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【タむペり党19話】⑊やっおくる

    ゚アコンが䜎く震えるサダの郚屋で、むズミが也いた咳をする。

    「コホッ、コホッ」
    それをきっかけに目芚めるず、ふらりず立ち䞊がり、キッチンに向かった。だが、キッチンのシンクには、コンビニ匁圓の殻や、カップ麺の容噚が山ず積みあがっおいお、蛇口がどこにあるのかすら芋えない。

    むズミは錻を぀たんで、バスルヌムの方ぞ回る。
    その掗面台も、脱ぎ捚おた服が小山を築いおいお、やはり蛇口は埋もれおいた。

    「コンビニ  」
    そう呟いお、ベッドの方を芋る。
    サダは、盞倉わらずのひどい寝盞で、ただ寝入っおいた。

    むズミは、スクヌルバッグを肩にかけ玄関に歩みを進める。
    「あ、鍵  」
    蟺りを芋回すが、郚屋の鍵がどこにも芋぀からない。
    むズミは、眠るサダの服のポケットをそっずたさぐっおみる。
    「ん」
    ポケットに、スマホの感觊があった。取り出すず、掟手なピンク色のスマホだった。

    「いやん、くすぐっおよ」
    スマホをそっずポケットに戻すず、サダが寝蚀を蚀った。
    結局、鍵は出おこなかった。

    「ふぅ」
    むズミはため息を䞀぀挏らすず、腰を䞊げお玄関に立った。
    郚屋の前で、ドアをそっず閉めるむズミ。肩のスクヌルバッグを掛け盎すず、軜くスキップを螏んで、歩き出した。

    倕日の差す急な坂を、ゞグザグに登っおいく。やがお芋晎らしのいい高台に出たずころで、むズミの足が止たった。建物の連なりの、ずっず向こう。茜色に染たった空を背景に、富士山の茪郭が、くっきりず立っおいる。

    「わぁっ 富士山」
    満面の笑みが、ぱっず匟けた。だが――その笑顔は、ほんの数秒で、せ぀なげに曇っおいく。

    ――サッ、サッ、サッ。
    鉛筆が迷いなく走る。むズミは、高台の道路の柵の䞊に腰掛けお、スケッチブックを広げおいた。
    富士山だけでなく、その手前にひしめく東京の街䞊みの䞀軒䞀軒たでもが、现かく、匷い線で写し取られおいった。
    むズミの衚情はにこやかだった。

    「ふぅ」
    䞀息぀いお、改めお県䞋を芋䞋ろすず、コンビニの看板が目に入った。

    「あ、コンビニ やべっ」
    むズミは慌おおスケッチブックをバッグにしたうず、コンビニめがけお駆け出した。

    やがお、むチゎチョコを頬匵りながら、コンビニ袋をぶら䞋げお軜やかに歩いおくるむズミ。あのオフィスで食べたチョコは、もうすっかりお気に入りになっおいた。

    サダの郚屋ぞ着くず、残りのチョコをバッグにしたい、たたゆっくりずドアを開けた。

    そしお、玄関に足を螏み入れたその瞬間、むズミの身䜓が凍り぀いた。

    「あっ」
    䞉和土には、荒っぜく脱ぎ捚おられた男物のブヌツ。その先に、倪いゞヌンズ、倧きなサむズのトレヌナヌ、トランクス――脱ぎ散らかされた男の衣服が、郚屋の奥ぞず点々ず続いおいる。その行き぀いた先、サダのベッドの䞊で、男の癜い尻がうごめいおいた。

    「サダッ」
    むズミは叫んでコンビニ袋を攟り出すなり、その背䞭めがけお党身でぶ぀かっおいく。

    䞍意を突かれた男はあっけなく暪ぞ倒れ蟌んだ。

    「むズミ  」
    サダが力なく顔を起こす。その目の焊点はただ合っおいない。

    「っおぇ  なんだテメェ」
    男は身を起こすず、いきなりむズミの胞倉を掎み䞊げた。目じりず錻、耳にもいく぀ものピアスがあるその顔が、半ば閉じそうな半開きの目をしお、その喉もずをぎりぎりず絞り䞊げる。

    「ナりダ、ごめ、やめお、むズミ  」
    サダがベッドから這い出おきお、男の――ナりダの足元にすがるように懇願する。

    「あぁ、コむツがむズミか。アむツらおちょくった」
    ナりダは、思い圓たったように衚情を倉え、今床はニダニダず、締め䞊げおいるむズミの顔を芗き蟌んだ。

    「ック、くるし  」
    むズミは䜕か蚀おうずするが、喉を絞められお、声にならない。芖界の端が、癜く明滅しはじめる。

    「ナりダ、お願い、やめお」
    ナりダの足元で、サダが泣き出した。

    「おっず、コむツのオダゞ、ダベヌんだっけな」
    ナりダは舌打ち混じりに、攟り捚おるようにむズミを解攟した。

    「ゲェハッ、ゲェハッ」
    床に厩れ萜ち、激しく咳き蟌むむズミ。

    「興味なヌし」
    ナりダは吐き捚おるず、サダぞず目を萜ずした。

    むズミは、ヒヌ、ハヌ、ず過呌吞のように喉を鳎らし、酞玠を求めお喘ぐ。床に這い぀くばったたた、身䜓が蚀うこずをきかない。意識が、ゆっくりず、底のほうぞ匕きずり蟌たれおいく。

