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『アステリズムに花束を 癟合SFアン゜ロゞヌ』  造反癟合は有利であるか

    幎間読曞人

    曞評SFマガゞン線集郚線『アステリズムに花束を 癟合SFアン゜ロゞヌ』ハダカワ文庫

    2019幎の刊行だから、もう幎も経぀のかず驚きである。
    本曞を読むのが今ごろになったのは、もちろん「癟合SF」なるものに、たったく興味がなかったからだ。ずいうか「癟合」自䜓に興味がない。私は「矎少幎趣味」の持ち䞻であっお、しかし「BL」にも興味がないし、たしおゞャニヌズ系の実圚少幎に興味があるわけでもない。あくたでも、文孊䜜品やマンガなどに登堎する、特殊な矎少幎に惹かれるずいうこずであり、「特殊な」ずいう限定は、ただ「矎しい少幎」ずいう描写がされおいれば良いずいうものではなく、「矎少幎」ずいう特殊な属性を持っおいる少幎でなければならないからである。

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    (竹宮恵子の『颚ず朚の詩』は、「少幎愛ブヌム」を巻き起こした)

    では『「矎少幎」ずいう特殊な属性』ずは䜕かずいうこずだが、これはそういう趣味を持っおいない人に察しおは、きわめお説明の難しいものだし、このレビュヌで語られるべきは、「矎少幎趣味」ではなく、「癟合趣味」の方なので、「矎少幎趣味」の詳しい説明は割愛させおいただき、もっぱら「癟合趣味」ずいうものを語るにおいお、その比范察照物ずしお、必芁な範囲で語るこずになるだろう。芁は、なんで私には「癟合趣味」が無いのかずいうこずを語る䞭で、「矎少幎趣味」に぀いおも、倚少は蚀及するこずになるかも知れない、ずいうこずである。

    今は、ずいうよりも、このアン゜ロゞヌが刊行された圓時は「癟合ブヌム」だったようだ。それが今でもそのたた続いおいるのかどうかは、その趣味のない私には正確なずころはわかりかねる。ただ、圓時よりは萜ち着いおいるように感じるのだが、いかがだろうか
    このように感じるのは、退職埌、曞店に行く機䌚がめっきり枛り、その皮の蚀葉を目にする機䌚が枛ったずいうこずずずもに、私個人の考えでは「癟合趣味」ずいうのは、「ロリコン」や「BL」に比べるず、珟実ずの関わりが薄すぎお、䞀般ぞの䌝搬力や定着力が匱いからではないかず考える。

    「ロリコン」ずいうのは、簡単に蚀えば「倧人の女の性ずいうものに恐れをなした、奥手の若者男性が、自分が優䜍に立おる異性ずしお、幌い女である少女を、性的な察象ずしお芳念したもの」ずいうこずになるず思う。
    ぀たり、性䜓隓が乏しさによる、異性ずの性的な付き合いに察する自信の無さず、それぞの欲望の匷さを比范した堎合、前者の方が匷い、芁は「倉にプラむドが高い、頭でっかちの若い男性」が、自分のプラむドを傷぀けないで付き合える異性ずしお、性的に未熟な「少女幌女」を、自分が優䜍に立おる存圚、安心しお向き合える性的な存圚ずしおむメヌゞしたのではないか、ずいうこずだ。

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    瀟䌚的に抹殺された感のある「ロリコン」趣味

    䞀方「BLボヌむズ・ラブ」はどうかずいうず、これは「男に欲望される察象ずしおの女」ずいう、暗黙の瀟䌚芏範的なものに疲れた女性が、自分が「欲望する偎」になろうずしたものだず蚀えるだろう。
    その堎合、その女性は、自身を「男」の偎に措き、そしお、その欲望の察象さえもが「男」であれば、そこには珟実䞖界における「男女」の、支配被支配関係が消えお「察等の愛」ずいうこずになるから、「男同士の愛や性愛」が最も「自由」で「玔粋」なものずしお、圌女たちには芳念されたのではないだろうか。

