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隣に座れなかった理由(わけ)#1第一章①怖そうな先生#2②ノアルのナイスアシスト

    #創作大賞2026 #恋愛小説部門 応募作品
    前後のお話は下のURLからどうぞ。


    第一章出会い
    ①怖そうな先生


    四年生の担任になった神崎先生は、
    最初、私にとって少し怖い存在だった。

    初めて会ったのは、春の委員会役員の集まり。

    他の保護者たちが和やかに話す声が教室に溢れていた。


    でも、神崎先生だけが違った。


    足を組み、配られたプリントに静かに目を落としていた。

    ニコリともせず、真面目な自己紹介。

    まるで、春の空気に半透明なカーテンを引いているような……
    少し遠い――そんな印象だった。

    クールで、近寄りがたい。

    ――なんかこの人、ちょっと怖そうだな。
    隣に座っている別の先生の方が、明るくて話しやすそう……

    私はそう思ってしまった。

    でも、家庭訪問で、その印象は一変した。


    第一章
    ②ノアルのナイスアシスト


    ピンポーン。

    予定より10分早く、玄関のチャイムが鳴った。

    リビングでは、うさぎのノアルがケージから脱走したまま捕まらない。
    私はいつも「ノアちゃん」と呼んでいる。


    「ノアちゃん、おいで!」


    必死に追いかける私をすり抜けて、勢いよくテーブルの下に逃げ込む。

    ピョン、と一度だけ跳ねて、奥に潜り込んだ。


    「ちょっともう!先生来ちゃってるって!」


    二度目のチャイムが鳴る。


    「あー、もういいやっ!」


    私は諦めて、玄関へ走った。


    ドアを開けると、学校でのクールな印象とは違う、柔らかな笑みを浮かべた神崎先生が立っていた。


    「少し早く来てしまいましたが、よろしかったですか?」

    「はい、大丈夫です。どうぞ」


    息を整えながら、私は先生を招き入れた。


    ――あれっ?この人、こんな雰囲気だったかな?


    驚きを抱えたままリビングへ通す。

    向かい合う先生は、背筋を伸ばし、穏やかに微笑んでいた。


    その時だった。

    テーブルの下から、ノアルがひょいと姿を現した。

    そして、まっすぐ先生に向かって跳ねてくる。


    ――ちょっと待って!来るな、来るな!


    次の瞬間、

    先生の正座した膝に、ちょこんと前足をかけた。


    「ノアちゃん、ダメだよ!」


    慌てる私をよそに、先生は目を細める。


    「可愛いですね」


    警戒心の強いノアルが、初対面の人にここまで近づくなんて。

    ……やるじゃん、ノアル。

    心の中で、小さくガッツポーズをした。

    張り詰めていた空気が、ふっと緩んだ。

            *

    話は子どものことに移った。

    私は少しためらいつつも、発達の心配を打ち明けた。

    すると先生が言った。


    「実は、妻が発達支援センターの職員なんです」


    その言葉に、私の肩の力がふっと抜けた。

    先生は、子どもについて熱心に研究を重ねている努力家だった。

    ふと、子どもから聞いた話を思い出した。


    「あの、子どもから聞いたんですが……ハムスター、残念でしたね」


    先生は教室でハムスターを飼っていたが、ある時脱走して死んでしまったという。

    みんなで悲しんだと。

    少し言いづらかったが、私は続けた。


    「もしまた飼われるなら……噛まれた時のことも、気をつけた方がいいかなと思います。
    うちもペットを飼う時、いろいろ調べて、うさぎにしたんです」


    先生は真剣な顔で聞いていた。


    「ありがとうございます。もう飼うのはやめますね」


    笑顔で言った。

    私は少し驚いた。

    嫌な顔をされる覚悟をしていた。

    でも、先生は違った。

    私の気持ちを汲んで、素直に受け止めてくれた。


    ――この先生、すごいな。
    感情に左右されないんだ。
    若いのにえらいな。


    ふと時計を見て驚いた。話しすぎてしまった。

    焦りながら玄関まで見送り、私は思った。

    ――話しやすくて良かった。

    子どもも安心して預けられそうだな。

    春の光が、先生の背中を照らしていた。

                                *

    家庭訪問から数日後、子どもが手紙を持って帰ってきた。

    三年生の時の担任の先生からだった。

    あの先生は本当に良い先生だった。

    子どものことをいつも気にかけてくれて、親身になってくれた。

    四年生で他の学校へ転勤してしまい、残念だった。

    お別れの時、私は手紙を書いた。

    その返事が、神崎先生を通して届いた。


    手紙にはこう書いてあった。


    「神崎先生が担任と聞いて、安心しました。
    とても優しくて、良い先生なので」


    私はほっとした。

    あの先生が、こんなに褒めている。


    ――きっと信頼できる人に違いない。


    それから、私は少しずつ神崎先生と話すようになった。


    プロローグはこちら↓
    始まりの話です
    https://note.com/amaimomo123/n/n192c6ae58a53

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    第一章③④⑤はこちら↓
    始まりの合図は虫なんです
    https://note.com/amaimomo123/n/n4babb887f533

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    第一章⑥⑦⑧はこちら↓
    父は夢でこう言いました
    https://note.com/amaimomo123/n/n4a18c660c50e

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    第一章⑨⑩⑪はこちら↓
    母が運ばれました
    https://note.com/amaimomo123/n/nf72c9ebb3140

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    第一章⑫⑬はこちら↓
    保護者会の空気は、最悪でした
    https://note.com/amaimomo123/n/nfb53944439c7

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    第一章⑭⑮⑯はこちら↓
    ついに、ツインレイ告白!
    https://note.com/amaimomo123/n/n83564e1fed71

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    第二章①②③はこちら↓
    神崎先生の身に……?
    https://note.com/amaimomo123/n/na68b5fc131e4

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    第二章④⑤⑥はこちら↓
    心が通い出すように
    https://note.com/amaimomo123/n/n52139df54b8e
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    第二章⑦⑧⑨はこちら↓
    あなたを救いたい、それだけ
    https://note.com/amaimomo123/n/na2d605788203

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    第二章⑩⑪はこちら↓
    決着つけましょう
    https://note.com/amaimomo123/n/nbf0ea09d45c2

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    第三章①②はこちら↓
    ずっと前から見られてた……?
    https://note.com/amaimomo123/n/n741247e05a18

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    第三章③④はこちら↓
    「ぷっ」の破壊力
    https://note.com/amaimomo123/n/n9d71dbcb9e2d

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    第三章⑤はこちら↓
    そんな目で見るの……?
    https://note.com/amaimomo123/n/n819a75d49776

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    第三章⑥⑦はこちら↓
    私だけ違う……
    https://note.com/amaimomo123/n/n5ced005533df

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    第三章⑧はこちら↓
    だいたいハリネズミのせい
    https://note.com/amaimomo123/n/n90c0a1e1651d

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    第三章⑨⑩はこちら↓
    答え合わせしよう
    https://note.com/amaimomo123/n/nf37388f77232

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    第三章⑪はこちら↓
    最後の最後に……
    https://note.com/amaimomo123/n/n850177083500

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    第三章⑫エピローグはこちら↓
    思い出し笑い
    https://note.com/amaimomo123/n/n3e0625cbf3aa

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    #創作大賞2026 #恋愛小説部門
    #連載小説 #完結済 #年の差 #先生と保護者

     
     
    ※DM・メールは受け付けていません。1日の終わりに人の心をぽっと照らす電球のような、小さな物語やエッセイを書いています。 少し切なくて、少し愛おしくて。 なぜか笑われることもあります。 良かったら、手を止めて読んでいって下さい☺️