
【ステロイド帝国記外伝】〜白内障手術を終えて〜
おじいさんは薬袋を握りしめたまま、
背中を丸めて溜息をついた。
グシャグシャになった薬袋の中には、私たち点眼薬が入っている。
「えーと、目薬は全部で……3種類?4種類?
沢山あるなあ、全部一度に差そうか…」
その台詞で薬袋の中が阿鼻叫喚になった。
「俺たちは5分置きに差せ!」
「リンデロンとフルオロメトロンは同種同効薬だから一緒に差さないで!」
「眼球の中に一度に1滴以上入れたら未曾有の大洪水になるぞ!」
薬袋の中でいくら騒いでも、私たちの声は患者に届かない。
「あ、薬局でもらった、どの時期にどの目薬を使うかの表だ……1回1滴…?
本当にそんなんで効くのか?」
「効く!効くから大丈夫!」
「溢れたら逆に目の周りの薄い皮膚で副作用が起こるから!!」
「1滴ずつにしてください、お願いします!!!」
プラスチックの容器を曲げてでも土下座しそうな点眼薬たちだったが、続いた声に安堵する。
「一回一滴……特にリンデロンは強いお薬だから絶対守ること……フルオロメトロンは同じ種類の強さだけが違うお薬なので、リンデロンとは一緒に使用しないで……」
最悪の危機は回避できそうで、リンデロン点眼液とフルオロメトロン点眼液は顔を見合わせた後2薬で胸を撫で下ろした。
ーー私たちがどれだけ騒いでも、私たちの声は患者さんには届かない。
私たちの声を代弁するのは、薬剤師たちだ。
*
レボフロキサシン点眼液とジクロフェナク点眼液は、指示された日から、目薬がなくなるまで使われる。
だけど、リンデロン先輩と私ーーフルオロメトロン点眼薬は交代をしなくちゃならない。
覚えておいてね、リンデロン先輩とフルオロメトロンは同じ括りのお薬なの。
だから、2薬は眼球の中で一緒にいられない。
薬の作用が強く出過ぎてしまうから。
そこの転換で苦労してしまうおじいさまおばあさまは多い。
だから気をつけてと伝えたいのだけれど、私の声はいったいどこまで届けられるのだろう。
薬たちは、役目を交代をしていく。
連綿と異なる役割を継承していく。
強い薬から、弱い薬へ。
病と戦う薬から、共に生きる薬へ。
リンデロン先輩が終わったら、私の出番。
そして私の出番が終わったら、次はヒアルロン酸点眼液。ステロイドから保湿剤にバトンタッチ。
ーーわたしも、弱いステロイドと卑下することなどないのかもしれないな。
ただ、役割がみんな違うだけだ。
フルオロメトロンは術後の濁りの取れた目から、早朝に浜辺を散歩するおじいさんと一緒に、遠くの佐渡が見える日本海を見た。
タリビット眼軟膏は、今頃なにしてるかな。
手術後の眸から見える揺れる海面は、今までよりずっと光輝いて見えた。
***

みみさんのリクより、
白内障オペ後の点眼チルドレンvsおじいちゃんでした!
戦いというか目薬たちの懇願😂
みみさん、ありがとうございました!!
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さて、佐渡が見える日本海をフルオロメトロン点眼液は見ていたようなので、ちょっと整理してみますね!

ステロイド帝国は国土のチューブが空になりそうな時、キャップ状の先端から 「チューブラ潮風」を吹かします。
そうすると、
* ステロイド帝国の薬剤粒子が海へ流出
* 微量成分がプランクトンを活性化
* 魚群が集まる
* 佐渡キングダムが海洋国家として発展
こういった流れで、佐渡キングダムは漁業大国として発展して行ったのですね。素晴らしいです👏
新潟国は民主主義平和国ですが、
軍事国家ステロイド帝国も、思想は違えど新潟国民と同じ海を見ているのです。
非常に感慨深いですね〜!🌊🌊🌊