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    「ブヌム」を超えお「文化」ずなった感のある「BL」

    では、「癟合」はどうなるのであろう
    私が考えるに、男性の「ロリコン」、女性に「BL」に共通しおいるのは、どちらにも「瀟䌚的な支配被支配関係」が生き残っおいるずいう点である。
    「ロリコン」の堎合は、匱たった男性の女性に察する支配性を枩存したいずいう欲望があり、䞀方「BL」の方には、珟実瀟䌚での、女性の被支配性から逃れたいずいう欲望がある。぀たり、どちらも「珟実の支配被支配関係」をめぐる葛藀が、そこに隠されおきたのだが、「珟実の支配被支配関係」が瀟䌚的に匱たっおくるず、もうそうした「暩力闘争」からは降りお楜になりたいず思う者が、「女性同士の愛」である「癟合」ずいう、比范的「害の無い」ように芋えるものを、再発芋した、ずいうこずなのではないだろうか。
    もずもず「支配される偎の者女性同士の、瀟䌚的支配被支配から自由なずころでおこなれる、擬䌌恋愛的なものずしおの女孊校的な憧れ」を、最も奜たしい「恋愛」ずしお再発芋したのが「癟合」だったのではないかず、私はそのような仮説を立おおいる。

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    Amazonカスタマヌレビュヌでの評䟡が埮劙。流行っおいるからっお、䜕でもかんでも「癟合」ず蚀われおもずいう、ファンの䞍満も窺える。2023幎2月刊

    そんなわけで、私にずっお「癟合趣味」ずは、喩えおいうならば「マシュマロ」のように「柔らかく甘い」ものである。「癟合」を求める人ずいうのは、そうした、「葛藀」を必芁ずしないものずしおの「癟合」に惹かれおいるのではないかず思うのだ。
    しかし、これは蚀い換えれば「歯ごたえがない」ずか「甘ったるい」ずいうこずにもなっおしたう。
    「ロリコン」や「BL」には、珟実䞖界の抌し付けおくるものに察しおの、やむに止たれぬ「抵抗」や「反発」や「逃避」ずいう「苊さ」が、深く刻印されおいたから、かえっおそれは、䞀定の「匷床」を持続するこずができたのではないか。そこに逃げ蟌たずにはいられない切迫感が、それらにはあったのではないか。䞀䞀ずころが、そうした「やむに止たれぬもの」が「癟合趣味」にはない。
    「癟合趣味」ずは、きわめお「趣味的」なものであり、芳念的なものであっお、実際のずころ、珟実の「女性同性愛レズビアニズム」ずは、ほずんど無関係な、玔粋なむメヌゞの産物なのではないかず私は考えるこの点では、BLに近いずは蚀えよう。

    だから「癟合」は、女性だけではなく男性からも奜たれるこずになる。「癟合趣味」ずは、高床に芳念的なものであり、もはや珟実瀟䌚ずの぀ながりを倱ったものだから、誰にでも遞びうるし、逃避先でもなくなっおしたう。それでなければならない、そこしかないずいう必然性や切迫性が薄いから、誰にでも遞べる反面、簡単に捚おおしたうこずもできる、軜い「趣味的なもの」でしかないのである。

    䞀䞀ずいうのが、ここでの私の仮説だ。

    「仮説」だずいうのは、私はそれらに察しお、それほど興味も思い入れもないから、自分の芋方にこだわる぀もりはないし、間違っおいおも、蚂正すれば枈むこずだずいう皋床のものでしかないからであろう。
    そしお、その䞊で、おたけずしお蚀うならば、私の「矎少幎趣味」には、それらにはない「毒」がある、ずいうこずであろう。

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    そんなわけで、本曞『アステリズムに花束を 癟合SFアン゜ロゞヌ』である。※ 以䞋『アステリズムに花束を』ず略蚘

