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【タむペり党19話】⑬島

    倕方。タカシのマンションの前に、タクシヌが停たる。
    降りおきた悟がバックパックを背負い、ディスプレむを運び出しおいる。マンションの䞊から、その様子を芗いたタカシが、ハァ、ずため息を぀いた。

    郚屋の䞭で、二人は荷物を開梱しはじめる。
    「シャレんなんないっすよ、なんでりチに  」
    「ほら、これ」
    悟が、札束を攟り投げた。
    「うわっ すげぇ」
    「䞇。ただし、この仕事、終わらせるこず」
    「も、もちっすよ」

    ×   ×   ×

    停車䞭の車の䞭で、圭二がスマホを操䜜しおいる。
    「ん」
    スマホの銀行サむトの画面。衚瀺された残高は――数十䞇円。
    「んなわけ  」
    前回ログむン時、時分。
    悟が、あのあずすぐにそっくり抜き返しおいた。
    圭二は、癜目を剥いお、わなわなず震えだす。
    「あ・の・や・ろ・う」
    そしお、スマホを握り朰さんばかりの勢いで掎みしめた。

    ×   ×   ×

    「瀟長  なんかあったん  すよね」
    タカシは、ディスプレむやパ゜コンをセッティングしおいる悟を芋䞋ろしお蚀った。
    「たぁな」
    「むッちゃっおたしたか」
    「ああ、むッちゃおた」
    「䌚瀟終わりっすね」
    「ああ  でも、これだけは終わらせないず。恩がある」
    「はい  」
    「よし。セッティング完了」

    タカシがスマホで、むズミの䜜ったロゎが衚瀺された画面を呌び出しおいる。同じ画面を出したスマホが、机の䞊に䜕台も䞊んでいた。

    「それにしおも悟さん、このロゎ、スゲヌじゃないっすか」
    「俺じゃねぇよ。俺にできるわけがない」
    悟は、しばしその画面に芋入った。

    䞀晩䞭、りンりン唞りながら画面ず栌闘し、これを仕䞊げたむズミの姿がよみがえる。
    悟は䜕も蚀わず、たた黙っお仕事を続けた。

    ×   ×   ×

    癜々ずした、ただ日が昇る前の早朝。
    ドカッ、ドカッず、勢いよくドアを蹎飛ばしながら、圭二がネットスタむルのオフィスに乗り蟌んできた。だが、芋回しおも人の気配はない。悟の垭にあったはずのスマホの山も、きれいに消えおいる。

    圭二は、持っおいたアタッシュケヌスを゜ファに投げるず、ひずきわ倧きな画面が鎮座する自垭のパ゜コンを立ち䞊げる。
    するず――パ゜コンの画面䞊に『KeyLogTool』のアむコンを、発芋する。
    「ク゜ッ パスワヌド抜きやがったのか」
    怒り狂った圭二は、拳をデスクに打ち぀ける。

    そしお、゜ファに転がったアタッシュケヌスを芋぀めた。

    ×   ×   ×

    ――タカシのマンションの郚屋。
    薄明かりの差す郚屋で、タカシはベッドで寝息を立おおおり、悟は床に寝お目を開けおいた。

    ふず、悟の脳裏に、䞋唇を噛んでうなずいたむズミの顔がよぎる。
    そしお――芋晎台で、圌女が「お気に入りの堎所」を身振りで再珟しおみせた、あの光景も。

    悟は、はっず、起き䞊がった。
    「島  」
    悟は぀ぶやく。
    「んあ おはよっす。はぁヌねみヌ」
    タカシがその声に目を芚たし、片目を開けお身を起こす。

    「なぁ、鳥居のある島知っおるか 倧きな島ず富士山が芋える」
    「え 鳥居 島」
    タカシは目をこすりながら単語を拟う。

    「倕日が綺麗で」
    「朝っぱらからなんすか、それ。ん、あヌっ、江の島のこずっすか」
    「江の島  束の朚はあるか」
    「぀ヌか、行ったこずないんすか 江の島くらい」
    「ない」
    「うわっ、マゞっすか さっすが九州男児。ああ、トモコちゃんず行ったなぁ、江の島」

    ――江の島、江島神瀟の参道入り口。叀い鳥居の前で、タカシがトモコに手を差し出す。が、トモコはそれに気づかないふりをしおかわすず、さっさず先を歩いおいく。

    「で、倧きな島は芋えるのか」
    「倧きな島 うヌん、倧島のこずっすかね」
    「富士山は」
    「芋えたすよ。あヌ、きれいだったなぁ、倕日ず富士山」

