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䌊東最 『真実の航跡』  〈癟田尚暹系〉 戊犯裁刀小説

    幎間読曞人

    曞評䌊東最『真実の航跡』集英瀟

    「〈癟田尚暹系〉戊犯裁刀小説」ずは、我ながら、ずおも芪切な評䟡だず思う。

    癟田尚暹が奜きな読者は是非ずも賌読すべきだし、癟田尚暹が評䟡できない読者には䞀瞥の䟡倀もない本だずわかるからだ。
    無論、ベストセラヌ䜜家である癟田尚暹の名を冠しお類比的に評䟡されたのだから、きっず䜜者も喜んでくれるだろうし「我が意を埗たり」ずも思うに違いない。この調子で粟進しお、癟田ず同様の「俗情ずの結蚗」䜜家になれれば、この䞊ない喜びなのではないだろうか。

    さお、ここたで読めば、私の評䟡は蚀わでもがなかもしれないが、ここたで酷評しおおいお、その根拠を瀺さないのもよろしくなかろうから、以䞋に具䜓的に瀺しおおこう。

    たずは、この小説が「駄䜜」である理由を端的に瀺しおおくずこうなる。

    人物造圢が、王切り型で薄っぺら。
    こんなこずを、今どきの゚ンタメに蚀うのはどうかずおっしゃる方もおられるだろうが、それは偏芋だ。
    今どきの゚ンタメでも、その圢匏によらず぀たりミステリやSF、ファンタゞヌ、あるいは「ラノベ」などの圢匏であったも深く「人間」や「瀟䌚」や「歎史」を描いた䜜品はいくらでもあるのだから、゚ンタメだから人物造圢が安手のアニメみたいであっおもいいなどずいうこずはないのである。 

    テヌマの掘り䞋げが無い。
    日本には、䞖界に誇るべき文孊䜜品がいくらでもある。戊争文孊に限定しおも、倧西巚人の『神聖喜劇』や倧岡昇平の『俘虜蚘』ずいった、深く「戊争ず人間」を、あるいは「軍隊」を描いた䜜品があるが、䜜者および、巻末に玹介される本曞の監修者たちは、こうした叀兞的名䜜を読んでいない文孊的教逊に欠けるのだろう。読んでいたら、ずおも今曎、こんな小説を公衚こずはできなかったはずだからだ。

    ずもあれ、以䞊の点を抌さえた䞊で、本曞の「本質的問題点」を指摘すればこうなる。

    本䜜は「蚀い蚳をしない朔い日本の軍人を描いお、日本の戊争に぀いお蚀い蚳しおいるだけの朔くない小説」。

    ずいうのも、䞻人公である匁護士・鮫島の「日本」芳、「日本人」芳、「連合囜」芳ずいうのが、「被害者意識」䞞出しの「独り善がり自慰的自己認識」でしかなく、あたりにも頭が悪い客芳性の欠劂ので「たさか、これがそのたた䜜者の考えでもあるたい」ず思いながら読み進めおいくず、結局は最埌たでこの䞻人公は「立掟な人物」ずしお、䜜者によっお党肯定されおしたっおおり、唖然ずさせられるのだ。

    『「鮫島、君は垞に自分が正しいず思っおいる。だが䞖の䞭は、それだけじゃないだろう」
    「俺はそれでよい。どんなに䞍噚甚だろうず、自分の信じる道を行くだけだ」
    「この頑固者め」
     そう蚀う河合の顔には、笑みが浮かんでいた。
    「これからの日本には、お前のような匷い意志を持った頑固者が必芁だ。二床ず同じ過ちを犯さないためにもな」
    「それには同意する。法埋に携わる者は頑固でなければならない」』P356

    こんな調子で、それたで鮫島ず裁刀䞊で敵察しおいた人たちたでが、最埌はみんな鮫島を耒め讃えだすずいう、ベタなラストに収斂されるのである。぀たり、鮫島は党面的に正しかったずいう保蚌が「䜜劇䞊でなされおいる」のだ。

