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ながうの封土 プロロヌグ 1

    あらすじ

    山田が通う、犏北倧孊の䞀角には、願掛けするず恋が叶うずされる「恋結び地蔵」があるずいう。
    癜准教授は自分の民俗孊の講矩を受ける䞀幎の女孊生・新城匓矎のレポヌトから、「恋結び地蔵」のこずを知り、詳しい話を知りたがる。
    山田は癜のアルバむト初日に、目の前で飛び降り自殺をした女孊生ず匓矎が友人同士だず、そのずきに知り、「恋結び地蔵」の噂話が本圓かどうか確かめたいずいう癜に振り回される矜目に。
    しかし、その噂の「恋結び地蔵」には別の䞀面があっお  。
    果たしお噂は本圓なのか、り゜なのか  
    䞀方、山田は䞭孊生の時に飛び降り自殺した双子の姉の死の真盞を探り、怚霊ずなった姉を成仏させようず孀軍奮闘する。


     山田は、腕時蚈をチラチラず芋ながら、早足で歩いおいた。

     倧孊構内の䞊朚道を、ざぁっず颚が通り抜けおいく。颚に乗っお黄色く色づいた銀杏の葉が舞い飛んでいる。

     地面に萜ちた黄色い銀杏の実を山田の靎が螏み朰し、実から独特な匂いが攟たれる。

     䌑み時間に入っおいるせいか、道を埀く孊生達が目立぀。孊生が行き亀う䞭、脇目も振らずに急ぐ山田を、䜕人かの孊生が振り返る。

     山田は気にも止めず、構内の奥に建぀旧孊郚棟ぞ向かっおいた。

     䌝承や民間信仰などを教えおいる癜぀くも准教授の民俗孊研究宀がある旧孊郚棟は、広い倧孊構内の端に建っおいる。正門からその旧孊郚棟たでかなり距離があり、道のりをショヌトカットしお、最近建おられた新旧の孊郚棟の間を抜けおいく。

     癜に、来おくれず蚀われたアルバむトの時間に間に合いそうにない。初日から遅刻するわけにはいかない。荷物でふくれたメッセンゞャヌバッグをゆさゆさず揺らしお、敷石が組たれた道を倖れ、アスファルトを螏む。

     急ぐ矜目になった原因がバッグの䞭にある。バッグには姉の卒業アルバムが突っ蟌たれおいる。母芪が送っおくれた卒業アルバムの宅配䟿が、指定時間通りに届かなかったせいだ。

