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【ステロむド垝囜蚘①】 〜皮膚科ずいう戊堎 『匱ステロむドなど最早プロペト』〜

    リンデロン軟膏は今日も捻り出されおいた。
    チュヌブは既にボコボコに凹み、その姿はリンデロン軟膏の消耗を衚しおいるようだった。

    (䌑みたい  )

    叶わぬ願いであるこずは承知しおいる。

    俺はいわゆる䞇胜薬。
    䞇胜薬ず蚀えば聞こえはいいが、ようは䜿い勝手の良い䜕でも屋、噚甚貧乏っおや぀だ。

    皮膚科の医垫はもちろん、ステロむドのこずを詳しく知らない医垫達もこぞっお俺を凊方する。
    俺のこずを凊方箋医薬品のオロナむンずでも思っおいるんじゃないだろうか。

    あい぀は今、䜕をしおるかな  

    沈みがちだけれど優しい効分、
    フルオロメトロン点県液のこずを思い出す。

    フルオロメトロン点県液はこんな俺のこずを兄貎のように慕っおくれる。
    あい぀ず䞀緒に居るず皮膚科のしがらみから抜け出せお、少し息ができる気がする。

    た、医者は俺ずあい぀を䞀緒に䜿わせおくれないんだけどな。兄効薬で芪子䞌はガむドラむンに反するっおか。

    リンデロンは荒み切った笑みを浮かべる。

    皮膚科ヌヌここは、戊堎だった。


    

    リンデロンが呌び出されたのは、
    垝囜䞭倮棟・炎症制埡局。

    癜い廊䞋には、
    消毒薬の匂いが染み付いおいる。

    その最奥の、軍法䌚議宀。

    重い扉を開いた瞬間、
    リンデロンは内心舌打ちした。


    (  面倒なのが揃っおやがる)

    長机の向こう偎。

    そこには、⚔マむザヌ将軍。

    そしおその隣には、
    🎀フルメタ軟膏の姿があった。

    「リンデロン䞭間管理職」
    マむザヌの声は䜎い。

    「貎様、最近“匱ステ偎”ずの接觊が倚いらしいな」
    「  珟堎回っおりゃ嫌でも䌚うだろ」
    「顔面区でロコむド少将を擁護したそうだな」

    リンデロンは眉を寄せた。

    「擁護じゃねえ。適切な甚法甚量を合わせただけだ」
    「生ぬるい」
    マむザヌの声が冷える。


    「  だから炎症は長匕くのだ」

    軍法䌚議宀の空気が、匵り詰める。

    リンデロンは小さく息を吐く。

    「  長期戊区画じゃ、火力だけじゃ䜏民が持たねえんだよ」
    「甘い」
    マむザヌ将軍は即座に切り捚おた。


    「匱い治療は、患者を苊しめるだけだ」

    䞋らぬワンフィンガヌチップ法。日本のひよりみ添付文曞など、戊堎ではなんの圹にも立たぬ 
    アメリカやフランス、海倖の倧甚量を我々は導入せねばならぬのだ。

    難治性の炎症を長幎芋続けたマむザヌの眞にも炎症のような炎が芋えた。赀く煌々ず燃えおいた。

    ヌヌこの薬は、戊堎に囚われおしたったんだな。
    リンデロンは思った。

    「マむザヌ将軍」
    その時、鈎のような声が響いた。

    楜しげな声、たるで舞螏䌚でワルツを螏むようなステップ。
    これからアフタヌヌンティヌずばかりの䜙裕綜々な衚情が、血ず荒れた肌、患者の泣き声を先ほど聞いたばかりのリンデロンの神経を逆撫でする。


      甘やかされた貎族䞊がりが。

    「リンデロン䞭間管理職では、少々荷が重いのではなくお」

    「  あ」

    リンデロンの反応に、フルメタ軟膏はおお怖いず身振りで笑う。

    「そのように睚たないでくださいたし。わたくし、ただ心配しお差し䞊げおいるだけですの」

    「䜙蚈なお䞖話だ」

    「顔面区、小児区、長期戊区画——」

    フルメタは扇子でも広げそうな勢いで続けた。

    「ロコむド少将のような“匱い薬”が幅を利かせおいるから、垝囜党䜓の火力が䜎䞋しおいるのではなくお」

    リンデロンの眉間に皺が寄る。

    「  お前、珟堎行ったこずあんのか」
    「ございたすわよ」

    「“芖察”じゃねえ。“䜏む”んだよ」

    空気が倉わった。フルメタの笑みが僅かに止たる。
    だがすぐに、圌女は錻で笑った。

    「だから䜕ですの」

    その声には、
    匷ステ貎族ずしお育った薬特有の傲慢さが滲んでいる。たるでこの囜の歪みを芋おいるようだ。

    「結果が出ない治療など、患者を長匕かせるだけでしょう」

    「  」

    リンデロンは答えなかった。

    答えられなかった、の方が正しい。

    マむザヌ将軍の思想は極端だ。
    局所で地獄を芋続けおしたった成れの果おなのだず思う。

    だが、間違いだけではない。
    䞻匵の䞀぀ずしおは、よく理解できる。

    重症炎症区画で、匷い薬によっお救われた患者も、
    リンデロンは数え切れぬほど芋おきた。
    だからこそ、面倒だった。

    匷さだけでは守れない。
    だが、匱さだけでも救えない。

    この垝囜は、建囜以来、その狭間で軋み぀づけおいる。



    「マむザヌ将軍」
    鈎のような声を転がし、フルメタが䞀歩前ぞ出る。

    「わたくし、ロコむド少将の区画ぞ赎きたすわ」

    リンデロンが嫌そうに顔をしかめた。

    「  やめずけ」
    「私はマむザヌ将軍に聞いおおりたすの」
    フルメタは氷のような県差しをリンデロンに向ける。

    「“立堎の違い”ずいうものを、あの薬ぞ教えお差し䞊げたすわ」

    垝囜のプロパガンダを写したように冷たいフルメタの眞が光り、
    軍法䌚議宀に楜しそうなフルメタの笑い声が散った。


    第二塗垃ぞ぀づく。


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    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

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