メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

知念実垌人 『硝子の塔の殺人』  「読者なんお隙しおナンボ」ずいう党胜感

    幎間読曞人

    曞評知念実垌人『硝子の塔の殺人』実業之日本瀟

    知念実垌人の䜜品を読むのは、これが初めおだ。
    なにしろ、この䜜家に぀いお最初に知ったのが、「ネトりペ䜜家」いう属性なのだから、良い印象など持おようはずがない。

    もちろん、ちょっず倉わった名前だから目には぀いおいたが、曞いおいるのは「医孊ミステリヌ」や「恋愛小説」ずいったもののようなので、個人的には興味がなかった。
    私は、海堂尊の『チヌム・バチスタの栄光』に始たる医療ミステリヌの倧ブヌムにもたったく興味のなかった人間だったし、たしおや「恋愛小説」など、䞀床ずしお興味を持ったこずのない人間だから、知念に興味が持おなかったのも、やむを埗ない仕儀だったのである。

    そんな私が、知念実垌人の䜜品に初めお泚目したのは、本曞によっおだ。
    どんな䜜家かはよく知らなかったが、少なくずもこの䜜品は、タむトルからしお明らかに「通もの」ミステリであり、ひさしぶりに、島田荘叞ず綟蟻行人のそろい螏みによる掚薊文も添えられおいたからだ。
    しかも、二人の掚薊文は、こんな具合だ。

    『圓䜜の完成床は、䞀䞖を颚靡したわが「新本栌」時代のクラむマックスであり、フィナヌレを感じさせる。今埌このフィヌルドから、これを超える䜜が珟れるこずはないだろう。 島田荘叞』

    『あヌびっくりした、ずしか蚀いようがない。これは僕の、倚分に特暩的な驚きであっお、そのぶん戞惑いも犁じえないのだが䞀䞀。ずもあれ皆様、怪しい「通」にはご甚心 綟蟻行人』

    曞店で、この垯文を読んだ時、私はこう思った。

    「島田は、盞倉わらずの倧ボラ吹きだな。でも、これは綟蟻ぞの圓お぀けもあるかもしれないな」
    「綟蟻の方は、意倖に耒めおないな。本栌ミステリで、びっくりさせるのは圓然じゃないか」

    そんなわけで、結局この時には本曞を莖わなかったのだが、その埌、知念実垌人が、

    『䞭華民囜台湟籍の日本圚䜏の小説家・日䞭翻蚳者である。母語は䞭囜語であるが、日本語で䜜家掻動を行っおいる。』

    Wikipedia「李琎峰」

    芥川賞䜜家・李琎峰の、安倍晋䞉前銖盞圓時や自民党政府に批刀的なツむヌトに察し、

    『いや、マゞなんで倖囜籍の䜜家さんがここたで露骚に政治掻動しおいるのか、私には意味がわからない。

    この方の芥川受賞匏の発蚀やツむヌトからは、安倍前銖盞や自民党に察するヘむトが连りすぎおいお怖い。』

    画像

    ずいう、その「文䜓」からしお、いかにも「ネトりペ」的で恥ずかしい「囜籍差別ツむヌト」をしお、それを倚方面から批刀され、李琎峰に謝眪するこずになる謝眪金を払ったかどうかは䞍明。

    このツむヌトからわかるのは、知念実垌人が『安倍前銖盞や自民党』のシンパあり、その批刀者に察しおは、ネット䞊で、このような「ヘむトツむヌト」を、これたでもしおきたであろう今回が初めおではなかろう人物だ、ずいうこずだ。

    もちろん、1978幎生たれの知念は、このツむヌトをした際、すでに40歳を過ぎおいたのだから、圌の䜜家デビュヌ以前の「ネット掻動」は、間違いなく「別名矩匿名」であったのだろう。
    したがっお、私が過去に絡んできた数千人の「ネトりペ」の䞭に、知念が玛れおいおも、なんら䞍思議ではない。たただからこそ、この知念による「ヘむトツむヌト」事件を知っおからは、知念実垌人は、私のずっお「特別な䜜家小説家」になったのである。

    だが、気持ち的には「こんな奎に、たずもな小説なんか曞けるわけがない」ず思うものの、ずは蚀え「本栌ミステリの堎合は、ナニヌクな発想力ず䞀定の圢匏論理的思考胜力さえあれば、少々文章が䞋手でもかたわないし、小説文孊には珍しく、䜜家の人間性が問われないゞャンル」でもあるので、もしかするず知念実垌人でも、それなりの「本栌ミステリなら曞けるかもしれない」ず、そう考えた。
    「性栌が悪いから、本栌ミステリが曞けない」などずは決しお蚀えないのが、「トリックずロゞックの本栌ミステリ」ずいう、特殊な小説ゞャンルなのだ。

    そんなわけで、恋愛小説たで読もうずは思わないが私の守備範囲内であり、䞖評も䞊々らしい本䜜『硝子の塔の殺人』を、読むこずにした。䞀䞀それが、刊行埌幎の今頃になったのは、読むのは「叀本で安く手に入れば」ずいう条件を぀けおいたためだった悪しからず。

     ○ ○ ○

    画像

    さお、結論から蚀えば、本䜜は「期埅以䞊の出来」で、なかなかよく曞けおいた。読んで損はない䜜品である。
    だが、島田荘叞の「掚薊文」は、予想どおりに「い぀もの倧ボラ」であった。

    本䜜は、その幎の「本屋倧賞」の候補になったりしお、かなり評刀は高かったが、結果ずしおは「本屋倧賞」で䜍、ミステリベストランキングの老舗である『このミステリヌがすごい』では「囜内䜜品」で䜍ず、意倖に振るわなかった。

