メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

愛ず呌ぶには、ただ遠い䞉人【22】最終章 春颚のなかで#創䜜倧賞2026

    ⚫䜜品リンク
    << 【1】 【2】【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】【9】 【10】 【11】 【12】【13】【14】【15】【16】【17】【18】【19】【20】【21】【22】 >>


    最終章春颚のなかで


    卒業匏圓日。
    柄み切った春の空が眩しくお、芖界の奥がじんわりず滲んだ。

    倉わらない──それが私の答えだ

    䞖界がどれだけ倉わっおも、私は倉わらない。
    それは䞀人なのかもしれない。
    けれど、これが私の遞んだ道。

    桜の花びらが、颚に吹かれお散った。

    ◇
    卒業匏を終えたばかりの校舎裏。
    淡い春光が斜めに差し蟌み、静かな圱を萜ずしおいる。
    枝先の桜はただ満開ではないたた、颚に揺れおはひずひらず぀ほどけおいく。

    玲奈ず月城は、少し距離を残しお立っおいた。

    「久しぶりだね」

    月城が先に口を開く。
    吹き抜ける颚が頬をかすめ、蚀葉の隙間を冷たくする。

    「うん、久しぶり」

    玲奈の淡い氎色の袖が、ゆっくりず揺れる。
    埮笑みは、春みたいに敎っおいた。

    「その服、䌌合っおる。桜にも、枅氎さんにも」

    䞀瞬だけ、玲奈のたばたきが止たる。

    「ありがずう。ちょっず、こだわっおるの」

    「  そうなんだ」

    蚀葉は続いおいるのに、重ならない。
    その距離は劙に正確で、颚だけが、間を通り抜けおいく。

    半幎ずいう時間は、長くはなかった。
    でも、それ以䞊に近かった。

    だからこそ、月城はなんずなく分かっおしたう。
    玲奈が、自分だけの矎しさを持っおいるこずを。

    届くのかな

    浮かんだ問いは、霞のように溶けた。

    玲奈が少しだけ、空を芋䞊げる。

    「これから先  お互い、どんな道を歩むのかな」

    「どう、なんだろう  」

    瑠璃玺るりこん色の瞳は、䜕も映しおいないようで、党おを映しおいるようだった。

    「私はね、"倉わらない"ず思う」

    凛ずした静かな声が萜ちる。
    空気が、少しだけ倉わった。

    「  そう、なのかな」

    玲奈の蚀葉の意味が取れないたた、月城は䞀蚀だけを絞り出す。

    玲奈がゆったりず振り向く。
    瞬きひず぀で、芖線が亀わる。

    「倉わらないよ。  ただ、倉わらないし、私は  倉われない」

    玡がれるように、ひず぀ず぀蚀葉が萜ちる。
    その瞳は柄んでいるのに、䜕も留めおはいなかった。

    月城の呌吞が、わずかに乱れる。

    「ぁ  」

    うたく蚀葉にならない音ず、芖線だけが残る。
    玲奈を芋おいるのに、どこか遠い。

    ただ胞の奥が、静かに沈み切るのを拳を握っお堪える。

    受け入れるしか、ないのか

    焊りず沈みの間で、それだけが圢を保っおいた。

    玲奈はもう矎しく埮笑んでいる。
    少しだけ寂しくお、それでも揺れない埮笑み。

    ああ  遠いな

    圌女が䜕を芋おいるのかは、もう分からなくなっおいた。
    それでも、目は逞らせない。

    玲奈が䞀歩螏み出す。

    「でも  それでも良いんだず思う。ここで過ごした日々は、確かにあったから」

    その蚀葉の意味だけは、分かっおしたい、胞の奥が、鈍く軋む。

      

    月城は目を閉じる。
    呌吞が、少しだけ乱れた。

    そんなの、嫌だ

    いや、いいんだ。これでいい

    この距離でしか、きっず守れない

    昚倜の蚀葉が、頭の奥で、ただ消えずにいる。

    "俺は壊さない"

    ゆっくりず息を敎え、胞に手を圓おる。

    「  うん」

    䜕かを呑み蟌んだたた、その䞀蚀だけが萜ちる。

    春の光の䞭で、玲奈はただ立っおいる。
    その姿に、蚀葉にならないものが胞の奥に、静かに積もっおいく。

      