    だが、䞋に玹介するような、䞻人公の「䞀人称の語り」を読めば、その「独り善がり」は明癜であろう。

    『 日米開戊は、特定の誰かが決断を䞋したずいうわけではなく、䜕ずなく流れができ䞊がり、日本人の倧倚数がその流れに乗ったずいう感がある。』P153

    たずは兞型的な「戊争に぀いおの個人責任」回避の蚀い蚳である。
    䟋えば「䜕ずなく、流れに乗っお、人を殺しおしたいたした瀟䌚が私をそうさせた」ずいう蚀い蚳が、裁刀で通甚するずでも思っおいるのだろうか
    この䞻人公は、二蚀目には『法の正矩』ずいう蚀葉を口にしお、さも自分がその暩化でもあるかのように「勘違い」しおいるが、この䞀点を芋おも、いかに『法の正矩』ず瞁のない人物なのかがわかろう。

    『 凊刑者六十九名ずいう重さは、鮫島の肩に重くのしかかっおいた。
     䞀䞀日本人が、なぜそんなこずをしたのだ。
     いく぀もの偶然が重なったずはいえ、同じ日本人がこれほど残虐なこずをしたずは、ずおも考えられない。』P192

    どこの囜の人間でも『これほど残虐なこず』をするものなのだ。それが「人間の歎史的珟実」であり、そこに「囜籍」など関係ない。
    「劄信的」的に『日本人』を連呌する前に、䞻人公は、「人間」ずはどういうものかを、少しは孊ぶべきだろう。高卒皋床の「歎史」知識があれば、こんな「愚問」が出おくるこずはないはずだ。

    『 䞀䞀日本人は倉わった。
     日本人は敗戊によっお倧きな倉容を遂げた。それは旧垝囜軍人たちも同じで、か぀おは匷い粟神力ず固い絆で結ばれおいた圌らも、今は保身に走らざるを埗なくなっおいる。ずくに敗戊によっお仕事を倱った軍人の生き残りたちにずっお、戊犯裁刀はこの䞊なく迷惑なものだった。
     䞀䞀敗戊は日本人から誇りを奪い去り、利己䞻矩を怍え付けおいったのか。』P193〜194

    「敗戊によっお、日本人は倉わったダメになった」ずいうのが、くりかえし語られる䞻人公の「日本人」認識だが、圓たり前の知性があれば、これは、敗戊によっお「倉わった」のではなく、敗戊によっお「地金が出ただけ」ずいうこずくらいわかるはずだ。
    人は、優䜍に立っお䜙裕のあるずきには人栌者ぶっおご立掟なこずを口にするものだが、いったん自分の立堎が危うくなるず地金を出しお逃げに走るずいうのは、今の日本の政治家や䌁業トップ䟋えば東電の瀟長なんかを芋おも明らかで、これは叀今東西、倉わらない「人間的珟実」なのである。

    『 䞀䞀誰も捕虜など殺したくなかったんだ。
     赀石も也同様、捕虜を殺したくはなかった。だがその堎では、そうするしかなかったのだ。そこに戊争ずいうものの矛盟が内包されおいた。』P233

    「誰だっお人殺しはしたくなかった。だが、状況がそれを蚱さなかった」で枈むのなら、法埋や裁刀はいらないだろう。
    たしお、その「特殊状況」が「戊争」であり、それを理由ずしお「䞍法行為ずしおの捕虜虐殺」が蚱されるわけなどないずいうのは、囜際的な法的倧前提なのだが、こんな寝蚀を蚀っおいる者が『法の正矩』などずくりかえし宣うのだから、自分が分かっおない銬鹿は、たこずに救いがたい。

    『 䞀䞀勝った者は正しく、負けた者は間違っおいる。それが戊争ずいうものだ。これからは、敗戊囜日本の行ったこずがすべお吊定される。その前提で、囜際瀟䌚での存圚感を高めおいかねばならないのだ。』P273

    「被害者意識」䞞出しの「泣き蚀」であり「恚み蚀」だ。
    『勝った者は正しく、負けた者は間違っおいる。それが戊争ずいうものだ。』ず玍埗しおいないから、䞻人公は裁刀で戊うのだろう。
    ならば、問題は『囜際瀟䌚での存圚感を高めおい』くこずではなく、目の前の裁刀においお「公正」を目指し、それがかなわないのなら、䜕幎経っおでも「䞍圓な戊犯裁刀」に぀いおは、その非を远及すべきなのだが、䞻人公にその気がないのは、䜜者がこの䜜品を『フィクション』ず銘打っお「批刀責任を回避しおいる」こずず同様に明らかだ。

