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「颚ず宎」第話・私の䞭のあの子


     深い眠りの䞭、がんやりずニルダの森が芋えおきた。よく知った陰鬱なあの森だ。

     次の瞬間、通の郚屋の䞭ぞず映像が倉化した。そこではフランバが䜕か呪文を唱えおいる。そしお少女の額に手を圓おた–––

    ああ‥‥フランバが、私から蚘憶を抜き取っお、そうよ‥‥確か瓶の䞭に入れたのよ

     フランバは片手に持っおいた瓶に蓋をしお、䜕かが曞かれた小さな玙を貌り付ける。

    あの瓶は‥‥あの棚に‥‥。

     すうっず芖界が暗くなっおいった。静かな真っ暗闇だ。
     誰かの声が響いお来る。

    『私の事を‥‥忘れ‥‥るな‥‥』

     少女は驚いお暗闇の䞭を芋回す。

    「誰」

     その声は、さっきよりもはっきり聞こえおきた。

    『私に蓋をしお、切り離すなんお‥‥』

     少女は声に語りかける。

    「誰なの」

     がうっず、小さな子䟛の姿が闇の䞭に珟れた。

    「あなたは、だあれ」

     その子䟛は泣き腫らした目で少女を睚んでいる。

    『私を切り離したたた、のうのうず生きおるなんお‥‥』

    「切り離した‥‥っお」

    『私に痛みを抌し付けたたた、のうのうず生きおるなんお‥‥』

    「あなたは‥‥誰なの」

     ドン少女の胞の奥に突き䞊げるような痛みが走った。

    『私は‥‥あなたよ‥‥』

    「ああ‥‥」
     少女は息を呑み、目を䞞くしお胞を抑えた。

    「あなたは‥‥私‥‥」

    『そうよ‥‥私にだけ痛みを背負わせお、蓋をしお切り離すなんお酷いじゃない』

    「あなた、私の蚘憶ね」

     その子䟛は、寒さに震えるように身䜓を小さく揺らしおいた。

    「ごめんなさい、私、そんな぀もりじゃなかったのよ」

    『私は切り離されおる。痛みの䞭に䞀人取り残されおる』

    「ああ、そうだったのね‥‥ごめんなさい。あなたは、䞀人で苊しんでいたのね」

     小さな子䟛は涙をボロボロず頬に䌝わせた。

    「ごめんなさい、私、あなたを攟っおおく぀もりは無いわ。い぀か必ず心の噚を䜜るからその時あなたを迎えに行くから」

     暗闇の䞭に、サアッず雚の音が聞こえお来た。小さな子䟛は霧のように姿を拡散させお溶けお消えた。

     ピチョン。叀朚の枝で眠っおいた少女の錻先に、雫が垂れお飛沫をあげる。
     少女はハッず意識を取り戻した。

     そっず胞に手を圓おお、心の䞭に囁きかける。必ず迎えに行くわ、埅っおいお‥‥

     そしお、むくりず起き䞊がるず、額に手を圓おお顔を䞊げた。

    「そうよ、思い出したわ。フランバの郚屋の棚に、私の蚘憶が入れられた瓶がある」

     呚りを芋回すず、雚がしずしず音を立おお降っおいた。雚宿りをしに、小鳥たちが叀朚の枝に集たっおいる。

    「あら、こんなに鳥さん達が‥‥」

    「おや、目が芚めたのかい、おチビちゃん」

    「おばあさん、私、寝おいたわね。雚が降っおいたなんお知らなかったわ。さっきたであんなに倩気が良かったのに」

    「なあに、もうじきたた晎れるのさ、良い倩気になるよ」

    「そうなの朚には森のお倩気が分かるの」

    「ハ、ハ、ハ。そうじゃないよ。芖えるのさ。雚が䞊がっお、お前さんの友達がここに来るよ」

    「みえるっお」

    「長く長く生きおいるずねぇ、少し先の事が分かるようになっおくるのさ」

    「たあそれは凄いわどのくらい先の事が分かるの」

    「いやなに、䜕でも分かるわけじゃないが、数分先から数日先の事たでさ。断片的に、映像が芋えおくるのさね」

    「ぞぇヌそれは䟿利ね」

     気が付くず、森を包んでいた雚音は、ポタリ、ポタリ、ず朚から滎り萜ちる雚垂れの音に倉わっおいた。

    「あら、本圓だわ、雚が止んだ。たぁ雲の隙間から空が芋えおる」

     少女は枝の䞊に立ち䞊がっお、葉の間から空を芗き蟌んだ。

    「おばあさん、私の友達が来るず蚀ったわね、ムッタかしら」

    「そうさ、食いしん坊のアナグマのムッタさ。空党䜓が晎れた頃にやっおくるよ」

    「おばあさんはムッタを知っおいるのね」

    「この森の動物達は私の実を食べに来るからね、よく知っおるさ」

     そしお、埐々に空を芆う雲は薄く小さくなっおゆき、青い空が広がった。

     カサカサ。草を揺らす音がする。ひょこっず小猿が顔を出し、草露に濡れながら叀朚に向かっお歩いおきた。朚の根元たで来るず、赀い実に向かっおするするず登り始める。

     その埌に続くように、茂る草の間からひょっこりムッタが顔を出した。

    「ムッタ」

     名前を呌ばれたムッタは、パチパチず瞬きをしお匂いを嗅いだ。そしお尻尟を立おながらこちらにやっお来る。

    「嬢ちゃん千暹お婆のずこに居たのかい」そう蚀っお幹を登っお来た。

    「ええ、鳥さんの歌声に匕き寄せられおここたで来たの」

    「そうか、ここには矎声な鳥がたくさん来るぜ」

    「本圓にね、私ずっおも居心地がいいわ。お腹が空いたら朚の実も食べれるし。ここに暫く寝泊たりしようかしら」

    「ああ、良いず思うぜ。ここは倧地の息吹が噎き出す堎所だからな、怪我した動物なんかも怪我を癒しにここに留たったりするんだぜ」

    「そうなのね今の私にぎったりだわ」

     少女は叀朚に話しかけた。

    「おばあさん、私ここに暫く居させおもらっおも良いかしら」

     叀朚はブルリず幹を震わせた。

    「ああ、いいずもさ。いくらでも奜きなだけ居るずいい。その代わりず蚀っちゃなんだが、おチビちゃんの話しを聞かせおおくれ。わたしゃ足がないからね、自由に歩き回れる者達の䜓隓話を聞くのが倧の楜しみなのさ」

    「もちろんよ私の話でよければ䜕でも教えおあげるわ」

     こうしお、少女は叀朚のずころに滞圚する事にした。毎日、あれこれず楜しそうにこれたでの経隓を語り聞かせる。

     蚘憶を差し出した事、劖怪達ずの暮らし、仲間達ずの魚釣りややりずり。森を出おからの出䌚い、危険な目に遭った事。そしおムッタず出䌚っおここぞ来た事。あらゆる䜓隓を叀朚に話したのだった。

     優しい叀朚の゚ネルギヌに包たれお、朚の実を食べおは寝おを繰り返す。
     朚の枝にはちょうど良く枝分かれした箇所があり、平行に䌞びる枝の真ん䞭には少し䜎く䌞びる枝があった、そこに藁を敷き詰めお寝床にしおいた。

     そんな毎日を過ごし、少女の心は日々癒されおいった。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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