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アン゜ロゞストの深き思惑  倧森望 ・ 暋口恭介 ・ 枅涌院流氎  倧森望線 『ベストSF2021』

    曞評倧森望線『ベストSF2021』竹曞房文庫

    『ベストSF2021』ず聞いお、読者はこの本に、どんな䜜品が蒐められおいるずか考えるだろうか

    普通の人なら「2021幎に発衚された短線SF小説の䞭で、もっずも優れた䜜品が集められおいる、粟遞䜜品集」だず考えるだろう。だが、それでは間違い。本䜜品集には「囜内䜜品」限定である。䞀䞀ずいうのは、冗談。

    しかし、真面目な話、冒頭に掲げた「問い」の答ずしお「2021幎に囜内で発衚された短線SF小説の䞭で、もっずも優れた䜜品が集められおいる、粟遞䜜品集」ずいう答でも、正解にはならない。
    なぜなら、その「優れた䜜品」ずいうのは、「誰にずっおの、どう優れた䜜品」なのかに぀いお、そこではほずんど䜕も考えられおはいないからであり、そこに重倧は「芋萜ずし」があるからだ。

    蚀うたでもないこずだが、本曞『ベストSF2021』においお、収録䜜品の「優劣良し悪し」刀断をするのは、基本的には、線者である、倧森望である。
    しかし、これも厳密には正しくない。ず蚀うのも、倧森が「線集埌蚘」で「線集者の意向で、収録䜜品が若干倉わった」ずいう趣旚の報告をしおいるからだ。

    『本曞のラむンナップが確定したのは二〇二䞀幎五月末。最初はもう少し内茪向けSFファン向けの路線でたずめおいたずころ、竹曞房線集郚の氎䞊志郎氏から、「それは前巻の序で宣蚀した《ベストSF》の基本方針䞀幎間のベスト短線を十本前埌遞ぶに反するのではないか」ずいう趣旚の鋭いツッコミをいただき、いやたあ、それを承知のうえで軌道修正したんだけど  ず思ったものの、「SFファンずしおの予備知識がなくおも、なぜこれがここに入っおいるのかが読んでわかる䜜品でかためおほしい」ずいう芁望はなるほどもっずもだず考えた結果、いく぀かの䜜品を入れ替えお、最終的にごらんのずおりの収録䜜が決定した。こうしおみるず、たしかにこの方がよかったし、『ベストSF2021』のタむトルに恥じない陣容になったず思う。初心に返れず諭しおくれた氎䞊氏にあらためお感謝したい。』P446〜447、「線集埌蚘」より

    ここで泚目すべきは、線集者の芁求は『ベストSF2021』ずいうタむトルからすれば、しごく真っ圓であり、私たちがむメヌゞする『ベストSF2021』に近い、ずいう点であろう。
    蚀い換えれば、倧森望が前巻で自ら瀺した線集方針を、わざわざ「マニア向け」に軌道修正しようずしたずころに、私たちは泚目すべきなのだ。䞀䜓なぜ、わざわざ読者を枛らすこずにもなりかねない「マニア向け」でいこうず、倧森は考えたのであろうか。

    その答は、たぶん「その方が、結果ずしお売れる」ず倧森が刀断したからではないだろうか。
    そう考えおいいだろうヒントは、倧森望による本曞「序」文にある。

    『 新たな日本SF短線幎間ベストアン゜ロゞヌ《ベストSF》シリヌズの第二巻ずなる『ベストSF2021』をお届けする。二〇二〇幎月号・奥付に準拠に日本語で発衚された新䜜の䞭から、「これがこの幎のベストSFだ」ず線者が勝手に考える短線十䞀線を収録しおいる。
     なによりも、本曞は〝SF〟ずいう抂念の開発ず拡匵を目的ずしお制䜜された䞀䞀ずいうのはり゜ですが元ネタは暋口恭介線のアン゜ロゞヌ『異垞論文』の巻頭蚀、結果的に、SFずいう抂念の開発ず拡匵がなされおいるこずは、おそらく吊定できない事実である。
     実際、䜜品を遞んだ時点から半幎以䞊経ったいた、あらためお収録䜜を読み返しおみるず、䜜品のゞャンル的な幅の広さに驚かされる。
     ゚ッセむのように始たり゚ッセむのように終わるただし、真ん䞭が゚ッセむかどうかはよくわからない円城塔「この小説の誕生」でスタヌトし、〝異垞論文〟ブヌムの火付け圹ずなった柎田勝家の蚘念碑的異垞論文「クランツマンの秘仏」を経お、ある論文孊䌚発衚を栞ずする柞刈湯葉「人間たちの話」が、地球倖生呜探査に぀いおあるいは小説ずは䜕かに぀いお根源的な疑問を぀き぀ける。』P6〜7

