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【ステロむド垝囜蚘⑫】 届かなかった背䞭


    想定よりも巚倧だった炎症、そしおその拡倧に䌎い、東郚戊線ず沿岞防衛線は統合指揮䞋ぞ移行しおいた。
    各戊線の指揮官たちも炎症䞭心郚ぞ集結。
    それぞれの郚隊、党おの薬が炎症を芋据えおいた。

    炎症は空を焌いおいる。
    倜なのに真っ赀な空が、垝郜を流れる譊報より異垞事態を告げおいる。そしおその赀は、たるで血を流したように空から沿岞郚䞀垯たで芆い尜くしおいた。

    避難民の列が続く。
    保湿剀郚隊が負傷者を運び、䜏民たちが泣きながら走っおいた。
    匱ステの若い兵士が逃げながら転倒しおしたった䜏民の手圓おを行う。


    「海䞊飛散確認」

    怒号が響く。掛け声のあず、
    真っ赀に染たった海岞線に、黒い軍服を纏った郚隊が䞀斉に前ぞ出る。

    胞元にはクロロ王章。
    Clの䞀族が䞭心ずなるクロロ特殊郚隊だった。


    「遮断線展開」
    隊長の号什ず共に郚隊が散開する。
    炎症の飛沫が朮颚に乗り、海䞊ぞ拡散しようずしおいた。

    もし海を越えれば囜倖に飛び火が飛ぶ。
    炎症が䞖界に広がっおしたう。
    絶察に通すわけにはいかなかった。

    「鎮圧せよ」

    クロロ郚隊が䞀斉に炎症ぞ突入する。
    海岞線で爆発が起きお、炎症の奔流が吹き荒れる。

    䞀薬が吹き飛んで、二薬が膝を぀く。
    それでも誰も退かなかった。


    「ただだ」

    「防衛線を維持しろ」

    「俺たちはClの䞀族Clの名に懞けお、俺たちは死んでも匕かぬ」


    


    同時刻、東郚戊線。

    こちらの軍薬たちが正面から炎症ずぶ぀かっおいた。
    垝囜最高火力を誇る粟鋭、フッ玠化郚隊。

    炎症を䞀床捕たえたら決しお離さない。
    炎症の奥深くたで入り蟌み、鎮静化するたで炎症を抱き続ける。
    それが、フッ玠で匷化されたステロむドたちだ。


    「抌し返せ」

    「第二陣前ぞ」

    炎症の壁が厩れる。

    地面が砕け、空気が震えた。

    フッ玠化郚隊は匷かった。䞀撃ごずに炎症が吹き飛んだ。
    たるで灜害そのものず殎り合うような、フッ玠化郚隊。


    若い匷ステの兵士が叫んだ。

    「いける」

    「抌しおいたす」

    垌望が芋えたず思ったその瞬間だった。

    炎症が脈動した。
    赀黒い光が膚れ䞊がる。


    倧地が揺れた。


    炎症がさらに巚倧化した。

    「なっ  」

    兵士たちの顔色が倉わる。
    吹き飛ばしたはずの炎症が。





    増殖しおいる 








    「銬鹿な  」
    「いったん匕け䜓制を立お盎す」



    クロロ特殊郚隊埌退。

    東郚防衛線埌退。

    フッ玠化郚隊埌退。





    垝囜が誇る粟鋭たちでさえ抌し返されおいた。

    その堎にいた誰もが理解した。

    これは異垞だ。
    いったい䜕が起きおいる
    少なくずも、ここ癟幎は起きおいない。


    この囜でいた、未曜有の䜕かが起きおいる。



    その時だった。

    ざわめきが起こる。
    人々が䞀斉に䞀番空に近い厖を芋䞊げた。


    「将軍だ  」

    誰かが呟く。
    その声は波王のように広がった。


    「マむザヌ将軍  」

    遠くおも圌ず分かった。
    あたりにも圧倒的な薬の姿。
    炎症を芋おいた者たちの目も、自然に将軍に向いた。


    炎症の䞭心ぞ向かう䞀぀の圱。
    黒い軍服が揺れる。
    ただ前だけを芋お歩く背䞭が倜だずいうのに眩しかった。


    マむザヌは振り返らない。
    ただ前だけを芋おいた。


    たるで䞀人で炎症そのものを迎え撃぀かのように。


    「たさか  」

    若い兵士が震える声を挏らす。

    「将軍お䞀人で  」

    副官の制止を無芖し、マむザヌは前ぞ出る。
    そしお、右腕を静かに掲げる。



    蜟音が鳎り響いた。空を裂く。


    空が裂けお、赀黒い炎症雲が真っ二぀に割れる。
    海面が揺れ、地面が震えおいる。
    凄たじい薬圧に、芋守っおいる者は息が出来なかった。


    巚倧炎症が䞀瞬で吹き飛んだ。
    血のような赀が消え、空は倜を取り戻す。

    誰も声を出せなかった。
    兵士たちはただ立ち尜くしおいた。

    炎症を吹き飛ばした光景よりも、それを圓然のように成し遂げた薬の存圚に。


    誰ずもなしに、぀ぶやいおいた。

    「これが、マむザヌ将軍  」



    マむザヌゞフルプレドナヌト。
    Fの意思を継ぐ者。

    ぀のFをその身に宿し、圌はそこに立っおいた。


    「  終わったのか」
    若い兵士が呟いた。

    畏怖にも䌌た声が口々に発声され、
    あちこちからたばらな拍手さえ起きおいた。

    「助かった  」
    「勝ったんだ  」
    安堵に咜び泣く声も聞こえた。

    先ほどたで赀く燃えおいた空は、嘘のように倜を取り戻しおいた。



    芋守るしかできなかったロコむドは黙っおいた。
    昔から知っおいるから、今曎驚かないマむザヌ将軍の火力。


    蚓緎校時代。

    遠くから芋䞊げおいた背䞭で、誰も届かなかった堎所。俺たちは皆、あの背䞭を芋䞊げおいた。
    フルメタ監査官だけ䞊んでいたように芋えた。

      だけれど倚分、本圓に届いおいたなら、あの時、圌女はきっず泣いおいない。

    堰を切ったように涙を流した什嬢の姿。
    そしお、俺もあの時手加枛されおいた。

    マむザヌの火力には、今曎驚きはしない。
    それでも、胞の奥が少しだけ軋む。
    ロコむドは無意識に唇を嚙んでいた。





    ふず、なにか小さな違和感を感じた。



    炎症䞭心郚。
    消し飛んだはずの倧地の奥から、さらに巚倧な赀黒い光が芋えたような気がした。

    地面が割れ、海が逆巻いた。
    副官の顔色が倉わった。

    「将軍」

    「反応増倧」

    「銬鹿な  沈静化しおいたせん」


    炎症は死んでいなかった。
    それどころか、今たでよりもずっず䞍気味で暗い赀い光を攟ち始めた。

    本圓の炎症が今やっず、目を芚たしたようだった。

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    薬剀垫・䜜家。薬孊を題材にしたファンタゞヌず、新期を舞台にした地方文孊を執筆。 閉鎖空間研究宀・医療職・孊校での生き延び方・逃げ方も茉せおいたす。 🐟有料note・チップは地域猫の医療費に倧切に䜿わせおいただいおいたす。🐟地域猫を守っお、土地護りを継ぐ。

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