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隣に座れなかった理由(わけ)#39⑫明晰夢#40エピローグ【完結】

    #創作大賞2026 #恋愛小説部門 応募作品
    全41話、完結しました。
    最後までお読み頂き、ありがとうございました。


    第三章
    ⑫明晰夢


    卒業から一週間が過ぎた明け方。

    私は夢を見た。 

    ――夢だと分かっていた。

    操作しようと思えば、できる。

    でも、それはしなかった。

    知りたかったのは、私の願いじゃない。

    先生の本当の気持ちだった。


    体育館に先生がいた。

    ピンクのトレーナーで、子どもたちと笑っている。

    ふと、先生がこちらを向いた。


    「よくここが分かったね」


    タメ口だった。


    「そりゃ、分かるよ!」


    自然に、同じ言葉で返していた。

    ――ずっと、こうしたかった。


    場面が変わる。


    狭い給湯室。

    冷蔵庫の前。

    二人きりだった。


    「私は先生のことが好き」


    すぐに聞いた。


    「先生は……?」


    少しの沈黙。


    「……好き」


    小さな声。


    「えっ、なに?」


    聞き返す。


    「好き」


    今度は、はっきりと。


    「奥さんや、子どもがいるから?」


    「うん」



    「ねぇ!」


    声が重なった。

    一瞬、迷った。

    ――まだ、聞きたい。

    その時だった。


    「時間が無いから」


    「なに?」


    先生が、優しく言った。



    「席、隣が良かった?」



    ――えっ?


    胸がぎゅっと締まった。


    「うん!」


    ありったけ、笑って答えた。

    目と目が合ったまま、

    世界がゆっくり薄れていった。



    目が覚めた。

    喉の奥が、痛かった。

    三年分の涙が、あふれてきた。

    止める理由もないまま、


    私はしばらく泣いていた。



    【エピローグ】

    ツインレイという言葉はもう使わないけれど、

    あの頃の私は、本気でそう信じていた。

    先生は魂の伴侶なのだと。


    あの夢が本当だったのかどうか聞かれても、

    私は分からないと答えるだろう。

    先生の気持ちも、きっともう、

    この先知ることはない。

    でも……それでいいと思えた。


    夢の中で、先生は確かに聞いてくれた。


    「席、隣が良かった?」


    私は迷わず答えた。


    「うん!」


    その一言で、十分だった。


    現実の椅子は、一センチも動かなかった。


    保護者と先生。

    変えられない家族の形。

    守らなければならない距離。


    だからこそ、

    あの三年間は美しかったのだと思う。


    隣に座れなかった理由は、


    きっと、

    私たちが越えてはいけないものを、

    ちゃんと知っていたから。


    あの夢は、


    私にとっての満点の答案用紙だった。


    確かめる必要なんて、

    もうない。


    あの日の夢は、

    今も

    心の引き出しの中に静かにしまってある。



    時々、開けて思い出し笑いしたりして。




    プロローグはこちら↓
    始まりの話です
    https://note.com/amaimomo123/n/n192c6ae58a53

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    第一章①②はこちら↓
    ペットのうさぎが活躍します
    https://note.com/amaimomo123/n/n819147f638e7

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    第一章③④⑤はこちら↓
    始まりの合図は虫なんです
    https://note.com/amaimomo123/n/n4babb887f533

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    第一章⑥⑦⑧はこちら↓
    父が夢で語ったのはこの言葉です
    https://note.com/amaimomo123/n/n4a18c660c50e

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    第一章⑨⑩⑪はこちら↓
    母が運ばれました
    https://note.com/amaimomo123/n/nf72c9ebb3140

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    第一章⑫⑬はこちら↓
    保護者会の空気は最悪でした
    https://note.com/amaimomo123/n/nfb53944439c7

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    第一章⑭⑮⑯はこちら↓
    とうとうツインレイ告白
    https://note.com/amaimomo123/n/n83564e1fed71
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    第二章①②③はこちら↓
    神崎先生の身に……?
    https://note.com/amaimomo123/n/na68b5fc131e4

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    第二章④⑤⑥はこちら↓
    心が通い出し始めます
    https://note.com/amaimomo123/n/n52139df54b8e

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    第二章⑦⑧⑨はこちら↓
    あなたを救いたい、それだけ
    https://note.com/amaimomo123/n/na2d605788203

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    第二章⑩⑪はこちら↓
    決着つけましょう
    https://note.com/amaimomo123/n/nbf0ea09d45c2

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    第三章①②はこちら↓
    ずっと前から見られてた……?
    https://note.com/amaimomo123/n/n741247e05a18

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    第三章③④はこちら↓
    「ぷっ」の破壊力
    https://note.com/amaimomo123/n/n9d71dbcb9e2d

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    第三章⑤はこちら↓
    そんな目で見るの……?
    https://note.com/amaimomo123/n/n819a75d49776

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    第三章⑥⑦はこちら↓
    私だけ違う……
    https://note.com/amaimomo123/n/n5ced005533df

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    第三章⑧はこちら↓
    だいたいハリネズミのせい
    https://note.com/amaimomo123/n/n90c0a1e1651d

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    第三章⑨⑩はこちら↓
    答え合わせしよう
    https://note.com/amaimomo123/n/nf37388f77232

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    第三章⑪はこちら↓
    最後の最後に……
    https://note.com/amaimomo123/n/n850177083500

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    #創作大賞2026 #恋愛小説部門
    #完結済 #連載小説 #先生と保護者 #年の差

     
     
    ※DM・メールは受け付けていません。1日の終わりに人の心をぽっと照らす電球のような、小さな物語やエッセイを書いています。 少し切なくて、少し愛おしくて。 なぜか笑われることもあります。 良かったら、手を止めて読んでいって下さい☺️