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隣に座れなかった理由(わけ)#26第二章⑩雨男のかけ#27⑪ゴミじゃない、チョコだよ

    #創作大賞2026 #恋愛小説部門 応募作品
    前後のお話は下のURLからどうぞ。


    第二章
    ⑩雨男の賭け


    私はうずうずしていた。

    先生が本当に雨男なのか、決着をつける日を楽しみにしていたからだ。

    遠足、クラブ、キャンプや修学旅行。先生がいると本当に、よく雨が降る。

    子どもたちだけではない。保護者までもが、みんな口を揃えて言った。


    ――神崎先生は、雨男。


    でも、先生だけは違った。


    「雨男じゃないと思うんですが……」


    一人だけ、ずっと言い張った。

    下駄箱の所で話していたとき、先生と賭けをした。


    「先生が雨男か、はっきりさせませんか?修学旅行で雨が降ったら、雨男って認めてください!」

    「いいですよ!」

    「約束ですからね!」

    「はい!」


    だが、先生の足の怪我で、それどころではなくなってしまった。

    その上、すれ違うことも多く、先生はそんな約束を、すっかり忘れてしまっていた。


    修学旅行から一ヶ月ほど経った頃、久し振りに先生に会えた私は、思わず聞いた。


    「そういえば、先生。あの約束覚えてますか?」


    えっ?とした顔をして、先生は固まった。

    私は意地悪っぽく続けた。


    「忘れたんですか?」


    わざと、ちょっと怒った素振りを見せた。


    先生の表情は、どんどん焦り始めた。

    ――なんだっけ?なんだっけ?
    ――答えないと、俺やばい!
    ――怒らせる。

    そんな事を思っている顔だった。

    さらに固まって、うーん、うーん……とうなっていた。

    傍から見れば、叱っている先生と叱られている生徒のようだ。


    私は笑いを堪えるのに必死だった。

    可愛い人だなと思った。

    ――あまりイジメちゃいかんな。

    そう思って、私は特大のヒントを出した。


    「修学旅行、雨でしたよね?」


    そう言った途端――

    思い出したのだろう。

    先生の顔が、ぱあー!っと明るくなった。

    世界に色が戻ったみたいだった。


    「はい!僕は雨男です!」


    あまりの自信満々げな回答に、思わず吹き出してしまった。

    なんとも言えない、おかしな時間だった。


    第二章
    ⑪ゴミじゃない、チョコだよ


    昨年の今頃、先生に衝撃を与えたバレンタインが、今年もやってきた。

    ――去年も渡したし、今年も渡すべき?

    ――もう担任じゃないよね。変かな?

    ――ツインレイって言っといて、今年は無し?

    ――一度、冷静になってみようか。

    チョコ売り場で、チョコを探すでもなく、ウロウロ同じ所を回っている自分がいた。

    だんだん自分にイライラしてきた。


    子どもには、「最後までやろうね」なんて言っておいて、自分が中途半端なことしたらダメじゃん!

    最後までやり切らないとね!そうそう!

    半分こじつけのような理由で、チョコをカゴに入れた。

    我ながら、素直じゃないなと思った。


    さて、買ってはみたものの、次の課題に直面した。

    ――どうやって渡す?

    今年は、誰にもバレたくなかった。絶対に。

            *

    秘密のミッションが始まった。

    下駄箱の外で、子どもたちの中にいる先生を発見した。

    子どもが数人いるだけで、保護者や他の先生はいない。


    「先生、こんにちは」

    「こんにちは」


    私は、くしゃくしゃのスーパーの袋を差し出した。


    「はい、これ」

    ――気づくよね?去年も渡したし……

    ――そのまま、何も言わず受け取ってよ。

    先生は片手で受け取り、ぽかんとして言った。


    「これは何ですか?」


    えー!!なっ、なんで聞き返す?