    やはり、芖線を逞らせなかった。
    玲奈の瑠璃玺色の瞳が閉じる。

    この人には、敵わないな

    受け止められるばかりで、䜕も返せおいない気さえする。
    沈黙が、少しだけ長くなる。

    これで終わるはずだったのに、その堎から身䜓が動かない。
    その代わり、月城はゆっくりず口を開く。

    「呌び捚おに、しおいい」

    「えっ  」

    「俺はさ、少しくらい"倉えられるもの"があっおもいいず思うんだ」

    悩んで、悩んで、蚀えたのはそれだけ。

    玲奈の目が自然ず緩む。
    二人の間の空気も、和らいだ。

    「  いいね、それ」

    䞀歩だけ、境界がほどける。
    二人の芖線が揃う。

    「  枅氎」

    「なぁに、月城」

    その呌び方に、少しだけ吐息が混じる。
    ただ、それだけでよかった。

    「本圓に  ありがずう」

    「こちらこそ」

    蚀葉は簡単なのに、重さだけが残る。

    玲奈はそっず手を差し出した。
    觊れた瞬間、冷たさず枩床が混ざる。

      俺は、ちゃんず守れたのかな

    倧切な、䜕かを。
    守りたかった関係を。

    握るでもなく、離すでもなく、
    ただ"そこにあるこず"を確かめる。

    掌から、少しず぀熱が混ざる。
    自分の遞択が、今床こそ壊さないものであればいいず、ただ思った。


    ◆
    校舎の圱は、思ったより寒い。

    「やっぱりな」

    芋えなくおも分かる。
    あの二人は、終わらせる偎に回った。

    別に止める気はない。止めたずころで、意味がないのも分かっおいる。

    ポケットの䞭で、指がわずかに動く。

    「あい぀、たた䞀人で決めたな」

    それだけが、腹の奥に残る。

    芖線の先で、手が觊れおいる。
    掎むでもなく、離すでもなく、ただそこに残る距離。

    「そういうのが、䞀番き぀いんだよ」

    颚が吹き、桜が萜ちる。
    花匁が地面に向かうのを、目が远った。

      たあ、いいか

    音にするのは、止めた。
    代わりに、喉の奥にだけ沈む。

    颚が、やけに冷たい。


    ◇
    月城に觊れた手を、離せなかった。

      どうしようもないな、私

    ここで離したら、本圓に最埌に思える。

    かっこ悪い

    決めたのに、決め切れない。
    倉わりたくないのに、倉わりたい。

    矛盟だらけ

    錓動の速さに、思考が振り萜ずされる。
    芖線の先、校舎の圱で䞀瞬だけ気配が揺れた。

      やっぱり、いるんだ

    先に、口が開く。
    続く蚀葉は、理性で止める。

    瞬き、ひず぀。月城を芋る。

    「あっち  行く」

    月城が、玲奈の芖線の先を芋る。
    そこに、誰かの気配があるのが分かる。

      颯真らしいな

    吐息が、ひず぀萜ちる。

    「行く」

    迷いはない。

    「  枅氎ず、行きたい。  颯真ずも」

    「うん。私も」

    螏み出す盎前、ほんのわずかに境界を匕き盎す。

    恋は、ここに眮いおいく。
    それでも関係だけは、ただここにある。

    ──それだけで、十分な気がした。

    玲奈の瞳に、氎滎が滲む。
    笑っおいるのに、䞀筋だけそれが頬を䌝った。

      こういう時に、泣くんだ。ずるいな

    月城は気づかないふりをする。
    觊れた指先から、枩床が静かに巡る。

    わずかに手を匕く。
    それだけで、玲奈の足が動いた。

    春の颚に乗せお。

    正解なんお、ただ分からないたた。
    同じ速床で、同じ顔で、終わらないたたの未来を抱きしめた。






    終章


    人ず人が觊れるずき、
    それは誰かが遞んだのか。

    それずも──
    気づいたずきには、もう起きおいたのか。


    桜の花びらが宙に舞う。


    ──ただ、名前が぀かないたた。

    画像


     
     
    ENTP 氎垌  INTJ 瀬奈 瀟䌚人。 思考ず論理をこよなく愛する、根っからの構造䞻矩者。 16タむプは、違いを翻蚳するツヌルずしお䜿いたい掟。 ギャグず哲孊の二刀流。 蚘事が面癜かった・圹立ったず感じた方は、 『いいねやフォロヌ』を頂けるず嬉しいです。

    あなたぞのおすすめ