    近幎、ミステリから遠ざかっおSFを読んでいる私ずしおは、ランキング的に蚀えば、囜内䜍かせいぜい䜍くらいたでしか読む気はないから、本来なら本䜜『硝子の塔の殺人』を読むこずもなかったのだが、それでも読んだのは、知念実垌人が、私の倧嫌いな「ネトりペ」系の䜜家だったからにほかならない。

    しかし、実際に読んでみるず、『このミス』で囜内䜍ずいうのは、かなり厳しい評䟡で、知念実垌人個人が嫌いな私ですら「他の䜜品を読んでいないから比范はできないが、䜍くらいになっおも、おかしくない䜜品なのではないか」ずいう評䟡だったのだ。

    たた、これを裏返しお蚀えば、「幎間ベストの䜍」皋床の䜜品を、

    『圓䜜の完成床は、䞀䞖を颚靡したわが「新本栌」時代のクラむマックスであり、フィナヌレを感じさせる。今埌このフィヌルドから、これを超える䜜が珟れるこずはないだろう。』

    などず評するのは、「さすがは島田荘叞」ずいったずころだったのである。

    画像

    若い人は知らないだろうが、か぀お島田荘叞は、綟蟻行人以䞋の若手䜜家のデビュヌを埌抌しするために次々ず「掚薊文」を寄せた際に、その評䟡が、いかにも過倧で、賌買者に察しお無責任である過倧広告であるずいう、倚くの批刀を济びた。

    これは、綟蟻行人以䞋の新人䜜家たちが、ほずんど二十歳過ぎの若者であり、ミステリ的なアむデアず情熱は評䟡できるものの、文曞は拙く、いわゆる「人間が描けおいない」ずいう点においお、「プロの小説家」のレベル達しおいなかったずいう事実からすれば、いくら文章の良し悪しなどわからない若い読者私も含めおの支持があったずしおも、やはり甘受すべき批刀であったず蚀えよう。

    しかも、こうした批刀は、島田自身、自芚のあるずころでもあった。だから島田は、こうした批刀に察しお「新人のデビュヌ䜜の掚薊文に、ただただ拙い䜜品だずでも曞けずいうのか」ずいった趣旚の反論を返した。
    ぀たり、島田ずしおは、自分が奜きな「本栌ミステリをゞャンルずしお盛り䞊げるためには、少々、小説ずしおは未熟でも、本栌ミステリに察する熱意を持぀若手の熱い血を入れたい」ず思っお掚薊圹を買っお出たのであろうし、「そのためには、少々の過倧広告も、ハッタリも蚱される」ず考えたのである。

    しかしたた、島田のこの反論を読たされた、綟蟻行人らが気分を害したのは蚀うたでもない。
    島田のこうした反論は、島田による掚薊文は「なかば仲人口半分嘘」であったこずを認めるものだったからで、たずえそれが事実だったずしおも、それを認めおしたうのは「あえお぀いた嘘」に぀いおの責任攟棄であり、綟蟻らが「掚薊文をもらった者の立堎がないじゃないか」ず考えたのは、至極もっずもなこずであった。
    芁は、島田は、自身の「仲人口」を正圓化するために「たしかに、圌らは矎人じゃないよ。でも、仲人の私が、圌らはブスですず蚀えるわけがないだろう」ず反論したようなもので、こうしたこずもあっお、以降、島田荘叞ず新本栌ミステリ䜜家の間には、䞀般読者には芋えにくいものの、「埮劙な溝」ができたのである。

    実際、島田荘叞の発蚀には、しばしばこの皮の「ハッタリ臭さ」が錻に぀く。ずにかく、物蚀いが倧袈裟なのだ。
    それは、この掚薊文の『䞀䞖を颚靡したわが「新本栌」時代のクラむマックスであり、フィナヌレを感じさせる。今埌このフィヌルドから、これを超える䜜が珟れるこずはないだろう。』ずいった、極めお無責任な蚀い草もそうだし、䞀時期、島田がのめり蟌んだ「冀眪容疑事件ものノンフィクション」である『秋奜英明事件』『䞉浊和矩事件』などにおいおもそうだった。

    画像

    ミステリファンや新本栌䜜家たちからすれば「たた、島田さんが、䜕か始めた」ずいう感じであり、ミステリ関係者以倖にはほずんど読たれない本だったずは蚀え、島田の「ノンフィクション」は、事実関係の蚘述に信憑性が薄く、「関ミス連」に島田荘叞が来た時に、私は、サむン䌚でサむンをもらうかたわら、盎接「ずころで、『秋奜事件』の描写に぀いお疑問がありたす」云々ず、客芳的には知り埗ない堎面の情報を、島田が「再珟」描写しおいる点に぀いお、「アンフェア」ではないかず远求した。
    もちろん、せいぜい、分ほどしか時間がなく、私の説明だけで粟䞀杯で、島田は「それは、そういうこずではないですね」皋床の䞀蚀で、次の人に垭を譲らなければならなかったが、芁は、過去にはそんなこずもあったし、新しいずころでは、2021幎アメリカでの、トランプ支持者による「連邊議䌚襲撃事件」に぀いお、たしか、半分はアメリカ圚䜏だった島田はこれを支持するツむヌトをしお、綟蟻や笠井朔に批刀されるずいったこずもあったず、これはそういう話なのだ。
    島田荘叞の物蚀いには、しばしば「倧声での逆匵り、反倚数掟アピヌル異邊の階士・気取り」が、錻に぀く郚分があったのである。

    画像

    そんなわけで、私にすれば、本曞『硝子の塔の殺人』ぞの島田荘叞による掚薊文は「たたか、懲りない人だな」ずいう感じしかなかったのだが、その点、綟蟻行人の「掚薊文」は、非垞にうたく逃げおいたず蚀えるだろう。
    ずいうのも、本䜜は、そのタむトルや蚭定からも分かるずおり、明らかに綟蟻行人の「通シリヌズ」を意識した䜜品であり、䜜䞭では、島田荘叞ぞの蚀及以䞊に、綟蟻行人やその「通シリヌズ」に察する蚀及がなされ、この小説が「通シリヌズ」ぞの「オマヌゞュ䜜品」であるこずは、傍目にも明らかなものであったから、綟蟻行人が、

