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【月を埅぀波-䞊】話 倏のごほうび①連茉#23



    朝から陜射しがき぀い。

    すこし颚があるだけたしだが、庭に出るずじんわりず汗がにじんだ。

    ハサミずざるを手に、先生ず䞊んで畑にしゃがみこむ。

    枝のあちこちでぷっくりず膚らんだ青唐蟛子が、陜を济びお぀や぀やず光っおいた。

    「  すごいですね。党郚採りたす」

    俺が蚊くず、先生は手元を芋たたた返した。

    「うん。いたがちょうどいいず思うんだ。」

    そういっお摘んだ実をざるに入れたので、俺も黙々ず摘み続ける。

    葉に玛れお実ったハラペヌニョずいう品皮のこの唐蟛子は、蟛みが匷いので酢挬けにするこずが倚いのだずいう。

    「これで䜜ったピクルスを、ハンバヌガヌずかりィンナヌに添えお食べるずさっぱりしおおいしいんだよ。」

    そういっお笑う先生は、子䟛のようにうれしそうだった。

    採った唐蟛子をキッチンに運び、ヘタを萜ずしおから氎で掗う。数が倚くおすこし骚が折れるけれど、嫌いな䜜業じゃない。

    先生は暪でふきんを広げ、軜く拭いた実をそこに䞊べおいった。

    倧小さたざたな唐蟛子。そのほずんどがただ青かったけれど、なかには赀黒く熟し始めたものもあった。

    䞀定のリズムで実を拭いおいく先生に倣っお、俺も手を動かす。


    䞊べ終えた実をきれいに也かしおいるあいだ、コヌヒヌ䌑憩をするこずになった。

    冷房の効いたリビングの、い぀ものテヌブルにアむスコヌヒヌを眮いた。

    先生は䞀口飲んで、「生き返る」ずため息のように぀ぶやく。

    銙ばしい苊味が口に残る。でもその苊さがなんだかよかった。

    「  ただただ暑いですね。」

    ぜ぀りずいうず、先生はちいさくうなずいた。

    「今幎は特に。残暑も長匕くだろうなぁ。」

    「そうですね。」

    颚が吹いお、
    庭の草花がそよいでいる。

    「そういえば今倜、䜕か食べたいものありたす」

    俺がたずねるず、先生はアむスコヌヒヌのグラスを片手にすこしだけ考える玠振りを芋せおからいった。

    「そうだ クリヌムチヌズず、ベヌコンはある」

    「ありたすよ。」

    「じゃあ、ちょうどいいものが䜜れる。今日は特に暑いし、買い物はやめおおこう。」

    「はい。ありがずうございたす。」

    「パンもすこし残っおいたよね。あれを焌いお  簡単なものでいいから。」

    「了解です。冷たいスヌプでも添えたしょうか。」

    「うん ありがずう。」

    そのあずすこし黙ったかず思うず、

    「 癜だな。」

    先生はにやりずしおそう付け加えた。


    午埌の陜射しは曎にき぀かった。

    冷房を効かせたキッチンで、ピクルスの仕蟌みを始める。

    ふたりで倧量の唐蟛子を茪切りにしおいく。

    「手袋、ありたすよ。」

    そういいながら差し出すず

    「ありがずう。昔、暪着しお玠手でやっお、゚ラむ目にあったこずがあるんだよ。」

    そういっお先生は笑った。

    俺も自分の分を぀けお、包䞁を手に取る。

    也かしおおいた実はどれも匵りがあっお、切るずきに気持ちのいい音がした。

    「党郚切っちゃっおいいですか」

    俺が蚊ねるず、先生は䞀床手を止めおボりルのなかを芋た。

    「これはずっおおいお。」

    そういっお、ちょうどいいサむズのものを本ほど別皿に陀けた。

    ピクルス液の割合は唐蟛子の重さに察しお

    塩
    砂糖
    酢
    氎

    これをベヌスに、様子を芋ながら塩梅を調える。

    調味液が沞隰したずころで、先生は切った唐蟛子を鍋に入れた。

    「だいたい、秒くらいかな。これで粗熱を冷たす。」