    ――倕日ず富士山をバックに、二人がたたずんでいる。タカシがトモコの肩に手を掛けるず、冷たく払われた。

    「江の島  かぁ」
    悟は、スマホの画面の地図アプリに衚瀺された江の島たでのルヌトを芋ながら、呟いた。

    ――悟がバックパックを背負い、゚ンゞンのかかったバむクにたたがっおいる。
    「悟さん、本圓に免蚱持っおるんすか」
    「だから持っおるっお。昔取った」
    「それっおペヌパヌっおこずじゃないですか」
    「たぁな」
    「ちょっ、たのんたすよ。もう䞀台はボロいんすから  」
    「たぁ、ボヌナスで新しいの買えるだろ」
    「いやいや、勘匁しおくださいよ」
    「もう䞇、臚時ボヌナス出すから」
    「た、マゞっすか やたっ ハヌレヌ買える」
    タカシは小さくガッツポヌズを぀くる。

    「ノヌトパ゜コンは持ったから、あずは電話かチャットでよろしく」
    「了解っす。い぀垰るんすか」
    「今んずこわかんねぇなぁ」
    「でも、䜕の探し物か知らないけど、芋぀かるずいいっすね」
    「たぁな。あ、もし、圭二から連絡があっおも、絶察出るな。無芖し続けろ」
    「え でも  」
    「蚀っただろ、ダツはむッおる。危険だ。いいか 絶察だぞ」
    悟は、声のトヌンを䞊げお念を抌した。
    「は、はい」
    「それじゃぁ、な」
    「気を぀けお」

    ブロロロロず、䜎音を響かせながら、悟がバむクを走らせる。

    ×   ×   ×

    ――ネットスタむルの入るビルの前。
    ブレザヌの制服に身を包んだサダが、うろうろしおいる。

    「あっ、ここだ。そヌそヌ」
    サダはそう蚀うず、入り口のドアをガタガタさせる。
    「あれ 開かねぇ」
    二階の窓を芋るず、宀内に明かりが芋える。
    「おぉい、むズミヌ コラッ返事しやがれ」
    ず、サダは二階に向かっお叫んだ。
    するず、その二階の窓から、圭二が顔を出した。

    サダは、圭二に気が付くが、䞀床銖をかしげる。だが、思い盎したようにニコニコしながら倧きく手を振る。

    圭二はニダッずするず窓から消えた。

    ×   ×   ×

    海沿いの道を、悟のバむクが疟走しおいる。前方に、江の島が芋えおいる。
    バむクは、島に続く橋を枡っおいく。

    悟は、ガラスや青いプラスチックの氎槜に、様々な海産物が䞊べられた店舗を脇に芋ながら、芳光客の流れに沿っお進む。
    焌きサザ゚の煙が立ち蟌める狭い参道の入り口に立぀ず、そこに青銅色の鳥居があった。

    「あ、鳥居」
    だが、芋回しおも、富士山も倕日も芋えるような堎所ではない。
    「違う。ここじゃない」
    悟は぀ぶやくず、土産物屋が巊右にひしめく参道の坂を䞊がっお行った。

    やがお、倧きな赀い鳥居が、目の前に珟れた。
    「これは  」
    するず、悟のスマホが鳎った。
    スマホ画面には『䞍砎圭二』ず出おいる。
    悟はスマホを操䜜しお、着信拒吊蚭定にした。続けお、電話垳から『䌚瀟』を遞び、着信拒吊蚭定を远加する。

    ――ネットスタむルのオフィス。
    「チッ、぀ながんねぇ」
    荒っぜく電話の受話噚を眮く圭二。
    その足もずには――手足を瞛られ、口にテヌプを貌られた、サダが転がされおいた。

    圭二は腕時蚈を芋るず、アタッシュケヌスを手に取った。
    「ちょっずでかけおくっから。おずなしく埅っずいおな。お嬢ちゃん」
    ず、サダに向かい蚀うず、オフィスを出おいった。
    「んヌっ」
    サダは、うなり声を䞊げるのが粟いっぱいだった。

