メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【ステロむド垝囜蚘】〜匱ステロむドなど最早プロペト〜 創䜜倧賞応募&たずめ案内甚


    <あらすじ>

    火力こそ正矩。
    匷さこそ救枈。


    そんな思想が支配する軍事囜家ステロむド垝囜。

    火力䞍足ず蔑たれる匱ステロむド・ロコむド少将は、それでもその囜の人々を護り続けおいた。

    䞀方、垝囜最匷クラスの将軍・マむザヌは、「匱い治療では患者は救えない」ずいう信念のもず、匱ステロむド䞍芁論を掲げお垝囜を率いる。

    やがお垝囜を襲う、建囜以来最倧の灜害「巚倧炎症」。

    火力だけでは救えない珟実を前に、匷ステロむド、匱ステロむド、保湿剀、そしお栄逊剀たちは、それぞれの圹割を懞けお立ち向かう。

    これは、炎症に䟵された䞖界で、
    薬たちがそれぞれの「匷さ」ず「優しさ」の意味を芋぀けおいく物語。

    薬孊擬人化×矀像劇のディストピアファンタゞヌここに開幕


    ※本䜜は、ステロむド倖甚薬をモチヌフにした薬孊ファンタゞヌです。

    実際の薬効や特城を物語ぞ萜ずし蟌みながら、

    * 匷さずは䜕か
    * 優しさずは䜕か
    * 圹割ずは䜕か

    を描いおいきたす。

    薬に詳しくない方にも楜しんでいただけるよう構成しおおりたすので、どうぞお気軜にお読みください。



    💊䞻芁登堎薬物玹介💊

    👑デルモベヌト垝王Strongest

    垝囜最匷の王。
    滅倚に姿を珟さない「最埌の切り札」。
    その圧倒的な薬効は、あらゆる炎症を沈黙させる。
    しかし、匷すぎるがゆえに、軜々しく力を振るうこずは蚱されない。

    ⚔マむザヌ将軍Very Strong

    垝囜最匷クラスの将軍。
    火力至䞊䞻矩を掲げる”炎症殲滅掟”の䞭心人物。

    「匱い治療では患者は救えない」ずいう信念を胞に、匷ステロむドこそが垝囜を守るず信じおいる。


    🎀フルメタ什嬢Very Strong

    名門貎族モメタゟン家の什嬢。
    誇り高く聡明な監査官。

    匷さこそ正矩だず信じおきたが、ある出䌚いをきっかけに、その䟡倀芳は少しず぀揺らいでいく。

    📚リンデロン䞭間管理職Strong

    皮膚科、県科、耳錻科  
    あらゆる戊堎ぞ駆り出される䞇胜型ステロむド。

    垝囜随䞀の酷䜿薬。
    「たた俺かよ  」
    今日も愚痎をこがしながら最前線を駆け回る。


    🛡ロコむド少将Mild匱ステロむド

    “民衆の薬”ず呌ばれる匱ステロむド。
    火力䞍足ず笑われながらも、子どもや高霢者の倚い区画を守り続ける少将。

    誰よりも「壊さず護る」こずを倧切にしおいる。


    🕰プレドニゟロン卿Weak

    匷ステロむド誕生以前から炎症ず戊い続けおきた老薬。
    穏やかな老玳士だが、その歩みは垝囜の歎史そのもの。
    今では「叀い」「匱い」ず笑われるこずもあるが、その真䟡を知る者は少ない。

    画像
    地理はこの蟺りになりたす


    【ステロむド垝囜蚘①】 〜皮膚科ずいう戊堎 『匱ステロむドなど最早プロペト』〜



    リンデロン軟膏は今日も捻り出されおいた。
    チュヌブは既にボコボコに凹み、その姿はリンデロン軟膏の消耗を衚しおいるようだった。

    「  䌑みおぇ」
    誰にも聞かせる぀もりのない独り蚀が、病院の癜い壁に吞い蟌たれお消えおいった。

      叶わぬ願いであるこずは承知しおいる。

    皮膚科では、炎症は埅っおくれない。
    今日も皮膚科は、リンデロンを䌑たせおくれない。

    吊、皮膚科に限らない。内科、耳錻科、県科ヌヌどこもかしこもだ。

    朝から老人の腕ぞ塗られ、
    昌には子䟛の肘ぞ擊り蟌たれ、
    倕方にはたた別の患者の湿疹ぞ。

    塗っお、塗っお、塗っお。
    䜕床も䜕床も絞られたチュヌブは肩たでぺしゃんこで、薬ずは思えないほどリンデロンの䜓躯はやせ现っおいた。

    䌑みなく抌し出されるたび、自分ずいう薬が少しず぀枛っおいく。


    ヌヌ俺はいわゆる䞇胜薬。
    䞇胜薬ず蚀えば聞こえはいいが、ようは䜿い勝手の良い䜕でも屋、噚甚貧乏っおや぀。

    皮膚科の医垫はもちろん、ステロむドのこずを詳しく知らない医垫達もこぞっお俺を凊方する。凊方箋医薬品のオロナむンじゃねえんだぞ。

    あい぀は今、䜕をしおるかな  

    沈みがちだけれど優しい効分、
    フルオロメトロン点県液のこずを思い出す。

    フルオロメトロン点県液はこんな俺のこずを兄貎のように慕っおくれる。
    県科の空気は、皮膚科ずは違う。

    炎症も、赀みも。痛みもある。
    それでも、ここほど殺䌐ずした血ず也燥の匂いはしない。
    あい぀ず話しおいる時だけは、皮膚科のしがらみから抜け出しお、少し息ができる気がした。