    䟋えば、䞻人公は次のように、むギリスやオランダ、オヌストラリアの「軍人ず法廷を䟮蟱しおいる」のだが、ここではそれを『玛れもない事実』であるかのように語っおいる。

    『 シンガポヌルのチャンギヌ刑務所などでは、軍の銖脳郚も法廷も、刑務所内に行われおいる拷問や私刑を芋お芋ぬふりをしおいるずいう有様で、党く眪のない日本人軍属や商人たでもが、厳しいリンチの末に次々ず呜を絶たれおいた。
     䞀䞀今の日本人には、そうした無法に抵抗する歊噚は䜕もない。
     むギリスは戊犯の疑いのある者を連れおきお、取り調べの䞊、裁刀を受けさせるかどうかを決めるずいうアメリカの方匏を螏襲せず、䞀぀の地域に残っおいた日本人を党員逮捕し、䞀人ひずりを尋問し、戊犯の疑いがある者を裁刀に掛けおいた。その過皋で拷問が行われるのは蚀うたでもなく、シンガポヌルでは残っおいた軍人のほがすべおが裁刀に掛けられ、倧半が死刑を宣告されおいた。それでも、オランダやオヌストラリアの法廷に比べれば死刑率が䜎いずいうのだから驚く。
     䞀䞀オランダやオヌストラリアは連合囜軍の䞀員、すなわち自分たちが勝者だったずいうこずを囜民に印象付けたいがために、ずさんな調査で日本人を戊犯に仕立お䞊げ、次々ず絞銖台に送り蟌んでいるのだ。
     たいした戊いもできず連戊連敗だった䞡囜にずっお、自らの名誉ず自信を回埩するこずが必芁だった。それが囜民の勀劎意欲を高め、経枈発展ぞ぀ながっおいくからだ。
     䞀䞀そのために日本人の呜は利甚されおいるのだ。
     そこに根匷い人皮差別意識が暪たわっおいるのは、玛れもない事実だった。』P284〜285

    これが『フィクション』ではなく「蚌拠のある事実」だずいうのであれば、なぜ『フィクション』においお、こんな根拠の定かならぬ「誹謗」を行うのであろうか。なぜ、今「裁刀」で提起しお、真実を明らかにしないのだ。法の裁きを受けさせないのだ。なぜ泣き寝入りするのか。
    もちろんそれは、䞻人公䜜者の蚀い分が、所詮は「被害者偎の、䞀方的な蚀い分」に過ぎず、法廷闘争を維持するだけの蚌拠など無い「攟蚀」だからである。

    だいたい、䞻人公は、䞋のような抗匁をする「頭の悪い」人である。
    ここには「客芳的であろうずする意志」などずいうものは、欠片も無い。

    『「君は日本を嘲るのか」
    「私が嘲るのは倧日本垝囜です。日本民族には、ほかの民族同様の敬意を払っおいたす」
    「それは屁理屈だ。われわれにずっお倧日本垝囜は民族ず同䞀だ」
    「囜家䜓制ず民族は違いたす」
    「われわれにずっおは同じこずなんだ」』P274

    気易く『われわれ』などず蚀うな、ずいうこずだ。
    こんな頭の悪い䞻人公を、倖囜の方から「代衚的日本人」ずでも思われたら、たさに「囜蟱」である。

    『 日本軍統治時代の残滓が次第に淘汰されおいくのは圓然ずしおも、そこにあった良質な日本人の足跡も消されおいくこずに、鮫島は寂しさを芚えた。
     日本の銙枯統治期間は四幎匱でしかなく、台湟や朝鮮の怍民地統治のように、むンフラを敎えるたでには至らなかった。぀たり、統治の成果が出る前に日本は退堎を匷いられたのだ。たた日本から移っおきた商人たちも、䞭長期的な信甚を売り物にする日本の商習慣を定着させる前に匕き揚げねばならなかった。』P283

    これも「ネトりペ」氎準の「日本による怍民地支配・正圓化論」だ。
    自分たちの利益のためだけに、他囜を怍民地化しお、そこに投資したからずいっお、どうしお耒めおもらえるず思えるのか。その手前勝手な粟神構造は、およそ䞖界氎準にはない、単なる「自慰」䜓質だず蚀えよう。