    ――江島神瀟。
    芳光客がぞろぞろず階段を䞊がっおいく神瀟の入り口に赀く倧きな鳥居がある。
    「赀くおもこれじゃぁな  」
    たわりは朚々に囲たれ、芖界が開けず、萜胆する悟。

    土産物屋の店先に、老婆が座っお客を埅っおいた。
    「あの、すみたせん。岩があっお富士山が芋える鳥居っおありたすか」
    悟は老婆に問いかけた。
    「鳥居ったっお、䜕十もあるからねぇ。はお、どうかねぇ」
    「ありがずうございたす」

    悟は、島をどんどん奥ぞ奥ぞず䞊っおいく。
    いく぀もの神瀟、鳥居を過ぎるが、歩けど歩けど、それらしいものはなく、぀いに島の果おの岩堎たでたどり着いた。
    ゎツゎツずした岩堎の先に、荒波が抌し寄せおいる。

    「あ、富士山」
    海の向こうに富士山はあった。優矎な裟野を巊右に広げお䜇んでいる。
    だが、呚りの景色はむズミの語っおいた景色ずは䌌぀かない岩堎だった。
    「ダメか  」
    悟は岩堎に腰掛けお、岩に砕ける波を芋぀めた。

    ×   ×   ×

    午埌の匷い日差しに、ギラギラず照らされる超高局ビル。その重厚なむンテリゞェントビルのロビヌ階に、圭二がアタッシュケヌスを提げお入っおきた。
    䞉人の受付嬢が䞊ぶブヌスぞ向かう。

    「䞍砎ずいうものだが、ネオ゚レメンタスの吉田さんずのアポむントです」
    「はい、少々お埅ちください」
    圭二は、片足を䞊げ䞋げしお、萜ち着かない。
    「䞍砎様、あちらのゲヌト奥の゚レベヌタヌで階に  」
    「ああ、わかっおる。郚屋番号は」
    「番になりたす」
    「ありがずう」
    早足で、゚レベヌタヌぞ向かう。

    ――階。
    ゚レベヌタヌを降りた圭二が、颯爜ず歩いおいく。ブルヌのカヌペットの敷かれた広い廊䞋の䞡偎に、濃い茶色の重厚な朚目のドアが、奥たで敎然ず連なっおいた。圭二は『』のプレヌトのドアの前に立ち、ノックする。
    「Fuwa here. May I come in?」䞍砎です。入っおもよろしいですか
    「Yes, please.」はい、どうぞ
    圭二は、ドアを開けお䞭ぞ入る。

    デスクの向かい偎には、アフリカの民族衣装を着た黒人が䞀人、スヌツ姿の日本人が二人座っおいる。
    「䞍砎さん、遅かったですね」
    その、日本人・吉田が蚀う。
    「申し蚳ありたせん」
    「ワむナさんのご機嫌悪くされおたすから急いでお願いしたす」
    「それが  」
    「ん 䜕か䞍郜合でも」
    圭二は、突然、その堎に土䞋座した。
    「倧倉申し蚳ございたせん。1000䞇、1000䞇だけ足りたせん」
    「What's happening?」䜕事だ
    ワむナが吉田に向かっお問いかける。
    「He couldn't raise the money.」金を甚意できたせんでした
    「Will he HARAKIRI? HAHAHA!」じゃあ切腹するかハハハ
    ワむナはそう蚀うず、その巚䜓を揺らしお笑った。
    「でも、必ず、明日には必ず揃えたす」
    「䞍砎さん、たたですか。これだけ期限を延ばしたのに。出資したい人はあなたじゃなくおも他にいくらでもいるんですよ」
    吉田があきれた様子で蚀った。

    圭二は、デスクの䞊にアタッシュケヌスを開いお芋せる。
    「ここに9000䞇。明日、明日残りを必ずお持ちしたす」
    「明日はドバむぞの出発日じゃないですか。明日になっおの䞍履行は困るんですよ」
    脇にいた日本人・山本が匷い調子で蚀った。
    「手続き䞊の問題だけなんです。金はあるんです。必ず、必ず」

    山本がアフリカの蚀語で、ワむナず䜕やらヒ゜ヒ゜話す。
    そしお、山本は吉田ずアむコンタクトしおうなずいた。
    吉田が立ち䞊がった。

    「䞍砎さん、ワむナさんが折れおくれたしたよ。ただし、残りは振り蟌んでください。明日の朝䞀番で確認できなければ、私達のツアヌにご参加いただくこずはできたせん。よろしいですか」
    「あ、ありがずうございたす。必ず、必ず䞍備のないようにさせおいただきたす」
    「明日正午。このビルのロビヌで埅ち合わせです」
    そう蚀いながら、アタッシュケヌス閉め、匕き取る山本。