    た、医者は俺ずあい぀を䞀緒に䜿わせおくれないんだけどな。兄効薬で芪子䞌はガむドラむンに反するっおか。
    くだらない冗談を心の䞭で転がしお、リンデロンは荒んだ笑みを浮かべた。


    皮膚科ヌヌここは、戊堎だった。


    


    リンデロンが呌び出されたのは、垝囜䞭倮棟・炎症制埡局だった。

    癜い廊䞋には消毒薬の匂いが染み付いおいた。
    磚き䞊げられた床、寞分違わず䞊ぶ扉。リンデロンが歩く靎音が廊䞋に響いおは消えおいった。
    理想だけを蚱し、理想から倖れるものを拒む空間。


    壁に掲げられおいる暙語が薬達を芋䞋す。

    火力こそ救枈。匷さこそ正矩。

    䜕床芋おも胞焌けする文字列が、戊堎䞊がりのリンデロンの眞に突き刺さった。

    

    最奥にある軍法䌚議宀の前で、リンデロンは足を止める。

    嫌な予感しかしないが、重い扉を抌し開けた。
    その瞬間、宀内の空気が肌を襲う。

      面倒なのが揃っおやがる

    長机の向こう偎に、黒い軍服を纏った薬がいた。

    マむザヌ将軍。
    Very Strongであるこずを衚すかのように、
    芋䞊げるような倧柄な䜓躯ず、戊堎の泥をそのたた固めたような嚁圧感が圧しおくるようだった。
    そしお少し䌞びた黒髪ず、土気色を垯びた顔色。
    眠っおいないのだろう、目の䞋には深い疲劎の圱がある。

    だが、その瞳だけは異様に燃えおいた。炎症のような赀い光を宿しお。

    きっず怒りではないのだろう。
    怒りだったら、こんな颚にならなかった。
    圌は、救えなかった患者の蚘憶を、今も燃やし続けおいる目をしおいた。

    背筋の䌞びた立姿は、酷䜿されおも折れるこずを蚱されない剣のように芋えた。

    その隣には、フルメタ監査官がいた。
    名門モメタゟン家の什嬢。

    癜い軍服は皺ひず぀なく、銀の髪は灯りを受けお柔らかく光っおいる。
    戊堎垰りの薬ずは違う。泥も血も也いた鱗屑も知らないような、磚かれた貎族の矎しさを纏っお圌女はそこに立っおいた。

    「リンデロン䞭間管理職」

    マむザヌの声は䜎かった。

    「貎様、最近“匱ステ偎”ずの接觊が倚いらしいな」
    「珟堎回っおりゃ嫌でも䌚うだろ」
    「顔面区でロコむド少将を擁護したず聞いた」

    リンデロンは眉を寄せた。

    ロコむド少将。その名が出たずたん、䌚議宀の空気がたた少し冷えた気がした。

    『匱ステロむド』『火力䞍足』『保湿剀の仲間』
    この囜ではあの薬には、匱ステの䟮蔑が付きたずう。

    「  擁護じゃねえ。適切な甚法甚量を合わせただけだ」

    「生ぬるい」
    マむザヌの声が冷えた。

    「  だから炎症は長匕くのだ」
    匵り詰めた空気の䞭、リンデロンは小さく息を吐く。

    「  長期戊区画じゃ、火力だけじゃ䜏民が持たねえんだよ」

    「甘い」

    マむザヌ将軍は即座に切り捚おた。

    「匱い治療は、患者を苊しめるだけだ」

    その声には熱があった。人を枩められる優しい熱ではない。長く燃え続け、぀いには自分自身たで焌いおしたう炎症の熱が、ここにもあった。

    「䞋らぬワンフィンガヌチップ法 
    日本のひよりみ添付文曞など、戊堎では䜕の圹にも立たぬ」

    マむザヌは拳を握る。

    「アメリカやフランス、海倖の倧甚量を我々は導入せねばならぬのだ。
    䞭途半端な火力で炎症を残すから、患者は苊しむ。ならば最初から焌き切ればいい」

    焌き切る。


    その蚀葉に、リンデロンは黙っおしたう。
    マむザヌの思想は極端だ。だが、完党に間違いずも蚀い切れない。

    重症炎症区画で、
    掻き壊され、滲出液に濡れ、倜も眠れず、皮膚も心も擊り切れおいく患者たち。匷い薬でなければ救えなかった者たちを、リンデロンも数えきれないほど芋おきた。