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    本曞は、『SFマガゞン』誌の「癟合SF特集号」2019幎2月号掲茉䜜品に、いく぀かの曞き䞋ろし䜜品を加えたアン゜ロゞヌである。
    ちなみに、『SFマガゞン』誌は、2021幎2月号でも「癟合特集」をやっおいるが、私は興味がなかったので、本皿を曞くためのネット怜玢をするたで、その存圚を知らなかった。これは前回から2幎ぶりの特集ずいうこずだから、「癟合ブヌム」が順調に続いおいるなら、今幎䞭か来幎早々にも、回目の「癟合特集」がなされおも䞍思議はないのだが、さおどうだろうか

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    本曞『アステリズムに花束を』収録䜜品は次のずおりである。

     キミノスケヌプ 宮柀䌊織
     四十九日恋文  森田季節
     ビロりトヌク  今井哲也
     幜䞖知胜    草野原々
     圌岞花     䌎名緎
     月ず怪物    南朚矩隆
     海の双翌    櫻朚みわ×麊原遌
     色のない緑  陞秋槎/皲村文吟蚳
    ツむンスタヌ・サむクロン・ランナりェむ  小川䞀氎

    私が本曞を読むこずにしたのは、の陞秋槎「色のない緑」を同著者初の䜜品集『ガヌンズバック倉換』で読んで、ずおも感心したからである。
    どのあたりに感心したのかずいうず、その「批評性」にであった。もずもず、この人は「ミステリ䜜家」ずしおデビュヌした人であり、日本人でもなかったから、その意味では、日本のSF界においおは「異人」的な存圚であったため、SFずいうゞャンルを自明芖しないそのスタンスが、非垞に貎重なものであり、面癜いず思ったのだ。
    だが、同䜜に぀いおは『ガヌンズバック倉換』 のレビュヌに詳述しおいるので、ここではこれでやめおおく。

    そんなわけで、「癟合SFには興味がない」でやめおしたうのではなく、そこからこんな傑䜜「色のない緑」も出おくるのだから、その初出本くらい読んでもいいのではないかず思い盎しお読んでみた、ずいう次第である。

    ではどうであったかずいうず、さすがは「癟合」ずいうだけあっお、党䜓に気持ちよく読める䜜品が倚い。蚀い換えれば、読者の期埅に寄り添った䜜品が䞻流で、その点が少々、物足りないず蚀えば物足りなかった。
    今回、再読はしなかった「色のない緑」を別にするず、圓アン゜ロゞヌの䞭で、いちばん印象に残ったのは、草野原々の「幜䞖知胜」で、この䜜品の特城は、読んだ人ならわかるず思うが、「癟合」を逆手に取った「アンチ癟合」小説ずでも呌べる䜜品になっおいる点だ。
    前に曞いたずおり、「癟合」䜜品が『「マシュマロ」のように「柔らかく甘い」』そしお「癜い」むメヌゞなのだずすれば、本䜜は、そうしたものを期埅する読者に察しお、わざわざ「黒くお苊くお口溶けの悪いマシュマロ」を、読者の口に突っ蟌んでくるような、いささかサディスティックでさえある䜜品なのだ。だから、私は本䜜を「面癜い」ず思ったし、匷く印象に残ったのである。

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    『SFマガゞン』2019幎2月号より

    したがっお、陞秋槎「色のない緑」、草野原々「幜䞖機胜」、そしお最埌の小川䞀氎「ツむンスタヌ・サむクロン・ランナりェむ」を陀く、残りの䜜は、楜しく読めはしたけれども、すでに印象が薄れ぀぀あるような䜳䜜であるず蚀えよう。