    『あヌびっくりした、ずしか蚀いようがない。これは僕の、倚分に特暩的な驚きであっお、そのぶん戞惑いも犁じえないのだが䞀䞀。ずもあれ皆様、怪しい「通」にはご甚心』

    ずいう「感想」を挏らすのに、たったく嘘はない、ず蚀えるものだったのだ。

    ぀たり、綟蟻が「びっくりした」のは、本䜜の「ミステリずしおの仕掛け」のこずではなく、ここたで自分や「通シリヌズ」がラむトモチヌフずしお扱われおいるずいう事実に察しお驚いたのだず、そういうこずであり、だからこそ『特暩的な驚き』だった、ずいうわけである。

    しかし、無論これは、綟蟻行人䞀流の「叙述トリック」だずいうのを、芋萜ずしおはならない。
    明らかに綟蟻は、垯文を読んだ人が、この掚薊文が本䜜の「ミステリずしおの仕掛け」を耒めたものだず「誀解」するこずを狙っお、こう曞いおいるからである。

    したがっお、この぀の掚薊文は、どちらも「読み手に䞍誠実」なものだずは蚀えるだろう。
    島田の方は島田らしく、真正面からハッタリをかたす態のものであり、綟蟻の方は綟蟻らしく「嘘は぀いおいないが、読者を欺く」文章だったからである。

    そしお、いずれにしろ、この二人の曞くものが「信甚ならない」ずいうのは、「新本栌の生みの芪」の䞀人で、講談瀟の線集者であった故・宇山秀雄宇山日出臣氏の远悌本である『新本栌ミステリはどのようにしお生たれおきたのか 線集者宇山日出臣远悌文集』倪田克史線・星海瀟に぀いおの、䞋のレビュヌにも詳述したずおりだから、ここでは繰り返さないでおく。

    そんなわけで、私からするず「信甚ならない、二人の倧埡所ミステリ䜜家」による掚薊文で食られた、「ネトりペ」䜜家の手になる本曞は、どうしたっお「気になる本」で、知念実垌人を「ネトりペ」䜜家だず嫌うにしおも、その「小説家ずしおの偎面」も知っおおくべきだずそう考えお、読んでみるこずにした。
    前述のずおりで、本䜜は「本栌ミステリ」ずしおは、予想以䞊に「よく曞けた䜜品」であったし、知念実垌人も「なるほど、人気の出るだけはある、曞ける゚ンタメ䜜家だ」ずいうのがよくわかった、ずいう次第である。

    そしお曎に蚀えば、知念実垌人が満を䟍しお攟った「本栌ミステリ」である本䜜が、どうしお綟蟻行人の「通シリヌズ」を匷く意識した䜜品なのかも、本䜜を読んで深く玍埗できた。
    そこに秘められおいたのは、単なる「ファンずしおのオマヌゞュ」などでは、なかったのである。

     ○ ○ ○

    【 ※ 以降、『硝子の通の殺人』の仕掛けに関しお、䞀郚ネタを割りたすので、未読の方はご泚意ください】

    さお、本䜜『硝子の塔の殺人』は、「硝子の塔の通」ずいう怪しい「通」を舞台にした本栌ミステリずいう「圢匏」においお、ひずたず「通ミステリ」だず蚀えるだろう。
    だが、これは、いわゆる「レッドぞリング」である。぀たり『重芁な事柄から受け手聎き手、読み手、芳客の泚意を逞らそうずする修蟞䞊、文孊䞊の技法』だずいうこずだ。

    では、䜜者・知念実垌人は、読者の目をどこから逞らそうずしたのか。それは、本䜜の本質が、䞀皮の「叙述トリック」性にある、ずいう点からであった。

    本䜜には、䞉぀の密宀殺人が描かれるが、本䜜の「売り」は、そこにはない。
    この䞉぀の「密宀トリック」は「悪くはないけど、特に良くもない」ずいう皋床の出来であっお、本䜜が、これだけの䜜品であったなら、単なる「駄䜜」で終わっただろう。

    画像

    だが、本䜜は、䜜䞭でしきりに「メタ・ミステリ」ずいった蚀葉や「私たちは、本栌ミステリ小説の䞭の登堎人物かもしれない」ずいったセリフが出おくるずおりで、じ぀は「入れ子構造」になった「メタ・ミステリ」なのだ。

    ず蚀っおも、圌らは本䜜䞭においお「虚構の存圚」ずしお描かれるわけではない぀たり、ポストモダンな実隓小説的なものではない。圌らはあくたでも、本䜜『硝子の塔の殺人』においおは「䜜䞭における、実存圚」ずしお描かれおいる。

    ただし、本䜜が「メタ・ミステリ」だずいうのは、前半郚分で描かれた「クロヌズド・サヌクル」における「䞉぀の密宀殺人事件」が、じ぀は、ある䜜䞭人物が仕掛けた「フィクションお芝居」であったこずが明かされ、その「お芝居」が、途䞭から「䜜䞭の本圓の殺人犯」によっお「乗っ取られた」ずいう、䜜䞭での二重構造になっおいたこずを、指しおいる。

    だから、読者は、その真盞を知らされるこずによっお、圓初の「䞉぀の密宀殺人」の方は「本呜の事件」ではなく「前座の事件」だったこずに気づかされ、その結果「前座の事件だったのなら、あの皋床であったのも仕方がないし、完璧な犯眪を目論む真の犯人が、お芝居を乗っ取ろうず考えたのにも玍埗がいく」ずいうこずにもなるわけだ。

    ぀たり、「䞉぀の密宀殺人」ずいう「前座の事件ずその謎解き」がむマむチであったずしおも、「本呜の事件ずその謎解き」がより良くできおいれば、「前座の事件ずその謎解き」が「䞍完党なものであっおも、それも䜜者の蚈算づくのものずしお、完党な意味を成す」ずいうこずになる。

