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盞沢沙呌 『mediumメディりム 霊媒探偵 城塚翡翠』  すみたせん、盞沢沙呌先生。完党になめおたした。

    曞評盞沢沙呌『mediumメディりム 霊媒探偵 城塚翡翠』講談瀟


    本䜜は幎前2019幎の䜜品で、「このミステリヌがすごい! 1䜍」「本栌ミステリ・ベスト10 1䜍」「第20回本栌ミステリ倧賞受賞」など、その幎のミステリ界の話題を掻っ攫っおいった、「倧ヒット䜜」である。

    䞀䞀そんな䜜品を、なぜ今頃になっお読んだのか。端的に蚀えば、そうした「䞖評」を、たったく信甚しなかったからだ。

    そりゃあ、それなりに良くできた䜜品なのだろうが、そんなにご倧局な䜜品なのか たた、業界を䞊げおスタヌでも䜜りたいだげじゃないのか だいたい、倧ヒットのベストセラヌ䜜品なんお、読んでそれなりに面癜くおも、ブヌムの去った埌になっおみれば、別に読たなくおも枈むような䜜品ばかりじゃないか。䞀䞀ず、おおむね、そんなふうに考えおいたからである。
    だから、数幎経っおから、おもむろに読んで、「なんだ、やっぱりこの皋床じゃねえか」ず、倧隒ぎした人たちを嘲笑っおやろうず考えたのだ。

    だが、本䜜は、たぐれもない「傑䜜」だった。

    たしかに「文孊」ずしおどうこうずいうような䜜品ではないから、読たなければ䞀生の損倱だずたでは蚀わないが、しかし「䜜者ず読者の知的ゲヌム」ずしおの「本栌ミステリ」ずしおは、皀に芋る傑䜜であるず断じおいい。たしかに、幎前の評刀は、ダテではなかったのである。

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    したがっお、今曎この䜜品の「内容」に぀いお論評しおも仕方がないし、そもそも本䜜は、「仕掛け」に満ちおいお「䞭身に぀いおの論評」が難しい䜜品であるからこそ、倚くの論者が「ずにかくスゎむ」「『すべおが、䌏線。』ずいう垯文に停りなし」「最埌たで読んで評䟡せよ」ずいった、いささか挠然ずしおいながらも、最倧玚の賛蟞を捧げおいたのだ。
    だから、私も、ここで、この䜜品の内容に觊れるこずはやめお、ひたすら「未読の人は、隙されたず思っお、ぜひずも読め」ずいう、いささか芞のない掚薊の蚀葉を蚘すに止めたい。

    しかしその䞊で、私が「たんたず隙された」のは、無論、私が本䜜を「なめおいた」からではあるのだが、それも故なきこずでもなかった、ずいうこずだけは、埌䞖のために曞かせおいただこう。
    䜕も蚀い蚳をしたいのではない。䞀䞀ずいうのは、読んでもらえば、わかるはずだ。

    端的に蚀っお、私が本䜜の出来を信じなかったのは、

    『すべおが、䌏線。』ずかいった惹句に、飜き飜きしおいた。

    ずいうこずがある。
    ぀たり、「倧げさな惹句」が氟濫しおおり、それに隙される経隓を吊応なく䜕床も積たされたから、こういう惹句は「話半分に聞く」だけではなく、むしろ「悪印象」さえ持぀ようにさえなっおいた教育されおいたのだ。

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    人気ミステリ䜜家たちの、最倧玚の掚薊文がズラリず䞊んだ垯。

    これも、出版瀟段階での「売り蟌み」意図ばかりが錻に぀いお、かえっお「掚薊の蚀葉」自䜓が信じられなくなったいた。「この人たち、原皿料さえもらえれば、そこそこの䜜品なら、䜕でも耒めるんじゃないの」ずいう懐疑を抱いおいたからである。
    実際、幎に䜕䜜も掚薊文を曞いお、「傑䜜認定」を濫発するような「人気䜜家」もいお、そういう人が名を連ねおいるず、私などは、かえっお「うさんくささ」を感じ、敬遠しおしたうずころが、ハッキリずあった。「こい぀の掚薊文は、信甚ならない」ず。

    成長株䜜家に掚薊文を曞いお恩を売り、唟を぀けおおけば、先々「恩返し」をしおもらえるずいう「業界生き残り策」的な珟実がある。

    先日、レビュヌを曞いた、吉田芪叞『䜜家で億は皌げたせん』にも曞かれおいたこずだが、先茩䜜家ずいうのは、自身のゞャンルに、「有望新人」が登堎するこずを、心から望んでいる。

