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愛ず呌ぶには、ただ遠い䞉人【6】5ç«  波ず日垞のあいだ#創䜜倧賞2026

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    第5章波ず日垞のあいだ


    「ふぅ、デヌタ採取終わり」

    肩をすくめるように䌞ばすず、遅れお筋肉がほどけおいく感芚があった。
    倪陜はただ高く、海面だけがやけに明るい。

    暊は八月埌半。
    研究の䞀環で、䞉人は機材を持っお海に来おいる。

    採取に䜿った機材を片付け、䞀通り䜜業が終わったのを確認する。
    朮颚が錻をくすぐり、氎面が気持ちよさそうに波打぀。
    少しだけ考えおから、玲奈は偎にいた月城の肩を軜く぀぀いた。

    「せっかくだし、ちょっず海入ろうよ」

    自分でも少しだけ軜い声が出た、ず思う。

    「うん、いいね」

    月城は迷いなく頷いお、目を现めた。
    その反応の速さに、玲奈は䞀瞬だけ蚀葉を倱う。

    やっぱり、断らないな

    想定通りのはずなのに、少しだけ胞の奥がくすぐったい。

    「やった」

    小さく拳を握る。
    その仕草に気づいたのか、月城が柔らかく笑った。

    「月城君、ほんず断らないよね。今のも、想定内だったし」

    思ったより、玠盎に蚀葉が出た。

    「えっ」

    月城の動きが止たる。
    䞀拍眮いお、芖線を泳がせる。

    「断らないけど、それは──」

    蚀いかけお、蚀葉が途切れる。
    月城の瞳がわずかに匧を描いお玲奈に向く。

    「嬉しいからだよ。特に、枅氎さんの誘いは 」

    最埌だけ、やけに小さかった。
    月城の芖線がほんの少しだけ䞋に萜ちる。

    「   」

    ずっさに、どう反応すれば良いのか分からなかった。
    砂浜が倪陜の光でほんの䞀瞬だけ茝く。

      なに、今の間

    うたく名前が぀かない違和感が残る。

    「  どうも」

    気づけば、短く返しおいた。
    芖線を戻すず、月城はただ少し俯いたたただった。

    斜め䞊から倪陜の光が差し蟌み、月城を照らす。
    柔らかな髪が光を受けお透けるのに反しお、長めの前髪が月城の顔に圱を萜ずす。

    䞀瞬、芖線が止たりそうになり、玲奈は慌おお芖線を倖す。

      熱い

    気枩ではなく、別の䜕かが。

    「っ  ほら、早く行こう」

    流れるように、靎ず靎䞋を脱ぎ、そのたた浅瀬ぞ駆け出す。
    裞足で蹎った砂の熱さも、今は気にならなかった。
    ただ考えるより先に、足が海蟺に向かっおいく。

    浅瀬の冷たい氎が足銖を濡らした瞬間、遅れおいた思考が远い぀く。

      今の、ちょっず倉だった気がする

    そう思ったのに、うたく蚀葉に萜ずさないたた、意識だけが海の方ぞ流れおいく。

    じゃり、ず背埌から砂を螏む音が届く。
    息を少し敎えるように吐いた月城の音が、なぜかやけに近く感じる。
    月城が玲奈の暪から、そっず浅瀬ぞ足を螏み入れる。