    だが、問題は、この「䜜䞭でのメタレベルの犯眪ずその謎解き」぀たり「本呜の犯眪ずその謎解き」が、「前座の事件ずその謎解き」よりも「完成床が高い」かず蚀えば、じ぀はそうではない。
    実際のずころ、その完成床に倧差はないのだが、しかし「前の説を吊定しお出された、埌の説の方が、䞀般に説埗力を持぀」ずいう「倚重掚理もの」に芋られる「錯芚」がここでも働くため、読者は䜕ずなく「本呜の事件ず謎解き」の方が「すごい」ず感じおしたうし、たたそのように「挔出」されおもいる。぀たり、䜜䞭人物が本呜の真盞を聞かされお「驚愕」し、䜕ずおそるべき犯眪だず倧げさに口でも語っおみせるから、読者の方も぀い、それに釣られお「そんな気分」になっおしたうのだ。

    しかし、それでも本䜜が、「前座の事件ずその謎解き」を吊定する「本呜の事件ずその謎解き」で終わっおいるような䜜品であれば、読んでいる最䞭は、その䜜䞭描写に圧倒されおも、読了埌の冷めた頭で考えるず「䜕だか、ずいぶんず匷匕な䜜品だったな」ず気づかされるこずにもなり、評䟡も、盞応に䞋がっおしたう。

    これは「倚重解決ミステリ」が、探偵圹を䜕人も登堎させ、埌の探偵が、前の探偵の掚理を吊定しお、新たな掚理を開陳する、ずいうパタヌンを重ねた堎合、読んでいる時はそれなりに面癜くおも、読み終わった埌には、䞀抹の「虚しさ」のようなものを感じさせるのず、同じようなこずである。結局のずころ、どの掚理も「倧差がない」ずいうこずに、読者は気づかされるからだ。

    しかし、本䜜『硝子の塔の殺人』の堎合は、「前座の事件ずその謎解き」を吊定する「本呜の事件ずその謎解き」で終わらせるわけでもなければ、そのあず無駄に「倚重掚理」を重ねるこずもしなかった。では、䜕をしたのか

    䞀䞀最埌は「メロドラマ」に逃げたのである。

    ぀たり、䜜者・知念実垌人は「倚重解決ミステリ」の匱点を螏たえお䞊で、同じ蜍を螏たないようにず、「論理ではなく情緒」で本䜜をたずめたのだ。だから、普通に読んでいれば、本䜜には、ハッキリずした圢匏的砎綻はなく、うたくドラマティックにたずたっおいる、ずいう印象を受ける。
    しかし、これは「ミステリマニア」に蚀わせれば、所詮は「ごたかし」でしかないずいうこずにもなるから、『このミステリヌがすごい』の方では「意倖に順䜍が䜎い」ずいう結果になったのではないだろうか。

    しかしたた、䜜者である知念実垌人ずしおは、たぶん、この「たずめ方」がベストだったのではないかず思う。
    なぜなら、「倚重解決ミステリ」の倱敗パタヌンに陥らず、読者を気持ちよく玍埗させるラストが぀けられたのだから、そのどこが悪い、ずいうこずになるからだ。

    他の本栌ミステリ䜜家ずは違っお、知念には「恋愛小説」䜜家ずしおのテクニックがあった。芁は「ドラマチックに盛り䞊げお、読者を酔わせる」テクニックを持っおいたので、「前座の事件ずその謎解き」を吊定する「本呜の事件ずその謎解き」ずいう「前蚀吊定」だけでは誀魔化しきれない逃げきれない「䜜䞭のトリックの匱さ」を、最終的には「ロマンチックな情緒に蚎えるレトリック」によっお、読者を煙に巻くこずにより「逃げ切った」ずいうこずである。
    ぀たり、本䜜における「異様なたでにドラマティックなラスト」は、「読者に向けお仕掛けられた、䞀皮の叙述トリック」だったのだ。

    画像
    知念実垌人の「涙する」小説玹介

    䞀䞀だが、この「叙述トリック」は、ミステリのそれずしおは、「アンフェア」だず蚀わざるを埗ない。
    なぜなら、本䜜はラストで読者を欺いた目を逞らしたこずに぀いお、「皮明かし」をしないたた、だからである。

    本栌ミステリにおける「叙述トリック」は、あくたでも最埌は、読者に察しお「このようにしお隙したしたよ」ずいう「タネ明かし」がなされる。
    だからこそ、読者の方も「ああ、隙されちゃった」ず、むしろ喜ぶこずさえできるのだが、隙したたたで終わるのでは、それは「本栌ミステリ」ずしお完結しおおらず、その意味でその隙しは、所詮「䜜品を、実際以䞊に良く芋せるため」の欺瞞テクニックでしかなくなっおしたう。
    そこにミステリずしおの「フェアな知的ゲヌム性」はなく、そこにあるのは、ごく圓たり前の「消費者に察するペテン」でしかないのだ。

    無論、「恋愛小説」の読者の堎合は、䜜家が「こんなパタヌン化されたお話で感動するような読者は、バカだ」ず陰で嘲笑っおいようず、ずにかく自分が感動できればそれで良し、ずする読者も少なくはないのだろう。だが、本栌ミステリの堎合は、そうではない。

    本栌ミステリが「隙そうずする䜜者ず隙されたいずする読者の知的ゲヌム」だずは蚀っおも、最埌は「䜜者が、フェアにタネを明かす」こずによっお、その勝敗が、双方に明らかずなるからこそ、そこに「フェアな知的ゲヌム」が気持ちよく成立するこずにもなる。぀たり、ミステリ䜜家は、ただ単に「読者を隙せば良い」ずいうものではないのだ。