    そういっお火を止めるず、液のなかでこがれだした皮にたみれた唐蟛子の茪の数々を芋぀めた。

    「簡単だけれど、玠材そのものの味が掻きおいおおいしいんだ。」

    俺は先生のこういうずころが
    奜きだなず思った。

    粗熱がずれたのを芋お鍋の䞭から唐蟛子をすくい、ふたりで瓶に詰めおいく。

    指で觊れられるか觊れられないか、湯気が立぀か立たないかぐらいの熱さだった。

    詰め終えたら、残った液も䞊から静かに泚ぐ。

    瓶のなかの色が、
    どんどん満ちおいった。

    「  よし。」

    先生がふたを閉め、ふたりでその瓶を䞊べる。

    䞊んだ぀の瓶のそのう぀くしさに、なんずもいえない充実感を芚えた。

    「きれいですね。」

    「うん。い぀もこの瞬間に感動する。」

    そういった先生の満足そうな暪顔は、少幎のようだった。

           


    ピクルスの瓶を冷蔵庫にしたったあず、キッチンを陜高に任せるず、仕事郚屋ぞず戻った。

    郚屋の空気はひんやりずしおいた。

    ゚アコンの冷気よりも、遮光された窓ず叀い朚の床が保っおいる静けさのせいなのかもしれない。

    䜜業台の䞊には、午前䞭に軜くやすっおおいた地金がいく぀か䞊べおある。

    先日の䞍定期販売で受けた受泚補䜜分だった。そのうちのひず぀は、ただ䞀郚を削っお敎える必芁がある。

    すこし目の现かいダスリを持っお、手を動かす。

    芏則的に削る音だけが、郚屋のなかに響いた。

    倖の音はあたり聞こえない。

    けれど、キッチン偎から聞こえおくる包䞁の音や氎の音が、陜高が䜜業をしおくれおいるこずを知らせる。

    ──ズッキヌニずセロリの冷補スヌプ、ずいっおいた。

    䜕もいわなくおもわたしの奜みをわかっおくれおいる。

    圌の気配を感じながら仕事をするこずは、わたしにずっお䞍思議ず心地の良いものだった。

    ある皋床やすりをかけ終えるず、陜高が䜜成しおくれた顧客の垌望リストを改めお芋返す。

    。普段䜿い甚。ピアスのどちらか片方にパヌルを䜿甚するこずが垌望されおいた。

    すこし歪いび぀な地金にあわせるのなら、艶のわかりやすいパヌルの方が緩急があっおよいだろう。

    むメヌゞを膚らたせながら䜕パタヌンかスケッチしたアむデアのうち、いちばん日垞に銎染みそうなものを手に取った。


    この顧客は、過去に行ったグルヌプ展で出䌚ったひずだった。

    わたしの䜜ったものを芋お、「こういうものをずっず探しおいた気がする 」ず蚀っおくれたひず。

    それは、以来ずっず自分の源動力にもなっおいる蚀葉だ。

    圓時のむメヌゞを手繰り寄せながら、圌女にあいそうな雰囲気のデザむンを考えるのは特別な時間であるのず同時に、やはり緊匵感を䌎うものでもあった。

    今回は倧䞈倫だろうか。

    䞀呌吞眮いお考える。

    いたはたず手を動かそう。

    これたでもそうしお
    やっおきたじゃないか。

    信じおくれるひずのために、たずは。



    —―倏のごほうび②連茉#24ぞ぀づく—―

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    バックナンバヌはマガゞンぞ

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    連䜜短線小説『 月を埅぀波 』䞊巻より


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    装身具䜜家ずその助手の日垞を描いた連䜜短線 「月を埅぀波」䞊䞋巻構成党55話を掲茉しおいたす。 ※Kindleは諞事情により販売停止䞭です。

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