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「颚ず宎」第話・叀城の壁の䞊で


     ミツバチが通り過ぎるくらいの時間を経お、ようやくバヌガンディヌ色の髪の少幎は䜕者かの芖線に気が付いた。

     ハッずしお勢いよく振り返るず、芋知らぬ少女がそこに立っおいるではないか。圌は自分がここに居るこずを知られおしたい、萜ち着かない䞍安げな衚情になった。

     気たずそうな顔の少幎に、少女は、ここで䜕をしおいるのか尋ねおみた。

    「こんにちは、私はずっず南にあるニルダの森から来た人間の女の子よ。昔の蚘憶を魔女にあげおしたったから名前はわからないの。教える事が出来なくおごめんなさい。ずころであなたはここで䜕をしおいるの」

     突然、予想倖の自己玹介を聞かされた少幎は、それたで䌏せおいた目を倧きく芋開き、思わず少女の方を芋た。

    「え‥‥䜕だっお魔女に蚘憶を名前がわからない‥‥っお」

     驚きを隠せない様子の圌に、少女は続けお話をした。

    「ええ、お腹を空かせお行く圓おもない時に、劖怪達の䜏む通の魔女に『それたでの蚘憶をよこすなら歀凊に䜏たわせおやる』ず蚀われたらしくお、あげおしたったの」

     少女はそう蚀っおため息を぀いた。少幎は蚀葉を倱っおいる。少女はなお話しを続けた。

    「その通の劖怪達ったら䜕も考えおなくおね、たずもな話なんお出来やしなくお‥‥。ある日ね、通の窓から癜い鷹が珟れたの。蚘憶の無い私に『お前は人間の女の子なのだ』ず教えおくれたのよ。そしお、生き物が息をしたり感情を感じる時に゚ネルギヌが生たれる事を教えおくれたわ。鷹の話しを聞いお私は旅に出たの。そしお色んな動物や朚ずの出䌚いず別れを経お、人間に䌚いに、河沿いを歩いおここたできたのよ」

     少女がそう䌝え終えるず、少幎は自分の目が芋開かれ口も開けっぱなしだずいう事に気が付いた。
     慌おお口を閉じるず、改めお少女をたじたじず芋た。そしおようやく、ゆっくりず話し始める。

    「劖怪ね‥‥、少し南に䞋るず、たたに出るらしいずは聞いおいるよ。僕はずっず南の方ぞは、行った事がなくお‥‥きっず沢山いるんだろうね」

     少幎は息を呑み、チラリず少女を芋た。

    「ええず‥‥぀たり君は、その劖怪達ず䞀緒に、暮らしおいたっお」

    「そうよ、劖怪達ず䜏んでいたわ」少女はあっさり答える。

     少幎は、自分の錓動がずんでもなく早くなっおいる事に気づく、その心臓が八回ほど胞を打った埌、驚きず共になんずか蚀葉を搟り出した。

    「いやあ、声が裏返るほどに驚いたよ。僕は今、普通に喋ろうず必死だ。そうなのか、そんな女の子には初めお䌚った。参ったよ、本圓に、驚いた」

     少幎はなんずか深呌吞をしお、心を萜ち着けるようにゆっくりず話し出した。

    「そうだね、その鷹の蚀う通り、君は人間だよ。そしお僕も人間さ。僕は君にずっお初めお出䌚う人間なのかなそうだずしたら、なんだか光栄な事だね」

     少幎を芋ながら、少女は『人間ず出䌚えた』ず思うよりも、圌がここでいったい䜕を飛ばしおいるかの方が気になっおいた。この装眮らしきものは䜕だろう少女は瞳の䞭心を開花する花のようにパアッず広げお少幎に質問し始めた。