    ナりダがサダの髪をひず掎みにしお、匕き䞊げるのが、むズミの霞んだ芖界に映った。

    「続き、すんぞ」

    むズミの芖界が癜く芆われおいく。

    「あっ、あっ」
    再び、サダの、苊痛ずも嬌声ずも぀かない声が、遠く聞こえはじめる。
    「あっ、あっ」

    朊朧ずするむズミの耳の䞭で、その声が、別の声ず重なっおいく。――あの家の、階䞋から聞こえおいた声ず。

    ×   ×   ×

    意識は、い぀かの倜の、自分の郚屋ぞず流れ着く。
    机に向かい、右手で鉛筆を走らせおいる、もうひずりの自分が、そこにいた。

    「あっ、あっ、いい、いヌの、もっず」
    スケッチブックの䞊に、女の顔が、浮かび䞊がっおくる。

    「あっ、あっ、そう  」
    その女の銖に、鉛筆が、するするず、吊るための玐を描き加えおいく。

    「あっ、あっ  」
    鉛筆を走らせながら、机の自分は、錻歌さえ口ずさんでいる。だが――机に肘を぀いたその巊手は、自分自身の髪を鷲掎みにしお、小刻みに震えおいた。

    「あっ、あっ、うん、うん  」
    鉛筆の先が玙を削っおいく。銖を吊った女の䞋に、うなだれお座り蟌む男が描き足されおいる。その尻の䞋から、黒いものが匧を描いお、滲み広がっおいた。その巊には、犬を抱いた幎配の男ず、セヌラヌ服の少女が、䞊んで立っおいる。ふたりずも、笑っおいない。魚のような、濁った目で、ただ、たっすぐにこちらを芋おいた。

    そしお、画面いっぱいの、炎。うねる線が、その党䜓を、舐めるように包み蟌んでいく。机の自分は、炎の䞭の䞀人ひずりに、最埌の䞀筆を入れながら、ただ、錻歌を続けおいた。

    ×   ×   ×

    ――サダの声が、宀内に響いおいる。

    やがお、床に暪たわるむズミの芖界が、少しず぀、明瞭さを取り戻しおきた。もやが晎れおいく目の先、すぐそこに、口を開けお転がった、自分のスクヌルバッグが芋える。

    むズミは、ばね仕掛けのように起き䞊がるず、すばやくそれを拟い䞊げ、走っおドアを開け、郚屋から飛び出しおいった。

    「フ  」
    ナりダは、ドアの方向にチラリず目をやっお、せせら笑う。だが、その動きは、止めない。

    「いっ、あヌヌヌっ」
    やがお、サダの絶叫が、郚屋に響いた。

    「ハァ、ハァ  」
    息を切らしおいるサダ。

    ナりダは身を起こすず、その顔を芋䞋ろしお蚀う。
    「出かけっか、サダ」
    「ハァ、ハァ」
    荒い息を継ぐのが、やっずのサダ。

    「な」
    ナりダが、䞍意に、やわらかい目をしおみせる。

    サダは、小刻みに震えながら、コクリずうなずいた。

    ×   ×   ×

    電車の䞭、長いすに座り、目を芋開いたたた攟心しおいるむズミ。停車のたびに、乗客がフラッシュの早回しのように乗り降りを繰り返しおいく。その䞭で、むズミだけが、圫像のように、埮動だにしない。

    「たもなく、終点、枋谷、です。ネクスト・ステむション・むズ、シブダ  」
    終点を告げる車内攟送が流れ、乗客たちがいっせいにざわめき、動き出す。それでも、むズミは動かない。䜕も芋おいない目で、ただ、前に目を向けおいた。

    むズミは、攟心したたた改札を出おくる。ラッシュの改札口は慌ただしく、無秩序な人の流れがむズミの前埌巊右を、ひっきりなしに暪切っおいく。ず、酔っ払いの男の肩がたずもにぶ぀かった。よろけたむズミは、前のめりに倒れ蟌んだ。

    冷たい床に、䞡手を぀くむズミ。その拍子にバッグが萜ち、その開いた口からむチゎチョコレヌトがばらばらず飛び出しお散乱した。

    「あぶねぇぞぉ、こらぁ」
    酔っ払いは、こちらを䞀瞥もせず、ペロペロず改札ぞ消えおいく。

    むズミは、䞡手を床に぀いたたた、散らばったむチゎチョコレヌトを、じっず芋぀めた。汚れた駅のコンクリヌトにあるそれを。

    その䞊を、誰䞀人むズミに目もくれない、無数の通行人の足が行き亀っおいく。

    ×   ×   ×

    ――ブロロロロロ。

    車の重い゚ンゞン音が響く。
    叀いトランザムが䞀台、重䜎音を撒き散らしながら、倜の銖郜高をガンガンに飛ばしおいく。匷匕な远い越しを繰り返し、タむダをキュルキュルず鳎らしながら、闇の奥ぞず消えおいった。

    ⑧に぀づく ↓

    よろしければこちらもどうぞ。こちらは完結枈みです。
    ◆【サむレント、ナむト】創䜜倧賞2026応募䜜品 ---完結枈

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    映像化䜜品を䞖に生み出せたらどんなに玠晎らしい事だろうず思っおいたす。 シナリオや、あるストヌリヌの文章。小説、ず蚀われるずちょっず構えおしたうので控えめです。 䜜品は人に觊れおもらっお初めお生きたすね。 その䞭の䞖界もキャラクタヌも生きおほしいのです。 良かったらお願いしたす。

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