    ずころが、本䜜『硝子ず塔の殺人』は、そういう「本栌ミステリにおけるフェアプレむ粟神」を欠いお「読者を欺く」だけの「叙述トリック」が、ラストにおいお、意識的に仕掛けられおいた。
    その「叙述トリック」は、本䜜の「本栌ミステリずしおの匱点」から、読者の目を逞らすための「催眠効果的な぀たり、アンフェアな叙述トリック」であり、だからこそ、䜜者は、最埌たで、この物語の結末が、むやみに「ロマンティック」なものにしたこずの「意図」を、読者に打ち明けるこずはなかったのだ。

    したがっお、本䜜『硝子の塔の殺人』の実際の構成ずは、「匱い䜜䞭トリック」を誀魔化すために、「前蚀吊定」のテクニックにより物語を二転䞉転させるこずで、埌のものほど「すごい」ずいう、いわば「心理のむンフレヌション」を起こさせ、それを重ねるこずで読者を翻匄した挙句、最埌は、その「本栌ミステリずしおは、萜ずし所のない限界」を「恋愛小説」の方ぞズラすこずで、無かったこずにしおしたった、ずいうものだったのである。

     ○ ○ ○

    で、こうした、「読者ずの知的フェアプレむ」ではなく「読者をコントロヌルする」こずの方に重きを眮く䜜品が、昚今、増えおきたように、私には感じられる。
    そしおそれは、綟蟻行人の「通シリヌズ」に代衚される「叙述トリック」ミステリの流行ずも、決しお無瞁ではないはずだ。

    衆知の通り、「䜜䞭の犯人が、䜜䞭の人物に察しお仕掛けるトリック」ずは違い、「䜜者が、読者に仕掛ける類いの叙述トリック」は、圓初から「アンフェアではないか」ずの議論を惹起した。
    その意味するずころは、「䜜者が、読者に仕掛ける類いの叙述トリック」の堎合、「問題線の䞭で、すべおが完結しおはおらず、むしろ、䜜品の倖の読者ずの間にトリックが仕掛けられる」ものだから「問題線ずしおの完結性がないすべおが語られおいない肝心なずころが隠されおいるフェアではない」ずいうふうに考えられたのだ。

    しかし、こうした議論は「本栌ミステリ」における「フェアな知的ゲヌム」性を重芖すればこそであっお、読者の倧半が「どんでん返しでビックリしたいだけ」ずいうこずになれば、フェアもアンフェアもなくなっおしたう。

    「フェアでも、地味なロゞックの重ねられるような本栌ミステリ」は、今どきの「ファスト読曞」の時代には芋向きもされず、少々むンチキ臭くおも、ずにかく「あっず蚀わせおくれれば、それで満足」ずいう「安盎」な話になっおしたう䟋えば、ゞェヌムズ・ワン監督のホラヌミステリヌ『゜り』みたいなものになる。十分な䌏線を匵らずに、ただどんでん返しを繰り返しお、驚かすのだ。

    画像

    そしおその結果、ミステリ䜜家の方も、地味にフェアな公正察等な論理ゲヌムではなく、読者の心理を䞊からコントロヌルする「叙述トリック」を重芖するようになり、芁は「隙したもん勝ち」ずいうような傟向を垯びるこずになる。

    䟋えば、近幎の「叙述トリック」もので、「歎史的傑䜜」ずさえ評される、盞沢沙呌の『mediumメディりム 霊媒探偵 城塚翡翠』は、最埌に「皮明かし」がなされるからこそ「本栌ミステリ」の傑䜜ず評䟡されるわけなのだが、私が芋たずころ、同じテクニックで曞かれた、同䜜者による青春恋愛小説『小説の神様』は、䜜者が読者に仕掛けた「叙述トリック」が「小説技巧」ずしお䌏せられおいるから、読者は、自分が䜜者の「手玉に取られおいる」こずを意識しないたた、䜜者によっお「感動させられる」こずになっおいる。

    無論これは、「本栌ミステリ」ず「恋愛小説」ずいう「読者の期埅するずころが、真逆に等しい別ゞャンル」における「違い」に立脚する「手法の違い」だから、この堎合には、責められるべき点は䜕もない。

    ただ、こうした「読者を感動させさえすれば、それでよし」ずいう認識は、䜜家に「思い違い」をさせる恐れが、倚分にある。

    ぀たり、読者の䜜品に察する「知的な期埅氎準」が䞋がるず、䜜家が「読者を、察等な䞀人の人間ずしお扱い、それに向き合っお、誠実な䜜品を曞く」などずいうのは「玔文孊的にナむヌブな䜜家意識」でしかなくなり、もはや「読者は、そんな誠実さなど求めおおらず、ただ、嘘でもいいから酔わせお欲しいず願っおいるのだから、手段を遞ばず、酔わせおやるのがプロの仕事だ」ずいった、「氎商売の玄人」的な発想になっおしたいがちなのだ。
    ぀たり「チビ・デブ・ハゲの臭いオダゞ頭の悪い読者」でも、お金さえ払っおくれれば「だあヌい奜き」ず、心にもない蚀葉で煜お䞊げお「酔わせおくれる」が、それでその客が「勘違い」をしお、身を持ち厩そうず「そんなこずは、こちらには関係ない」ずいった「プロ意識」が、新自由䞻矩的な「ファスト読曞」の時代には、䜜家の偎にも醞成されがちなのではないか、ずいうこずだ。

    たた、こういう「プロ意識」を持っおいる者は、「力関係」に敏感だ。
    芁は、自分のプラスになる盞手ならば、歯の浮くようなお䞖蟞远埓を䞊べ立お、そうでない者には錻も匕っ掛けず、たしおや自分より匱い立堎の者には、平気で「先生ヅラ」する、ずいったこずになりやすい。

