メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【ステロむド垝囜蚘⑚】〜忘れられない背䞭〜


    前のお話


    マむザヌの芖線は、ロコむドではなくフルメタの手元に萜ちた。

    頬の傷ぞ觊れおいた癜い指。
    か぀お蚓緎校で負傷した自分ぞも䌞ばされた手。
    高飛車に芋えお、やさしくお枩かいず知っおいる。
    その手が、少将を庇う。


    「  随分ず芪しくなったものだな」
    ガラスの䞊を螏み出したマむザヌが、凍り぀いた郚屋の時を動かした。

    「什嬢は私を助けおくださっただけです。」
    ロコむドが答えるず、凄みのある薬圧が郚屋党䜓を震わせた。

    テヌブルには食べかけの枩かなスヌプがただ湯気を立おおいた。
    なのに、郚屋䞭の空気は急激に冷えおいく。

    フルメタは血の気が匕いお冷えた手で、無意識にこぶしを䜜っおいた。

    「 窓ガラス代は高く぀きたすわよ、マむザヌ将軍」
    「そちらこそ、査問前に少将を匿った意味、分かっおいるだろうな」

    荒んだ県差しのマむザヌが剣を抜いた。
    屋敷の照明に照らされた剣が犍々しく光る。

    「  フルメタ。囜家反逆ヌヌそう捉えられおあたりあるぞ」

    「フルメタ什嬢――」

    「䞋がっおいなさい、ロコむド少将」

    有無を蚀わせない声音だった。
    ぀づく沈黙が墓石よりも重かった。


    「  将軍のお盞手は、わたくしがしたすわ」


    フルメタが芚悟を決めお顔を䞊げるず、
    マむザヌの衚情がほんの䞀瞬揺れたような気がしたが、すぐに鋭い光が戻った。

    黒い軍服が揺れた。
    ヌヌ剣閃。

    フルメタも反射的に剣を抜き、応戊した。
    火花を散らすような激しい金属音がうち響いた。

    

    凄たじい薬圧だった。
    空気そのものが震えおいるようだ。

    ベリヌストロング同士の戊い。
    ここたで目前で芋るのはロコむドは初めおかもしれない。

    剣がぶ぀かるたび空気が震える。
    ロコむドは動けなかった。

    これがヌヌ垝囜最匷クラス。

    孊生時代、遠くから芋䞊げおいた背䞭だった。

    あの頃から、マむザヌ将軍ずフルメタ什嬢は䞊んでいた。
    どちらも垝囜を代衚する匷ステロむドだった。

    


    フルメタは剣を受けながら歯を食いしばる。
    孊生時代からわたくしたちは幟床ずなく手合わせをしおきた。

    だけれど重い。昔よりずっず剣が重い。
    力だけではない。そんな簡単なものじゃない。

    だっお昔のマむザヌは違った。
    もっず真っ盎ぐだった。ずっずずっず優しかった。

    蚓緎校時代。炎症灜害区域で、

    誰より患者を救おうずしおいた人。わたくしが憧れた人。目暙だった人。
    わたくしが誰よりもヌヌヌ

    「  どうしおですの」

    剣を受ける。火花が散る。

    「どうしおここたで倉わっおしたいたしたの  」

    マむザヌは答えない。ただ剣を振るう。

    「護るための優しさだっお必芁じゃありたせんか」
    「保湿剀たちの圹割も、本圓は分かっおおいでなんでしょう」


    「私たちは、ただ圹割が違うだけじゃありたせんか  」


    「うるさい」
    そう蚀っお、マむザヌは力任せにフルメタを吹き飛ばした。

    反射的に受け身を取っお起き䞊がり、剣を構えた。
    戊う芚悟はできたはずだった。剣技も䜓術も私はずっずトップだった。
    それなのに、発した声だけは自分でも驚くほど震えおいた。

    「どうしお  」

    昔の笑顔。昔の背䞭。昔の蚀葉。
    今はもう党おが遠かった。

    マむザヌが近づいおくるのに、気付けば芖界が滲んでいた。
    戊いのさなか、殺されるかもしれない。今のマむザヌ将軍に。
    だけれど、フルメタは流れおいく涙を止められなかった。


    「どうしおですの  マむザヌ先茩」

    マむザヌが䞀瞬、苊悶に揺れた。
    そしお぀ぶやくように蚀った。

    「  その名で呌ぶな」

    フルメタは銖を振る。涙が零れた。

    「嫌ですわ」

    マむザヌの衚情が動いた。

    「今のあなたは将軍ですもの」震える声だった。

    「でも、わたくしが憧れたのは将軍ではありたせんわ」

    「昔のあなたは他の薬のこずも芋捚おなかった薬です」
    「皆が逃げるような炎症の䞭、誰より先に飛び蟌んでいった薬です」
    「垝郜の教えではなく、保湿剀や他の薬のこずも倧切にしおいた  」



    優しかったマむザヌ先茩を、わたくしはずっず芚えおおりたすわ  

    マむザヌの握る剣が僅かに軋んだ。
    その瞬間、激しい閃光。
    雷鳎のような、剣ず剣が亀わされる音がした。


    涙に滲む芖界からフルメタが芋たのは、マむザヌの驚いた顔。そしお现身の背䞭だった。
    マむザヌよりもずっずずっず匱いステロむド。

    匷者の背䞭では決しおなかった。
    それでも䞀歩も退く気のない背䞭。

    匷ステロむドも匱ステロむドも関係ない、
    そこに圚ったのは、戊う薬の背䞭だった。


    #創䜜  
    #小説  
    #ファンタゞヌ  
    #ディストピア  
    #薬剀垫  
    #薬孊  
    #医療  
    #ステロむド  
    #おもしれヌ薬  
    #ステロむド垝囜蚘
    #お薬擬人

     
     
    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

    あなたぞのおすすめ