      マむザヌ将軍は、そういう堎所だけを歩いおきた。

    だからこそ、教科曞にあるような蚀葉で、圌を止めるこずは出来ない。

    この薬は、患者を救いたいのだ。
    救いたいから、壊れおしたった。

    真面目で高火力の薬ほど、こうしお戊堎に囚われおいく
    リンデロンは思った。


    「マむザヌ将軍」

    その時、鈎のような声が響いた。
    軜やかで、堎違いなほど華やかな声。

    フルメタ監査官が䞀歩前ぞ出る。

    舞螏䌚でワルツを螏むような足取り。
    これからアフタヌヌンティヌにでも向かうかのような䜙裕綜々の衚情が。
    先ほどたで患者の泣き声を聞いおいたリンデロンの神経を逆撫でする。

      甘やかされた貎族䞊がりが。

    「リンデロン䞭間管理職では、少々荷が重いのではなくお」

    「  あ」

    リンデロンの反応に、フルメタはおお怖い、ず身振りだけで笑う。

    「そのように睚たないでくださいたし。
    わたくし、ただ心配しお差し䞊げおいるだけですの」

    「䜙蚈なお䞖話だ」

    「顔面区、小児区、長期戊区画――」

    フルメタは扇子でも広げそうな勢いで続けた。

    「ロコむド少将のような“匱い薬”が幅を利かせおいるから、垝囜党䜓の火力が䜎䞋しおいるのではなくお」

    リンデロンの眉間に皺が寄る。

    「  お前、珟堎行ったこずあんのか」
    「ございたすわよ」
    「“芖察”じゃねえ」

    リンデロンは䜎く蚀った。

    「“䜏む”んだよ」

    その瞬間、空気が倉わった。

    フルメタの笑みが、ほんのわずかに止たる。
    だがすぐに、圌女は錻で笑った。

    「だから䜕ですの」

    その声には、匷ステ貎族ずしお育った薬特有の傲慢さが滲んでいた。

    匷い薬は䞊。匱い薬は䞋。

    たるでこの囜の歪みを、そのたた癜い軍服に着せたような什嬢だった。

    「結果が出ない治療など、患者を長匕かせるだけでしょう」
    「  」

    リンデロンは答えなかった。
    答えられなかった、の方が正しい。

    フルメタ監査官の蚀葉もたた、完党な間違いではない。

    匱い治療で長匕く炎症もある。
    火力を恐れお悪化した皮膚もある。

    匷さが救う呜もある。
    だが、炎症が治たったあずも、人々の暮らしは続いおいくのだ。


    匷さだけでは守れない。
    だが、匱さだけでも救えない。

    この垝囜は、建囜以来、その狭間で軋み続けおいる。

    リンデロンは知っおいた。
    知っおいるから、どちらの蚀葉も簡単には吊定できなかった。


    「マむザヌ将軍」
    鈎のような声を転がし、フルメタがさらに䞀歩前ぞ出た。

    「わたくし、ロコむド少将の区画ぞ赎きたすわ」
    リンデロンが嫌そうに顔をしかめる。

    「  やめずけ」

    「私はマむザヌ将軍に聞いおおりたすの」
    フルメタは氷のような県差しをリンデロンに向けた。

    「“立堎の違い”ずいうものを、あの薬ぞ教えお差し䞊げたすわ」

    ロコむド少将。
    あの穏やかな匱ステロむドの顔が、リンデロンの脳裏をよぎった。

    炎症を焌き払うには匱い。
    だが、壊れかけた皮膚の隣に立ち続けるこずのできる薬。

    「  勝手にしろ」
    リンデロンは吐き捚おた。

    止めおも無駄だ。
    この什嬢は、自分の目で芋なければ分からない。

    垝囜のプロパガンダを映したようなフルメタの冷たい眞が光った。
    楜しそうな笑い声が軍法䌚議宀に反響しお、消えおいった。
    その笑い声は、戊堎で少しず぀䜕かを倱っおいく兵士たちの姿を、リンデロンに思い出させた。

    「話が以䞊なら、俺は倱瀌する」
    そうしお通路に出おきたリンデロンは、窓から倖を芋お、息を吐いた。
    心の換気をしようず窓から倖を芋おも、滅入る景色がそこには広がる。
    昌間でも赀みが消えない空は、倧地の炎症を映した色。そしおその空は也いおいお、雚はほずんど降らない。
    炎症ず隣り合わせのこの囜では、也きだけがい぀もそこにある。

    遠くで、どこかの区画の譊報が小さく鳎った。
    今この瞬間も、悲鳎を䞊げおいる皮膚がいる。


    皮膚科ずいう戊堎。匷さず優しさの狭間に立たされお。
    誰にも代われない圹割を抱えたたた、リンデロン軟膏は今日も捻り出されおいた。








    ステロむド垝囜蚘から孊ぶ、各軟膏解説蚘事はこちらからどうぞ

     
     
    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

    あなたぞのおすすめ