    䟋えば、先日、テレビドラマ化された代衚䜜『mediumメディりム 霊媒探偵 城塚翡翠』に関しお、原䜜者の盞沢沙呌が、テレビスタッフ偎ず揉めたようなのだが、芁は、テレビ甚の台本が気に入らなかったずいうようなこずらしい。

    ・枅原果耶『城塚翡翠』タむトル倉曎だけじゃない 人気䜜のドラマ化で匕き起こされた「原䜜者トラブル」
     SmartFLASH / 2022幎11月22日 18時20分
    https://news.infoseek.co.jp/article/smartflash_967734058457464832/?tpgnr=entertainment

    『※ 2022幎11月20日付「週刊女性PRIME」の蚘事によれば、もずもず脚本を担圓しおいたのは『グランメゟン東京』『マむファミリヌ』ずもにTBS系などを手がけた、黒岩勉氏だったずいう。

    「ずころが、原䜜者で人気ミステリヌ䜜家の盞沢沙呌氏が脚本に口出ししたこずで、黒岩氏は降板。新たな脚本家を立おおもそれは倉わらず、日テレ偎が芁求に難色を瀺すず、『だったら原䜜暩を匕き揚げる』ずいうこずもあったそうです。実際、盞沢氏のSNSでは、4話は自ら脚本を䞞々、曞いたこずが぀づられおいたす。

    黒岩氏ずいえば、これたで朚村拓哉や『キングダム』原䜜者の原泰久氏、『ワンピヌス』原䜜者の尟田栄䞀郎氏ずいった、脚本にも䞀家蚀ありそうな俳優、䜜者ずも仕事をしおきおおり、その圌が降板したのは、よほどのこずがあったのでしょう」芞胜ラむタヌ』

    䞀䞀これをどう評䟡するかは、人それぞれだろう。
    ぀たり「倧切な自分の䜜品を守ろうずしたから、立掟だ」ずも蚀えるし「テレビドラマになれば、おのずずメディアも違うし集団創䜜物なのだから、個人創䜜物でしかない小説の原䜜者が、いったん䜜品を預けたからには、やたらに口出しはすべきではない」ずいう考え方もあろう、ずいうこずだ。
    実際、綟蟻行人も、ただ䞖間的には知名床が䜎かった頃、初のハヌドカバヌ本ずなった『霧越邞殺人事件』がテレビドラマ化されたのは良かったが、出来あがっおみれば「通」が「旅通」になっおいおガックリ、「二床ず映像化はしない」ずいう趣旚のこずを曞いおいたずいう蚘憶がある。

    画像

    だが、その頃の綟蟻は、ただ原䜜者ずしおテレビスタッフにもの申せる立堎倧先生ではなかったから我慢もしたが、果たしお今だったらどうだろうか
    今でも「任せたからには、口出ししない」ずいうのなら立掟だが、立堎が倉わったから偉くなったから、蚀いたいこずは蚀わせおもらう、ずいう態床に倉わっおいたずしたら、それは、あたり耒められたものではないのではないだろうか。
    䞀䞀そしお、これは、今回の盞沢沙呌ずお、同じなのだ。圌が「流行䜜家」でなかったら、果たしお、ここたで「䞊から物が蚀えたのか」ずいうこずである。

    で、私が、ここで論じたいのは、「叙述トリック」を埗意ずする䜜家は、「自分は、筆ひず぀で、読者の思考や感情を思いどおりにコントロヌルできる」ずいう「誀った党胜感」を抱いおしたう怖れがあるのではないか、他人を睥睚するような錯芚を抱きがちになるのではないか、ずいうようなこずだ。
    䟋えば、宮厎駿監督䜜品『倩空のラピュタ』における、悪圹ムスカの「人がゎミのようだ」ずいう有名なセリフに象城される、人ずしおの「思い䞊がり」である。

    画像

    で、ここで、話を戻すず、盞沢沙呌の『mediumメディりム 霊媒探偵 城塚翡翠』の堎合は、最埌に「タネ明かし」がなされるからこそ、䜕の問題もなく「本栌ミステリ」の傑䜜ず評䟡されるし、『小説の神様』の方は「恋愛小説」だからこそ、読者をコントロヌルしたたたでも問題はなかった。読者は、単に「隙されたい人々」だったからである。

    ずころが、知念実垌人による本䜜『硝子の塔の殺人』の堎合、「本栌ミステリ」ずしお提出されながら、最埌の最埌は「情緒で誀魔化す」ずいう「叙述トリック」に逃げお、その「皮明かし」をしないたただったために、「本栌ミステリ」マニアからすれば「本栌ミステリ」ずしおは「ずるい䜜品」になっおしたったのだず思う。䞀䞀しかし、問題は、そこにはない。

    『硝子の塔の殺人』の、真の問題は、䜜者である知念実垌人は、「読者をうたく隙せさえすれば、フェアである必芁などない」ずいう、「恋愛小説」などで培われた「䞊玚意識」を、そのたた「本栌ミステリ」である『硝子の塔の殺人』にも持ち蟌たれおしたっおいる点である。
    ぀たり、知念実垌人は、本質的な郚分で「アンフェアでも構わないりケたもん勝ち結果オヌラむ」ずいう誀った認識を、内面化しおしたっおいるのではないか、ずいうこずだ。

    だから、最初に玹介した「李琎峰に察する差別ツむヌト」の問題の埌に、知念実垌人は、次のようなニュヌスのネタにもなっおいる。

    ・䜜家で医垫の知念実垌人氏に誹謗䞭傷続く「党おの開瀺が認められたした」䞭傷控えるよう呌びかけ
    「日刊スポヌツ、2022幎9月22日」
    https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202209220001575.html

    『「倩久鷹倮の掚理カルテ」などで知られる、䜜家で医垫の知念実垌人氏43が22日、ツむッタヌを曎新。SNS䞊で誹謗䞭傷を繰り返しおいたアカりントに察する開瀺請求の進捗状況を報告した。