    「わっ、ちょっず冷たい」

    「だよね。採取しおる時は気づかなかった」

    玲奈は片足をほんの少し蹎り䞊げる。
    月城はその姿を芋ながら、小さく笑った。

    この人、本圓に枩床で生きおない時あるよな

    少し遅れお、そんな考えが浮かぶ。

    「枅氎さんっお、フィヌルドワヌクの時、毎回海入るの」

    「毎回ではないかな。今日は、自分で枩床ず流れを感じたかっただけ」

    蚀いながら、玲奈は指先を唇の偎に寄せる。

    あ、考えおる

    その仕草に、月城の芖線が少しだけ止たる。
    倏颚が吹き、玲奈の黒髪が流れるように圌女の暪顔を隠す。

      芋えない

    気づいた時には、半歩だけ前に出おいた。
    その距離の取り方が、自分でも分からない。

    「枩床ず、流れかぁ。ちょっず分かる気がする」

    足元を濡らす海氎が、今はもう心地よい。
    玲奈の感じおいる䞖界を少しだけ分けお貰えたような気がしお、胞の奥が枩かくなる。

    玲奈の穏やかな声が、ぜ぀りず萜ちる。

    「ただ、魚の気持ちを、知りたかったのかも」

    「それ  なんだか、いいね」

    䞀拍眮いお、玲奈の瑠璃玺色の瞳の奥が光る。

    「でしょ」

    月城は少しだけ間を眮いお、吐息だけで柔らかく笑った。
    その埮かな息が空気に溶けるのが、玲奈にはなぜか遅く感じた。

    魚ずか  私、たた本音が挏れおる

    さっきの蚀葉を少しだけ思い返す。
    今日はい぀もより、少しだけ緩んでいる気がする。
    でも、そのこずが今だけはなぜか気にならなかった。

    月城の顔に芖線を留めるず、琥珀色の瞳に自分が映っおいるのが芋えた。
    その事実に、胞の奥が凪いでいく。

    芖線を正面ぞ戻すず、海が広がっおいる。
    ただ広い、ずいうよりこの䞖界の圚り方のように芋えた。

    そのずき、ふず考える。
    この堎所で、たたたた同じ時間を共有しおいるこず。
    それ自䜓が、少しだけ䞍思議だった。

    「私、やっぱり人間でよかったのかもしれない」

    たおやかな声が、波に溶ける。

    「だっお  あなたみたいな優しい人に、出䌚えたから」

    月城の呌吞が、止たる。

      今の

    玲奈の蚀葉の意味を探そうずしお、頭が䞀瞬遅れる。
    嬉しい、のは分かる。
    でも、それだけでは説明が足りない。

    胞の奥が、倉な熱を持぀。
    うたく敎理できないたた、芖線だけが玲奈から動かせない。

    これ、ちゃんず返さないずいけないや぀だよな

    でも、適切な蚀葉が出おこない。
    沈黙が萜ち、波の音だけがその間を埋めおいく。

    「     」

    玲奈はその沈黙の䞭で、ほんの少しだけ顔を海面に向ける。

      やっぱり、ちょっず重かったかな

    そう思った瞬間、すぐに打ち消す。
    理由は分からない。
    ただ、ここで匕くのも違う気がした。

    芖線だけを䞊げるず、月城はただこちらを芋おいる。
    瞬きすら、忘れたたた。

    あ、たずい。今の、そう聞こえた気がする

    その違和感だけが、遅れお胞の奥に萜ちおくる。玲奈はわざず明るい声を䜜った。

    「さ、そろそろ黒瀬の所に戻ろ」

    空気を切り替えるように、足を螏み出す。
    振り返らずに歩き出す玲奈の背䞭を、月城が少し遅れお远う。

    その䞀歩の間隔だけが、なぜかさっきより近かった。

    ◇
    足元に砂を付けお戻っおきた二人に、黒瀬がすぐに目を现める。

    「お前ら、タオル甚意しおるのか」

    「えっず  」

    月城が慌おお鞄を探る暪で、玲奈は迷いなくポケットティッシュを取り出す。

    「ティッシュならある」

    「はあ」

    黒瀬の顔が䞀気に呆れぞ振り切れる。

    たた、この反応だ

    目の前にいるはずの黒瀬の顔に靄がかかる。
    い぀だったかの忘れたはずの感芚が蘇り、胞の奥が、少しだけ冷えおいく。

    「  䜕考えおんだよ。海入っおティッシュっお、発想雑すぎだろ」

    黒瀬が、吐き捚おるように蚀う。
    玲奈の腹の奥に、重たい熱が生たれる。
    その熱を吐き出すように、玲奈はティッシュで黒瀬の腹を軜く叩いた。

    「ティッシュの、䜕が駄目」

    「      」

    空気がわずかに尖る。
    黒瀬は蚀葉を倱い、月城も䞀瞬止たる。
    しかし、すぐに月城は小さく咳払いをしお、䞁寧に畳んだハンカチを差し出した。

    「俺のハンカチ、䜿っお」

    「それは䜿わない」
    「それはねえな」

    冷たい拒吊が重なる。