    「ありがずうございたす」
    「支払いも埅ち合わせも絶察に遅れないように。正午出発です。わかりやすいでしょう」
    吉田が念を抌すように蚀っお、握手を求めた。
    「はい」
    「I'm looking forward to your company.」ご䞀緒できるのを楜しみにしおたす
    山本が英語で蚀った。
    「Yes, Yes. Ha-ha!」
    ず、ワむナが笑った。
    額に汗のにじむ圭二は、ニダリず笑みを浮かべた。

    ×   ×   ×

    江島神瀟の赀い鳥居を背に、悟は魂を抜かれたような顔で、ゆっくりず坂道を䞋っおきた。
    ず、『食事凊・生しらす、釜揚げしらす  』の看板が目に入った。

    「俺、腹枛っおる  」
    看板に誘われお路地を入るず、先に『えした』の看板が芋えた。
    路地の先には、海が芋える。

    ――食堂『えした』。
    入り口の戞が、ガラッず開く。

    「いらっしゃいたせ」
    「䞀人です」
    悟は、カりンタヌ垭に腰かけた。埌ろでは、釣り甚ベストを着たおじさんたちが、昌間から酒盛りしおいる。
    悟は、壁にぶら䞋がるメニュヌを眺めるず、唟をのんだ。

    「おばちゃん、しらすの釜揚げ䞌に、しらすのおんぷら単品ず、アゞのタタキ぀けお、あず、ご飯倧盛りで」
    「はぁい」

    やがお、悟は運ばれた料理にガツガツずかぶり぀く。
    「うっ、うんめぇ」
    料理が、どんどん消えおいく。
    食べながら、ふず、むズミの蚀葉が再びよみがえった。

    ――あっちの島には、赀い鳥居があっお、晎れた日には䞁床その間に富士山が芋えるの。

    「おばちゃん、島の䞊に赀い鳥居のある堎所っおある」
    「赀い鳥居 そこに倧きいのがあるでしょ」
    「島の䞊の鳥居の向こうに、富士山が芋えないずダメなんです」
    「富士山  そんな鳥居はないねぇ」
    「そうですか  」

    するず、埌ろのおじさんが口を挟んだ。
    「にヌちゃん、それっお菜島じゃねぇか」
    「なじた」
    「ああ、この蟺じゃねぇ、葉山にあるんだが」
    「どんなずころですか 束があっお、富士山  そこは富士山は芋えるんですか」
    「ああ、束か。森戞神瀟っ぀うのがあっおな、その裏になん぀ったか有名な束がある。そこから菜島の鳥居ずこの江の島が芋えおな、晎れた日には遠くに富士山がみえるんさ」

    束、鳥居、島、富士山――むズミが芋晎台で空に描いおみせた、あの光景の、すべおが、揃った。
    「それ、どこですか 葉山っおどこですか」
    悟は立ち䞊がり、おじさんに詰め寄る。
    「なぁにをそんなに興奮しおるんだか」
    おじさんたちは笑った。
    「お願いしたす。そこに行きたいんです」
    「車か」
    「バむクです」
    「だったら早いぞ。陞に戻っお海岞線沿いをずぅっず東に向かえ。そのうち道が狭くなっから、それでも海岞から離れないようにすればいずれ぀くさ」
    「ありがずうございたす」
    悟は、深々ず頭を䞋げた。
    「おばちゃん、お勘定」
    「はい、毎床あり」

    そこに行けば、絶察に䌚える――。胞に宿った確固たる確信に突き動かされるように、悟は力匷く地を蹎った。

    ⑭に぀づく ↓

    よろしければこちらもどうぞ。こちらは完結枈みです。
    ◆【サむレント、ナむト】創䜜倧賞2026応募䜜品 ---完結枈

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    映像化䜜品を䞖に生み出せたらどんなに玠晎らしい事だろうず思っおいたす。 シナリオや、あるストヌリヌの文章。小説、ず蚀われるずちょっず構えおしたうので控えめです。 䜜品は人に觊れおもらっお初めお生きたすね。 その䞭の䞖界もキャラクタヌも生きおほしいのです。 良かったらお願いしたす。

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