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【ステロむド垝囜蚘16】垝王デルモベヌト


    「  地䞋反応、移動しおいたす」
    誰も返事をしない。

    地䞋を逃げた炎症は、海底ぞ。
    垝囜を離れようずしおいた。

    朮颚だけが戊堎を吹き抜ける。
    苊しむ炎症の残響のような颚の叫びに包たれる䞭、プレドニゟロンが、どこか懐かしそうに空を芋䞊げお笑った。


    「来おったか」


    「  懐かしい薬圧を感じお来おみれば、やはり貎様か」


    その瞬間、䞖界の重力が倍増したようだった。
    その堎から䞀歩も動けない。
    その堎に居るものの肌だけを、埗䜓のしれない汗だけが䌝っお萜ちおいく。

    皆が動けなくなるような、
    のしかかるような薬圧をものずもせず、プレドニゟロンが懐かし気に笑った。

    「久しいのう デルモベヌト。先の倧戊以来かの」

    真っ暗な倜の䞭、月より光る癜い王服を身にたずっおいた现身の薬。
    しかしその薬圧に䞖界が揺らいで芋えた。
    炎症さえ息を朜める静寂が蚪れる。

    その立ち姿だけで景色が倉わった。
    圧倒的な薬圧が陜炎のようにその薬を包んでいた。

    その薬は、誰よりも匷く、誰よりも静かだった。


    垝王👑デルモベヌトクロベタゟヌル。

    この囜の最䞊䜍。Strongestのステロむド。
    建囜以来、その座を䞀床も譲らぬ薬。

    垝王は巚倧炎症を芋䞋ろした。
    それだけで炎症が吹かせおいた熱颚がおさたった。

    その黄金の瞳に感情はない。
    圌が止たせた颚のように無颚だった。
    ただ珟実だけを映す眞。

    「  地䞋を逃げ、海ぞ逃げるか」

    その䞀蚀だけで空気が震えた。
    マむザヌ将軍が垝王の隣ぞ歩み寄った。

    「垝王陛䞋」

    デルモベヌトは頷いた。二人は炎症を芋据えた。

    「地䞋を逃げたどった炎症の名残が地衚や海ぞ出おきたす」

    「このたたでは飛び火が起きたす 」

    副官が震える声で告げる。

    遠くに浮かぶ島圱がここからでも霞んで芋える。
    炎症は地䞋から海底ぞ䌞びようずしおいた。


    デルモベヌトは静かに目を閉じた。

    「私は」
    そしおゆっくりず口を開く。

    「倧地の䞊で、むやみに薬効を攟぀こずは出来ぬ」
    マむザヌは黙っお聞いおいた。

    垝王ほどの火力を無闇に奮っおしたったら、垝囜そのものが焌けるこずを。

    守るための力が、守るべき囜を壊しおしたう。

    「だから」
    デルモベヌトは䞀歩前ぞ出る。

    「わたしは海を祓う」

    䞀瞬、䜕が起こったのか分からなかった。

    海の䞊を䞀筋の金線が走った。
    その盎埌に、日本海が音を立おお真っ二぀に割れおいく。

    皲劻よりも眩い金の閃光が、海を割った。

    海面が䞀盎線に、隣囜の䜐枡王囜たで裂けおいく。


    割れた海から珟したのは海の底。


    向こうの島囜たで枡れる海底の道が生たれたが、
    海を枡ろうずしおいた炎症ヌヌ飛び火たちが、䞀぀残らず燃え尜きるように薙ぎ払われおいく。


    垝囜䞭の薬ず䜏民が息を呑んだ。
    炎症の断末魔のような声が聞こえた気がしたが、それさえデルモベヌトの薬効に抌し぀ぶされお消えおいった。


    キンダベヌトがロコむドにだけ聞こえる声でおどけお話しかけた。

    「  今なら歩いお島たで行けるな」

    ロコむドは圧倒されお返事も出来なかった。

    ヌヌその光景は冗談では枈たない。
    垝王だけが出来る埡業。

    そしお同時にヌヌデルモベヌトが戊堎ぞ珟れない理由を、肌で理解した。
    デルモベヌトはあたりに匷すぎた。 ステロむドの切り札だ。

    デルモベヌトは薬効を解かずに告げる。

    「マむザヌゞフルプレドナヌト」

    「はっ」

    「私は海を護る」

    ヌヌだから、お前は囜を護れ。

    マむザヌは静かに頭を䞋げた。

    「埡意」

    垝王は続けた。

    「ロコむドヒドロコルチゟン」

    続けお呌ばれたこずに驚き、息が止たりそうになりながら、
    ロコむドは顔を䞊げた。

    「  はい」

    「お前は」

    薬圧、その存圚感に畏怖しおいたロコむドだったが、
    ロコむドの想定より、垝王はずっず穏やかな県差しをしおいた。
    薬光ずおなじ、金色の眞がロコむドを捉える。

    「人を護れ」

    その䞀蚀は呜什ではなかった。

    蚗された。

    そんな颚に聞こえた。

    胞の奥から熱いものがせり䞊げおくる。
    ここで泣いおはいけない。戊争はただ終わっおいない。
    それでも、ロコむドは垝王に認められた嬉しさず、自分に蚗された圹割ずで綯亀ぜになった熱が、自分の䞭から溢れおしたいそうだった。


    ヌヌ守るものは違うのだろう。
    肌を護るこずを目的ずしおも、これだけ思想の違いが生たれるのだから。


    だけれど、

    垝王も。

    将軍も。

    自分も。

    皆、目的は぀なのだず初めお理解した。


    地䞋ではのたうち回った巚倧炎症が最埌の咆哮を䞊げおいた。


    マむザヌは剣を抜いた。

    「党軍」

    ロコむドず同じように蚗されたマむザヌ将軍の静かな声が静寂を割った。

    「反撃を開始する」


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    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

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