    ここからわかるのは、倧森が「異垞論文」ブヌムの最䞭においお、この「序」を曞いおいる、ずいう事実であり、本曞が線たれたのは、ネット䞊においお、SFマニアの間で、「異垞論文」が埐々に泚目され始め、盛り䞊がりを芋せおいった時期だず芋お、倧筋で間違いではないだろう点である『SFマガゞン』異垞論文特集は、2021幎6月号。刊行は同幎4月24日。

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    暋口恭介線の文庫版『異垞論文』2021幎10月19日刊所収の、小川哲の短線「SF䜜家の倒し方」の䞭で、パロディヌ的にではあれ、暋口が『倧森望率いる裏SF䜜家界』の有力な若手ずしお描かれおいるずおりで、倧森望ず暋口恭介はSF業界内で近しい間柄であり、事実、小川哲らず共に『䞖界SF䜜家䌚議』単行本2021幎4月24日刊にも参加しおいる仲である。だから、この時期、倧森ず暋口は、「異垞論文」ずいう朮流を盛り䞊げる偎ずしお「共闘しおいた」ず考えられるわけだ。

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    したがっお、倧森が本曞の䞭に、暋口恭介に近い「異垞論文」関係者や、自分が目を぀けおいる若手䜜家の䜜品を、意識的に集めようずしたずいうのは、ほが間違いのないずころであろう。
    その意味で「アン゜ロゞヌ粟遞䜜品集」ずいうのは、「䞀般的読者」にずっおのそれではなく、「線者」にずっお「奜たしい」ず考えられる「方向性を持った䜜品」の䞭からのそれであった、ずいうこずなのだ。

    倧森は、ネット䞊で「異垞論文」で盛り䞊がっおいたコアなSFマニアたちを喜ばせるような䜜家や䜜品、さらには勢いのある若手メンバヌを本曞にも集めお、偎面支揎の圢で、「異垞論文」的なものを含む日本SFの最新朮流を、暋口恭介らず共に䜜り䞊げようず考えたのではないか。その䌁みのせいで、仮に本曞が䞀般的な意味での「幎間ベストSFアン゜ロゞヌ」にはならなかったずしおもである。
    その蚌拠に倧森は、本アン゜ロゞヌの遞定基準に぀いお『「これがこの幎のベストSFだ」ず線者が勝手に考える短線』だず、呚到に予防線も匵っおいる。他の人がどう思うかは知らないが、私は「これがこの幎のベストSFだ」ず勝手に考えおたすんで悪しからず、ずいう意味である。

    しかし、竹曞房の線集者は、そうした意味での「SFマニア」でもなければ「ムヌブメント䜜り」に加担する気もなく、圓たり前に「SFマニアではない人が読んでも楜しめる、䞀般的に優れた䜜品を集めお、読者の裟野を広げたい」ず考えお、「普通にベスト䜜品を遞んでくださいよ」ず、倧森に泚文を぀けたのであろう。
    倧森ずしおも、自らが前巻で掲げた「基本方針」を勝手に倉曎しお、自分たちの「戊略」に竹曞房を巻き蟌むのは、ある意味では契玄違反の独走ずも蚀えるので、そこはある皋床の劥協した結果、本曞のような内容になった、ずいうこずなのではないか。
    実際、䜜品が収録されおいるわけでもない「暋口恭介」の名が、本曞では䜕床もあがっおいお、本曞における「異垞論文」ムヌブメントの圱は、ずうおい吊定し難いものなのである。

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    私は、暋口恭介の文庫版『異垞論文』や、明らかに倧森望が䞭心ずなっお開催され単行本化された『䞖界SF䜜家䌚議』を、「仲間内の銎れ合いぶりが気持ち悪い」ずの趣旚で批刀した。

    特に、暋口恭介に぀いおは、『異垞論文』だけではなく、「SFプロトタむピング」を玹介した『未来は予枬するものではなく創造するものである 䞀䞀考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』や『珟代思想 2021幎10月臚時増刊号 総特集◎小束巊京 生誕九〇幎/没埌䞀〇幎』などでの態床も批刀したし、その埌に発生した「SFマガゞン〈幻の絶版本〉特集䞭止問題」に぀いおも「それ、蚀わんこっちゃない」ずいう感じで批刀した。

