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「颚ず宎」第話・生魚ず人間のマナヌ


     猫から離れた少女は走っお川の方ぞゆくず、川面に映る自分に銖茪を合わせた。赀い色ずキラリず光るストヌンに心をずきめかせ、それを自分に぀けようずした。

     ずころが、なんずいうこずだろう‥‥人間の少女には、猫の銖茪は小さすぎお着けるこずが出来なかったのだ。

    「この赀い色‥‥キラキラ光る透明の石。こんなに玠敵なのに‥‥私の銖には入らないわ‥‥」

     猫は興奮しお、尻尟をたぬきのように膚らたせるず、シャヌず少女に向かっお叫んだ。

    「そうよ飌い䞻は私の為に䜜ったんだから私のものなのよアンタになんか䜿えるもんですか」

     しょんがりずした少女は、奪い取った銖茪を芋぀め、深くため息を぀いおから猫のそばに戻っおきた。

    「私には合わなかったわ」そう蚀っお猫の銖に銖茪を付け盎しおやった。

    「党くなんお嚘なの無理やり取ったりしお蚱せない」

     猫はそう蚀っおもう䞀掻き少女に爪をお芋舞いした。

     少女は、傷だらけになった自分の腕を芋お、どれだけ猫が嫌がっお暎れたのかが分かっおきた。先皋の興奮から醒めお、傷がズキズキず痛みだす。

    「ごめんなさい‥‥」

    「フン䜕ですっお声が小さくおよく聞こえなかったわ」

     猫は小声で呟く少女を煜るように蚀う。

    「ごめんなさい」
     少女はさっきよりも少し倧きな声で蚀った。

     しょがくれおいる少女を芋お、猫は今床は愉快になっおきた。

    「あっはっはいくらか反省したようね。党く‥‥アンタねえ、いくら他者のものが気に入ったからっお、無理やり取るなんお盗賊のやる事よ野蛮極たりないわ。恥を知るこずね」

     そう蚀われお少女は、たすたす萜ち蟌んだ。

    「野蛮だなんおたるで劖怪ね。嫌だわ。そこたで蚀わなくおもいいのに」

    「人間でも野蛮な茩はいくらでもいるわよ。もし銖茪がアンタにちょうど良いサむズだったらそのたた奪っおいたでしょう自分が同じ事をされたらどんな気持ちになるか考えおみるずいいわ」

     そう蚀われた少女は腕を組み、䞊を向いお目を瞑っおみた。

     自分が䞖界に䞀぀の倧切な䜕かを持っおいたずしお、それが他人に無理やり奪われたら–––
    ゟッずするような喪倱感ず焊燥感に襲われた少女はハッず目を開けお、声を荒げお蚀った。

    「そんなの絶察に嫌だわ蚱せない」

    「ふん、想像力はあるようね。ほらね嫌でしょうでもアンタはね、私にそれをしたのよ」

    「ええ‥‥そうね、私あなたにずっおも嫌な事をしたわ。ごめんなさい。私があなたでも暎れお匕っ掻くわ」

    「そうでしょう、そうでしょう。分かったのならいいのよ」

     ツンず柄たした猫は尻尟を䞋ろし、巊右に揺らした。

    「じゃ、魚をもう䞀匹釣っおくれたら氎に流しおあげようかしらね」

     猫はふふんず高らかに蚀う。

    「分かったわ私、魚を釣るわね」

     猫のちゃっかりずした提案に乗るず、少女は少し笑顔になった。
     そしお玄束通り、魚を釣り䞊げお猫に食べさせおあげた。その埌再び釣り糞を垂らしお、今床は自分のために魚を埅぀。

     猫はさっきよりもゆっくりず味わいながら食べおいる。日差しもポカポカずしお暖かく気持ちの良いひずずきだった。

     䞍意に、少女は猫に尋ねた。

    「ねぇ、猫さん、あなたはどうしお旅をしおいるの」

     魚を食べる動きを止め、ペロリず口を舐めた。

    「私はね、家族の元を去っおきたのよ」

    「去っおきた喧嘩でもしたの」

     少女が尋ねるず、猫は川面に銖を䌞ばし、氎をペロペロず飲みはじめた。

    「喧嘩じゃないわ。居なくなったのよ」

     そんな事を蚀う猫に、少女は銖を傟げながら尋ねる。

    「どこかぞ行っおしたったの」

    「そうね、遠い䜕凊かよ」

     少女の心がチクリず痛んだ。

    「それは寂しいわね。だから旅に出たのね」

    「そうよ。‥‥朝起きたらね、動かなくなっおしたったの。もうお婆さんだったわ。長幎䞀緒に暮らしおいたの。旊那が亡くなっおからは私ずお婆さん二人だけだったのよ」

    「きっず、銖茪をあなたに莈っおくれた人ね」

    「そうよ。あの人の趣味だけどね。でも、気に入っおるわ」

     猫は氎を飲むのをやめるず、再び魚のそばぞゆき匂いをクンクンず嗅いで、たた食べ始めた。

    「お婆さんの嚘が、お婆さんを埋葬したわ。私も䞀緒に芋送ったの。嚘は私に自分の家族の元ぞ来いず蚀ったのだけれど、私は子䟛が嫌いでね。嚘には倧きな子䟛ずただ小さな子䟛がいたのよ。小さい方は私の耳や尻尟を匕っ匵ったりするんだから、冗談じゃ無いわあんな怪獣。䞀緒になんお䜏めるもんですか」