    『 䞀䞀※ 死刑刀決を受けた日本の軍人をむギリス本囜の死刑囚ず䞀緒にするな。※ 同じように扱うな、の意』P346
    ※は、匕甚者補足説明

    囜籍・人皮に関係なく、同じに扱っおくれるのなら、たったく結構なこずではないか。
    䞻人公は、頭が悪く、感情だけでものを蚀う人なので、自分たちが特別扱いされないず、䞍圓に扱われおいるず勘違いしおしたうのであろう。

    ちなみに、本䜜で描かれる、シンガポヌルでの「日本人戊犯裁刀」は、決しお「勝者の論理」によるものではなく、「囜際法」の垞識にそったものである。

    『「続いお、抗呜行為䞊びに助呜掻動に関しおです。東南アゞア叞什郚戊争犯眪法埋郚では、※ 捕虜虐殺などの行為が䞊官の呜什であるずいう申し立おに぀いおは、呜什実行者が、その行為が戊争犯眪ないし違法行為であるこずを認識しおいたのかどうか、自由裁量の䜙地がどれだけあったのか、たたは呜什に異議申し立おを行ったのかどうかを重芖したす。軍隊である以䞊、䞊官の呜什は絶察です。しかし個々の事案には、それぞれ固有の事情がありたす。それを探り出すのが裁刀なのです」
     䞀䞀この裁刀の公正さを蚎えるために、たず前提を思い出させたのだな。
     確かに、これらの基準には公正さがある。法に携わる者ずしお玍埗はできる。だが戊争䞭の蚌拠など焌き捚おられおしたっおいるし、蚌蚀できる人々の倚くは、すでにこの䞖にいない。本来なら戊争ずいう特異な状況をもっず酌量しないず、戊犯裁刀など成立しないのだ。』P327

    仮にこの建前が完党に実珟されおいなかったずしおも、䞻人公のような「非論理的か぀自己満足的な思い蟌み」ず比べれば、およそマトモであったこずは明らかであろう。
    たた、珟実の日本人戊犯裁刀でも、こうした建前が珟に存圚したからこそ、さすがにこれを無かったこずには出来なかったのだそれに「蚌拠を焌き捚おたおかげで、戊犯裁刀から逃れた日本人」が、どれだけいたのかを、郜合よく忘れおはならない。

    ずころが、この「歎史的珟実」が瀺される前の段階で、䞻人公䜜者は「囜際法」の存圚を無芖した「嘘」を語っお、読者に察し「印象操䜜」を行っおいる。これだ。

    『 ここには戊犯裁刀の埮劙な問題が内包されおいた。䟋えば、珟堎の兵たちが裁かれる堎合でも、連合囜偎は事埌的法解釈ずしお、「違法な呜什に察する䞍服埓の矩務」なるものを䜜り䞊げた。
     すなわち䞍法行為を呜じた䞊官に察しお、抗呜しない堎合は呜什を受けた者も眪になるずいうのだ。これが適甚されれば、軍隊の根幹を成す「䞊官の呜什は絶察」ずいう掟を砎るこずになり、軍隊そのものの存圚基盀がなくなる。』P277

    これが、先の郚分ず矛盟する「被害者偎の芋解」であるこずは明らかだろう。

    「軍隊では、䞊官の呜什は絶察」ずいうのは圓たり前だが、「䟋倖」があるのもたた圓たり前で、前蚘の「日本人戊犯法廷」も、そしお「囜際法」も、その皋床のこずはあらかじめ螏たえおいる。

    「軍隊では、䞊官の呜什は絶察」ず蚀っおも、䟋えば「䞊官が、倩皇陛䞋のご真圱を螏めず呜什した」ずしたら、この「䞊官の呜什」も「絶察」か
    むろん、そんなものに埓うこずはできないし、しおはならない。なぜなら、それは「日本軍の軍芏に反する行為」だからである。
    であるならば「捕虜の虐殺」もたた「絶察の呜什」ではない。そんなこずは「日本軍の軍芏に反する行為」だからである。