    「有望新人が出おきたら、読者を取られちゃうから、出おこない方がいいんじゃないの 読者を取られおも、ゞャンル隆盛のために喜ぶなんおお人奜しは、なかなかいないんじゃない」ずいう芋方は、䞀面の真理であり、私も䜕ずなくそんなふうに感じおいたが、前蚘の吉田芪叞『䜜家で億は皌げたせん』に拠れば、芁は、そのゞャンルに新たな人気䜜家が出おこなければ、やがおゞャンルずしおの人気も萜ち、読者が他ゞャンルに流れお本が売れなくなっお、結果ずしお、ゞャンル䜜家たちは、ベテランず若手のどちらにずっおも、奜たしくない状況に陥っおしたう、ずいうこずのようだ。

    ぀たり、「新芏の読者」をゞャンルに呌び蟌む開拓するような、実力のある若手䜜家が出おきお、その䜜家の本が売れれば、それに぀られおゞャンル自䜓の勢いも増し、ベテランも含めた同ゞャンル䜜家の本も売れるようになるのである分け合うパむが倧きくなる。

    だから、先茩䜜家たちは、有望新人の登堎に、心から期埅しおいる。
    それは「ミステリを愛しおいるから」ずかいった玠朎な感情からだけではなく、そうした新人の登堎が、単玔に「自分の利益」にも盎結するからだ。

    そのため、ベテランの「暩嚁ある䜜家」は、仮に原皿料が安くおも、「掚薊文」を曞くだろう。それは、自分の「ステヌタス」の蚌明にもなるし、ゞャンル内で分け合うパむの拡倧にも぀ながる。
    たた、若手䜜家ずしおは「あの、○○先生が掚薊文を曞いおくれた」ず感動し、感謝し、恩に着るだろう。そしお、そのベテラン䜜家が新刊を出しお、それぞの掚薊文を求められたら、仮にその䜜品が「凡䜜」であったずしおも、「あの、○○先生の新䜜に、自分ごずき若茩者が掚薊文を曞けるなんお」ず、ありがたく「粟いっぱいの絶賛」を捧げるだろう。これは、䞀皮の「恩返し」であり、それでさらに「人間関係」が築けるのなら、掚薊文などお易い「埡甚」だ、ずいうわけである。

    だが、ここで問題ずすべきは、ベテランが有望新人に察しお曞く「掚薊文」も、有力新人がベテラン䜜家のために捧げる「オマヌゞュ」も、結局のずころそれらはすべお「自分たちのため業界のため」でしかなく、その「掚薊文」や「オマヌゞュ」を額面どおりに受け取り、その䞀皮の「叙述トリック」に隙される、「䞀般読者」の利益のために曞かれたものではない、ずいう点である。

    たあ、「オマヌゞュ」が、捧げる盞手に向けおのものであるずいうのは圓然だずしおも、その「オマヌゞュ」が、単なる個人的な「気持ち」の䌝達ではなく、珟実問題ずしお「䞀般賌買者向けの販促コピヌ」であるのならば、やはり、曞き手の「顧客に察する責任」はあろうし、たしおや「掚薊文」ずは「䞀般賌買者」に察する「掚薊」なのだから、それがもっぱら「業界内的な損埗打算」で曞かれるのは、「ペテン」ずたでは蚀わないたでも、「䞍誠実な宣䌝文句」だずは蚀えるだろう。
    だが、こんなこずが「圓たり前」に暪行しおおり、むしろ、そうしたこずに察しお、真っ圓に「良心の呵責」を芚えるような真面目な䜜家の方が、むしろ、みすみす「業界内的生き残り策」ずしおの「掚薊文や芋せオマヌゞュ」の機䌚を攟棄しお、損をするこずにもなっおしたう。「正盎者が銬鹿を芋る」ずいうわけである。

    だが、これが「資本䞻矩リアリズム」に冒された「゚ンタメ小説」界の、停らざる珟実でもあるのだ。

    だから、そうした問題に぀いお、人䞀倍「問題意識」のある私が、「隙されるものか」ず「過剰防衛」的になったのも、決しお故なきこずではないし、私個人の問題で枈たされる話でない。

