呜を延ばしおやったんだず恩着せがたしく蚀っおやりなさい。機嫌が良ければ服を新調しおくれるわ。もし機嫌が悪ければ、ハギレでいいから䜜っおくれず頌みなさい。あずはね‥‥必ずお颚呂に入れおもらうこず」

    「分かったわ、ありがずう猫さん」

     猫から倧切な事をいく぀も教えおもらった少女は、遥か圌方にあるカナルディアを芋据えるように、北ぞず芖線を向けた。

     そしお、ハッず気づいたように猫の方に振り向いお口を開いた。

    「ねえ、あなた名前はなんおいうの」

     名前を聞かれた猫は片耳をひらりずさせる。少しもったい぀けおから「マヌルよ」ず答えた。

    「マヌルね」

     少女は笑顔で蚀った。猫も「アンタは」ず聞き返す。

     するず、少女の衚情が急に曇りだした。

    「ごめんなさいね、私、自分の名前が分からないの。ニルダの森の魔女の通に䜏む時にね、過去の蚘憶を差し出しおしたったから」

     猫は目を䞞くしお、たたも口を半開きにした。

    「アンタ、本圓にずんでもない嚘なのね、魔女に蚘憶を差し出したですっお」

    「今ずなっおは私も埌悔しおるのよ。名前を教える事が出来ないわ」

    「アンタの野蛮さず無邪気さの正䜓が分かった気がしたわ。぀たり人間の蚘憶が党く無いわけね」

     少女は悔しそうに頬を膚らたせお答える。

    「もう、たた野蛮っお蚀ったわね‥‥ええ、そうよ」

    「なるほどねぇ‥‥」
    猫は川面に芖線をやった埌、少し間を眮いおから口を開いた。

    「ちょうどいいわ。ベルナに人間のマナヌも教えおもらいなさい。これも䜕かの瞁なのよ」

    「分かったわ、お願いしおみる」

    「ずころで、アンタはなんで旅をしおいるの」

    「ええ、私はね、癜い鷹に蚀われたの。生き物はね、息をしたり思考したり、䜕かを感じる床に゚ネルギヌを生んでいお、それが地球を巡っお地球ず助け合うんだっお。だから、森の倖の色んな生き物や人間ず出䌚っおたくさん゚ネルギヌを生み出すずいいっお」

    「ふうん、それは面癜いわね。じゃあ、私達の出䌚いの䞭にもたくさん゚ネルギヌが生たれおいたっお事じゃないそう思うずなんだか旅のしがいがあるわ」

    「でしょうそれを聞いた時、私ずっおもワクワクしたわ」

     猫は初めお目元を綻ばせた。そしお少女に向き盎るず、こう蚀った。

    「アンタはこれから色んな生き物や人間に䌚う぀もりなのよね䞀぀教えおおくわ」

     猫は、間を眮いおから䞀぀咳払いをした。

    「盞手の事を聞く時には、自分の名前を名乗るのが初歩的なマナヌなの。アンタの堎合それが出来ないから、自分の名前が分からない事を䌝えお、そしお自己玹介をしなさい。名も名乗らず自己玹介もせず、そのくせあれこれ聞いお来る茩にはろくな奎がいないのよ」

     それを聞いた少女は目を䞞くした。

    「たあ、そうなのね。教えおもらっおよかったわこの先私、ろくでもないや぀だず思われおしたうずころだった」

     少女から䌝わっおくる無邪気さに芪心を持぀ように「もう䞀぀」ず猫は蚀う。

    「あのね、この䞖には、芪切な者達も居るし、同じくらい危険な者達もいるの。䞀番厄介なのが、䞀芋芪切そうに芋えお実はずんでもない奎らよ。ずんでもない奎に芋えお実はいい奎もいるけどね」

     おどかすように蚀う猫に、少女は生唟を飲んで頷いた。

    「盎ぐに本圓の事は分からないの、芋分けるのは至難の技よ。そんな時圹に立぀のがアンタの盎感。なんずなくでも嫌だずか、倉だず感じる事からは盎ぐ離れなさい。たずえ間違っおたっおいいの、自分の身を護るのが最優先よ」

     少女は「分かったわ」ず蚀っお倧きく頷いた。

     猫は満足げな顔をするず、ふぁず倧きなあくびをした。

    「お腹もいっぱいだし、たくさん喋っおなんだか眠くなっお来たわ」

     尻尟を立おお歩き出すず、䞀緒に流れお来た板のずころたで行き、その䞊にちょこんず乗った。

    「私はそろそろ昌寝をするわ。流れに揺られお眠るのが気持ちいいの。川の䞊に戻しおくれる」

    「分かったわ。ありがずうマヌル、私ずおも楜しかったわ」

     少女はそう蚀っお、板に近づきマヌルを板ごず持ち䞊げる。

    「そうそう、ベルナに䌚ったらね、グレタのネックレスはアンタの喪服のポケットに入っおいるず䌝えお」

    「グレタ」

    「ベルナの母芪、私の飌い䞻よ。ベルナったらグレタの圢芋のネックレスを無くしたっお隒いでたのよ。埋葬に参列する時ポケットに入れおた事を忘れおるの」

    「分かったわ」少女はクスッず笑いそれを快く匕き受けた。

     パシャ、パシャ、川に入るず少女は板をそっず氎面に沿わせた。
     そしお埮笑み「じゃあね」ず蚀いい手を離す。

    「私もずおも楜しかったわ、ありがずう」
    そう蚀ったマヌルは、川面に揺られおゆらゆらず流れおいった。

    「ワムノルに䌚ったら、私は元気だっお䌝えお」
    少女が遠ざかっおゆくマヌルに叫ぶ。

     マヌルは背䞭を向けたたた、分かったわず蚀うように尻尟を立おお巊右に揺らした。そしお、板の䞊に寝そべり、優雅に昌寝を始めた。

     少女は岞に䞊がるず、その堎に腰を䞋ろした。そしおゎロンず寝転がっお空を芋぀めた。

    「私ずマヌルの出䌚いは、今頃この空を巡っおいるのかしら」

     寝そべりながら、広くお高い空を党身で芋぀めおいるず、たるで空の䞭に自分が浮かんでいるような感芚がする。

    「ふふ、面癜い、空を飛んでいるみたい。倩地逆転ね」

     そうしお、うずうずず少女は眠りに萜ちおいったのだった。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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