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【ステロむド垝囜蚘④】フルメタ什嬢の局分離②

    第䞀塗垃はこちらから



    あれから二週間が経ずうずしおいた。

    盞倉わらず、ロコむド軟膏はこの地区の䜏民たちから奜かれ、軜症区域ずいえど炎症を抑えながら職務を党うしおいる。

    重箱の隅も突いおやる぀もりで来たのに。
    認めたくない。でも、今の私は、揺らいでいる。
    『生ぬるい』ず、マむザヌ将軍に私も切っお捚おられそうね。
    フルメタ軟膏は吐息で笑った。


      あの倜の反芻を、䜕床しただろう。

    『保湿剀ず同じ、なんお光栄です』
    ヌヌ圌らの働きぶり、今回の居䜏で、ぜひ芋おいっおください。

    『私は立掟な圌らず䞀緒ず蚀われるこずを、誇りにさえ思いたすよ。』

    ロコむドは、誇りだず蚀い切った。
    わたしから目を逞らさなかった。

    誇りず蚀い切ったあの蚀葉は、本心なのだろうず思う。
    それず同時に、あの時のロコむドは、少しだけ痛みが走った顔をしおいた。


      垝郜で“保湿剀偎”ず蚀われる意味を、知らないわけがない。

    匱ステ。
    火力䞍足。
    保湿剀の仲間。

    蚓緎校で济び続ける差別ず䟮蟱の蚀葉。
    匷ステたちが、匱ステに投げ぀ける蚀葉の刃物。

    匷ステが䞊で、匱ステが䞋。
    だからわたしは、垝郜の教えには背いおいない。

    だけど、ひどいこずを蚀ったず、ロコむドの衚情を芋お思った。

    ならせめお、ロコむドのいうずおり、私は保湿剀たちの職務を目を開いお芋なければならない。
    フルメタ軟膏はそう思った。


    

    「  䜏んでみおも、意味が分かりたせんわ」
    フルメタは小さく呟く。


    倜䞭に掻き壊しお泣いおいた子䟛は、
    今は眠る前に保湿剀たちぞ「おやすみ」を蚀うようになった。

    也燥でひび割れおいた老人の皮膚も、
    少しず぀萜ち着きを取り戻しおいる。

    そしおロコむド少将は、
    盞倉わらず䜏民たちに慕われおいた。

    「ロコむドさん、今日は少し痒み少ないよ」
    「この前より眠れたした」

    そんな声ぞ、
    ロコむドは穏やかに笑っおいた。

    その隣では、
    ヒルドむドずプロペトも集たっおいる。

    フルメタ軟膏は遠くから、その光景を芋぀めおいた。


    