    しかしたた、建前ずしおはそうであっおも、珟堎の珟実はそうはいかず、「抗呜」など容易に出来るこずではないずいうのは、「ブラック䌁業の劎働珟堎」「むゞメのある教宀」ず同じである。
    本来なら、その珟実に珟堎で抵抗しなければならないずいうのは「人ずしおの努め」なのだが、それが珟実に容易ではないからこそ、事埌的な「裁刀」があり「情状酌量」ずいう措眮もあるのだ。

    だが「被害者意識」による「自己正圓化」ず「恚み぀らみ」に染たった䞻人公ず䜜者は、戊勝囜ぞの「敵意」から、ここで「故意の印象操䜜」を行っおいるのである。

    ずもあれ、䞻人公の「寝蚀」は切りがない。

    『「そうじゃない。也さんの良心に蚎えたかっただけだ。也さんはクリスチャンだが、日本人でもある。それを忘れるな」
    「あなたは、ただそんなこずに誇りを持っおいるのか」
    「ああ、持っおいる。日本人であるこず、日本人を守る盟ずなった軍人たちに敬意を払うこずのどこが悪い」
    「䟵略者の手先め。日本の軍人がアゞアでどれだけひどいこずをしおきたか、匁護人なら知っおいるだろう」
    「それは知っおいる。だが倧半の軍人は誇りを持っお戊い、死んでいった。そうした軍人に敬意を払うこずのどこが悪いんだ」』P321〜322

    「倧半の軍人は誇りを持っお戊い、死んでいった。そうした軍人に敬意を払うこずのどこが悪いんだ」ず宣う䞻人公及び䜜者は、しかし「他囜の軍人」に察しおの『敬意』は欠片も無いずいうのは、前述のずおり、むギリスやオランダ、オヌストラリアの「軍人ず法廷を䟮蟱しおいる」事実に明らかだろう。

    䞻人公及び䜜者は、他囜民もたた、自囜の軍人や叞法官に誇りを持っおいるずは、想像もできないほど「頭が悪い」。
    本曞を翻蚳しお、むギリスやオランダ、オヌストラリアの人々にも、ぜひ読たせるべきであろう。

    しかし、そうなったら、䜜者や監修者たちは、はたしお「これはフィクションですから」ずいう「逃げ」に走らないだろうか。
    私にはずうおい、そうは思えない。きっず、䞋のような日本人らしい逃げに走るだろう。

    『 終戊埌、元海軍の䞊局郚ず軍什郚の幹郚たちは戊犯裁刀の蚌人に呌ばれそうな者に接觊し、「責任を自分たちに抌し付けるず、倩皇陛䞋の責任が問われる」ずいうこずを盟に、「知らぬ、存ぜぬ」を抌し通すように指瀺しおいた。むろん倩皇陛䞋云々ずいうのは建前で、自らの保身に走っおいるにすぎない。』P209〜210

    『「あれは米軍が進駐しおくる前のこずでした。終戊ずいっおもどうしおいいのか分からず、私ら孊生は、教垫たちず共に倧孊校にずどたっおいたした。そこに軍什郚総長の䜿者ず称する少将が珟れ、軍什郚出身将校だけを集めたした。そこで少将は、連合囜軍が進駐しおきおも軍什郚から出たすべおの呜什には、『知らぬ、存ぜぬ』を通すよう呜じおきたした。その理由は倩皇陛䞋を守るずいうこずでしたが、実際は自分たちの保身のためだず思いたした」
     軍什郚が保身に走ったずいう噂は、やはり本圓だったのだ。』P291〜292

    『「倧局に立おば日本を利するこずであろうず、私は『人道的にそんなこず※ 捕虜の虐殺はできない』ず蚀いたした。しかもその※ 捕虜虐殺呜什の栞心郚分を、※ 䜜成責任者眲名のない『口達芚曞』にするずいうのですから、卑怯この䞊ないこずです。『口達芚曞』は珟物が残っおいおも誰が出したか分からず、軍什郚の責任は問われたせん。぀たり珟堎に責任を抌し付けるこずです。しかし、それに珟堎の責任者が䞍服を唱えれば即解任です。これほど䞍条理なこずはないず思いたした。』P294〜295

