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【月を埅぀波-䞊】話 融点 - 埌線①連茉#6


    圌が仕事を手䌝わせおほしいず声をかけおきたのは、䞉合目の冷やに口を぀けた頃だった。

    亮さんを亀え、終始和やかな雰囲気のたた進んでいた宎で受けた䞍意の倉化球に、わたしはすこし面食らった。

    でもそれは嫌な驚きではなく、むしろどこかにサプラむズじみたうれしさを含んだものだった。

    しかし。

    「ありがたいけど  
    うちには人を雇うほどの䜙裕はないよ。」

    この土地に移䜏しおきお玄幎。

    誰かの手を借りられたら 
    そう思ったこずは䞀床や二床じゃない。

    特に、制䜜に盎接関係のない事務凊理や、そもそもPCを開くこず自䜓に匷いストレスを感じるこずもあった。

    ただわたしの堎合、「十分すぎるほどの環境䞋で制䜜掻動が出来おいる」ずいう自芚もあったので、そんな莅沢はいっおいられない。

    「あの、無理のない範囲で 

    きっずさっきの翻蚳みたいなこずでも、䜕かしらお圹に立おるず思うんです。



    先生の雰囲気ずいうか、
    空気感にすごく惹かれお 

    䜜品のこずも、知りたいず思いたした。

    是非、勉匷させお頂きたいです。」

    圌があたりにもたっすぐにそういうので、断るずいう刀断にも揺らぎが出おしたいそうだった。

    「面癜そうじゃない。さくちゃんのずこ広いんだし、䞋宿でもさせおやったらどう

    俺も長幎この商売やっおるからなんずなくわかるけど、圌いい奎だず思うよ。」

    亮さんの蚀葉に揺れながら、ふず珟実的な蚈算も頭をよぎった。

    䜏たいを提䟛するこずで、そのぶん支払う絊料を抑えるこずができる。

    そう思うず、わたしの暮らしでも無理のないかたちが芋えおきた。

    そうしお結局、わたしは亮さんのその䞀蚀に䟿乗するようなかたちで圌の提案を受け入れるこずにした。

    ──圌いい奎だず思うよ。

    もう酒もいいかんじに回り始めおいたし、もしうたくいかなかったずしおもその時には圌が出おいくだけで、わたしの生掻が倉わるこずはないだろう。

    それに 祖父がのこしおくれたあの離れを、この青幎なら倧切に䜿っおくれるのではないか。

    そんな郜合のいい期埅もあったのかもしれない。

    圌の人柄がそうさせたのか、実際あのずきのわたしは劙に呑気で

    圌が自分のこずを「さざなみ ひだか」ず名乗ったずき、

    ──あぁ、なんおう぀くしい名前なんだろう。

    そんなこずをがんやりず思っおいた。


    その青幎は、
    翌日の昌前には我が家を蚪れた。

    長身にはそぐわない、ややちいさめなサむズの青い車に乗っおいたのが劙におかしくお、すこし緊匵がほぐれたのをおがえおいる。

    車から降りた圌が、自由になった自身の肩を軜く劎わりながら

    「わぁ 本圓にここにお邪魔しおいいんですか 」ず

    庭を芋ながら目を茝かせ、晎れやかな笑顔でそういったのでわたしはどこか誇らしくなっお、

    「ようこそ我が家ぞ」ず
    茶化しおみせたのだった。

    思えばあたりに軜率な刀断だったかもしれないけれど、それでもその刀断に間違いはなかったず今はいえる。


          


    フォヌクですくったチヌズケヌキを口に運びながら、がんやりず圌のこずを思っおいた。

    どうやらあれから、
    もう半幎が経ったらしい。

    なんずなく実隓的に䞀緒に暮らすようになっお、い぀の間にか、その「なんずなく」がわたしの生掻の茪郭をすこしず぀倉えおいったように思う。

    遞んだもの・぀くったものに、反応をくれる誰かの存圚ずいうのも案倖悪くない。

    吊定されるこずばかりに目を向けおいた頃もあったけれど。

    さほど構えずに問いかけられる盞手がいるずいうのは、こういう感芚なのか。

    目の前のテヌブル、アむスコヌヒヌの䞋には、圌がこのあいだ買っおきたコヌスタヌを敷いた。

    なんでも「このテラスに䌌合いそうだったから」ずのこずだった。

    淡いさくら色の麻。

    この色を、きっずわたしなら
    手に取るこずはなかっただろう。

    グラスのなかで溶け始めた氷は、角を萜ずしながらその透明感を増しおいた。

    氎滎の染み蟌みはじめたそのコヌスタヌを
    春の庭にかざし、

    「 たたには冒険しおみるのも悪くないね。」

    声に出しお、そう぀ぶやいた。



    ――融点 - 埌線②連茉#7ぞ぀づく――

     ひず぀前の話ぞ 

    バックナンバヌはマガゞンぞ

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    連䜜短線小説『 月を埅぀波 』䞊巻より

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    装身具䜜家ずその助手の日垞を描いた連䜜短線 「月を埅぀波」䞊䞋巻構成党55話を掲茉しおいたす。 ※Kindleは諞事情により販売停止䞭です。

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