    「えっ、でも、ちゃんず拭いた方がいいよ。ほら、颚邪ひくし  」

    月城だけが本気で困っおいる顔をする。

    「ったく、おたえら  」

    黒瀬が頭をかき、ため息をひず぀萜ずした。

    「機材ボックスにタオルあったはずだろ」

    そう蚀っお、歩き出す。

      たた、䜙蚈なこずしたのかな

    玲奈はティッシュを芋䞋ろす。
    間違っおはいないはずのに、空気だけが少しズレた気がした。

    ◇
    月城ず䞊んで床に座る。
    なんずなく、い぀もより䜙分に距離を空けおしたった。

    芖線の端に、奥から戻っお来た黒瀬の足元が芋えたが、顔を䞊げる気にならない。
    その間にも、黒瀬の声が飛ぶ。

    「ほら、あったぞ」

    投げるように枡されたタオルを、月城が慌おお立ち䞊がり受け取る。

    「枅氎さん、先にどうぞ」

    月城は広がったタオルを䞀床䞁寧に敎えおから、差し出しおくる。

    「私はティッシュでいいから、月城君が先に䜿っお」

    「えっ、いや、俺はあずでいいよ」

    「いいから   先に拭いお」

    自分でも驚くくらい、䞀瞬だけ声が匷くなった。
    思わず顔を䞊げるず、目を䞞くした月城がそこにいた。
    けれど、月城はすぐに眉を䞋げるように笑う。

    「じゃあ、先に䜿わせおもらうね」

    タオルで足を拭きながら、月城が小さく息を぀く音が聞こえた。

    蚀い方、き぀かったかも

    玲奈は芖線を萜ずしたたた、ティッシュで自分の足を拭く。

    「枅氎さんも、ちゃんず拭いおね」

    「わかっおる」

    短く返すず、月城は少しだけ安心したように笑った。

    ◇
    「ただティッシュ䜿っおんのかよ」

    黒瀬の声が斜め䞊から飛ぶ。

    「タオルの方が早いだろ」

    「タオルに砂付くの嫌」

    即答する。

    「はっ、ほんず頑固だな」

    呆れたように笑いながらも、黒瀬はどこか楜しそうだった。

    あ、今の反応は嫌じゃない

    その違和感だけが、少し残る。

    「ほら、すぐ駄目になる。どうせゎミ袋もないんだろ」

    「う  」

    「仕方ねえな」

    黒瀬が軜く、玲奈の頭をコツンず叩く。

    「持っおくる」

    「  ありがずう」

    黒瀬は振り返らず、手をひらひら振っお歩いおいく。

    心臓に悪い  

    玲奈はそっず頭に觊れ、軜く銖を振った。

    ◇
    「砂、できるだけ払っおおいたよ」

    隣から月城がタオルを差し出す。

    「ありがずう」

    「うん、先に借りたしね」

    その蚀い方が、やけにたっすぐだった。

    この人、本圓に誀魔化さないな

    玲奈は小さく息を吐く。
    黒瀬の雑さず、月城の䞁寧さ。
    その間で、自分だけが少しズレおいる気がした。

    しばらくしお、小さなビニヌル袋を持った黒瀬が戻っおきた。

    「ほらよ」

    「ありがずう」

    玲奈はゎミず䜿い終えたタオルをたずめお袋に入れる。
    その様子を芋お、黒瀬が短く手を差し出した。

    「ん」

      なんだろ

    䞀瞬だけ迷っお、玲奈はその手を取った。

    次の瞬間。

    「バッ、おたえじゃねえ。ゎミずタオルだっおの」

    「えっ、あ  そう」

    手を離すず同時に、黒瀬が深く息を吐く。

    「〜〜っ 月城もだけど、おたえも倧抂だな」

    「えっ、月城君ほどではないよ」

    「えっ、枅氎さん  」

    ふいに月城の声が揺れた。

    「あ  ごめん」

    芖線を向けるず、月城は唇を尖らせお、少しだけ頬を膚らたせおいる。

    めずらしい。ちゃんず拗ねおる

    その反応が少し可笑しくお、玲奈は思わず息を挏らした。
    黒瀬も肩を揺らしお笑っおいる。

    䞀拍遅れお、月城も力を抜いたように笑った。
    波音に混じっお、䞉人の笑い声が広がる。
    さっきたでのぎこちなさが、少しだけほどけおいく。

    倏の終わりの光の䞭で、それだけが静かに残っおいた。


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    ENTP 氎垌  INTJ 瀬奈 瀟䌚人。 思考ず論理をこよなく愛する、根っからの構造䞻矩者。 16タむプは、違いを翻蚳するツヌルずしお䜿いたい掟。 ギャグず哲孊の二刀流。 蚘事が面癜かった・圹立ったず感じた方は、 『いいねやフォロヌ』を頂けるず嬉しいです。

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