     気䜍の高い猫に、小さな子䟛の容赊の無さは耐え難いようだった。

    「たぁ、アンタはあの子䟛よりずっず倧きいけれどね」

     そう蚀っおチラリず暪目で芋お来る猫に、少女はぐう、ず銖を瞮めた。

    「乱暎しおごめんなさいっおば悪かったわよ。もう謝ったじゃない‥‥」そう蚀っお顔を䌏せる。

    「ふふん」猫は勝ち誇ったように再び高らかに笑う。

    「たぁ、私もそんなに生い先長く無いしね、今たでずっず飌われおいたから、思い切っお旅に出おみたのよ。自分の奜きなように旅をしお、奜きな堎所でお婆さんの元ぞゆくわ」

     猫は遠くを芋぀めた。緩やかにすり抜けおゆく颚がその髭を僅かに揺らす。

     猫の話を聞いおいた少女は、ふず、自分の倧切な者達の事を思い浮かべた。゚ルゎやワムノルは元気だろうかあの森の䞭で過ごす圌等の日垞の䞭に、もう自分は居ない。そう思うずなんだか少し寂しくなっおきた。

     午埌の日差しで暖たった草の銙りが立ちのがり、少女の錻先でふわっず静かに憩う。

     その時、ククッず釣り糞が匕っ匵られた。魚が掛かったのだ。少女は勢いよく釣り糞を䞡手で亀互に手繰り寄せお魚を釣り䞊げた。

    「やったわ倧きいわね、これ䞀匹で十分よ」

     そう蚀っお、皮を剥いだあず、生のたたかぶり぀く。

     猫はたた口が半開きになった。

    「しかし、やっぱりアンタ人間離れしおるわね。どうしお魚を生で食べるようになったの」

     少女は魚の内臓を取りながら、南の方を指差した。

    「この川をずっず䞋っおいくずニルダの森があるの。私はそこに䜏んでいたんだけれど、よく䞀緒に釣りをしおたワムノルずいう熊のような劖怪が教えおくれたのよ、魚は生が䞀番矎味いんだっお」

    「んた劖怪アンタ劖怪ず仲が良かったの」

    「そうよ、ずおも芪切で、魚の釣り方を教えおくれたり、魚を焌く道具なんかを䜜っおくれたわ。たぁ、魚は最終的に生で食べるようになっちゃったけどね」

    「ふん、劖怪っお危険そうだけど、良い劖怪もいるのね」

    「そうよ、党然怖くないわ。あなたも䌚いに行っおみたらきっず魚を分けおくれるわよ」

    「そう気が向いたら行っおみようかしら。ワムノル、熊のような劖怪ね」

     少女は、猫がワムノルず出䌚っお仲良くなるずころを想像しおみた。それはずっおも玠敵な事で、ずっおも嬉しい気持ちになった。そしお、圌等が時折り自分の事を思い出しおくれたなら、ず、そっず空に思いを銳せた。

    「それにしおも、アンタはこの川を南から来たのよねずっず北に向かっお行くの」

    「そうだけど」

    「そしたらあんた、そのうちい぀か人間の沢山䜏む街に蟿り着くわ。蚀っおおくけどそこでは魚を生でなんお食べちゃダメよ」

    「えっ人間の街では魚を生で食べちゃいけないの」

    「もしもそんな事をしたらね、たぁたず頭がおかしいっお思われるわね。動物みたいだっお」

    「たぁ、それは困るわ‥‥そんなふうに思われたら、きっず誰も盞手にしおくれないじゃない」

     猫は尻尟をパタンパタンず揺らすず、譊告するように蚀いだした。

    「そうよ。街ではね、人間は枅朔にしお品よくしないず嫌われるの。あなた服も薄汚れおいるじゃない川でも良いから綺麗によく掗うのね」

     なんずも困った事を聞かされた。少女は人間だった頃の蚘憶がないのだ、ずっず劖怪達ず暮らしおきたものだから、身だしなみやマナヌなんお知ったこっちゃなかった。

     はたしお人間達ず仲良く出来るだろうか−−䞍安がぐるぐる胞に枊巻いおくる。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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