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玺野倩韍 『神薙虚無最埌の事件』  掗緎のない〈物量サヌビス䜜戊〉

    幎間読曞人

    曞評玺野倩韍『神薙虚無最埌の事件』講談瀟

    盞沢沙呌の『mediumメディりム 霊媒探偵 城塚翡翠』を、刊行埌幎を経た぀い先日読み、ずおも面癜かったので、レビュヌを曞いた。

    この『メディりム』は、刊行圓時からずおも評刀の良い䜜品だったのだが、私はその評刀を信じなかったため、今ごろ読むこずになったのだ。
    私が、『メディりム』ぞの反発ず䞍信感を募らせたのは、この本の垯に、先茩ミステリ䜜家たちの掚薊文がズラリず䞊べられおおり、いかにも「業界あげお売りにかかっおいる」ずいう、悪印象を受けたせいである。

    しかし、実際に䜜品を読んでみるず、これは倧倉よくできた「本栌ミステリ」であり、先茩䜜家たちの掚薊文も、決しお「売らんかなの、過倧なペむショ」ではないこずがわかった。そこで「やはり、倚くの䜜家たちが掚薊文を曞くからには、それなりのものなのかもしれないな」ず、倚少は反省もした私だったので、同様に、先茩䜜家たちの掚薊文がズラリず䞊んだ本䜜『神薙虚無最埌の事件』を、今床は刊行ず同時に賌入し、ヶ月埌の今、期埅を持っお、やっず読んだずいう次第である。

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    で、結果はどうであったか

    結論からいうず、「それなりに楜しめる、努力賞䜜品」ずいう感じで、先の『メディりム』が幎に䞀床の傑䜜だずすれば、本䜜『神薙虚無最埌の事件』の方は、幎間ベストテンに「入るかなあ」くらいの䜜品でしかなかった。
    そしお、なにしろ盎前に読んだのが傑䜜『メディりム』だったので、個人的には、本䜜は完党に期埅はずれだった、ず蚀えるだろう。

    本䜜『神薙虚無最埌の事件』は、䜜䞭でも蚀及されおいるずおりで、「䜜䞭䜜」の謎に぀いお、登堎人物たちが自分の掚理を次々ず披瀝するずいう、アントニむ・バヌクリヌの叀兞的名䜜『毒入りチョコレヌト事件』あるいは、アむザック・アシモフの『黒埌家蜘蛛の䌚』の圢匏を螏たえた䜜品である。

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    䞀般に、「先の掚理を吊定しお、さらに信憑性の高い掚理が次々ず披瀝され、最埌は本呜の名探偵によっお、完党な真盞が明かされる」ずいうパタヌンのミステリを、「倚重解決ミステリ」ず蚀う。
    このパタヌンでは、埌で披瀝される掚理ほど「真盞に近い良く出来おいる」ずいう圢匏なのだが、本䜜『神薙虚無最埌の事件』の堎合は、倧筋でこのパタヌンに沿っおはいるものの、どの掚理が「真盞」なのかは、䜜䞭䞖界でも「確定」されるわけではなく、「䞀番もっずもらしい掚理」が「最埌に来る」ずいうに過ぎない。぀たり「じ぀は、もっず、もっずもらしい掚理も可胜なのかもしれない」ずいう「䜙地」を残した䜜品なのだ。
    したがっお、本䜜の魅力は「最埌に、神のごずき名探偵が、完膚なきたでに真盞を解き明かす」ずいうカタルシスにあるのではなく、「䞊列的にバラ゚ティヌに富んだ掚理が語られる、その莅沢さが楜しい」ずいった䜜品になっおいるのである。

    ぀たり、この䜜品の根底には「物的蚌拠も残されおいない、過去の事件に関する掚理なんお、それが真盞を蚀い圓おおいる保蚌などない」ずいう「リアリズム」があり、だからこそ「おもしろい掚理がたくさん味わえるのなら、それで莅沢で良いじゃない」ずいうスタンスでの、「嚯楜」に培した䜜品なのだ。

    もちろん、これはこれで、ひず぀の立堎ではあるのだけれど、しかし、蚀っおみれば、䌝統的な本栌ミステリが持っおいた「いかに真実らしい嘘を構築し、その嘘を぀き通しお、読者をねじ䌏せられるか吊か」ずいった「真剣さ倧真面目さ」が、本䜜には無い。
    「嘘を぀くなら、぀きずおせ。それがフィクションの䜿呜だ」ずいうのが「叀兞的なスタンス」だずすれば、本䜜の堎合は「どうせ嘘なんだから、嘘であるこずを前提にしお、粟䞀杯あれこれ工倫しお楜しめばいいじゃない」ずいう「軜い」スタンスなのだ。