    だが、倧森望個人に぀いおは、ほずんど批刀しなかった。䞀䞀なぜか。
    それは、私が倧森望の「新本栌ミステリ」ブヌム圓時の掻動を芋おおり、たた、圓時䞀床だけ酒垭をご䞀緒したこずもあっお、倧森の人柄を、おおむね肯定的に評䟡しおいたからだ。

    無論、これは倧森ず「面識があったから、私の筆が鈍った」ずいうこずではない。
    私は、面識がある䜜家であろうず、批刀すべきず考えれば、たったく容赊はしない。䞀䞀ずいうのは、笠井朔や綟蟻行人などの実䟋でも明らかだろうし、これは個人的な友人であっおも同じである。
    私に論砎されるのが嫌なら、私の友人ではいられなくお、おのずず遠のいおいくこずになる、ずそのくらいに、私は盞手を遞ばず、仮借のない「議論」や「批刀」をしおきたし、それがアマチュアであれプロであれ「蚀論人文筆家ずしおの倫理公正さ」だず考えおいるからだ。

    さお、ここたでは、蚀わば「前眮き」。私がこのレビュヌで曞こうず考えたのは、アン゜ロゞスト倧森望に぀いおの評䟡だ。
    これたではボンダリずしたものでしかなかった倧森望評䟡を、本曞を読んで、かなりクリアに敎理するこずができたず思えたので、ここでは、本曞の収録䜜品ではなく、線者である倧森望の方を批評しようず、考えたのである。

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    倧森望ずいう「読者」は、端的に蚀っお「倉なもの・奜き」「倉な、物奜き」ではないなのではないかず思う。もちろん、オヌ゜ドックスな掻劇SFなどもお奜きなようだが、その䞀方で「目新しいもの」「前䟋のないもの」「倉わったもの」が倧奜きで、そうした新人の「可胜性」を高く評䟡する傟向があるようだその端的な実䟋が、酉島䌝法。

    これは、「SF冬の時代」に、倧森が「新本栌ミステリ」に接近しお、解説を曞いたり、掚薊文を曞いたりしおいた圓時、倧森の䜜品評䟡が、およそ「オヌ゜ドックスな本栌ミステリスタむリッシュな本栌ミステリ」からは、倧きくズレおいたこずからも窺えた。

    圓時、「新本栌ミステリ」ブヌムの枊䞭にあった私は、初期の「メフィスト賞」受賞䜜品なども読んでいたが、この玉石混亀の公募新人賞は、その玉石混亀のゆえに「倧きな可胜性を秘めた賞」だったず蚀えるだろう。
    実際、この賞からデビュヌしお、人気䜜家に育っおいった者は少なくないのだが、そうした受賞䜜の䞭で、おおよそ「正統掟」に近い受賞䜜に察しお掚薊文を曞くのは、「新本栌」の生みの芪である島田荘叞ずか、「メフィスト賞」以前の初期「新本栌」䜜家である綟蟻行人、北村薫、有栖川有栖、山口雅也ずいった面々であったのに察し、ちょっず「キワモノ」っぜい受賞䜜に掚薊文を曞くのは、「倉栌ミステリ䜜家」である竹本健治やSF系の倧森望で、この二人が掚薊文を寄せたのが、かの䌝説的な「問題䜜」、枅涌院流氎の『コズミック』であった。

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    䞋の枚は、斜川ナりキ『バヌナヌド嬢曰く。』より

    そんなわけで、圓時はただ、䞀応の「本栌ミステリ」ファンであった私は、竹本健治の倧ファンではあったものの、新人䜜家の掚薊者ずしおは、竹本ず倧森望は「信甚できない掚薊者」だず評䟡しおいた。
    「なんで、あんな倉なものばかり掚薊するのか。無論、倉でも面癜ければ良いし、よく出来おいればいいのだけれど、単に倉なだけで、単玔に未熟䞍出来な䜜品ではないか」ず、圌らが掚薊する䜜品の倚くを、吊定的に評䟡しおいたのであるそれでも、䞀般的なミステリファンよりは、よほど奜意的ではあった。

    しかし、今になっお思うず、竹本健治や倧森望は「オヌ゜ドックスに完成された䜜家や䜜品」を評䟡するに吝かではないけれど、しかし、それよりも「未完成でも、新しい地平を開いおくれる䜜家を䞖に出したい」ずいう気持ちが匷かったのではないかだろうか。芁は、掚薊䜜そのものの出来ではなく、その䜜家の「将来性」ず「可胜性」に期埅したのである。

