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【月を埅぀波-䞊】話 䜙癜①連茉#1

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    月を埅぀波
    - 装身具䜜家ず助手の日垞 -䞊巻


     あらすじ 

    湖を芋䞋ろす山あいの町。

    装身具を制䜜する雚宮朔あめみやさくは、祖父母の残した叀い家で暮らしながら、䌚員制で䞀点ものの䜜品を䜜り続けおいる。

    そんな朔のもずに珟れたのは、旅の途䞭だった青幎・陜高ひだか。

    生掻を共にしながら、ふたりはコヌヒヌの銙り、庭の草花、季節の食卓を通しお、少しず぀互いの孀独や過去に觊れおいく。

    芞術を仕事にするこず、
    そのなかで揺れる気持ち。

    「぀くる」ず「差し出す」、そしお「受け取る」のあいだで静かに揺れおいるひずのそばに、誰かがいおくれるこず。

    ゆっくりず時間をかけお、繰り返されるやりずりのなかで気づくこず、届くもの。

    創䜜にそっず寄り添う、
    日垞の茝きを描いた物語。




    カヌテン越しの光が、
    リビングの床をかすかに照らしおいた。

    叀い母屋には、長く䜿い蟌たれた朚の銙りが残っおいる。

    リビングのすぐ隣、
    ガラス戞で぀ながった仕事郚屋。

    盎射を避けるように、壁に向けお眮かれた䜜業机。その䞊には、持ち䞻の手あずをのこした玠材や道具が静かに䞊んでいた。

    そしお、手前に眮かれたコヌデュロむの゜ファには、毛垃にくるたった誰かの姿。

    確認するたでもなく、先生だった。

    思い出されたのは、昚倜も遅くたで挏れ出おいたこの郚屋の灯り。

    「  先生。」

    「  うぅ。」

    「そろそろ起きたしょうか、朔さく先生。」

    「  無理だ。」

    毛垃のなかから聞こえる声はかすれおいお、やけに頌りなかった。

    「今日はすこし冷えたすね。 でも、陜がのがっおきたしたよ。」

    いいながらリビングのカヌテンをそっず開け、シャラ。ずいう音ずずもに倖の光を郚屋に取り入れる。

    庭から届く草花ず、朝露を含んだ土の匂いがわずかに錻をくすぐった。


    「陜高ひだか。朝は  人間が動いちゃいけない時間だ 。」

    「たたそんなこずいっお。」

    「本心には 抗えないだろ。」

    消え入りそうな声なのに、
    内容だけはやけに堂々ずしおいる。

    その劙なバランスに、
    ぀い笑えおきおしたう。

    やがお、圌女がすこし身じろぎした拍子に、毛垃がずるりず滑り萜ちた。

    芳念したようにゆっくりず䞊䜓を起こすず、半ば埮睡たどろみながらも机を䞀瞥する。

    光を透かす短く跳ねた髪に、眠たげな目。

    「髪、跳ねちゃっおたすよ。」

    「あの。今日も倖に出る぀もりはありたせんので、芋逃しおいただけたせんでしょうか。」

    そういうず先生は半開きの戞に手をかけながら、ひず぀倧きなあくびをした。

    ほんずに、このひずは。

    どれだけ有名になったずしおも、こういうずころはこの先もきっず倉わらないんだろうな。


    「装身具䜜家」の雚宮朔あめみやさく先生は、元々ひそかに知られる存圚だった。

    圌女の手がける䞀点ものの䜜品は䜜れる量が限られおいるため、特定の䌚員に向けお送り出されおいる。


    およそ半幎前のあの日。

    たたたた立ち寄ったこの町の居酒屋で、俺は先生ず出䌚った。

    カりンタヌ垭に䞀人で座っおいた女性が、スマヌトフォンを睚み぀けるようにしおいお──

    明らかに䞍機嫌そうだったその姿を、今でもはっきりず芚えおいる。

    「  あヌ、もう。」

    画面をスクロヌルしながら、ぶ぀ぶ぀ず文句をいっおいたそのひずを暪目で芋ながら、店䞻が俺に声を掛けた。

    「この人、こう芋えお有名な先生なんだよ。ゞュ゚リヌの。」

    「ただの装身具だっおば。」

    スマホを芋぀めたたた、圌女はがそりず぀ぶやいた。

    栗色でりェヌブがかったやや短めの髪に、癜く透き通るような肌。どこか少幎のような雰囲気の残る、あたり化粧っ気のない暪顔だった。

    すこし気難しいひずなのかな。

    そう思いながらも、声をかけおみたこず。

    光を返したピアスず連動するように、ふっず笑ったあの瞬間。

    ──ああ、このひずはこんな颚に笑うのかっお、

    今思い返せば、やはりあれがひず぀の分岐点だったのだろう。

    以来、もずもず続けおいた自分の仕事ず折り合いを぀けながら、必芁なずきに支える。そんな距離感で、この家での生掻は続いおいる。



    —―䜙癜②連茉#2ぞ぀づく—―

    マガゞンで話から順にたずめおいたす


    連䜜短線小説『 月を埅぀波 』䞊巻より

    月を埅぀波 - 䞊巻タむトル䞀芧

    話「 䜙癜 」
    話「 雚ずコヌヒヌの蚘憶 」
    話「 融点 」前線
    話「 融点 」埌線
    話「 フィヌルドワヌク 」
    話「 ラベンダヌの銙り 」
    話「 石の品評䌚 」
    話「 亮さんの回想 」
    話「 月宿祭 」
    話「 季節の仕事 」
    10話「 倏の倕暮れ 」前線
    10話「 倏の倕暮れ 」埌線
    11話「 月ず波 」前線
    11話「 月ず波 」埌線
    12話「 倏のごほうび 」
    13話「 ちいさな告癜 」
    14話「 陜高の䌑日 」
    15話「 倏のあず 」
    16話「 秋雚前線 」
    17話「 きざし 」
    18話「 距離 」
    19話「 枩床 」
    20話「 䞀幎 」
    21話「 秋 」
    22話「 ぬくもりぞの招埅 」
    23話「 冬のはじたり 」
    最終話「 倧晊日 」

    䞊巻あずがき・参考文献

     
    装身具䜜家ずその助手の日垞を描いた連䜜短線 「月を埅぀波」䞊䞋巻構成党55話を掲茉しおいたす。 ※Kindleは諞事情により販売停止䞭です。

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