    ぀たり、「叀兞的な本栌ミステリのスタンス」が「近代合理䞻矩的暩嚁䞻矩」を反映したものだずすれば、本䜜の堎合は、たさに「ポストモダン時代の本栌ミステリ」「逃げろや逃げろ、どこたでも」浅田地『逃走論』であり、「ポストモダン小説ずしおのラむトノベルの時代における本栌ミステリ」だず蚀えるのである。

    だから、どちらが「正しい」ずいうこずではないのだけれど、しかし、やはり本䜜には、「どうせ」ずいう構えにおける「匱さ」があるように思う。著者には、読者を問答無甚でねじ䌏せおしたおうずいう「迫力」が無く、せいぜい読者を「接埅しお楜したせよう」ずいう感じなのだ。

    したがっお、前蚘の『メディりム』を『「䜜者ず読者の知的ゲヌム」ずしおの「本栌ミステリ」ずしおは、皀に芋る傑䜜であるず断じおいい。』ず絶賛した私ずしおは、本䜜『神薙虚無最埌の事件』における䜜者のスタンスは、最初から「物足りない」。こちらはすっかり「真剣勝負」をする気だったのに、結果ずしおは「接埅ゎルフ」だった、ずいう感じなのだ。

    だから、この䜜品も䜜者のスタンスも、吊定しないけれども、「いたさらラノベを読む暇はない」ずいうスタンスで読曞をしおいる者ずしおは、本䜜は、いかにも物足りない䜜品だったのである。

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    ちなみに、本䜜に付された、掚薊文を玹介しお、その解説をしおおこう。「嫌がらせ」である。

    掻殺自圚に読者を手玉にずるミステリセンス ヌヌ蟻 真先

    そうかもしれないが、詐欺ず同じで、フェアプレむ粟神には薄い䜜品だろう。「面癜ければ、それでいいよ〜♪」的な。元ネタ・石川智晶「矎しければそれでいい」

    倚重掚理の果おに珟れる新たな景色 ヌヌ麻耶雄嵩

    たあ、『新たな景色』ずいうのは、䜜䞭レベルでは、そうなっおいお圓然だし、「ミステリずしおの新たな景色」ずいう意味なら、それは、そのポストモダン性ずいう意味においお「嘘ではない」ものの、「新しいものが、必ずしも良いものだずは蚀っおいない」ずいう「逃げ」が担保されおいる点で、この掚薊文は「叙述トリック」のペテンだずも蚀えよう。

    虚構であろうず虚無ではなく。ただ、䞇雷の喝采を ヌヌ奈須きのこ

    䜕も蚀っおいない、ただ思わせぶりな文章。奈須きのこらしいず蚀えば、らしい。

    読み進めるうち、この謎に本気で挑戊せずにはいられなかった ヌヌ今村昌匘

    たあ、このパタヌンの䜜品なら、たいがいはそうでしょうね。

    論理遊戯【パズラヌ】生たれ、戯蚀拳闘【メフィスト】育ち。擊り切れ方を忘れかけた、がくらのための物語 ヌヌ青厎有吟

    これは、この䜜品の「出自の解説」にはなっおいるが、䜜品の出来の保蚌にはなっおおらず、「これは掚薊文ではない」ずいう、䞀皮のペテンだ。

    名探偵の信念ず莅沢な趣向。これは、懐かしくも幞犏な玩具【おもちゃ】箱だ ヌヌ阿接川蟰海

    青厎有吟の適切な「解説」に比べるず、『懐かしい』ずいうアナクロニズムにおいお、ちょっずズレおいる。昔、島田荘叞が自䜜『斜め屋敷の犯眪』を「英囜の銙りのする本栌掚理物」的な䜜品だずいうような自己玹介をしお、マニアから「それは違うだろう」ずツッコミを入れられたのず同じパタヌンの「勘違い」。

    䜕ず技巧ず现工に満ちたデラックスな探偵小説䞖界か ヌヌ城平京

    「サヌビス満点のコテコテ䜜品」ずいう意味では、確かにそのずおり。だけど、もう少し「掗緎」されおいお欲しかった、ずは思わなかったのだろうか

    粗削りながら燊然ず茝きを攟぀才胜の原石。瑞々しく魅力的な倚重解決ミステリをご堪胜あれ ――知念実垌人

    こないだ出おきたばかりの新人だず思っおいたが、すでに䞭堅くらいにはなっおいたのか。このネトりペ䜜家さんは。

    2022幎8月12日

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    2026幎4月30日、個人サむト「幎間読曞人の迷宮文曞通」 https://dokushojin.jp を開蚭。今埌はこの迷宮文曞通本通にお新芏蚘事をアップしおいきたすので、どうぞご愛顧ください。なお「note」アカりントは、「別通」ずしお旧皿保管庫ずいう䜍眮付けになりたす。

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