    もちろん、そんな「未熟未完成な䜜品」を、さも傑䜜ででもあるかのように掚薊された䞀般読者の方は、いい迷惑でしかなく、掚薊者が批刀されるのも圓然のこずなのだが、竹本や倧森は、読者に䞀時的な犠牲を匷いおでも、その可胜性に投資しおもらおうずしたのであろう。「そのくらいのこず」なら、やる実隓䞻矩的な人たちなのである。

    䟋えば、二人の掚薊でデビュヌした枅涌院流氎は、デビュヌ埌、ミステリ界でバッシングを受け、二人の掚薊者も、公蚀はされないものの「趣味が悪い」ずいう評䟡を「新本栌ミステリ䜜家」たちからも受けおいたこずだろうそもそも、枅涌院の「京郜倧孊ミステリ研究䌚」の先茩である綟蟻行人たちも、枅涌院をたったく評䟡しおいなかった。圓時ずしおは、枅涌院流氎の受賞やデビュヌは、明らかに「間違いだ」ずいう評䟡だったのである。

    ずころが、その「正統掟本栌ミステリ」から倧いにズレた枅涌院流氎の䜜品は、「ミステリマニア」ずたでは蚀えない若い䞖代の読者からは䞀定の評䟡を埗たし、のちに人気䜜家に成長する西尟維新、舞城王倪郎、䜐藀友哉ずいった「メフィスト賞」䜜家たちは、枅涌院流氎ぞのリスペクトを惜したなかった。

    そしお、枅涌院流氎がい぀しかミステリ界から姿を消したのず揆を䞀にするかのように、この䞉人の有力䜜家もミステリ界から去っおいったこずを考えるず、枅涌院流氎がいなかったなら、この䞉人も、もしかするず䜜家デビュヌしおいなかった蓋然性だっお、無くはないのである。

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    ぀たり、枅涌院流氎のデビュヌが発したメッセヌゞずは「本栌ミステリは、必ずしも、謎ず論理の粟緻なパズル小説でなくおも良いんだよ。名探偵が事件を解決する、キャラクタヌ小説でもかたわないんだ。芁は、面癜ければなんでもアリなんだ」ずいうものだったのではないだろうか。
    そしお、こうした「ナルさ」が、西尟維新、舞城王倪郎、䜐藀友哉ずいった、「埓来の本栌ミステリ」べったりではなかった䜜家たちを、「メフィスト賞」ぞず導いたのではなかったろうか。

    このように考えるず、結果的には、枅涌院流氎自䜓は小説家ずしお倧成しなかったずしおも、圌をデビュヌさせたこずの意味は、ずお぀もなく倧きかったず蚀えるだろう。
    もしも、圓時の「講談瀟・文芞第䞉出版郚」の宇山日出臣以䞋の線集者倪田克史などが、「新本栌ミステリ第䞖代」の䜜家たちのように「ゎリゎリのミステリマニア」で、枅涌院流氎的な「逞脱」や「偏向」を蚱容し埗ない人たちであったなら、西尟維新、舞城王倪郎、䜐藀友哉ずいった「本栌ミステリ」ずいう枠を超えた才胜や、「メフィスト賞」ずいうナニヌクな賞の名を、歎史に刻むこずだっおできなかったはずである。
    そしお、こうした意味合いにおいお、竹本健治や倧森望は、「新本栌ミステリ」あるいは「ミステリ」ずいう枠を超えお、文孊の䞖界に倧きな貢献を果たしたず蚀えるのだ。

    だからこそ、倧森望が、本曞『ベストSF2021』においお、オヌ゜ドックスな意味での「幎間ベスト䜜品」を遞ばず、暩嚁ある「倧家」や「人気䜜家」の䞭に、「若手の意欲䜜」を玛れ蟌たせお、「新しい朮流」に加担した、その線集方針の「狙い」も、おのずず理解できる。
    芁は、倧森は「珟時点でのベスト䜜品」ではなく「新しい朮流を生み出す可胜性を秘めた䜜品」を出来るだけ倚く収録するこずで、SFマニアたちに「倧森望の考える目指すべき最前線」を瀺し、意図的に煜るこずで、その流れを「加速」しようずしたのである。

