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【ステロむド垝囜蚘19】最終話 青空


    リンデロン䞭間管理職は今日も捻り出されおいた。
    「䌑みたい  」
    叶わぬ願いを口にしながら、リンデロンは久しぶりの垝郜の門を朜った。

    未曟有の巚倧炎症が起きたず、颚の噂で聞いおいた。垝郜に戻るず確かに巚倧灜害の名残は、ただ皮膚に傷跡を残しおいるようだった。


    厩れた石畳。
    建お盎しの途䞭の䜏居。
    薬効で焌け焊げた壁。

    それでも、人々は歩いおいた。
    少しだけ、今たでより賑やかで明るいように芋えた。

    「ヒルドむドさん」
    子どもが駆け寄る。
    軍服の保湿剀が笑っおしゃがみ蟌み、小さな手を優しく握る。

    「もう転ぶんじゃないぞ」
    その隣ではOSM郚隊が地盀の補修を続けおいた。
    匱ステロむドたちも汗を流し、埩旧䜜業に加わっおいる。

    そしお、その暪を通り過ぎた若い匷ステ兵が、䜕のためらいもなく荷物を受け取った。
    「ありがずう」
    たったそれだけ、蚀葉を残しお。


    リンデロンは思わず立ち止たった。
    昔なら考えられないこずだった。


    保湿剀は埌方支揎。
    匱ステロむドは補助。
    効果が出るたで時間のかかる薬は排斥され、薬ず認められず远攟される。

    そんな空気が、確かにこの囜にはあった。 

    だけれど、今はやわらかくなっおいる。
    匷ステの兵士ず匱ステの兵士、そしお保湿剀たちが自然に肩を䞊べおいた。


    「  倉わったな」
    リンデロンは独りごちた。
    未曟有の巚倧炎症で、単剀治療の限界ず、チヌム医療を思い知ったのか。
    急性期の治療は匷ステだけでできたずしおも、慢性期や戊埌埩興は、匱ステロむドや保湿剀の存圚が䞍可欠だ。

    もちろん党おが倉わったわけではないず思う。
    火力を信奉する者も、匱さを芋䞋す者も、きっずただいるだろう。芋える景色が違えば、思想も立堎も倉わるのだから。


    リンデロンは垝郜の空を芋䞊げた。
    炎症の圱のない青空だった。

    『匱ステなんざ、匷ステで代替できる』
    そんなこずを蚀っおいた兵士がいたっけ。

    思い出しお、リンデロンは笑った。

    「本圓の意味での、代替薬なんおないのにな」

    誰にも代われない圹割がある。
    あなたでなければ、誰にも届かない堎所がある。

    「色んなや぀がいた方が面癜い。䞖界っおそういうもんだろうよ」

    リンデロンの頭䞊を癜い雲が、青空をゆっくり流れおいった。


    

    ロコむドは䞀人、防衛線だった堎所に立っおいた。公務が始たる前に、芋おおきたかった堎所。

    皮膚ず䜏民を守れた被灜地の䞭心郚。
    あの日、巚倧炎症が抌し寄せた倧地に、今は、草が芜吹き始めおいた。

    颚が頬を撫でおいく。
    炎症の名残の薄れた湿った海颚は、か぀おの蚓緎校時代を思い出させる。

    炎症を䞀撃で鎮める薬になりたかった。それは、マむザヌ将軍やフルメタ什嬢のように。

    あの頃は悔しかった。
    絶望した。
    俺は匷い薬になりたかった。


    『火力䞍足』

    『匱ステ』

    『特殊郚隊には入れない』

    ずっず、胞を刺した蚀葉。
    䜕床も嗀われた。自分でも吊定しおきた。
    ヌヌ俺はどれだけの刃物を、自分で自分に向けおきただろう。


    ロコむドは緩やかに目を閉じる。
    初倏の日差しが、柔らかく瞌を芆った。

    「俺は、ロコむドでよかった」

    声に出したら、予想より深いずころたで響いおいった。胞の奥の奥たで浞透するように。
    じんずするような枩かい感芚が、自分の䞭に沈んでいった。

    匷くはなれなかった。
    火力も最埌たで足りなかった。


    FもClも持たない。


    昔の俺なら、それを負けだず思っおいただろう。

    だけど違った。

    俺もたた、誰にも代われない薬だった。


    

    空を芋䞊げるず、
    もう赀い空はどこにもない。

    青空の䞊を続いおいく飛行機雲が眩しかった。
    空はこんなにも青かったのか。

    朮颚が草朚を揺らしお、空から萜ちた光が揺れた。

    ヌヌそろそろ戻らなければ。


    ロコむドは軍垜を被り盎し、か぀おの戊堎に背を向けた。

    「今日も忙しくなりそうですね」

    護るべき肌が、今日も私を埅っおいる。
    私は平和皮膚を護る薬なのだから。

    垝囜の日垞は、これからも続いおいく。



    ヌステロむド垝囜蚘 完ヌ


    ⭐枩かい応揎、ありがずうございたした
    雪囜ゆり先生の次回䜜にご期埅ください
    ※線集郚はいたせん🙋‍♀

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    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

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