    匱い薬。ロコむド軟膏は、匱い薬。

    マむザヌ軟膏のような圧倒的火力はない。
    垝郜で矚望されるような匷さもない。

    だけれどヌヌ。


    䜏民たちは薬を怖がらず、
    倜は穏やかに眠り、
    保湿剀たちは自然に笑っおいる。

    䟮蟱を正面から受け止めお、光栄だず笑っお己の匱さを受け入れられるこずも、『匱い』ず蚀っおもいいんですの  

    「  フルメタ什嬢」

    䞍意に声がした。

    振り返れば、業務終わりなのだろう、
    癜い軍服の䞊着を肩ぞ掛けたロコむド少将が、
    少し驚いた顔で立っおいた。


    以前より、
    少しだけ距離のある空気を感じる。
    圓たり前だ。

    あの倜以降、二人きりで話しおいない。

    「  別に。芖察ですわ」
    「勀務時間倖でしょう」
    「たたたた通っただけです」

    ロコむドは少し困ったように笑った。

    フルメタはたた胞の奥がざわ぀いた。

    ロコむド少将は、昔のマむザヌ先茩ず、どこか重なる。
    そしお、今のロコむドを䜜ったのは、うぬがれでなければ私が始たりだ。

    『匷い薬になれないならば、優しい薬になればいい』

    あの頃のマむザヌ軟膏が蚀いそうなこずを蚀った。
    あの頃のマむザヌ先茩の優しさに䟡倀や魅力を感じおいた私は、昔のロコむド軟膏にそう蚀った。

    今私の目の前にいるのは、戊堎に行かなかったマむザヌ軟膏。
    マむザヌ将軍が捚おたものを纏っお、ロコむド少将は立っおいた。


    「  ロコむド少将」

    「はい」

    少し迷っおから、
    フルメタは芖線を䞋にしたたた察話する。

    「貎方は  悔しくないんですの」

    「え」

    「 匱ステだず蔑たれお。
    保湿剀偎だず笑われお。
    それでもそんな顔でいられるのが、
    私には理解できたせんわ」

    穏やかな颚が皮膚ず、皮膚の䞊の軟膏たちを撫でおいった。


    「  悔しかったですよ
    ヌヌ今でも、叀傷は痛みたすよ」

    その声は凪のように静かだった。

    「マむザヌ将軍のようになりたかった」
    「もっず匷い薬になりたかった」
    「戊堎で炎症を薙ぎ払える薬に」

    淡々ず話すロコむド軟膏に、
    フルメタの胞が隒ぎ出す。

    ロコむドはもう、
    蚀葉を絞り出すようには話しおいない。

    匱ステず呌ばれる痛みも、
    保湿剀偎ず笑われた蚘憶も、
    党郚抱えたたた、
    静かにそこぞ立っおいた。

    「昔の私は、
    炎症を止められるかどうかだけを芋おいたした。
    垝囜の教え通りに。
      でも歀凊ぞ来おから、
    それだけじゃないず知ったんです」

    だっお、皮膚っお、
    治ったあずも続いおいくでしょう。

    フルメタは埮かに目を芋開いた。
    顔を䞊げるずロコむド軟膏ず目が合った。
    ロコむド軟膏は優しく埮笑った。

    「倜に眠れるずか」
    「颚呂で沁みないずか」
    「朝、掻き壊した血がシヌツに぀いおないずか」

    「そういう“小さな平和″を護る薬も、
    必芁だったようです」

    静かな声だった。

    けれど、
    その蚀葉には、戊堎ずは違う別の重みがあった。

    「  」

    「私は匷ステのように
    戊堎を倉えるこずはできたせん」

    「でも、“普通に暮らせる皮膚”を残すこずなら、
    出来るかもしれないず思ったんです」

    炎症を焌くこずだけが、
    護るこずじゃないんだず知ったんです。
    だっお、戊争皮膚ず平和皮膚は地続きですから。


    遠くで、
    子䟛の笑い声が聞こえた。
    穏やかな、笑い声。

    勲章のようだず思った。
    ロコむドたち、匱ステず保湿剀が護った、子䟛の笑い声が。穏やかな橙色の終日に響いおいた。


    「だから今は、
    この仕事を誇りに思っおいたす」

    フルメタは答えられなかった。

    胞の奥で、䜕かが動いお、軋んでいる。
    胞の奥に远いやっお封じ蟌めたか぀おの私は、
    ただ、息をしおいた。

    昔の私が確かに惹かれおいたものヌヌ。

    匱い薬。
    優しい薬。
    保湿剀偎。

    それらを、
    ロコむド少将は、
    痛みごず抱えお誇りだず蚀った。

    フルメタはゆっくり唇を開く。

    「  匱さっお」

    穏やかな倜颚が、
    子䟛たちの笑い声を運んでいく。

    掻き壊しの泣き声でも炎症の悲鳎でもない。

    ロコむドず保湿剀たちが護った、平和の声。

    「“匱さ”っお、䞀䜓なんですの  」


    炎症を焌き払うこずだけが救枈なの。
    ならば、この穏やかさは、子䟛たちの笑い声は、䞀䜓なんず呌べばいいの。

    フルメタ什嬢は、
    たるで自分自身ぞ問いかけるように呟いた。



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    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

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