    これもたた「日本の軍人」であり「日本人」の珟実なのである。
    意図的に矎化された、「䞀郚䟋倖的存圚」ずしお比范的立掟だった五十嵐が、「日本軍人の兞型」だったなどずいうこずがあり埗ないずいうは、歎史的・人間的垞識からしおも、あるいは「スタヌゞョンの法則」からしおも、分かり切った話でしかない。そもそも「立掟な人」が『倧半』であったなら、それは「立掟」だなどずは呌ばれないのである。

    ずもあれ、䞻人公及び䜜者の「劄想的日本人賛矎」は、「悪しき日本人」の存圚を「日本人」の内から郜合よく排陀するこずで成立しおいる。頭に開いた穎から、䞍郜合な事実は、挏れ萜ちおしたっおいるのだ。

    『 日本人が絆を取り戻す日が、再び来るかどうかは分からない。だが連合囜は、そうした日本人の結束力を砎壊し、個々の人間の醜さを露呈させるこずたで、日本人に察する懲眰ずしお考えおいるに違いない。』P215

    『 䞀䞀父さん、あんたは匱い人間だった。だが十分に※ 医垫ずしお戊った。五十嵐さんたちず同じ戊前の男ずしお。
     鮫島は初めお父の気持ちを理解できた。
     䞀䞀玉音攟送を聞いた時、父は日本が戊争に負けたこずに泣いたのではない。あれは、父たちが倧切にしおきた「日本人の魂」が倱われおいくこずに察しおの涙だったのだ。
     鮫島は五十嵐を救うこずで、それを守ろうずした。だが五十嵐の生呜は倱われおも、その粟神は受け継いでいけばいいのだず思うようになった。
     䞀䞀父さん、日本は倉わっおいくだろう。しかし戊勝囜がどれだけ圧力を掛けおこようが、どれだけ圌らの䟡倀芳を抌し付けおこようが、われわれが日本人であるこずに倉わりはない。父さんや五十嵐さんたちが倧切にしおきた「日本人の魂」は、ずっず受け継がれおいく。』P325〜326

    こういうのを「宗教的譫劄」ず呌ぶのであろう。

    『「そうです。誰にも慮るこずなく、ただ䞀途に真実を远究する。それが敗戊囜日本で生きる、われわれの䜿呜ではないでしょうか」』P186

    『「そうです。真実を远究しお正矩を貫くこずだけが、今の日本人にできるこずです。それをやらずに事をうやむやにしおしたえば、日本は䞀䞀」
     鮫島は感極たった。』P186

    『 自分を玍埗させるように五十嵐は続ける。
    「今回の裁刀を通じお、君ら※ 日本人戊犯の匁護士である䞻人公たちは、真実を远究する倧切さや法の正矩ぞの信頌を囜際瀟䌚に知らしめるこずになる。぀たり君らこそ、日本が次の戊い※ 囜際瀟䌚で名誉ある立堎を確立するための真の戊いに勝぀ための尖兵なんだ」』P280

    「真実を远究する」などずご立掟なこずを繰り返しおも、その基本認識が、

    『 倪平掋戊争そのものが、誰が匷く䞻匵したずいうものでもなく開戊の決断がなされたのだ。』P295

    ずいうものなのだ。
    これでは「真実の远究」など出来るわけがないずいうのは、もはや論を埅たないだろう。

    以䞊、本曞が「宗教的譫劄」を読者ず共有するためだけの、きわめお内向きの「自慰的歎史芳」に基づいた、䜎俗な駄䜜゚ンタメだず評䟡した所以である。

    次に、戊争小説を曞いたずきは、軍蚘オタクではない人にも査読を䟝頌すべきであろう。
    同類に査読させたのでは、客芳性が担保できないのも圓然なのである。

    䞀䞀もっずも、私には査読を䟝頌しないでいただきたい。
    これ以䞊、時間の無駄遣いはしたくないからだ。

    初出2019幎3月24日「Amazonレビュヌ」
      2021幎10月15日、管理者により削陀

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    2026幎4月30日、個人サむト「幎間読曞人の迷宮文曞通」 https://dokushojin.jp を開蚭。今埌はこの迷宮文曞通本通にお新芏蚘事をアップしおいきたすので、どうぞご愛顧ください。なお「note」アカりントは、「別通」ずしお旧皿保管庫ずいう䜍眮付けになりたす。

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