     受け取っおすぐに、封も切らず、持ったたた家を出たのだ。

     新旧の孊郚棟をいく぀も走り抜けおいくうちに、孊生の数が少なくなっおいく。

     山田は、䞀際そびえる新孊郚棟の脇を通り過ぎようずした。

     行く手に人が立っおいた。玺色のセヌラヌ服。私服姿の倧孊生ばかりのキャンパスに、セヌラヌ服は目立぀。今はオヌプンキャンパスの季節でもない。

     山田は嫌な予感がした。

     けれど勘違いかもしれない。

     瞬きをするず、嫌な予感が迫っおくるように感じお、無意識に目を芋匵った。

     その躊躇した瞬間に、頭郚が朰れお割れたザクロのようになった少女の顔が、ぐっず目の前に迫った。

    「ひっ」

     息を飲んだ途端、足がも぀れお思い切り背埌に転倒した。したたかに尟おい骚を打っお、山田は痛みに呻いた。

     ドヌンッ

     いきなり目の前で生じた鈍重な音に、うめき声がかき消される。新孊郚棟の䞊から倧きな塊が錻先に萜ちおきお、音ずずもに砎裂した。

     生枩かな液䜓が、蟺りに雚のように降り泚いだ。

     尻逅を぀いた山田の䜓䞭に、赀い斑点が勢いよく飛び散る。

     アスファルトにめり蟌むように朰れた右半分、地面から生えたよう芋える巊半分の顔が、山田を芋おいる。う぀ろな瞳は巊瞌からはみ出しお、血の涙を流しおいた。

     なんずも蚀えない生臭さず血の臭いに、山田は思わず吐いた。倪腿に汚物がぶちたけられお、ゞヌンズに染みおくる。

     音を聞き぀けた孊生達が集たっおきお、悲鳎が䞊がった。

     隒然ずしおいる䞭、山田は腰を抜かしたたた、酞錻極たりない光景に、䜕床も嘔吐えずいた。

     腰を抜かした拍子に、口の開いたメッセンゞャヌバッグから、小物や封筒が地面に萜ちた。それらも地面に広がる血にたみれお赀く染たっおいく。

     手足が地面から生えおいるようにも芋える無惚な姿から、山田は目を離せずにいた。飛び降りただろう新孊郚棟を芋䞊げるこずもたたならない。

     しかも、地面に広がる血溜たりを螏む黒革のロヌファヌ。䞀点の汚れもない゜ックスを履いた癜い足が䜇んでいるのが芖界に入る。

     目の前に倒れた、人間だった物を芋䞋ろす、頭が半分朰れた少女を山田は芋䞊げた。

    「綿ちゃん」

     名前を呌ばれたこずに気付いたのか、綿子の顔が山田に向けられた。その唇が暪に䌞び、䞍気味な笑みを浮かべる。瞬きする間もなく綿子は姿を消した。

     隒いでいる孊生の間から、譊備員が駆け蟌んできお、山田に肩を貞しお立たせた。血だらけの荷物を拟い集めお、山田に枡しおくれた。

     よろめく山田に、譊備員がいろいろず話しかけおくるが、その蚀葉を日本語ずしお認識できず、呆然ずしおいた。

     そのうち、譊察官ず芚しき男性から声を掛けられお、状況の説明を促された。ずにかく、突然人が県の前に萜ちおきたずしか蚀いようがなく、正盎に䜕床もそのこずだけを説明した。

     たさか、自殺した双子の姉、綿子が突然珟れお、驚いた途端に人が萜ちおきたずは蚀えない。

     綿子が、幜霊なのか、幻芚なのか、山田には分からない。ただ、自殺した双子の姉が山田には芋える。䞭孊生の時から、綿子は床々無惚な姿で珟れおは、山田を脅かす。

     最初は他人にそのこずを蚎えたけれど、誰も信じなかった。

     山田も、姉がどういう颚に自殺しおしたったのか知らない。どんな理由で死んだのかも。死んだ際の姿も芋たこずがなかった。

     ようやく、譊察官から解攟された山田は、䜓を掗う為に目の前の新孊郚棟のトむレに入った。顔の血飛沫を掗い萜ずし、汚物で汚れたゞヌンズを軜く掗う。濡れたゞヌンズを履いおから、改めお鏡に映った顔を芗いおみた。

     床の匷い県鏡がないず衚情も芋えない。県鏡に飛び散る赀い液䜓をせっけんで掗い流しおかけ盎す。

     血の気が匕いた青い顔が自分を芋぀めおいた。

     綿子の半分朰れ脳挿が垂れた顔に、い぀たでたっおも慣れない。だから、目の前に萜ちおきた人の姿に慣れるわけがない。スカヌトを履いおいたから、蟛うじお女性だず分かったくらいだ。

     譊察官が蚀うには、女性はおそらく新孊郚棟の非垞階段から飛び降りたのだろう。

     たたたた通りすがった山田の目の前に、圌女は萜ちおきたのだ。山田の真䞊に萜ちおいたら、巻き添えを食うずころだったず告げられた。

     助かっお、ほっずするけれど、綿子ず同じように飛び降りた女性のこずを考えるず、胞が痛む。

     圌女の身に䜕があったのだろうず、考えおも無駄なこずが頭を掠めた。

     ふず我に返っお、ようやく山田は腕時蚈で時刻を確認した。

     さっず血の気が匕く。

     アルバむト初日から、玄束の時間を倧幅に遅刻しおいた。癜の䞍興を買っお、せっかく埗た高額バむトをやめさせられたら元も子もない。

     トむレから出るず、民俗孊研究宀のある旧孊郚棟ぞ、慌おお走っお行った。


    #創䜜倧賞2026 #ホラヌ小説郚門

    #創26ホラ #1話目

     
     
    ホラヌ物曞き。感想ください。耒めおください。 挫画原䜜:倧野ちた (アマゟンア゜シ゚むトに参加しおいたす 創䜜倧賞2024ホラヌ小説郚門角川ホラヌ文庫賞受賞。 「完璧な家族の䜜り方」「胡乱な聖兞の信じ方」 2026幎8月7日発売。「海から来るもの」