    知念氏は「昚日、東京地方裁刀所においお、私に察しお誹謗䞭傷をくり返しおいた14アカりントの開瀺請求に぀いおの刀決が䞋され、14アカりント党おのIPアドレス及び電話番号等の開瀺が認められたしたこずをご報告いたしたす。今埌はその情報を元に䞭傷者の氏名・䜏所の開瀺請求を進めおたいりたす」ずツむヌト。「珟圚たで17アカりントの開瀺請求を行い、党おのアカりントに察しお請求が認められおおりたす。たた、䞊行しおプロバむダ等ぞの開瀺請求や、和解亀枉も行われおおりたす」ず進捗状況を報告し、「䜕卒、医療埓事者に察する誹謗䞭傷はお控え䞋さるよう、重ねおお願い申し䞊げたす」ず呌びかけた。

    知念氏は新型コロナりむルスの”反ワクチン掟”から誹謗䞭傷を受けおおり、8月31日のツむヌトでは「海倖では反ワクチン掟から繰り返し誹謗䞭傷を受けた女性医垫が、自ら呜を断っおいたす。私に誹謗䞭傷を続けおいる人々の倚くは、他の医垫にも同様の行為をしおいたす。泣き寝入りするこずなく、培底的に察凊いたしたす。それを理解した䞊で続けるか刀断しお䞋さい」ず譊告しおいた。

    たた、9月8日のツむヌトでは「珟圚、誹謗䞭傷をくり返しおいる20前埌のアカりントに察し、匁護士を通しお開瀺請求蚎蚟・和解亀枉を行っおおりたすが、金銭目的ず思われるのは遺憟ですので、慰謝料・和解金のうち匁護士費甚等の必芁経費を匕いた党額を、『囜境なき医垫団』に寄付いたしたす」ず宣蚀した。』

    芁は、知念実垌人が、䞻ずしお『反ワクチン』掟による、「誹謗䞭傷」や「匿名の批刀」にさらされ、我慢がならなかったので、「匿名アカりントの情報開瀺」を申し立おお、これに成功し、「黙らせた」ずいうこずだろう。

    この蚘事には、『誹謗䞭傷』ずやらの䞭身を、知念のした説明のたた、たるで「反ワクチン掟の嫌がらせ」のみであったかのよう曞いおいるが、知念ぞの「誹謗䞭傷」や「匿名の批刀」に、それ以倖の理由によるものは、果たしお存圚しなかったのだろうか。

    だが、知念実垌人による「李琎峰に察する差別ツむヌト」の問題を知っおいる者には、こうした『誹謗䞭傷』の䞭には、無論「李琎峰に察する差別ツむヌト」問題に぀いお、蚀わば「矩憀」を感じお、頌たれもしないのに、「ネトりペ」知念を攻撃した者もいたであろうこずは、想像に難くないし、その気持ちはわからないではない。

    だが、仮に、圌らの「批刀の内容」が正しかったずしおも、それを「匿名」で繰り返したりすれすれば、発蚀責任を取る぀もりがないずいう䞀点においお、やっおいるこずは「ネトりペ」ず、䜕も倉わらないずいうこずになっおしたう。いくら、ご立掟な意芋だずしおも、「匿名だから蚀える」ずいうだけの「蚀いたい攟題」には、ほずんど積極的な䟡倀がないずいうのは明癜だ䟋倖ずしおは、完党に非察称な関係にある、察囜家暩力者批刀だずか、䌁業などでの内郚告発などがある。

    しかしたた、そういう「匿名ずいう特暩」に胡座をかいおの発蚀だからこそ、「アカりントの情報開瀺」を求められたりするず、「ネトりペ」ず同様に、途端にシュンずなっおしたう。
    同様に、知念が李琎峰に謝眪せざるを埗なかったのも、圌が逃げ隠れのできる「匿名」ではなかった、からであろうずいうのは、容易に掚察できるずころでもあろう。

    そしお、このあたりのこずは、自身「ネトりペ」的な蚀蟞を匄しおいた知念実垌人には、我が事のようによくわかったはずで、だからこそ知念は「医垫家系代目の財力」に物を蚀わせお、わざわざ裁刀沙汰にしたのであろうし、できたのでもあろう。
    「おたえらが、䜕をされたら嫌かなんお、ぜんぶお芋通しだよ。こっちは、裁刀する金くらいあるし、お前らを芋せしめにする぀もりでやっおいるのだから、金目圓おでやっおいるわけではないが、せいぜい慰謝料・和解金をずっお、思い知らせおやる」ず、倧筋そういうこずなのではなかろうか。

    だが、「匿名」で攻撃した方にも問題はあるが、自分が李琎峰に察しおやったこずを棚に䞊げお無かったかのごずく、「反ワクチン掟ぞの反撃」ずか「他の医垫のためにも」ずいう綺麗事だけを口実にしお、「自身ぞの批刀」を封じようずする、知念の「裏衚のある」やり方にも問題はあろう。
    「反ワクチン掟」ずは、おおむね「巊寄り」であり、政治的立堎ずしおは、知念の「ネトりペ的な囜籍差別」に反発した人たちに近いこずは明らかで、だから、それらをひずたずめにしお黙らせようずした、ずいうそんな「底意」が、たったく無かったず、知念実垌人は、良心に賭けおでも、そう蚀えるのだろうか。

    ぀たり、ここでの知念実垌人の䞍自然に「ご立掟な」蚀い草も、䞀皮の「叙述トリック」なら、李琎峰ぞの「謝眪」ずやらも、はたしお「心からの謝眪」だったのか、それずも今回ず同様、その財力に物を蚀わせおの「気持ち」でしかなかったのではないか、ずいう「疑念」を、私は払拭できないのだ。

    「心にもない謝眪」ずいうのも、「人間的な誠実さ」を欠いた、肥倧した「他者コントロヌル欲望」によっおのみ、容易になされるうるものであろう。
    芁は、「玍埗させたもん勝ち」であり、「誠意なんお、誰にもわからない」ずいう、床し難い「傲慢」だ。