    䟋えば、珟今のように「特殊詐欺」が暪行しおいる状況を知悉した結果、「隙されないぞ」ず身構えおいる人は、電話䞀本に察しおも、盞手の蚀うこずを鵜呑みにはしない。「いやいや埅およ。こい぀は停者じゃないか」ず疑っお、電話を切っおしたうこずも倚いだろう。
    その結果、それがたたたた「本物」の家族や友人からのものであったために、埌で「なんで、いきなり電話を切っおしたうんだよ そのあず䜕床かけなおしおも出ないし」などず怒られるようなこずにもなるのではないか。
    だが、こうした「ミス」は、「平気で人を隙す茩」が暪行する䞖の䞭においお、わが身を守るためには、もはや必芁な「甚心」なのである。

    だから、「本物」からの電話を誀っお切っおしたい、埌で叱られれば、その時は「いや、最近は、詐欺の嘘電話が倚いから、おっきりそれだず思っお切っちゃったんだよ。ごめんね」ず釈明すれば、「良識のある盞手」であれば「たあ、それなら仕方がないな。このご時䞖だからね。これからも、そのくらい慎重な方がいいず思うよ。事情はよくわかった。これからは私も、私が本物だっおよくわかるように電話するようにするよ」ず蚀っおくれるこずだろう。

    そんなわけで、私が、盞沢沙呌先生の本䜜『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を、今日たで読たなかったのも、そんな事情があったからなのだ。だから、盞沢先生、私の「過剰防衛」をどうか、ご勘匁願いたい。

    私は、䜜家に察しお、「嫌味」以倖では、「先生」呌ばわりしたりはしない人間なのだが、今回は、心から謝眪したいず思ったので、「先生」を付けさせおいただいた。私の「嫌味」ではない「先生」づけは、10幎に䞀床のものだずいうこずをご理解いただければ幞いである。

    しかしたた、私が、劂䞊のように「どうせ、安っぜい掚薊文ばかり」だろうず思い、いわば、初めお読んだ「盞沢沙呌」ずいう䜜家の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』ずいう䜜品に、ここたで気持ちよく隙されたのは、たさに「掚薊文」を真に受けなかったから、でもある。
    「掚薊文」の数々を額面どおりに受け取っお、「期埅倀」を際限なく䞊げおいたなら、ここたで芋事に隙されるこずがなかったろうずいうのも、たた事実なのだ。

    その意味では、䜜家たちの「信甚ならない掚薊文」ずいうのも、いわば「怪我の功名」ではあった。
    しかしながら、それは「特殊詐欺が暪行したおかげで、みんなの防犯意識が高たった」ず蚀っお喜ぶわけにもいかないのず同じこずで、それで「信甚ならない掚薊文」が免責されるずいうわけではないずいうのは、蚀うたでもないこずだろう。

    ずもあれ、盞沢先生、今回は、先生の力量を知らずに読んだから、たんたず隙されたしたが、次はそうはいきたせん。
    今回のこずで「期埅倀」は吊応なく高くなっおいたすから、次からは、今䜜に近いレベルの䜜でないず、どうしおも評䟡は蟛くなるでしょう。

    したがっお私も、次は、「城塚翡翠シリヌズ」の続線ではなく、評刀が高いらしい『小説の神様』を読んでみたいず思いたす。
    この䜜品が「本栌ミステリ」ではないこずは承知しおいたすが、「小説」ずしお、どのくらいのものなのかを芋定めたいず思うからです。無論、゚ンタメ小説ずしお「楜しみたい」ずいう気持ちはありたすが、「期埅倀」が䞊がるだけ䞊がった埌だからこそ、読者ずしおの䞍安もぬぐえたせん。しかし、それもこれも、先生の力量を認めたから、たた読むのだずご理解いただければ幞いです。

    今埌も、より良い䜜品をお曞きください。心より期埅しおおりたす。

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    【远䌞】 安っぜい掚薊文を濫発しおいるベテラン䜜家ぞ
    掚薊文を曞く時は、それによっお、その本を買うか吊かを決める賌買者に察する「物曞きずしおの責任」意識を、くれぐれも忘れないように。

    2022幎8月7日

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    2026幎4月30日、個人サむト「幎間読曞人の迷宮文曞通」 https://dokushojin.jp を開蚭。今埌はこの迷宮文曞通本通にお新芏蚘事をアップしおいきたすので、どうぞご愛顧ください。なお「note」アカりントは、「別通」ずしお旧皿保管庫ずいう䜍眮付けになりたす。

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