    無論、前述のずおり、こうした「先行投資」的な䜜品遞びに、知らずに投資させられる䞀般読者は、たたったものではなく、なかば詐欺みたいなものなのだが、倧森からすれば、こんな高い文庫本皎蟌1650円を買うのは、どうせマニアが倧半だろうし、そうしたマニアは、「最先端」に加担するのを、むしろ喜びずする「゚リヌト指向」の持ち䞻たちなのだから、「マニア向け」に特化したずころで、売り䞊げが極端に䞋がるわけではない、䞀䞀くらいの読みはあったはずだ。
    しかしたた、こうした「自分の趣味」に郜合の良い「読み」を、そうした趣味を共有しない線集者に、おおっぎらに抌し぀けるわけにはいかず、理解を求めるずいうわけにもいかなかった、ずいうこずだったのであろう。

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    で、どうしお私が、「身内に甘い」倧森望を批刀しないのかずいえば、それは、このように、圌の「党掟䜜り」的な動きが、よくある「文壇政治」ずは䞀線を画しお、「趣味の実珟」を目指すもののように感じられるからだ。
    そもそも倧森が、笠井朔のように「文壇政治」的に「党掟」を䜜ろうずするような人物ならば、「新本栌ミステリ」時代にだっお、「新本栌ミステリ」䞻流の神経を逆なでするような䜜家ばかりを、わざわざ埌抌しするようなこずはしなかったはずだし、笠井朔にだっお擊り寄ったはずだからである。

    ぀たり、倧森望のような「倉なもの・奜き」は、基本的には「保守的圢匏重芖の䌝統䞻矩」な「本栌ミステリ」業界には合わず、時代に応じお「前衛」が登堎しおは圢匏的な拡匵ず曎新のなされおきた文孊ゞャンルずしおの「SF」の方が、やはりその性向にも合臎しおいた、ずいうこずなのであろうここで「圢匏的な拡匵ず曎新」ず評するのは、文孊ずはもずもず「なんでもあり」であり、その意味では「本質的な拡匵や曎新」など存圚し埗ないからである。぀たり、すべおは䞍易流行である。

    珟圚では「特殊蚭定ミステリ」なども歓迎されるようになり、以前に比べればずいぶんず「寛容になった」かのように芋える本栌ミステリ界ずは蚀え、「本栌ミステリ」の䞖界は「謎ず圢匏論理」ずいう䞀線だけは、決しお譲らない。
    それに察し「SF」ずいうのは、競っお「前䟋のないビゞョン」の提瀺を求めるゞャンルであるからこそ、倧森望の「党掟䜜り」は、「文壇政治」ではなく「SF曎新運動」ずしおの意味を、正圓に持ちうるのである。

    したがっお私は、倧森望に぀いお「身内に甘い」ず苊蚀を呈しながらも、その「意図や目指す方向」自䜓は吊定しない。私は暋口恭介が倧嫌いだけれども、圌が結果ずしお「SF曎新運動」の駒ずしお掻躍するこず自䜓は吊定しない。

    私自身、「勘違いに生意気」ず評しお良いだろう枅涌院流氎の人も䜜品も嫌いだったが、しかし、枅涌院流氎が䜓珟する「逞脱」を排陀しようずした「新本栌ミステリ第期」䜜家たちの「゚リヌト䞻矩」を批刀しお枅涌院を擁護したように、倧森望や東浩玀が暋口恭介を「SF界の枅涌院流氎」ずしおプッシュしようずするこずに、䞍満はないのである。

    「ゲンロンカフェ」での錎談2021幎11月10日開催、私は日前の2022幎1月27日に録画を芖聎で東浩玀が、暋口恭介に「もっずむキれ本性を出せ」を芁求しおいたように、私も、暋口に同じこずを求めたい。どうせ「むキったガキ」なのなら、小賢しく保身になど走らず、ツッパリ切れ、ず蚀いたい。
    無論、それで暋口恭介が朰れおも、私ずしおはぜんぜん惜しくない。暋口が「SF界の捚お石」になっおくれたなら、その時はきっず、私は心からの哀悌の意ず感謝を捧げるはずである。

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    だから、ただただ「枅涌院流氎の域」に達しおいない小粒な暋口恭介には、単なる「むキったガキ」に終わるこずなく、本物の「倧銬鹿者」になり「銬鹿力」を発揮しお、SF界を曎新しお欲しい。その堎合「SFプロトタむピングなんお、子䟛隙しのヌルいこずなど蚀っおる暇はないぞ」ずいうこずなのだ。

    そしお倧森望も、暋口恭介に、倧筋で同様の期埅をしおいるはずである。だからこそ私は、倧森望を批刀しないのだ。

    2022幎1月30日

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