    無論、知念実垌人が、李琎峰に察しお、どのような「謝眪」をしたのか、それは「心からの謝眪」であったのかなど、「内心の問題」だから、その真盞は誰にもわからない。

    だが、『硝子の塔の殺人』のラストを芋るかぎりにおいおは、知念実垌人が「隙しきったもん勝ち」ずいう「ムスカ的思想」を持っおいる蓋然性は、決しお䜎くないずは蚀えよう。
    知念が「私も昔は、匿名で色々やりたしたから、人のこずは責められたせん。でも、やっぱり匿名での誹謗䞭傷は良くないですよ」ず、自ら打ち明けるような人だったら、私もこう勘ぐったりはしないのだが、なにしろ四十を過ぎお、

    『いや、マゞなんで倖囜籍の䜜家さんがここたで露骚に政治掻動しおいるのか、私には意味がわからない。この方の芥川受賞匏の発蚀やツむヌトからは、安倍前銖盞や自民党に察するヘむトが连りすぎおいお怖い。』

    なんおこずを曞くような人間が、ネットでバッシングに晒されたからずいっお、途端に反省しお「性栌が倉わる」などずいうこずはあり埗ないず、そう思うからである。

    たあ、それにしおも、特殊詐欺の銖謀者などがむンタビュヌされお「隙す方も悪いけど、隙される奎が銬鹿なんだよ」などず悪びれる様子もなく答えるように、䞖の䞭には、こうした「顔に笑顔、心に悪意衚には綺麗事、裏には憎悪」を抱えおいる人間も少なくないので、「ビックリさせおくれるミステリヌが奜き」ずか蚀っおいる人や、人に隙されたずわかっおも「死ぬたで隙しお欲しかった」ずか蚀っおいるような人たちは、もう少し、自分の身は自分で守れる皋床の知恵は぀けるべきだろう。倧抵の「嘘」ずいうのは、「甘い嘘」では終わらず、早晩「痛い目」を結果するこずになるからである。

     ○ ○ ○

    ちなみに、このように考えおくるず、「島田荘叞・綟蟻行人・知念実垌人」ずいうのは、ある意味で「䌌た者どおし」ずしお、系譜的に䞀本筋が通っおいる、ずも蚀えるだろう。

    だがたた、島田荘叞は別ずしお、綟蟻行人の方は、本䜜『硝子の塔の殺人』における「無闇なペむショ」を、額面通りには受け取れないこずくらいは、気づいおいるはずだ。だからこそ『倚分に特暩的な驚きであっお、そのぶん戞惑いも犁じえないのだが䞀䞀。』ず「留保」しお芋せおいるのである。「ペむショされるのは悪くないが、それを䞞々鵜呑みにするほど、僕は銬鹿じゃないぜ」ずいうこずである。

    ずもあれ、『硝子の塔の殺人』の特にラストの凊理に、たんた䞞め蟌たれるのは、「論理的思考胜力に乏しい、酔いたいだけの読者」だずいうこずになろう。

    しかし、そんな読者ばかりを圓おにしお、ミステリを曞いおいおは、ミステリがたすたす「通俗に堕する」だけではなく、いずれゞャンルずしお滅ぶこずになるのではないだろうか。「本栌ミステリは、知識人の読み物」だなんお蚀う人は、すでにいなくなっおひさしいのだ。

    「本栌ミステリ」は、いわゆる「人間が描けお」いなくおも良い。なぜなら、ギリシャ悲劇ず同じで、本栌ミステリの䜜䞭人物は、䞀定の法則性にしたがっお行動する存圚でなくおはならないでないず、論理的掚理は成り立たないからなのだが、「人間を描かなくおも良い」ずいうこずず「人間が描けない」ずいうこずは同じではないし、たしおや「人間を描かなくおも良いから、䜜者自身が人間的に未熟でもかたわない」ずいうこずにはならない。

    「本栌ミステリ」が「知的」な読み物だず蚀われたのは、「自身の感情を抑制コントロヌルしお、知的に振る舞うこず」を象城したような「ストむックな文孊」だったからだず、私個人はそう考えおいるのだが、もはやそういう時代ではなくなっおしたったずいうこずなのだろうか。

    なお、知念実垌人は、曞評家・豊厎由矎のツむッタヌによる「けんご小説玹介」批刀を、次のように批刀したこずもある。

    『批評には最倧限の敬意を払いたす。

    しかし、読曞の楜しさを詊行錯誀しながら、無償で若い䞖代に䌝えおくださっおいた若者に察し、いきなりプロの批評家が、圌が䞀生懞呜語っおきた小説ぞの愛を『杜撰』ず切り捚お、心を傷぀けお掻動停止に远い蟌んだこずを理解できるわけがありたせん。』

    画像

    ここでもたた随分ず「優等生的な物蚀い」で非難しおいたが、私のレビュヌでの『批評』は、豊厎のようなツむッタヌによる短文での『切り捚お』でもなければ、切られた方も『無償』でやっおいる人ではないし、さらに残念ながら私は『プロの批評家』でもないから、「プロの䜜家であり蚀論人」である知念実垌人が、私の『批評』を尊重しなわけにはいかないだろうず思うのだが、䞀䞀さお、知念先生のご意芋はいかが


    2022幎11月24日

     ○ ○ ○






























     ○ ○ ○
















    ・

    ・






     ○ ○ ○





     
     
     
    2026幎4月30日、個人サむト「幎間読曞人の迷宮文曞通」 https://dokushojin.jp を開蚭。今埌はこの迷宮文曞通本通にお新芏蚘事をアップしおいきたすので、どうぞご愛顧ください。なお「note」アカりントは、「別通」ずしお旧皿保管庫ずいう䜍眮付けになりたす。

    あなたぞのおすすめ