    先生が袋をのぞこうとした。


    「ダメダメ!見ないで!」


    私は慌てて止めた。


    あっ!ゴミだと思った?私にゴミ捨てといてねと言われたと思った?

    ――チョコ。とは言えない……

    ――そんな、質問の答えなんて準備してないよ。

    ――言い訳、言い訳……

    私は、超真剣な顔で、目線を横に向けたり、下を向いたりした。

    ――駄目だ!思いつかない。

    ものすごく困った顔で先生の目を見て、言った。


    「忘れた……」


    先生はクスッと笑った。

    そして、そっと袋の中をのぞいた。

    チョコだと気づいた先生は、袋をお腹の前で大事そうに両手で抱えるように持ち直した。


    「分かりました。ありがとうございます」


    笑いながら、ただ優しく納得したような言い方だった。


    「絶対、誰もいないところで出してくださいよ!」


    まるで虚勢を張る犬のようだった。


    この瞬間、形勢逆転された気がした。

    雨男といじってしまった罰だったのかもしれない。

    私は子どもを見つけると、そのまま逃げるように帰った。


    プロローグはこちら↓
    始まりのお話
    https://note.com/amaimomo123/n/n192c6ae58a53

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    第一章①②はこちら↓
    ペットのうさぎが活躍します。
    https://note.com/amaimomo123/n/n819147f638e7

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    第一章③④⑤はこちら↓
    始まりの合図は虫なんです。
    https://note.com/amaimomo123/n/n4babb887f533

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    第一章⑥⑦⑧はこちら↓
    父が夢で語ったのはこの言葉です。
    https://note.com/amaimomo123/n/n4a18c660c50e

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    第一章⑨⑩⑪はこちら↓
    突然、母が運ばれました。
    https://note.com/amaimomo123/n/nf72c9ebb3140

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    第一章⑫⑬はこちら↓
    保護者会の空気は最悪でした。
    https://note.com/amaimomo123/n/nfb53944439c7

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    第一章⑭⑮⑯はこちら↓
    とうとうツインレイ告白
    https://note.com/amaimomo123/n/n83564e1fed71

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    第二章①②③はこちら↓
    神崎先生の身に……?
    https://note.com/amaimomo123/n/na68b5fc131e4

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    第二章④⑤⑥はこちら↓
    心が通い出し始めます
    https://note.com/amaimomo123/n/n52139df54b8e

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    第二章⑦⑧⑨はこちら↓
    あなたを救いたい、それだけ
    https://note.com/amaimomo123/n/na2d605788203

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    第三章①②はこちら↓
    ずっと前から見られてた……?
    https://note.com/amaimomo123/n/n741247e05a18

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    第三章③④はこちら↓
    「ぷっ」の破壊力
    https://note.com/amaimomo123/n/n9d71dbcb9e2d

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    第三章⑤はこちら↓
    そんな目で見るの……?
    https://note.com/amaimomo123/n/n819a75d49776

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    第三章⑥⑦はこちら↓
    私だけ違う……
    https://note.com/amaimomo123/n/n5ced005533df

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    第三章⑧はこちら↓
    だいたいハリネズミのせい
    https://note.com/amaimomo123/n/n90c0a1e1651d

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    第三章⑨⑩はこちら↓
    答え合わせしよう
    https://note.com/amaimomo123/n/nf37388f77232

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    第三章⑪はこちら↓
    最後の最後に……
    https://note.com/amaimomo123/n/n850177083500

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    第三章⑫エピローグはこちら↓
    思い出し笑い
    https://note.com/amaimomo123/n/n3e0625cbf3aa

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    #創作大賞2026 #恋愛小説部門
    #完結済 #連載小説 #年の差 #先生と保護者

     
     
    ※DM・メールは受け付けていません。1日の終わりに人の心をぽっと照らす電球のような、小さな物語やエッセイを書いています。 少し切なくて、少し愛おしくて。 なぜか笑われることもあります。 良かったら、手を止めて読んでいって下さい☺️