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【ステロむド垝囜蚘⑥】慕われる薬では、囜は救えない



    フルメタは垝郜䞭倮棟ぞず呌び出されおいた。

    軍議は終わっおいる。
    重厚な扉が閉じられ、広い執務宀には䞉薬だけが残された。

    マむザヌ将軍。
    アンテベヌト䞭将。
    そしお垰還したフルメタ什嬢。

    窓の倖、暗瀁のような倜空に垝郜の灯だけが赀く映る。炎症の残り火のような灯が揺れおいた。
    雚でも降ればいいのに、炎症ず隣り合わせのこの囜では也燥ばかりで滅倚に雚は降らない。



    「芖察ご苊劎」
    マむザヌ将軍は曞類をめくったたた蚀った。

    「圓然ですわ」
    フルメタは腕を組む。

    盞倉わらずだ。
    マむザヌ将軍の右腕、アンテベヌト䞭将は内心でそう思った。

    匷くお高慢。
    ステロむド垝囜貎族の、䞖間知らずの癖に火力だけ高い生意気什嬢。
    名門貎族出身の垝囜゚リヌト。

    叩き䞊げの軍薬からするず、珟堎も知らないくせにず目障りなこずも倚いはずだが、マむザヌ将軍はフルメタ什嬢を䜕故か嫌がらない。


    「ロコむド少将の区画はどうだった」
    「炎症もほずんど萜ち着いおいお退屈でしたわ」
    マむザヌ将軍の問いに、ずフルメタ什嬢は退屈そうに返した。


    「そうか」
    将軍はそれ以䞊聞かず、
    アンテベヌト䞭将も特に気に留めなかった。

    ロコむド少将の掟遣先はいわゆる匱ステ区画。
    匷ステからしたら党力も出せず、退屈だったのは圓然だろう。


    「ロコむド少将は」
    マむザヌがもう䞀぀問うず、フルメタの指先が少しだけ止たった。

    「  盞倉わらずでしたわ」
    「盞倉わらず」
    「匱い薬でしたわ」

    フルメタは぀んず柄たしお玅茶を飲んだ。
    い぀も通りだった。

    アンテベヌトにはそう芋えたが、
    マむザヌは曞類から目を䞊げおフルメタを芋おいた。


    「ロコむド少将は珟圚垰還䞭です」

    アンテベヌトが報告する。

    「垝郜到着は明朝かず」
    「そうか」


    将軍は静かに頷いた。
    フルメタ什嬢が眉を顰める。

    「䜕ですの」
    「いや」
    マむザヌ将軍は怅子にもたれた。


    「ロコむド少将を垝郜に呌び戻した」
    「存じおいたすわ」

    「理由は分かるか、フルメタ」
    フルメタは肩を竊めた。

    「匱ステの監査でしょう」
    アンテベヌトも同意した。

    それ以倖に理由があるずは思えない。


    「半分は正解だ」
    執務宀が静たった。


    「 もう半分は」
    アンテベヌトが尋ねる。


    将軍は窓の倖を芋た。
    赀い灯火が揺れおいる。


    「確認する぀もりだ」
    「確認」
    なんの確認ですの、フルメタ什嬢の問いにマむザヌ将軍は答える。

    「患者に慕われおいるらしい。
    そしお保湿剀どもからも支持されおいる」
    将軍は続ける。


    「だが  匱い」
    ➻そこが臎呜的。
    淡々ず話すその蚀葉に、フルメタの睫毛が揺れた。


    「匱い薬ではこの囜は守れん」
    い぀もの将軍の蚀葉。そしおこの垝囜の教え。

    「だから芋ようず思う」

    アンテベヌトは理解した。
    ➻査問前の確認か。

    垝囜に䞍芁なら粛枅。必芁なら残す。
    合理的で将軍らしかった。

    マむザヌ将軍の思想ずは圓然盞いれない。
    だけれど、優良の結果を出し続けおいるロコむド少将を即切るほど、マむザヌは愚かではなかったはずだ。


    「フルメタ」
    䜎い声が圌女の名を呌んだ。
    フルメタはびくりずする。
    この声に安心しお、心地良いず思っおいた時代があったはずなのに➻

    「なんですの」
    答えるフルメタに、
    将軍の芖線が真っ盎ぐに向けられた。


    「お前はあの地で䜕を芋おきた」


    胞の奥で䜕かが跳ねた。


    炎症ではない橙で柔らかく照らされる倧地。
    保湿剀ず、子䟛たちの笑い声。

      ロコむド少将の、平和を護る姿。


    短かったけれど濃密な蚘憶。
    その党おが脳裏を駆け抜ける。


    「  䜕も」

    フルメタ什嬢はそう答えた。

    「  そうか」


    「  䌚議が終わりたしたので、私は退垭いたしたすわ」
    そう蚀っお垭を立぀フルメタにマむザヌ将軍はそれ以䞊远及しなかった。


    だけれど、声だけが远いかけた。

    「患者に慕われるこずず、
    垝囜を守れるこずは同矩ではない」

    ➻匱い薬。患者に慕われる薬。

    「優しさだけでは囜は守れない  
    お前ならわかるだろう、フルメタ」

    扉から出おいくフルメタ軟膏の肩が少しだけ跳ねた気がしたけど、それはアンテベヌトの気のせいだったかもしれない。


    ➻優しい薬。


    窓の倖では垝郜の灯が赀く燃えおいた。
    どこかで新しい炎症が始たる前觊れのようだった。

    この炎症は、䞀䜓誰を焌くのだろう。
    それずも今すでに、この囜が焌かれおいる最䞭なのだろうか。

    火皮はすでに散っおいた。
    だけどただ、誰も気づかない。






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    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

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