
隣に座れなかった理由(わけ)#23第二章⑦心の叫びの正体#24⑧沈んだ先生#25⑨今度は私が
#創作大賞2026 #恋愛小説部門 応募作品
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第二章
⑦心の叫びの正体
夏が近づく頃、遠くから歩いてくる先生の姿に息を呑んだ。
足を引きずっている。
「先生、足!?……またうんていから落ちたんですか?」
「いや、これはサッカーで……」
少し困ったように笑った。
その瞬間、あの日の声が鮮明に蘇った。
痛い……痛い……
背筋が、すっと冷えた。
あの日の違和感が、形を持った気がした。
「お大事にしてください」
私は、打ち消すように、強く言った。
第二章
⑧沈んだ先生
秋の入り口。
お迎えに行った私は、思わず足を止めた。
花壇の縁に、先生がぽつんと座っていた。
子どもたちは元気に走り回っているのに、そこだけ空気が違って見えた。
「こんにちは。足、どうですか?」
「なかなか治らないですね……あんなふうに、一緒に走ることもできないし……
思うようにいかない自分が、情けないです……」
子どもたちの声を遠くに聞きながら、先生は足元を見ていた。
――暗い。
――子どもたちも近寄らないはずだ。
私はとっさに、自分の左腕を右手で持ち上げた。
「先生、私も今、腕が上がらないんです。寝てるときもよいしょ、って持ち上げないと痛くて」
先生は、ぼんやりとしたまま言った。
「……辛いですね……大変ですね……」
――届いてない。
――このままじゃ、だめだ。
私は一歩近づいて、先生の顔を覗き込んだ。
「でも、私……楽しいよ!」
思いきり笑って言った。
「先生と出会えたから!」
先生の表情が、はっと変わった。
遠くに飛んでいた意識が、戻ってきたみたいに。
私はくるっと踵を返して、その場を離れた。
照れくさくて、ふっと笑ってしまった。
少しだけ、戻った。
第二章
⑨今度は私が
それから、しばらく経った頃だった。
先生はどこか諦めたような顔で、
「僕はダメですね……」と、こぼしていた。
――分かる、分かるよ。
でも、胸の奥で、何かが弾けた。
気づけば、私は腹が立っていた。
――この前、すごい悔しそうな顔してたじゃん。
「神崎先生、先生なら大丈夫です!」
自分でも驚くほど、まっすぐだった。
「私が言うんだから、間違いありません!」
先生が、少し目を見開く。
「先生が強靭な精神を持ってるところを、この前垣間見ましたから!!
だから、大丈夫です!!」
「あっ、ありがとうございます……」驚いたような表情だった。
先生の目に、少しだけ光が戻った。
私はそのまま、その場を離れた。
*
それからしばらくして、久しぶりに会った先生は、どこか吹っ切れたように、明るい表情をしていた。
「足はどうですか?」
そう聞くと、先生は笑った。
「だいぶ良くなりました。さすがにサッカーは無理みたいですが」
その言葉を聞きながら、私は思っていた。
――何か、気づいたはず。
「でも先生、今回のことで、何か気づいたことあるんじゃないですか?」
先生は、少し考えてから言った。
「そうですね……当たり前のことがありがたいと思いました」
その瞬間、胸の奥が静かに満たされた。
――同じだ。
私が心の中で送り続けていた言葉と。
「気づけて、良かったです」
先生の目を見て、それだけ言った。
私は、そのまま歩き出した。
プロローグはこちら↓
始まりのお話
https://note.com/amaimomo123/n/n192c6ae58a53
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第一章①②はこちら↓
ペットのうさぎが活躍します。
https://note.com/amaimomo123/n/n819147f638e7
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第一章③④⑤はこちら↓
始まりの合図は虫なんです。
https://note.com/amaimomo123/n/n4babb887f533
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第一章⑥⑦⑧はこちら↓
父が夢で語ったのはこの言葉です。
https://note.com/amaimomo123/n/n4a18c660c50e
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第一章⑨⑩⑪はこちら↓
突然、母が運ばれました。
https://note.com/amaimomo123/n/nf72c9ebb3140
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第一章⑫⑬はこちら↓
保護者会の空気は最悪でした。
https://note.com/amaimomo123/n/nfb53944439c7
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第一章⑭⑮⑯はこちら↓
とうとうツインレイ告白
https://note.com/amaimomo123/n/n83564e1fed71
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第二章①②③はこちら↓
神崎先生の身に……?
https://note.com/amaimomo123/n/na68b5fc131e4
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第二章④⑤⑥はこちら↓
心が通い出し始めます
https://note.com/amaimomo123/n/n52139df54b8e
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第二章⑩⑪はこちら↓
決着つけましょう
https://note.com/amaimomo123/n/nbf0ea09d45c2
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第三章①②はこちら↓
ずっと前から見られてた……?
https://note.com/amaimomo123/n/n741247e05a18
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第三章③④はこちら↓
「ぷっ」の破壊力
https://note.com/amaimomo123/n/n9d71dbcb9e2d
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第三章⑤はこちら↓
そんな目で見るの……?
https://note.com/amaimomo123/n/n819a75d49776
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第三章⑥⑦はこちら↓
私だけ違う……
https://note.com/amaimomo123/n/n5ced005533df
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第三章⑧はこちら↓
だいたいハリネズミのせい
https://note.com/amaimomo123/n/n90c0a1e1651d
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第三章⑨⑩はこちら↓
答え合わせしよう
https://note.com/amaimomo123/n/nf37388f77232
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第三章⑪はこちら↓
最後の最後に……
https://note.com/amaimomo123/n/n850177083500
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第三章⑫エピローグはこちら↓
思い出し笑い
https://note.com/amaimomo123/n/n3e0625cbf3aa
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