    「ねえ、あなたはここで䜕をしおいるの䜕かが飛んで行くのが芋えたの、アレはあなたが飛ばしおいたのかしらこの装眮は䞀䜓なあに」

     矢継ぎ早に飛んできた少女の質問で、少幎は自分のしおいた事を思い出す。圌はあちこち思考が切り倉わるこずで、これたでの緊匵がだんだん解けおきたようだった。

    「ああ‥‥これね。うん‥‥そうだね。䜕だか、君になら、話しおも良いのかもしれないなぁ」

     少幎は、少女の話に衝撃を受けおおり、自分がしおいる事などちっぜけで倧した事じゃ気がしおきおいたのだ。そしお、䞀呌吞眮いおから口を開いた。

    「僕はね‥‥この装眮を䜿っおね、あるものを飛ばしおいるんだよ」

     そのもったいぶった回答に少女は痺れを切らし、即座に尋ねる。

    「あるものっおどんなものなぜそれを飛ばしおいるの」

     その率盎な切り返しが嫌いじゃない様子の圌は、たた䞀぀心に纏っおいた躊躇が解かれおゆき、事の経緯を少女に話しおみようず思った。

    「こんな事話しおも‥‥驚かないでね」

     少幎は、少女の様子を䌺いながら話し始めた。

    「ある朝目芚めた時、半幎くらい前だったろうか。䞞い珠がさ、垃団の䞭にある事に気付いたたんだよ。このくらいの倧きささ」

     そう蚀っお、手にオレンゞくらいの䜕かを持぀ような玠振りを芋せお、話しを続けた。

    「それ以来さ、それがほが毎日続いおるんだ。朝起きるずたた新しい珠が出来おるんだ。だんだんその珠が溜たっおきおしたっおさ、どうしたもんかず眺めおいたんだ。そしたらさ、この珠を䜕凊かの誰かに届けたくなっおきたんだ。䜕故だかは、分からないんだけど」

     少幎は、近くに眮いおあった珠を手に取り「この珠達さ」そう蚀うず深い面持ちで少女に芋せた。

    「これがその珠なのね。綺麗な珠だわ。誰かに届けたいのなら、呚りの人達にあげればいいじゃない」

     そう蚀われた少幎は眉をひそめ、顎に皺を寄せた。

    「それがさ、䜕故かは分からないんだけど、呚りの人達には芋せたくないんだ。だから森に向けお飛ばしおいるんだよ。知らない誰かにひっそり届くくらいの方が僕にはちょうど良いんだ」

    「そうなのね‥‥」
     耇雑な思いを抱く少幎に、少女は静かに盞槌をうった。

    「それにしおも、朝起きたら珠が出来おるなんお、ずっおも䞍思議で面癜いわね。鳥みたいに産むのかしら」

     面癜いず蚀われた少幎は、顔をしかめおこう蚀った。

    「鳥みたいに産むかどうかは分からないよ。こんな話し誰からも聞いた事が無いし、毎晩誰かが僕の寝所ぞ眮きにくるのかもしれない。でも、これは䜕故か僕から生たれたものだっお気がするんだ。僕だっお䞍思議さ。だからこんな事、誰にも蚀えるもんか」

     少し拗ねた様子の少幎は、恥ずかしさを投げ返すように少女に蚀った。

    「君だっお䞍思議じゃないか、劖怪達ず䞀緒に䜏んでいたなんおさ。だから君になら蚀える気がしたんだよ。僕からしたら君の話も十分䞍思議だもの」

     劖怪達ず䞀緒に䜏んでいた事が䞍思議だず蚀われた少女は、広がっおいた瞳の䞭心を今床はキュりっず絞っお尋ねた。

    「ねぇ、劖怪達ず䜏んでいた事は䞍思議な事なの」

     少幎は目を䞞くしお少女に蚀った。

    「圓たり前じゃないか‥‥劖怪達ず䜏むなんお普通じゃないよ。そんな危険な事誰もしやしないないさ。君はよく食べられたりしなかったなぁ」

     劖怪達ず䜏むこずが、普通ではなく危険な事だず蚀われ、少女はこれたで自分が普通だず思っおいた事ず人間のも぀感芚ずが違う事に驚いた。

     そしお、少女はよくよく通での事を思い返し、ぜ぀りず語り始めた。

    「そうね‥‥そう蚀われおみたら、食べる぀もりだったんじゃないかしらだから私は逃げおきたずころもあるのよね。ちょうど良いタむミングだったのね。劖怪達のボスの魔女は、私を食べたりなどしないず玄束しおいたけれど、毎幎色々なものが増えおいったの。たずえば‥‥」

     少女は芖線を䞊の方に移し、瞬きをしお蚘憶を手繰り寄せた。




    ◉以䞋 第話〜第話たでのリンク

    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/na93453091f39
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2873025c2b76
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n19a6d8876f58
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n9ccb2e5a494d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1385450861f6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n24b021d9718e
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n992f42397bf5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n1c0a7ea665b4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf387fa29cf2f
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n90d0d3de9f22
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nfffb55406e23
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncaf87709908a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n2ae1629eea7d
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n771ae392b316
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/ncbf1ae8b3e7c
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6479d7b5ccc4
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5d5f0b7053a5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n7dee847d45b5
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n6bd1ee5104bc
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4bc1bc58c6b6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nf2180cb13837
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n78997aeffb2a
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n13fa243f6452
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n0dddf2bf0b87
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n5ca9f5540091
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n850e74d2d908
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n624ee3d70cac
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4d919856abad
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n4aca84741ad0
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/n80e2277777d6
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd4bb88f3cd97
    第話 https://note.com/yoko_momoi/n/nd651966ca3ab

     
     
    䞀぀の物語が䞀枚の絵になった様な、象城、隠喩、寓話、投圱、そんな光ず陰が混圚する、可愛くおどこか䞍思議で怪しく味のある、シュヌルメルヘンな絵を描く画家です。 ただいた子䟛から倧人たで読める物語の執筆䞭です。

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