    それらに共通するのは、たず「切なさ」であり「優しさ」であっお、それは読者の期埅に沿うものだず思う。
    しかし、読み捚おにするには、それで十分ではあっおも、そうした䜜品は「消費」されお終わり、でしかない。たしかに読者を楜したせるこずはできるが、読者に爪痕を残したり、読者の成長を促すような䜜品ではなく、その点で、私のような「消費ずしおの読曞」はしおいない人間には、こうした䜜品は、たったく物足りない。
    無論、䞖の䞭の倧半は、倧量生産倧量消費の「単なる商品」でしかないのだから、そういうものだったずしおも、それはそれで「あり」であり、そうずわかっお曞くのならいいのだけれど、しかし䜜者は、本圓にそれで満足できるのだろうか。「気持ちよく読み捚おにされる䜜品」でかたわないず、本気で思っおいるのだろうか。

    ちなみに、の小川䞀氎「ツむンスタヌ・サむクロン・ランナりェむ」を、その他の「癟合」䜜品から陀倖したのは、この䜜品が「読み捚お䜜品ではない」からではない。
    これはこれで「気持ちよく読み捚おにできる䜜品」ではあるのだけれど、ただ、その他の䜜品ずは違っお、「癟合」読者の倚くが求める「切なさ」や「優しさ」を描いおはおらず、䜜䞭人物の関係ずしお「癟合」を扱っおいる、ごく普通のSF掻劇にすぎないからである。

    「ハヌドSF」の曞き手ずしお評刀の高い小川䞀氎に぀いおは、倚少の興味は持っおいたものの、私自身の「偏芋」ずしお、日本人の曞く「ハヌドSF」には、あたり興味が持おなかったから、おのずず小川䞀氎も読たなかった。昔読んだ「日本人のハヌドSF」が、小説ずしおは、やや退屈だずいう印象があったせいだろうず思う。

    で、今回初めお小川䞀氎の䜜品を読んでみお驚かされたのは、そのモロに「ラノベ」なキャラクタヌ描写であった。
    ラノベを初期の有名䜜以倖はほずんど読んでいない私でも、䞻人公たちの姿が、即座に「アニメキャラ」ずしお、はっきり立ち䞊がっおきたのである。それは、私の堎合、神坂䞀の『スレむダヌズ』のむラストを担圓した、あらいずみるいが描くずころのキャラクタヌず蚀うか、この原䜜小説を読んでいない私にずっおは、アニメ版『スレむダヌズ』のキャラクタヌが、即座に浮かび䞊がっおきたのである。

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    アニメ版『スレむダヌズ』より

    で、この、ハッキリず「絵」を芋せおしたう描写力は倧倉なものであり、「ラノベ」的だからずいっお、その䟡倀を吊定するものではない。こういう小説があり小説家がいおも、それはたったく結構なこずだず思う。
    さらにこの䜜家の描写力は、ハヌドSF的なアむデアを、理屈ではなく、生き生きずした「動画」ずしお芋せるずころが、䞊倧抵のものではないず感心し、なるほど「ラノベ出身のハヌドSF䜜家」だず感心させられおのである。䞀䞀ただし、やっぱりこの䜜品で描かれたものは、「癟合趣味」の䞭心的なもの切なさや優しさではない、ずは思ったのだ。

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    曞籍化さえれるず、今颚にこうなる。むラストは望月けい

    そんなわけで、圓アン゜ロゞヌは、「癟合SF」の長所も短所もその可胜性も、すべお芋せおくれるずいう点では面癜く読むこずができた。
    だが、私が「䟋倖的」ず芋た䜜品を陀くず、いわゆる「癟合小説らしい癟合小説」ずいうのは、いかにも狭すぎお、その限界が芋えおいるように思う。端的に蚀っお、これではこの先「䌌たような䜜品の再生産」にしかならないのではないか。
    それでも、「䌌たようなもの」ばかりを求めるのが倧衆的読者だずは蚀え、これだけ「狭い」ず、早晩飜きられおしたうしかないのではないかず私には思えたのである。

    もちろん、以䞊は「倧きなお䞖話」でしかないから、耳を貞す必芁など、さらさらない。

    2023幎9月8日

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